企業が幹線道路沿いや駅の周辺などに看板広告を設置するには、月額または年額いくらという形で広告費用がかかるのが普通です。逆に見れば自分の土地や建物に看板広告を設置すれば広告収入が得られ、不労所得の形で副収入を稼げるようになります。土地や建物を持っていない人でも不動産の持ち主や広告主と交渉し、看板広告を設置して手数料収入を稼ぐことも可能です。
このように看板広告を活用して収入を得る副業には、自分が所有する不動産に設置する場合と他人名義の不動産に設置する場合の2種類があります。それぞれの方法について詳しく解説するとともに、駐車場シェアと比較した場合の収入の違いについても情報をまとめてみました。
看板広告とは?
幹線道路沿いや駅の周辺を歩いていると、看板広告と呼ばれる屋外広告物をよく見かけます。社名や商品名を目立つように掲示した看板もあれば、店舗や施設への案内を表示した看板もあるという具合です。
貸し看板とも呼ばれる看板広告を勝手に設置することはできず、その土地や建物の所有者に許可を得てから設置する必要があります。無償で看板広告を設置させてもらえるという例はほとんどなく、たいていは月額や年額いくらという形で広告料を支払うのが一般的です。
これを逆に見ると、土地や建物を所有している人には広告料を稼ぐチャンスがあるという儲け話になります。もちろん人通りの少ない住宅街や交通量の限られる農道のような場所では、看板広告を設置したいという広告主もなかなか現れません。交通量の多い幹線道路や人通りの多い商店街に沿った場所に土地や建物を持っていれば、「広告の看板を設置させてほしい」という企業も見つかるはずです。
手持ちの不動産を貸し出してお金を稼ぐビジネスには、駐車場経営や賃貸住宅経営・トランクルーム・自動販売機設置などの手段が考えられます。看板広告の設置もそうした不動産活用型ビジネスの一種で、一度設置してしまえば実質的な不労所得を稼げるのが特徴です。看板広告は1年から数年の単位で契約されるのが一般的で、この間は土地や建物が勝手にお金を稼いでくれます。
とは言え都心部の幹線道路沿いのような立地条件の良い場所に不動産を多く所有している人でないと、看板広告だけで生計を成り立たせるのは困難です。それでも貴重な副収入を得る手段にはなり得ますので、「副業はしたいけれど時間がない」という人は検討してみる価値があります。
遊休資産を生かした看板広告の稼ぎ方
看板広告には地面に直接設置する野立て看板と外壁に設置する壁付き看板、ビルの屋上に設置する屋上看板という3つの種類があります。壁付き看板や屋上看板は既存の建物をそのまま流用して看板広告を設置する方法だけに、ビルやマンション・アパートなどを所有している人に向いた稼ぎ方です。条件が合えば一般の戸建住宅でも、外壁を使って看板広告を設置できる可能性があります。
野立て看板タイプの看板広告を設置するには空き地など使っていない土地が必要ですが、建物を建てるのに不向きな狭小地や形が歪な土地でも設置は可能です。一般の住宅でも道路から余裕を持って建てられているような場合には、家の前にちょっとした空き地が存在することになります。1畳分ほどの面積があれば野立て看板を設置することは可能ですので、交通量が多い道路沿いの一戸建て住宅に住んでいる人は検討してみるといいでしょう。
国道や大通りなど交通量の多い道路沿いは看板広告の設置に適していますが、宣伝効果の高い場所となると限られてきます。信号待ちで車が停車しやすい位置や、近くに集客力のある商業施設がある場所なら、広告主も見つかりやすいものです。
広告主は自分で探すことも可能ですが、素人だとなかなか見つからない可能性もあります。不動産ビジネスの経験があったりして業界に人脈を持つ人以外であれば、屋外広告を扱う広告代理店に依頼するのが無難です。手数料が引かれるため自分で広告主を探す場合より広告料収入が少なくなってしまいますが、いつまでも広告主が見つからないよりは早く収入が得られるようになります。
立地条件の良さに自信がある場合は広告代理店を通さずに看板製作会社に直接依頼し、自分で「広告主募集」の看板を設置して連絡を待つというのも1つの手です。看板屋さんに製作を依頼する分だけ初期費用はかかりますが、うまく広告主が見つかれば代理店に依頼するより安く上がる可能性もあります。
土地や建物を持っていない場合
看板広告は土地や建物などの不動産を持っている人に限られた稼ぎ方だと思いがちですが、その気になれば不動産を所有していない人でも稼ぐことは可能です。この場合は広告看板を設置するのにふさわしい土地や建物の持ち主を探し出して交渉し、広告主を紹介することで手数料収入が得られるようになりますなります。
自分の所有している不動産に設置するわけではないため、まずは看板を設置してくれるオーナーを見つけなければ話が先に進んでいきません。交通量や人の流れから見て「これは」と思う場所を見定めたら、周辺の住民に聞き込みをしたり法務局で登記情報を閲覧したりして持ち主を探し出します。
オーナーとの交渉に際しては看板広告設置のメリットをわかりやすく伝えるとともに、周辺の相場に基づいた料金の交渉も腕の見せ所です。広告主を手配する際にも営業力が問われますので、本業で営業や接客の仕事をしているような人に向いています。
屋外広告に集客が大きく左右される飲食店や遊戯施設の他、美容サロンやエステサロン・不動産業者なども広告主として狙い目の業種です。病院やクリニック・歯科医院なども看板広告を出しているところが多く、都心部などは月に数百万円の広告料を投じている医療機関も見られます。オーナーとの交渉がまとまって広告主が決まった後には、看板屋さんへの依頼や価格交渉も欠かせません。
自分自身がオーナーとして手持ちの不動産に看板広告を設置する場合と比べ、他人の土地や建物に設置して手数料収入を得る方法は以上のような手間がかかります。営業のノウハウも必要となってくるため誰にでもできる副業ではありませんが、交渉に果たす役割が大きければ大きいほど自分の取り分も多くなる点はメリットです。
手持ちの不動産を活用する方法だと、必ずしも看板広告設置に適した立地条件でない場合もあります。他人の土地を活用するこの方法なら、いくらでも好立地の土地を見つけることが可能です。自分で不動産を所有しなくても看板広告で不労所得が稼げるようになり、交渉をまとめた看板の件数が多ければ多いほど固定収入を増やせるという計算になります。
看板広告で稼げる収入の目安
自分の土地や建物を有効活用して看板広告を設置する場合でも、他人の土地に設置してもらって手数料収入を稼ぐ場合でも、実際に稼げる金額は立地条件や面積などによってかなりの幅が見られます。
前述の通り都心の一等地に医療機関や大手企業の看板広告を設置した場合は、月に数百万円の広告収入を稼ぐことも夢ではありません。交通量がそれほど多くない地方の道路沿いに看板を立てた場合だと、月に数千円程度しか稼げないことも考えられます。平均すると月に1万円から数万円という例が多く、年額何万円という形で契約している例も少なくありません。
同じように不動産を有効活用した駐車場経営の場合は、月極駐車場1台分の収益は1万円前後から数万円程度が平均的な相場です。よほどの好立地でない限り看板広告は駐車場経営ほど稼げないのが普通ですが、野立て看板は駐車場にするのが難しいような狭小地や住宅の軒先のような場所にも設置できます。建物の外壁を利用した看板広告の例も含め、駐車場経営を始める場合と比べて初期費用がそれほどかからないという点もメリットの1つです。
最近はakippa(あきっぱ)や特P (とくぴー)など、初期費用0円から始められる駐車場シェアリングも人気を集めています。1台分しか駐車できないような中途半端の空きスペースを持っている人は、看板広告とどちらが得か検討してみる価値があります。
駐車場シェアで稼げる金額は、1日あたり数千円程度が平均的な相場です。どれだけ利用されたかという稼働率に比例して、収入が増えていきます。利用者が多ければ、1台分のスペースで月に3万円以上稼ぐことも可能です。
看板広告の副業まとめ
街でよく見かける看板広告は必ずその土地や建物の持ち主から許可を得て設置されており、月額または年額いくらという形で広告料を支払うのが普通です。立地条件の良い土地に不動産を所有している人は、看板広告を設置することで広告収入が稼げるようになります。
広告主は自分で探すことも可能ですが、不動産ビジネスの知識がない人は屋外広告の広告代理店に依頼するのが無難です。営業力に自信がある人は自分で土地や建物を持っていなくても、不動産のオーナーと交渉して広告主を紹介すれば手数料収入を稼げるようになります。
都心の一等地では看板広告1件で数百万円を稼いでいる人もいますが、普通は1件あたり月に1万円から数万円程度が広告収入の平均相場です。駐車場にするには中途半端な広さしかない空き地や空きスペースを持っている人は、駐車場シェアとともに看板広告の設置も検討してみるといいでしょう。