ハンドメイドを趣味としている人の間で、シーグラスと呼ばれるガラス玉のような漂着物が人気を集めています。
川や海に流出したガラス瓶が波の作用で細かい破片となり、丸みを帯びた粒となって海岸などに打ち上げられた一種の自然物です。
人工的に研磨されたシーグラスも売られてはいますが、自然に形成されたシーグラスには独特の風合いがあります。天然シーグラスはメルカリでも結構売れているだけに、海で拾ってきたものを売ってお小遣い稼ぎをしたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか?
でもシーグラスって、海に行けばどこでも拾えるの?
いいえ、むしろ見つからない確率の方が高いくらいです。滅多に発見できない貴重な品だからこそ、ただで拾ったものでもメルカリで飛ぶように売れていると言えます。
シーグラスがどこで拾えるのか知りたい
シーグラスを拾うには、ちょっとしたコツがあります。地形の関係で見つかりやすい場所がありますので、効率的に探すポイントを初心者向けにまとめてみました。
シーグラスは拾ったままの不衛生な状態だと、メルカリに出品してもなかなか売れません。記事の後半では拾ったシーグラスを綺麗にする方法と、拾う際の注意点についても解説しておきました。
この記事を読めば、元手0円でお金を稼げるようになります。
シーグラスはどこで拾える?
天然のシーグラスは、海や湖などの波打ち際でよく見つかります。元は川から流されてきたガラス瓶が、波の作用で細かく砕かれて丸みを帯びるようになった漂着物です。海まで流されたものは海岸に漂着しますが、川でも下流域ならシーグラスが見つかる可能性はあります。
とは言え、海岸や川岸ならどこでも拾えるというわけではありません。拾いやすそうな場所に出かけていっても、見つからないことの方が多いです。シーグラスが多く見つかる場所には、共通した特徴というものがあります。
シーグラスが落ちている場所の特徴
海岸には地形や海流の影響で、漂着物が打ち上げられやすい場所があります。湾や入江のように地形がくぼんだ海岸には、流木やサンゴ・海藻などの漂着物が溜まりやすいものです。
嵐の後などに漂着物がよく打ち上げられるような海岸には、ゴミや小石が溜まっていることも珍しくありません。さまざまな漂着ゴミの中に混じって、貴重なシーグラスが見つかる可能性があります。
海水浴場や砂浜はシーグラス探しもやりやすいですが、そういう場所ではなかなか見つからないのが常です。むしろ砂利が多くて小石や貝殻が散乱しているような、海水浴には不向きな海岸の方がシーグラス拾いに向いています。
海水浴場や有名な観光地に属する海岸では、地元の住民やボランティアの人たちが定期的に清掃活動を行っています。手入れの行き届いた海岸よりは、訪れる人が少ない場所の方がシーグラスも見つかりやすいものです。
比較的探しやすい砂浜でも、シーグラスが砂の中に埋もれている場合があります。機械を使って地形が変わるほど掘り起こすのはNGですが、海水浴や潮干狩りなどに使う小さいスコップで軽く掘ってみる程度なら許されるはずです。
シーグラスが大量に落ちている場所を発見した場合、高く売れそうなものを選んで持ち帰ることになります。角が取れていないものは避け、丸みを帯びたものを選ぶのがコツです。レアカラーでない白や寒色系のシーグラスでも、半透明で色が濃いものを選ぶようにするといいでしょう。
「シーグラスだらけの海岸」を検索してみた結果…
シーグラスが多く見つかる海岸は全国各地にありますが、関東地方だと神奈川県や千葉県に多いと言われています。「シーグラスだらけの海岸」でGoogle検索してみたところ、神奈川県では以下のような海岸でシーグラスが多く見つかっていました。
- 横須賀市の燈明堂海岸
- 横須賀市の立石海岸
- 葉山町の長者ヶ崎海岸
- 葉山町の一色海岸
- 三浦市の戸津浜海岸
- 三浦市の金田海岸
- 三浦市の三戸浜海岸
鎌倉市の由比ヶ浜海岸や材木座海岸でも、シーグラスが拾えたという情報があります。
東京都でシーグラスが見つかる海岸は少ないようですが、反対隣の千葉県にはシーグラスの宝庫と言われる海岸がいくつかあります。
- 千葉市の幕張の浜
- 千葉市の検見川の浜
- 千葉市のいなげの浜
- 富津市の富津海岸
- 富津市の磯根崎
- 富津市の布引海岸
- 富津市の大貫海岸
- 勝浦市の鵜原海水浴場
- 鴨川市の内浦海水浴場
- 鋸南町の保田海岸
シーグラスが多く見つかっている海岸は、神奈川県や千葉県以外にも全国各地に存在します。「シーグラス ◯◯県」の地名を変えてGoogle検索したところ、ほとんどの道府県で発見情報がヒットしました。この記事ではとても全部紹介しきれませんので、インスタグラムやXなどSNSの投稿も参考にしてみるといいでしょう。
シーグラスは川でも拾える
シーグラスは海だけでなく、湖や川のような淡水の環境でも形成されることがあります。海岸で見つかるシーグラスも、元をたどれば川から流されてきたガラス瓶というケースが多いものです。海にまで流される前の段階で、川岸に漂着する可能性もあります。
同じ川でもシーグラスが見つかりやすいのは、海に近い下流域です。条件に合った海岸が近くにないという人は、川でも探してみるといいでしょう。
シーグラスの種類
一口にシーグラスと言っても、色や形・大きさによっていろいろな種類があります。特に色は価格や売れ行きを大きく左右する要素です。
大きく分けると、シーグラスには以下のような色があります。
- 無色
- 白
- 黒
- 茶色
- 青や水色・緑などの寒色系
- 赤や黄色などの暖色系
中でも赤やピンク・オレンジ色・黄色などの暖色系は、レアカラーとして希少価値の高いシーグラスです。海岸や川で見つかるシーグラスのうち、赤は5,000個に1個と言われています。最も希少性の高いオレンジのものは、見つかる確率が1万分の1程度しかありません。
寒色系でもコバルトブルーや紫などは数が少ないため、高値で売れるレアカラーに含まれます。黒や灰色・乳白色のシーグラスも珍しい色の部類です。
シーグラスと似た漂着物
海岸などシーグラスが見つかる場所には、似たような漂着物が落ちていることがよくあります。陶器の破片が波に揉まれて丸みを帯びるようになったシー陶器も、ハンドメイドの材料に使われる漂着物の1つです。シーグラスほど数は多くありませんが、メルカリではシー陶器も出品されていて完売例もあります。
海岸で見つかる漂着物で意外な需要があるのは、漁師が使っていたガラスの浮き玉です。使われなくなった漁業用のガラス玉が海を漂い、海岸に流れ着いたものがたまに見つかります。網がついたままのガラス玉は、インテリアとしても珍重される商品です。
天然シーグラスの使い道
シーグラスやビーチグラスと称する商品は、100円ショップなどでも安価に売られている場合があります。店で安く購入できるシーグラスの多くは、研磨機などを使って製造された人工のものです。表面の凹凸が均一だったり、同じ形のものが揃っていたりと、人工のシーグラスはいかにも工業製品という感じがします。
海岸や川で拾ってきた天然のシーグラスは、1つとして同じものはありません。表面の凹凸具合や形を見ても、1個1個違うのが天然ものの特徴です。
珍しい形をしたシーグラスは、単体でもコレクターの間で需要があります。ハンドメイド材料として使用する場合も、天然シーグラスの方が味わい深い作品に仕上がります。メルカリなどで販売する場合、人工のものより天然ものの方が売れやすいのは当然です。
そんな天然シーグラスには、以下のような使い道があります。
- アクセサリーや小物の材料
- シーグラスアート
- 夏休みの工作
- アクアリウムやガーデニング
アクセサリーや小物の材料
シーグラスの使い道で最も多いのは、ネックレスやピアスなどアクセサリーの材料です。minneやCreema(クリーマ)などのハンドメイドマーケットには、以下のようなシーグラスのアクセサリーが出品されています。
- ネックレス・ペンダント
- イヤリング・ピアス
- ブレスレット
- チャーム
- リング・指輪
- コサージュ・ブローチ
- キーホルダー・ストラップ
シーグラスは小物や置物などの材料にもよく使われます。フォトフレームやペンスタンドの飾りにしたり、小物入れやコースターに使用したりという具合。時計や表札の飾りにシーグラスを入れれば、おしゃれに仕上がります。
ステンドグラスやランプシェードなど、さまざまなインテリアグッズにもシーグラスが使われています。シーグラスを利用したアクセサリーの可能性は無限大で、ハンドメイド作家の創作欲をそそる素材です。
シーグラスアートの素材
アクセサリーや小物は装飾性が重視されながらも、最低限の実用性が求められる品々です。シーグラスは装身具や雑貨だけでなく、アート作品の素材としても人気があります。
ハンドメイドマーケットのminneには、シーグラスアートが1,000点以上も出品されている状況です。
シーグラスと画用紙・厚紙・ペン・接着剤・フォトフレームがあれば、シーグラスアートが作れます。シーグラス以外の材料は100円ショップでも手に入りますので、誰でも気軽にチャレンジできるアート作品です。
天然のシーグラスだけは、海や川から拾ってこなければ手に入りません。メルカリなどに出品されていれば、購入ボタンを押す人も出てくるはずです。
夏休みの工作にもシーグラスが人気
シーグラスを使って作品を作ろうとしているのは、ハンドメイド作家のような大人だけではありません。子どもたちの間でも、夏休みの工作や自由研究でシーグラスを取り入れる動きが広がっています。
大人の間で流行ってきたのを受けて、子どもたちの間でも「夏休みの工作にシーグラスを使うのがおしゃれ」という風潮が出てきている様子です。いかにも子どもらしく微笑ましい作品が多いですが、中には大人顔負けの完成度を誇る力作も見られます。年間を通して需要がある中で、夏休み期間はシーグラスを購入する人も増えると予想されます。
アクアリウムやガーデニング
シーグラスはハンドメイドなどの材料にするだけでなく、アクアリウムやガーデニングにも利用されています。熱帯魚やメダカなどを飼う水槽にシーグラスを入れたり、庭にまいたりするような使い方です。
砂利や砂と一緒にシーグラスを敷き詰めれば、水槽をおしゃれに演出できるようになります。花や観葉植物を育てている庭やベランダでも、シーグラスは格好のアクセントになる小道具です。籠に入れて部屋に置いてみたり、ガラス瓶に入れて飾ったりと、シーグラスを利用したインテリアのアイデアもいろいろと考えられます。
シーグラスの探し方
実際にシーグラスを拾いに出かける際には、事前の準備が肝心です。近くに海があるからと言って、ただ闇雲に探しに行ってもなかなか見つかりません。出かける前に情報収集を済ませ、シーグラスが見つかりそうな場所の見当をつけておくことをおすすめします。
現地で効率的に探すための手順は以下の通りです。
- 検索エンジンやSNSで情報収集
- 条件に合う海岸を地図で探す
- 候補地をストリートビューで視察
- 探す候補地を絞り込む
- 当日の天候条件を確認
- シーグラス探しに出かける
穴場の海岸はストリートビューで見られないことが多いですが、付近の地形を画像で確認するには役立ちます。画像で事前確認できない場所は、現地に直接足を運んで確かめるしかありません。そんな場合でもSNSなどで可能な限り情報収集しておけば、ハズレを引く確率を低くできるはずです。
シーグラスを見つけるコツ
海岸でシーグラスを探す際には、潮の干満を計算に入れる必要があります。満潮時には海水の下に隠れている場所でも、干潮時になると表面に出てくるからです。
普段は海水に覆われているような場所にこそ、シーグラスが隠されている可能性があります。気象庁の潮位表ページで、事前に干潮時刻をチェックしておくといいでしょう。干潮になる1時間から2時間ほど前に現地へ到着していれば、シーグラスを効率的に探せるようになります。
地形などの条件が整った場所でも、先に来た人に全部拾われてしまっては見つかりません。新たなシーグラスが見つかりやすいのは、台風や嵐で海が荒れた後のタイミングです。
悪天候の翌日は、さまざまな漂着物が浜に打ち上げられています。シーグラスも漂着物の一種ですので、波の穏やかな状態が続いた日よりは見つかる確率が上がります。
台風や爆弾低気圧が通過した直後は、海がまだ荒れていて危険です。高波が収まってきてから、安全を確保した上で探しに行くことをおすすめします。
シーグラスを探すのは夏場の方が向いているように思いがちですが、意外に冬場の方が見つかりやすいものです。冬によくある北西の季節風に乗って、漂流物が打ち上げられる日が増えてきます。夏に清掃活動を実施する海岸でも、冬場は漂着物やゴミが溜まりっぱなしということも珍しくありません。
拾ったシーグラスを綺麗にする方法
海岸に打ち上げられたゴミと一緒に見つかることが多いだけに、拾ったばかりのシーグラスは汚れているのが普通です。海水に洗われて一見綺麗のように思えても、天然のシーグラスには雑菌も付着しています。
ただで拾ってきたシーグラスを買う人がいるのも、店で売られている商品と同じ状態にした場合の話です。海や川からシーグラスを拾ってきたら、洗浄と消毒で綺麗な状態にする作業が欠かせません。大まかな手順は以下の通りです。
- 水洗いする
- 消毒する
- 天日干しする
シーグラスは拾ったその場で洗濯ネットなどに入れ、海水や川の水に浸けて軽く水洗いしておくと後の処理が楽です。落ちにくい汚れが付着していた場合は、家に帰ってから食器用洗剤などで漬け置き洗いします。使い古した歯ブラシを使えば、頑固な汚れも落ちやすいです。
これで見た目が綺麗になっても、目に見えない雑菌はまだ残っています。拾ったシーグラスを商品化するには、雑菌をなくす消毒の工程が欠かせません。
ガラス瓶を消毒するのと同じ煮沸消毒や、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤を使った消毒方法があります。後者は2~3リットルほどの水にキャップ1杯分の漂白剤を加えてかき混ぜ、シーグラスを浸けておく方法です。大きめボウルや洗面器とザルを併用すれば、大量のシーグラスも一度に消毒できます。
漂白剤に6時間から12時間ほど浸けておいたら水でよくすすぎ、丸一日ほど天日干しにしてよく乾かします。新聞紙などを広げた上に1個1個重ならないように並べておくといいでしょう。乾燥させるシーグラスが比較的少量なら、消毒に使ったザルの上にそのまま並べておくのでも構いません。
シーグラスを拾う際の注意点
ただで拾ったものが売れれば得した気分になりますが、シーグラス拾いにはいろいろと注意点もあります。
- 拾っていい場所かどうか確認する
- 事故や熱中症にも注意
それぞれ詳しく解説します。
拾っていい場所かどうか確認する
シーグラスが見つかる場所であっても、持ち帰り自由とは限りません。場所によっては漂着物を拾う行為が禁止されていたり、危険なために立入そのものが禁止されていたりします。国立公園や国定公園など自然公園の特別保護区に指定されている区域では、石ころ1つでも持ち帰りできません。
沖縄県では条例で、県内のすべての海でサンゴを拾って持ち帰る行為が禁止されています。シーグラスや貝殻については条文に明記されていないようですが、基本的にはサンゴと同様の扱いになるという話です。
沖縄県内にある各自治体の間でも、条例の解釈次第で対応が変わってくる可能性があります。沖縄の海岸でシーグラスを拾うには、少なくとも管理者の許可が必要と考えた方がいいでしょう。
沖縄以外の海岸でも環境保全や安全性の観点から、漂着物を持ち帰る行為が禁止または制限されている場所があります。海を訪れた記念に少量のシーグラスを持ち帰る程度なら大目に見られても、販売目的で大量に持ち帰る場合は許可が必要なケースも少なくありません。
海岸保全区域に指定された場所で砂を含む土砂を採取するには、海岸法第八条の規定により海岸管理者の許可が必要です。シーグラスがこの「土砂」に含まれるかどうかは、法律の解釈次第とも言えます。不安な場合は、念のため海岸管理者に問い合わせてみるといいでしょう。
川でシーグラス拾いをする場合は、河川法第二十五条の規制を受けることになります。河川区域内で土砂を採取する際には、河川管理者の許可が必要です。
いずれも少量のシーグラスを拾う程度なら許可は不要と思われますが、販売目的となれば見過ごされない可能性もあります。川でシーグラスを拾う場合でも、河川管理者に確認しておくことをおすすめします。
事故や熱中症にも注意
海や川でシーグラスを探す際には、安全面にも注意が必要です。海岸を歩いていて見つかるのは、シーグラスのように有用な漂着物だけではありません。毒物・劇物の入った容器や注射針・信号弾など、うっかり触れると危険な物体が紛れ込んでいる場合があります。
毒針を持つクラゲやエイなど、海の危険生物にも要注意です。シーグラス拾いをする際には、気温の高い夏場でも手袋の着用をおすすめします。
シーグラスは海水浴場のような砂地よりも、小石や砂利が多い海岸の方が見つかりやすいものです。岩場の多い海岸は、怪我をしたり水難事故に遭ったりする危険性があります。
波打ち際でシーグラスを探す際にも、急な深みにはまったり波にさらわれたりしないよう注意が必要です。干潮時にシーグラス拾いで夢中になっていて、気がついたら潮が満ちてきて岸に戻れなくなるということもあり得ます。
夏の炎天下でシーグラスを探す際には、こまめな水分補給など熱中症対策も欠かせません。川でシーグラス探しをする場合にも海と同様の危険性がありますので、万が一に備えて複数人で行動するのが望ましいと言えます。
まとめ
ここ数年で人気が高まってきているシーグラスをテーマに、拾える場所や処理方法・注意点について解説してきました。拾ったシーグラスをハンドメイド材料に使うもよし、綺麗にしたものをメルカリなどに出品して売るのもよし、元手0円でも活用方法はさまざまです。
自分で使う場合でも、他の人に販売する場合でも、拾ってきたものを綺麗にするには手間がかかります。落ちている場所まで行くのが難しい人も少なくないだけに、ただで拾ったものがお金に変わるチャンスがあるわけです。
販売の工夫しだいでは、シーグラス拾いを副業の域にすることも夢ではありません。ライバルも増えてきている状況ですが、以下の記事でシーグラスを売るコツを解説しておきました。興味がある人は、合わせて読んでみるといいでしょう。