ステマが違法に当たるケースとは?禁断のマーケティング手法を解説

仕事術

ステマと言えば芸能人や有名ブロガーが何か良くないことをしているようなイメージもありますが、無名の一般人にとっても決して無縁ではありません。今はブログやSNSを通じて誰でも手軽に情報発信できる時代だけに、知らず知らずのうちに加担しているという場合もあり得ます。

ステマはステルスマーケティングの略語で、商品やサービスを売りたい企業にとっては効果的なマーケティング手法の1つです。広告だとわからないようにして宣伝を行うこの手法を直接取り締まる法律は日本にありませんが、やり方が不適切だと違法になるケースも出てきます。

万が一発覚すると炎上が避けられないステマはどの法律に引っかかるのか、宣伝手法としての問題点を含めた基礎知識をまとめてみました。ブログやSNSで情報発信している人もうっかりすると該当する場合がありますので、炎上を避けるための心得についても記事の後半で解説します。

ステマとは?

2012年のペニーオークション詐欺事件をきっかけとして世間に広く知られるようになったステマとは、ステルスマーケティングを略して言いやすくした造語です。ネット流行語大賞にも選ばれるほど人口に膾炙するようになったとは言え、言葉は知っていても意味はよく知らないという人は少なくありません。

「ステルス(stealth)」とは英語で「こっそり」「内密の」を意味する言葉で、レーダーに探知されにくい性能を備えたステルス戦闘機などの軍事用語として使われてきました。こうした性質をマーケティングの技術に応用したのが、消費者に広告だとわからないようにして密かに宣伝を行うステルスマーケティングの手法です。

テレビドラマの場面でスポンサー企業の商品が使われているような例は比較的わかりやすい方ですが、雑誌の記事広告が他の記事と見分けのつきにくいようなケースはステマが疑われます。新聞や雑誌は通常の記事と区別がつきにくい形で記事広告を入れる場合、「PR」や「広告」などと明記するのが基本ルールです。テレビではそのへんのルールがあいまいなせいか、紛らわしいタイアップの手法が蔓延しています。

インターネットになるとテレビ以上の無法地帯が存在し、ブログやSNS・動画などでステマが横行している実態がありました。実際には企業から金品の提供を受けている人が「PR」や「広告」と明記せずに、通常の記事や動画と見分けがつかない形で商品やサービスを紹介している例は珍しくありません。

ステマの主な手法

一口にステルスマーケティングと言ってもさまざまな手法が考え出されてるため、表現方法は同じではありません。テレビでは健康法について取材した番組で特定メーカーの商品が盛んにPRされ、そのメーカーがスポンサー表示されていなかったことからステマ疑惑として報じられた例があります。

ステマの手法が多様化しているインターネット上では、企業が芸能人や有名ブロガー・YouTuber・インスタグラマーなどに商品の宣伝を依頼するのが典型的な手法です。ブログやSNSで「PR」などと明記してあれば該当しませんが、普通の投稿と区別がつかない形で宣伝した場合はステマと疑われても仕方がありません。

ステマに手を染めてしまうのはそうした有名人ばかりでなく、無名の一般人でもあり得る話です。口コミサイトや自身のブログで一般の消費者になりすまして商品を宣伝し、企業からの見返りを受け取れば、これも一種のステマに該当するようになります。過去には映画を配給する会社が架空の評論家を装って自社配給の映画を絶賛したり、グルメレビューサイトで特定の飲食店から金銭を受け取って高評価のやらせレビューを投稿するという事例もありました。

明治時代から露店などで使われてきたいわゆる「サクラ」も、一般客を装って宣伝に加担するという意味ではステマとよく似たマーケティング手法の一種です。サクラは現在でも店の新規オープンや行列の演出などで利用され、イベントやライブ・舞台に参加して盛り上げる役目も果たしています。

そういった「やらせ」や「サクラ」まで含めると、どこまでがステマに該当するのか境界があいまいになりがちです。区別があいまいだからこそ、インターネットを中心にステマが横行しているとも言えます。

ステマが違法になるケース

ブログやSNSの投稿でステマだと発覚してしまった場合には、世間からの激しいバッシングが避けられません。広告だとわからないようにしてこっそり宣伝を行うのは消費者を欺く行為だけに、情報の受け手としては裏切られたように感じてしまいます。

一方でステマは通常の広告よりも優れた宣伝効果を発揮することから、マーケティング手法の1つとして通用しているのも現実です。アメリカやイギリスではステルスマーケティングが違法とされていますが、日本では明確に禁止する法律がありません。

だからと言ってすべてのステマが合法というわけではなく、宣伝の方法が悪質と判断された場合には法律に違反する可能性もあります。多数の芸能人が宣伝に加担していた2012年のペニーオークション詐欺事件は、運営会社から逮捕者が出た典型的な事例です。謝罪に追い込まれた芸能人も警察から事情聴取を受けましたが、ペニーオークションの実態を知らなかったと供述したことで逮捕は見送られました。とは言え誤解を与えるような広告を禁じる軽犯罪法に問われた可能性もあり、公訴時効に救われた形での立件見送りに過ぎません。

ステマは軽犯罪法に抵触するだけでなく、場合によっては景品表示法に違反する可能性もあります。優れた商品を販売しながら認知度が低いためになかなか売れなかった企業が、ステルスマーケティングの手法を使って商品を宣伝した場合はまだしも合法的です。商品を実際によりも著しく優良だと消費者に思わせるような表現が宣伝に使われた場合は、景品表示法における「優良誤認表示」に該当することになります。競合他社の商品と比較しながら自社の商品が著しく優れているように誤解させるような表現で、ブログのランキングや比較記事を書いた場合も同様です。

ブログやSNSもステマにならないよう注意

景品表示法は商品を製造・販売しているメーカーだけが注意すべき法律だと思いがちですが、普段は消費者の立場となる一般人もこの法律に問われる可能性があります。今はブログやSNS・YouTube動画などを通じて誰でも手軽に情報発信できる時代だけに、投稿の中で企業の商品やサービスを紹介する場合には法律を意識する必要があるのです。

単にその企業や商品のファンだという理由で絶賛するだけなら、「個人の感想」の範囲内として許容されます。健康食品の分野でも薬事法が改正されてからは健康への効果や薬効について広告に記載できなくなりましたが、購入者の声と称する「個人の感想」という形で盛り込まれているのが現状です。

同じように個人の感想を表明する行為であれば、憲法で保証された表現の自由に当たると見なされます。ブログやSNSでも商品やサービスについて個人の感想を投稿するのは自由ですが、企業から報酬を受け取るのと引き換えに感想を投稿する場合は注意が必要です。

報酬がかかっているとなれば、ブログやSNSに投稿する感想も好意的にならざるを得ません。実際には購入してもいない商品を使ってみたように装って架空のレビュー記事を書き、その商品の広告をブログに掲載さいている場合もステマに該当する可能性が出てきます。最近はAmazonなどの通販サイトでも報酬と引き換えに偽レビューを投稿するバイトが横行している実態があり、テレビでも大々的に取り上げられました。

Amazon偽レビューは違法?やってはいけないバイトの実態を解説
巨大通販サイトのAmazonで偽レビューを書くのと引き換えに、商品を無料でもらうバイトが横行しています。中国の業者から依頼される例が多いと見られる偽レビューのバイトは違法なのかどうか、0円仕入れとも呼ばれる転売手法の実態について解説します。

クラウドソーシングでも報酬と引き換えに架空の口コミを募集する案件が見られますので、応募する際にはモラルに反しないよう注意する必要があります。消費者に事実を誤認させるような投稿は単なるステマではなく、景品表示法や軽犯罪法に違反する行為です。実際に違法性が立件された事例は稀ですが、投稿で実害が生じた場合には捜査の対象にされる可能性もあります。

ステマの基礎知識まとめ

実際には広告の一種でありながら普通の記事や動画を装ったステルスマーケティングは、発覚すると激しい拒絶反応に遭ってしまうというリスクのある宣伝手法です。ステマは消費者を欺く行為と見なされているため、たとえ違法でないとしても手を出すことはおすすめできません。

宣伝の対象がそもそも違法な詐欺だったり、事実誤認を誘導する手法を使っている場合は明らかな違法行為です。企業や有名人でない一般の人でも、ブログやSNSなどを通じてステマに加担した場合は同様のリスクがあります。投稿で商品やサービスを紹介する場合には、消費者を欺く行為に該当しないかどうか見直すことが肝要です。

タイトルとURLをコピーしました