国勢調査で偽調査員が出没する理由とは?統計調査員との違いを解説

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5年に1回行われる国勢調査が2020年で100年目を迎える中、全国で70万人が必要とされる調査員の人員不足が懸念されています。担当地域の全世帯を1軒1軒戸別訪問する仕事だけに、コロナへの感染を恐れて国勢調査員の仕事を避けようとする人が増えているのです。

訪問される側にもあまり歓迎されない役目ですが、ここに来て国勢調査をかたった偽調査員の出没も報告されています。総務省でも注意を呼びかけているかたり調査の目的について、背景となっている犯罪との関連性を調べてみました。正式に任命される統計調査員の応募方法についても、副業として取り組むことが可能な仕事内容と合わせて記事の前半で解説します。

国勢調査員も公務員?

外国人を含めて日本に住むすべての人と世帯を対象とする国勢調査は、総務省統計局が実施する公共的な統計調査の1つです。国勢調査には20項目からなる大規模調査と17項目からなる簡易調査があり、2020年は大規模調査の年に当たっています。

調査の実施には調査書類の配布や説明・回収・集計など多くの作業が伴うため、各自治体や町内会が募集する調査員の協力が欠かせません。国勢調査員の仕事に対しては報酬も支払われるだけに、会社員や主婦が副業として任務を引き受けている例もよくあります。国勢調査の実施される時期に限定した仕事ですが、非常勤ながら国勢調査員も公務員の扱いです。

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国勢調査員は調査区あたりで50世帯から70世帯ほどを担当するのが一般的で、1人で2つ以上の調査区を受け持つ人も少なくありません。報酬は1調査区あたり35,000円から40,000円ほどが平均相場となっており、複数の調査区を担当すれば収入をそれだけ増やせる計算です。

統計調査員になる方法

国や自治体で実施している統計調査は国勢調査だけでなく、労働力調査や家計調査・工業統計調査・商業統計調査などさまざまな種類があります。国勢調査は5年に1回しか実施されないのに対して、労働力調査と家計調査は毎月実施され、工業統計調査は年に1回行われる調査です。

実施にあたってそれらの調査票を対象世帯や事業所に配って説明したり、回収や点検・整理を行ったりする人が必要になってきます。国勢調査を含めたそれらの役目を引き受けるのが統計調査員で、総務大臣や都道府県知事から任命された場合は非常勤の公務員という立場です。

統計調査員になるには都道府県や市区町村で募集されている求人を見つけ、面接を受けた上で採用してもらう必要があります。国勢調査員の仕事を一度引き受けると、以後も労働力調査や家計調査などの仕事を依頼される可能性が出てきます。仕事の基本的な流れは国勢調査と共通しますが、工業統計調査や商業統計調査の場合は担当地域の世帯ではなく事業所が対象です。

最近はそれらの統計調査を民間業者に委託する例も増えてきており、アルバイト求人サイトに募集が掲載される場合も少なくありません。2020年の国勢調査員はこの記事を書いた時点ですでに締め切られていますが、事務補助や集計作業・コールセンター業務など、国勢調査に付随する仕事の募集は引き続き掲載されています。国を上げて実施される5年に一度の調査には一時的に大量の人手が必要となりますので、単発バイトの仕事を探している人は見逃せません。

国勢調査で偽調査員が出没

働く期間が限られた臨時の仕事ではありますが、コロナの影響で収入が減ってしまった人にとって国勢調査員は少しでも挽回するチャンスとなります。担当区域内の世帯を戸別訪問して調査票を直接配布したり回収したりする仕事だけに、コロナへの感染リスクがあるという点は不安要素です。そのせいか今回の国勢調査では調査員を希望する人が減ってしまい、十分な人員が確保できないでいる自治体も少なくありません。

そうした中で国勢調査を装った偽の調査員が各地で出没し、収入や口座番号などを聞き出そうとする動きが見られる点には注意が必要です。総務省統計局のHPによると、2020年の調査では以下の項目について調査を行うとしています。

世帯員に関する事項

  1. 氏名
  2. 男女の別
  3. 出生の年月
  4. 世帯主との続柄
  5. 配偶の関係
  6. 国籍
  7. 現在の住居における居住期間
  8. 5年前の住居の所在地
  9. 在学,卒業等教育の状況
  10. 就業状態
  11. 従業上の地位
  12. 所属の事業所の名称及び事業の種類
  13. 仕事の種類
  14. 従業地又は通学地
  15. 従業地又は通学地までの利用交通手段

世帯に関する事項

  1. 世帯の種類
  2. 世帯員の数
  3. 住居の種類
  4. 住宅の建て方

出典:2020年国勢調査第3次試験調査の概要(総務省統計局ホームページ)

この中に収入金額や預金の有無・口座番号などの情報は含まれていませんので、そういう質問をされた場合は偽調査員による「かたり調査」の可能性が大です。国勢調査は調査用紙の回収や郵送の他にインターネット回答も受け付けていますが、調査員が電話や電子メールで直接聞き取り調査を行うことはありません。

コロナの影響で正規調査員の仕事ですら敬遠されがちなときに、頼まれもしない調査をしようとするのは何か他の意図があるはずです。国勢調査を装った偽調査員の狙いは定かでありませんが、何らかの詐欺に悪用しようとしている可能性があります。

詐欺やアポ電強盗に悪用の恐れも

国勢調査や統計調査を装ったかたり調査の例としては、預金額や取引先の銀行について電話で聞き出そうとするのが典型的なパターンです。提出済みの調査票で不明な点があったり、期限までに提出しなかったりした場合には、電話で確認やお願いをする場合も確かにあります。家族構成や年齢などの情報は国勢調査の項目にも含まれていますが、正規の調査員が世帯ごとに電話をかけて直接聞き取り調査を行うことはありません。

年金の受取先銀行名や年金生活者かどうかという質問に加え、資産状況や介護保険の状況について問い合わせる電話の例も報告されています。国勢調査の項目にない個人情報を電話で聞き出そうとしたりすることはありませんので、そのような電話がかかってきたら語り調査の可能性が濃厚です。

一方では統計調査員になりすました人物が世帯を実際に訪問し、カード番号を聞き出そうとしたり家計簿を代理で回収しようとしりした事例も報告されています。国勢調査でも訪問型のかたり調査が行われる可能性がありますので、騙されないよう注意が必要です。

正規の国勢調査員であることを示すには顔写真付きの調査員証と腕章、調査書類を入れるバッグが目印となります。「令和2年国勢調査」と書かれたそれらの証拠があれば信頼できますが、一部でずさんな管理が疑われるケースが出ている点は不安要素です。国勢調査員の腕章が拾得物として届けられたり、支給品のバッグがメルカリに出品されたりする事例が報じられています。

そうした正規の支給品が偽調査員の手に渡ってしまったら、特殊詐欺やアポ電強盗などに悪用されかねません。国勢調査員として採用された人は職務の遂行に責任をもって取り組むと同時に、支給された調査員証や腕章・バッグも決して紛失しないよう厳重に管理することが求められます。

国勢調査員の現状まとめ

5年に1回だけ短期間に限定した仕事とは言え、国勢調査員は国の最も重要な統計調査の役割を担う立場にあります。調査票を配布したり回収したりするのは自分に都合の良い日時を選べますので、平日は会社の仕事があるというサラリーマンでも副業にすることが可能です。

主婦や定年退職後のシニアが担当している例も多い国勢調査員は戸別訪問の煩わしさがあるだけに、コロナ感染のリスクもあって人員が不足の傾向にあります。逆に世帯ごとの個人情報を扱うという特権に目をつけ、国勢調査員を装った偽調査員が出没している点には要注意です。

正規の統計調査員にとっては仕事が余計にやりづらくなることから、人手不足に拍車がかかるのではないかと懸念されます。そうした困難と戦いながら任務を遂行している調査員に対しては、可能な限り協力してあげたいものです。

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