署名バイトは違法?愛知県知事リコール運動で発覚した不正の実態とは

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2020年に行われた愛知県の大村知事リコール運動に伴う署名活動で、アルバイトを動員した署名の偽造という「あってはならない」不正の事実が発覚しました。事務局側から署名集めを委託された広告関連会社が佐賀県内で署名バイトを集め、名簿を書き写す作業をさせていたのです。

目的を知らされないまま不正に関わってしまった人たちは、バイト求人アプリなどを通じて仕事に応募したものと見られます。こうした偽造に関与する署名バイトは違法行為に当たるのかどうか、怪しい仕事を引き受けるリスクについて情報をまとめてみました。

愛知県知事リコール運動とは?

そもそも愛知県で知事のリコール運動が起きたのは、2019年に県内で開催された「あいちトリエンナーレ2019」が発端です。あいちトリエンナーレは愛知県で3年ごとに開催される国際芸術祭ですが、2019年に「表現の不自由展・その後」と題して展示された企画展が物議を醸しました。天皇制や従軍慰安婦問題などデリケートなテーマに関わる展示に抗議が殺到し、展示が一時中止に追い込まれる騒動に発展したのです。

芸術祭の実行委員会で会長代理を務めていた愛知県の大村知事は憲法を尊重し、表現の自由を擁護する立場を取りました。これに対して高須クリニックの高須院長や名古屋市の河村市長らが反発し、知事の解職を求める運動へと発展したのです。

県内に住む有権者数の3分の1に当たる86万人の署名が集まれば、愛知県知事のリコール直接請求が成立します。リコール運動の事務局は100万人分の署名獲得を目指し、2020年8月から署名活動を展開しました。

署名活動で不正が発覚

偽の署名を書き写させるアルバイトが佐賀県で大量に募集されたのは、署名集めの期限が迫った10月の出来事です。最終的には43万人5千人分しか署名が集まらずリコールは不成立に終わったわけですが、事務局側にも焦りがあったのでしょうか。

署名活動が休止された後の12月頃から不正を訴える声が上がるようになり、アルバイトを動員した署名偽造の事実が発覚しました。同じ人が何人分もの署名を書いた形跡が多く見られ、すでに故人となっている人の署名も発見されたのです。

署名バイトの求人状況

実際に佐賀県内で署名バイトに参加した20代女性の証言が、新聞やテレビなどで報道されています。女性は2020年の10月にバイト求人アプリで募集を知り、佐賀市内の貸会議室で名簿書き写し作業に従事しました。時給900円で5時間働き、交通費と合わせて5,000円が支給されたと伝えられています。佐賀県の最低賃金は792円ですので、900円は地域の時給相場より高めの金額です。

愛知・リコール偽造署名事件 「署名バイト」女性が取材応じる 深まる謎、関係者は一様に「誰かが嘘を言っている」(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース
愛知県・大村知事のリコール騒動をめぐる、偽造署名事件。 その「署名アルバイト」に参加したという佐賀県の女性が、取材に応じました。 「愛知県なのも意味がわからなかったし、パソコンに打ち込んでいるも

女性は遠く離れた愛知県で知事のリコール運動が行われていた事実を知らず、名簿の書き写し作業が署名偽造を意味するという認識もありませんでした。バイトアプリの求人情報にも単に「名簿書き換え作業」としか記載されていなかったため、不正に関わる仕事だとは想像しにくかったものと見られます。

署名バイトを雇ったのは誰か?

求人アプリを通じて署名バイトを募集したのは、リコール運動事務局から業務を委託されていた名古屋市の広告関連会社です。この会社は約470万円の予算でアルバイト募集を受注しておきながら、実際に費やした人件費は1,500万円にも及びました。1,000万円以上の赤字を出してまでして大量の署名バイトを雇った理由については、現時点でまだ明らかになっていません。

目標には遠く及ばなかったとは言え、43万人分もの署名が集まったのが事実なら、愛知県知事にとって大きな痛手となるところでした。実際にはアルバイトを動員して名簿を書き写させた偽の署名が多くを占めるものと推定され、集まった署名の80%以上が無効になる可能性が出てきている状況です。

リコール運動を主導した高須院長は、不正に対する自身の関与を否定しています。それでは一体誰が不正を指示したのか、名簿の入手ルートも含めた真相の解明が待たれるところです。

署名バイトの募集に利用された単発バイトアプリ

こうした不正行為を行うアルバイトの求人がどうやって募集されたのかという点も、今回の事件で注目すべきポイントの1つです。SNSでは闇バイトや裏バイトと呼ばれる怪しい仕事の募集も多く見られますが、今回の署名バイトはタイミー(Timee)という単発バイトアプリを通じて募集された可能性があると報じられています。アプリを運営する株式会社タイミー側でも自社のサービスが利用された可能性を認め、謝罪文書を公式サイトに掲載しました。

実は当ブログでも以前このタイミーの求人アプリを紹介する記事を書いているだけに、今回の件は他人事ではありません。タイミーは単発バイトに特化した求人情報を探せるアプリで、仕事をするのに面接や登録会参加は不要です。派遣の仕事よりも気軽に応募できるせいか、若い世代を中心に人気が高まっています。

単発バイトを簡単に探せるタイミーとは?スキマ時間で稼ぐ副業を紹介
タイミーは短時間の単発バイトが探せるバイトアプリで、学生だけでなくスキマ時間を利用した会社員の副業としても人気を集めています。履歴書の提出や面接が不要の単発バイトだけを集めたタイミーの特徴について、ペナルティの注意点と合わせて解説します。

タイミーやシェアフルなどの単発バイトアプリはスキマ時間を有効活用できる仕事が探せるため、会社員の間でも副業の手段として定着しつつある状況です。利用ユーザーが急増している中で署名偽造のバイト集めに悪用されたとすれば残念な話ですが、同じような求人は他のアルバイト求人サイトにも掲載されていたと言われています。アルバイトに応募した人が意図に反して不正に関わることのないよう、求人サイトの側でもチェック体制の強化は急務の課題です。

署名バイトは違法?

県知事のような公職の立場にある人を解職に追い込むパワーを秘めているだけに、リコール運動の署名活動に不正は決して許されません。アルバイトを雇って偽の署名を書かせていた事実が立件されれば、不正を指示した人物は刑事罰の対象になる可能性が濃厚です。

偽の署名を作成する作業だと認識しながらバイトの仕事を引き受けた場合には、不正を主導していなくても違法性に問われる可能性があります。実際に佐賀県内では署名バイトの仕事をした人の間では、罪に問われないかどうかと不安視する声も少なくありません。

署名の偽造が地方自治法で禁止されている違法行為に当たるのは事実で、違反した場合は3年以下の懲役か禁錮刑、または50万円以下の罰金刑に処されます。警察の捜査方針にも左右されますが、意図せずに署名偽造を引き受けてしまったアルバイトまで刑事罰の対象とするのは酷な話です。捜査に協力的でなかったりして不正への積極的関与を疑われない限り、署名バイトは罪に問われない可能性もあります。

署名バイトの実態まとめ

パソコンやスマホが全盛の時代にわざわざ手書きで名簿を書き写すバイトが募集されるとしたら、何か特別な事情があるのではないかと想像するのが普通の感覚です。単発バイトアプリに限らず大手のアルバイト求人サイトでも、募集されている仕事内容に違和感を覚えたら応募を見合わせるのが無難だと言えます。

今回の事件でアルバイトは罪に問われない可能性もありますが、事情を知らなければ不正に関わる仕事をしても常に安泰とは限りません。アルバイトの仕事を探す際にはこうしたトラブルに巻き込まれないように、できるだけ信頼できる求人サイトやアプリを利用するように心がけるといいでしょう。

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