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害獣駆除の仕事に資格や許可は必要?3種類の働き方を解説

害獣用の箱罠 転職
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シカやイノシシ・アライグマなど、農地を荒らす厄介な害獣がいます。ネズミやイタチ・ハクビシンなど、住宅に侵入する害獣の被害も年々増えている状況です。

そんな害獣の駆除はやりがいのあるレアな仕事ですが、相手が野生動物だけに法律が関係してきます。害獣駆除の仕事をするのに、作業内容によっては自治体の許可や免許・資格が必要なケースがあるからです。

そこで今回は害獣駆除の仕事に興味があるという人に向けて、3種類の働き方ごとに必要な資格や許可について基本的な情報を整理してみました。害獣駆除の仕事が儲かると言われている理由についても、記事の後半で業界特有の事情を詳しく解説します。

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害獣駆除の仕事をするのに資格は必要?

試験会場の看板

天井裏に侵入して悪臭や騒音を発生させたり、畑の農作物を食害したりと、害獣は人々の生活を脅かす迷惑な存在です。だからと言って、人間の都合で野生動物を一掃していいということはありません。

日本には野生動物や鳥類の保護を目的に制定された鳥獣保護法という法律があります。同法の対象となっている動物や鳥類は、勝手に捕獲できない決まりです。害獣駆除を目的とする場合でも、捕獲するには原則として自治体の許可が欠かせません。

ドブネズミとクマネズミ・ハツカネズミのイエネズミ3種類に関しては、例外的に許可なしでも捕獲できます。筆者も自宅でネズミを捕まえたことが2回ほどありますが、ネズミは触るのも嫌という人は少なくないはずです。

ネズミ以外の野生動物や鳥類は大半が鳥獣保護法の対象となっているため、素人ではなかなか手出しができません。自治体の許可さえ得れば誰でも駆除できるというわけではなく、捕獲の方法によっては狩猟免許が必要になってきます。

害獣を素手で捕まえる分には狩猟免許なしでも違法にはなりませんが、何らかの道具を使わない限り捕獲は難しいのが実情です。したがって害獣駆除の仕事をする上でも、駆除の方法しだいでは狩猟免許を要する場合が出てきます。

害獣駆除関連の免許・資格

害獣駆除の仕事をするのに役立つ可能性のある免許や資格は以下の通りです。

  1. 狩猟免許
  2. 銃砲所持許可
  3. 防除作業監督者
  4. 鳥獣管理士

この中で最も重要な資格は、害獣を捕獲するのに必須の狩猟免許です。使用する猟具によって、狩猟免許は以下の4種類に分かれています。いずれも都道府県に申請して試験を受け、合格した後に免許証が交付される仕組みです。

  1. 網猟免許
  2. わな猟免許
  3. 第一種銃猟免許
  4. 第二種銃猟免許

第一種銃猟免許で対象となる猟具は、ライフル銃や散弾銃など火薬を使った装薬銃です。火薬を使用しない空気銃を使う場合は、第二種銃猟免許の対象となります。どちらも実際に狩猟行為を行う際には銃刀法に違反しないよう、銃砲所持許可の申請が欠かせません。

シカやイノシシ・クマのような大型の害獣を駆除する際には銃を使用する場合もありますが、アライグマやハクビシン・ネズミなど中型や小型の害獣は罠を使って捕獲するのが一般的です。箱罠やくくり罠などを使用した狩猟行為に銃砲所持の許可は不要で、わな猟免許を取得すれば害獣駆除ができるようになります。

くくり罠

住宅や事業所などの建造物でネズミ駆除を行う場合には、防除作業監督者も仕事に役立つ国家資格の1つです。受講資格を満たしていれば、5日間の講習会を受講することで防除作業監督者の資格を取得できます。

鳥獣管理士は国家資格ではなく、鳥獣管理技術協会という社団法人で認定している民間資格です。1級と準1級・2級・3級の4種類があって、単位取得と試験合格を経て上位の級に昇級する仕組みとなっています。

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実際に害獣駆除を行う際には許可も必要

以上のような資格や免許を取得さえすれば、勝手に害獣駆除ができるようになるというわけではありません。鳥獣保護法の対象となっている動物や鳥類を捕獲するには、自治体にその都度申請して許可を得る必要があります。申請先は都道府県の場合もあれば市町村や保健所の場合もあって、自治体によって対応が異なる状況です。

被害の状況や捕獲手段などを審査する必要があるため、申請してから許可が下りるまで2週間ほどを要するのが普通です。申請が認められれば許可証が発行されますので、実際の駆除作業を行う際にはこの許可証を忘れずに携帯する必要があります。手続きが煩雑で害獣駆除に関する知識も必要だからこそ、害獣の被害に悩む人からの依頼で申請代行から駆除作業までを行う仕事が成り立つというわけです。

害獣駆除の仕事をする方法

害獣用の箱罠

鳥獣保護法という法律の壁があるために、害獣駆除は専門性の高い仕事となっています。専門教育を受けた有資格者でなければできない仕事のように思いがちですが、未経験で資格を持たない人でもやってできないことはありません。害獣駆除の仕事をするにもいろいろな方法が用意されていて、その中には資格や免許のない人でも可能な働き方があるからです。

もちろん狩猟免許や防除作業監督者などの資格を持っていれば、仕事を見つけるのに有利なのは間違いありません。有資格者は自治体の有害鳥獣駆除や独立開業など、個人で害獣駆除の仕事を請け負うことも可能です。
害獣駆除の仕事をする方法は、以下のような3つのパターンが挙げられます。

  1. 害獣駆除業者の求人を探す
  2. 猟友会に加入して有害鳥獣駆除を行う
  3. 個人で害獣駆除サービスを開業する

それぞれ詳しく解説します。

害獣駆除業者の求人を探す

害獣駆除の仕事をする一番手っ取り早い方法は、駆除業者で正社員やアルバイトの従業員として働くやり方です。フルタイムで働ける人は正社員を目指すのが定石ですが、他の仕事と掛け持ちしたい人はアルバイトの方が働きやすいと言えます。

害獣駆除業者の中には正社員やアルバイトのような雇用の形ではなく、業務委託で求人を募集しているケースも少なくありません。駆除の依頼や相談はイレギュラーに発生し、害獣の活動が活発になる夏場の方が多い傾向も見られます。

常に安定して仕事を獲得するのが難しい業種でもあるだけに、中小規模の業者は常勤の従業員を何人も雇用する余裕がありません。駆除の依頼に応じて出動を要請し、仕事の成果ごとに報酬を支払う業務委託の方が業者にとっても好都合です。

同じ害獣駆除業者でも正社員として働く場合は、月給いくらという形で毎月ある程度決まった給料が支給されます。アルバイトの立場だと時給いくらという形で、働いた時間によって給料が決まる仕組みです。業務委託になると給料(報酬)は完全歩合制となり、日給いくらという形で支払われるケースが多くなっています。

天井裏を点検する害獣駆除業者

以上のような雇用形態に関わらず、害獣駆除のスタッフは「未経験OK」で資格も不問という求人が大半です。害獣駆除業者の仕事は住宅や事業所からの依頼が多く、駆除と言っても狩猟免許を必要としない防除作業が中心となってきます。

3種類のイエネズミであれば狩猟免許を持たないスタッフでも、粘着シートなどを使った捕獲が可能です。ネズミ以外の害獣を捕獲する必要が生じた場合には、社内の有資格者を現場に派遣して対応しているケースが多いと見られます。

害獣駆除業者の多くは害虫駆除にも対応しているため、そうした業者に採用された場合は必ずしも害獣を相手にした仕事ばかりとは限りません。害獣の防除作業を行う場合でも、ハエやゴキブリなどの害虫対策を同時に行うケースはよくあります。

猟友会に入会して有害鳥獣駆除を行う

田んぼを走るイノシシ

農地などに被害を与える害獣も含めた駆除の仕事をするには、狩猟免許を取得して地域の猟友会に入会するのも1つの選択肢です。猟友会はもともと狩猟を趣味とするハンターの集まりでしたが、自治体からの委託を受けて有害鳥獣駆除の役割も担ってきました。

有害鳥獣駆除には報奨金が支給される例も少なくないため、会員にとっては現金収入を得る貴重な仕事となっています。猟友会の会員でなければ有害鳥獣の駆除ができないというわけではありませんが、猟友会を通じて駆除を依頼している自治体が大半です。

猟友会の会員になれば入会金や年会費で年間1万円から1万5千円ほどの費用がかかります。費用の中にはハンター保険の保険料も含まれているため、万が一の事故に備えて猟友会に駆除を依頼した方が自治体にとっても安心というわけです。

個人で民間のハンター保険に加入し、普通は猟友会で代行してくれる狩猟者登録を自分で済ませれば、個人でも有害鳥獣駆除の仕事を請け負うだけの条件は整います。そのへんの対応は自治体によって異なり、猟友会に入っていないと任せてもらえないケースが大半です。費用がかかるというデメリットはありますが、有害鳥獣駆除の仕事をしたい人は猟友会に入会した方が有利です。

個人で害獣駆除サービスを開業

仕掛けられた箱罠

害獣駆除の仕事をする3つ目の方法は、駆除業者にも猟友会にも所属せずに、個人で害獣駆除サービスを開業する稼ぎ方です。地域の業者と同じ土俵で競争をすることになるため、個人事業主だと厳しい戦いも予想されます。

特に集客面での困難を乗り越える必要はありますが、うまく集客できれば高収入を稼げる可能性のある働き方です。害獣だけでなく蜂の巣などの害虫駆除や草刈り代行など、便利屋として開業すれば仕事の幅も広がって稼ぎやすくなります。

集客のためのプラットフォームは十分に整備されているとは言えませんが、既存のサービスを集客に役立てることも可能です。家事代行やリフォームなどさまざまな生活関連サービスのマッチングサイトくらしのマーケットには、害獣駆除や害虫駆除のカテゴリが用意されています。業者の出品も少なくないと見られますが、個人事業主がサービスを掲載することも可能です。

さまざまな分野のプロに仕事を依頼する場合の見積もり比較サイトミツモアにも、同じく害虫・害獣駆除業者や個人事業主が数多く登録されています。無料掲示板のジモティーに害獣駆除の依頼募集を投稿している人も少なくありません。

個人でホームページを開設したり、ブログやSNSで情報発信したりする集客方法もあります。いずれもプラットフォームを利用するのと比べて、集客力の面では不利になりがちです。徹底したSEO対策で検索上位を目指すか、検索連動型のリスティング広告を出稿するか、何らかの対策が必要になってきます。

プラットフォームと併用しながら個人メディアで情報発信していけば、仕事を獲得できる確率が少しでも高くなるはずです。SNSやブログ・YouTubeなどのメディアを上手に活用することで、害獣の被害に悩んでいる人の目に留まる可能性が出てきます。

害獣駆除の仕事が儲かると言われる理由

客の立場で害獣駆除業者を利用した経験のある人なら実感しているように、駆除には結構な料金がかかります。被害の状況や防除作業の規模によっても料金は変わってきますが、1回の依頼で何十万円も請求された例は珍しくありません。

料金が高額なことから想像して、「害獣駆除の仕事は儲かる」というイメージがあります。ホームページや広告で相場よりも格安の料金を提示しておきながら、施工後に高額な追加料金を請求するような悪質業者も少なくない状況です。必要とは言えないリフォームとセットの駆除作業を強引に営業してくる業者や、見積もり段階で提示する料金が不透明な業者もいます。

害獣駆除の費用は動物の種類や防除のやり方によって大きく変わるだけに、料金体系がブラックボックスになりがちです。料金の中には人件費や資材費用・出張費などの経費に加え、業者の儲けとなる収益の分も上乗せされています。この収益の部分を増やせば、依頼件数が少ない業者でも効率的に儲かるというわけです。

札束を数える

ほとんどの業者は害獣の捕獲を最終手段と考えていて、煙や音・光などを使った追い出しや、侵入口を塞ぐなどの防除作業で済ませる例も少なくありません。必要最低限の対策だけでは儲けが多くならないために、収益性の高いリフォーム工事などとセットの害獣対策を勧めてくるわけです。

料金が相場よりも割高だったり、必要以上の工事をしつこく勧誘したりする業者は、実際にはあまり儲かっていない可能性もあります。地域で長く営業の実績がある優良業者は口コミで評判が広まっているため、そうした強引な手法で儲けに走らなくても収益が確保できるはずです。

儲けを最優先している業者はいずれ悪評が広がり、自分で自分の首を絞める結果となります。明朗会計で良心的なサービス提供を心がけている業者が儲からないとすれば、害獣駆除の業界全体にとって大きなマイナスです。

以上のような業界の事情を考慮すると、金儲けを目的に害獣駆除の仕事をしようとするのはおすすめできません。むしろ社会的な貢献度の高い「やりがいのある仕事」として、駆除の仕事に取り組むべきだと筆者は考えます。

害獣駆除の料金相場

くらしのマーケットやミツモアといったマッチングサイトで検索してみれば、ブラックボックスになりがちな害獣駆除の料金相場も見えてきます。くらしのマーケットに掲載されている害獣駆除サービスの例を見ると、60平米までの基本料金は5万円前後が平均的な相場です。

これはアライグマやハクビシン・イタチなど中型の害獣を対象とした駆除の基本料金で、侵入経路を塞いだり追い出しをしたりする防除作業が中心となります。清掃や消毒などの作業も基本料金に含まれるケースが大半ですが、ワナ捕獲などはオプション料金として別途請求するのが一般的です。

基本料金は施工場所の面積によって変わり、61平米を超えると10万円以上に上がるケースが多くなっています。ネズミやコウモリなど小型の害獣や鳩など害鳥の駆除を専門とする業者の場合、基本料金を2万円前後と低めに設定している例が大半です。

有害鳥獣駆除の報奨金

1万円札が入った封筒を持つ作業服姿の男性

猟友会の会員などが主な担い手となる有害鳥獣駆除の場合、報奨金の金額は国や自治体によって異なります。有害鳥獣駆除に協力すれば必ず報奨金がもらえるとは限らず、ボランティアとして依頼に応じている会員も少なくありません。近年は害獣による農作物への被害が増加傾向で、住民の安全を脅かす害獣も増えていることから、報奨金が出る場合は金額が以前より高騰しつつある状況です。

報奨金の金額は自治体による違いだけでなく、駆除を行う鳥獣の種類によっても差が見られます。駆除の難易度が高くなる大型の害獣ほど金額が上がり、小型の害獣や害鳥は全般に低めの水準です。金額の大まかな目安を以下にまとめておきました。

  • ツキノワグマ・ヒグマ10,000円~100,000円
  • ニホンジカ・エゾシカ7,000円~25,000円
  • イノシシ5,000円~20,000円
  • ハクビシン1,000円~3,000円
  • アライグマ2,000円~5,000円
  • サル10,000円~30,000円

猟友会を通じて有害鳥獣駆除の仕事を引き受けた場合、報奨金の一部が猟友会の取り分として引かれる場合もあります。必ずしも報奨金の全額が自分の収入になるとは限らないという点には注意が必要です。

まとめ

箱罠で捕獲されたハクビシン

害獣駆除の仕事をするには、以下のような3種類の働き方があります。

  1. 害獣駆除業者で正社員やアルバイト・業務委託として働く
  2. 狩猟免許を取得して猟友会に入会し、有害鳥獣駆除の仕事を請け負う
  3. 個人で害獣駆除サービスを開業する

このうち(1)の業者で働く場合には、資格や免許を持たない人でも害獣駆除の仕事に従事できます。会社側で法律面の課題をクリアしてくれているため、未経験で無資格の人でも駆除の仕事ができるシステムとなっているからです。「害獣駆除の仕事に興味があるけれど、資格も免許も持っていない」という人は、駆除業者の募集する求人を検索してみるといいでしょう。

(2)や(3)は狩猟免許や防除作業監督者など、有資格者向けの働き方です。特に狩猟免許を持っていれば銃や罠を使った害獣の捕獲も認められるようになり、仕事の幅が大きく広がります。手に職をつける資格の取得を検討している人にとっては、公益性の高い仕事をする上での有力な選択肢の1つです。

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