ゲーム好きの人が特技を生かしてお金を稼ぐ副業はゲーム実況やゲームテスターなどが代表的ですが、レベル上げ代行やゲームプレイ代行と呼ばれる代行業もその1つです。コロナの影響でアルバイトの仕事がなくなったりして収入が減ってしまった学生の間でも、ゲーム代行で稼ぐ人が出てきました。
とは言えゲーム会社の中にはこうした代行行為を利用規約で禁じている例が多く、代行の依頼で報酬が支払われないなどのトラブルも多発しています。一歩間違えれば違法行為にも手を染めてしまう可能性があるゲーム代行の実態について、依頼の獲得方法を含めた最新情報をまとめてみました。
ゲーム代行とは?
数ある代行業の中でもゲーム代行は一般にあまり馴染みがないせいか、「ゲームをプレイするだけでお金が稼げるの?」と思ってしまう人が多いのも無理はありません。ゲームはお金をかけて遊ぶものというのが普通の感覚ですが、最近は依頼人に代わってゲームのレベル上げを行う仕事が登場してきています。
ゲームのレベルを上げるには時間をかけて地道なプレイを繰り返す必要があるだけに、そうした「作業」を面倒だと感じる人も少なくないはずです。レベルを上げる時間がもったいないという人は、お金を払ってでも他人に代行してもらおうと考えるようになります。長時間プレイするのが苦にならないほどゲーム好きの人が報酬と引き替えに、そうしたレベル上げ代行の依頼に応えているというわけです。
中にはゲームアイテムの収集やキャラクターの育成を代行してほしいという依頼もあって、ゲーム代行の仕事内容も多様化しています。ゲーム好きの人にとっては趣味と実益を兼ねた副業になり得ますが、レベルを上げるまでの地道なプレイが中心になるため単純作業の繰り返しに陥りがちです。
1つのゲームでレベルを上げるには何時間もかかるため、1件あたり数千円程度の報酬では時給換算で最低賃金を下回る収入しか得られません。もっと効率よく稼ぐには複数台のパソコンやスマホを用意し、同時進行で作業をこなすような工夫が求められます。難易度の高いゲームや人気ゲームほどレベル上げ代行の報酬も高額になりやすいだけに、案件を選べば副業で月に10万円以上稼ぐことも不可能ではありません。
ゲーム代行で稼ぐ方法
レベル上げやアイテム収集などのゲーム代行で稼ごうとしても、代行を依頼してくれる人を見つけなければ話が先に進んでいきません。ゲームトレードやRMT.clubで募集するという手もありますが、販売の対象となっているのはゲームのアカウントやアイテムです。アカウント売買を伴わないゲーム代行なら、SNSやスキルシェアサイトの方が依頼人を募集しやすいと言えます。
現在ではTwitterでもゲーム代行の投稿は多く見られますが、過去にはクラウドワークス>やランサーズのようなクラウドソーシングのサイトで募集が掲載された例がありました。スキルマーケットとして人気を集めているココナラの「ゲームのアドバイス」カテゴリには、ゲームのレベル上げ代行や育成代行のサービスが多く出品されています。数千円以上の出品も見られますが、500円から1,000円程度のリーズナブルな価格設定の例も珍しくありません。スキルを30分単位の時間で売り買いできるタイムチケットにも、ゲーム代行のサービス出品が見られます。
スキルマーケットの仕組みについて詳しく知りたいという人は、以下の記事を参考にしてみるといいでしょう。
ゲーム代行でトラブルが多発している理由
SNSならゲーム代行で月に数万程度稼げるだけの依頼を獲得するのもそれほど難しくありませんが、すべて自己責任だけに報酬未払いなどのトラブルも少なくありません。ココナラのような仲介サイトを通してサービスを販売した場合はともかく、Twitterなどを介してゲーム代行を請け負う場合は報酬を必ず払ってもらえるとは限らない面もあります。基本的には個人対個人のやり取りとなるため、代行の依頼をする相手が本当に信頼できるのかどうか見極めが必要です。
依頼に応じて何時間も費やしながらゲームのレベル上げをしたのに、報酬を払ってもらえず泣き寝入りしたという事例も過去にはありました。警察に被害届を出そうにも、他人のアカウントを使ってゲームのレベル上げを行うのはゲーム会社の規約違反になるケースが大半です。逆に報酬を先払いで受け取っておいて、いつまで経ってもレベル上げを実行しないまま連絡が取れなくなるという悪質なケースも見られます。
依頼人にとっては赤の他人にゲームデータを預けることになるため、アカウントが乗っ取られるリスクもゼロではありません。そうしたトラブルに関する相談が消費生活センターにも寄せられるようになっているだけに、ゲーム代行のイメージ悪化も懸念されます。
ゲーム代行でこれだけトラブルが多いのは、新しいタイプの代行サービスゆえに法整備が追いついていないのも一因です。運転代行や家事代行のような代行業であれば社会の認知度も高く、ある程度は法整備がされていてトラブルの防止に役立っています。
ほとんどのゲーム会社で禁止されているゲームのレベル上げ代行やアイテム代行は、法的にもグレーゾーンの状態です。ゲーム代行そのものは違法に該当しませんが、レベル上げやアイテム収集を効率化するための行為で法に触れる可能性が出てきます。同じくゲーム会社の規約違反に該当するゲームアカウント販売でも、犯罪行為に悪用されるなどのトラブルが多発している状況です。
アカウント販売のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しておきました。
ゲーム代行が違法になるケース
レベル上げなどの面倒な作業を依頼人に代わって有償で引き受けるだけであれば、現行の刑法で取り締まる法律はありません。前述の通りゲームのレベルを上げるには何時間も費やして地道なプレイを繰り返す必要があるだけに、1回数千円程度の報酬では割りに合わないと感じるようになります。難易度の高いゲームのレベル上げ代行依頼を多く獲得すれば単価が上がるとは言え、もっと効率よく稼ごうとしてアカウント乗っ取りに手を出すのは一線を越えた行為です。
実際にゲーム代行業を自称する男が依頼人のパスワードを勝手に変更してアカウントを乗っ取り、不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕された事例がありました。ゲーム代行の作業を効率化する目的でアカウントを乗っ取ったものと見られますが、他人のパスワードを使って勝手にログインするのは違法行為です。依頼人から教えられたIDとパスワードを使ってゲームにログインする限りでは合法の範囲内でも、改変したパスワードを使ってログインした時点で法律に違反することになります。
ゲームのプログラムを不正に改変してレベル上げなどの作業を効率化するのは、不正競争防止法違反や私電磁的記録不正作出罪・著作権法違反などに該当する違法行為です。ゲームのアカウント販売もそれ自体は合法の範囲内ですが、チート行為や不正アクセスに手を出したことで法に触れてしまった事例がありました。どちらもゲーム会社の規約には違反しますので、甚大な損害が生じた場合には民法上で損害賠償請求が出される可能性があります。
ゲーム代行の副業で合法的に稼ぐ方法
RMT(リアルマネートレーディング)を規約違反としているゲーム会社は少なくありませんが、中にはRMTを前提として開発されたゲームもあるという話です。ゲームのアカウントやアイテム・ゲーム内通貨などの売買そのものは、不正な取引でもない限り合法の範囲内です。個人対個人のRMTを仲介するサイトを通じて取引すれば、ゲーム代行を副業にすることも可能になってきます。
セキュリティ対策が十分でない仲介サイトを利用した場合、代金が支払われないなど詐欺のリスクは避けられません。副業を目的にRMTの取引をするなら、安全性の高いプラットフォームを選ぶ必要があります。
2023年9月に正式版がリリースされたトレジャムは、セキュリティ対策に力を入れているRMTのプラットフォームです。24時間の監視体制や第三者によるエスクロー方式の決済に加え、トラブル発生時には全額返金の保証制度もあります。「RMTに興味はあるけれど、詐欺に遭わないかどうか不安」という人は、トレジャムのように安全性の確保された仲介サイトを利用してみるといいでしょう。
ゲーム代行で稼ぐ副業まとめ
以上のようにゲーム代行はアカウント販売と同じように法的にはグレーゾーンの行為で、刑法上では合法でも民法に触れるリスクは残されます。合法の範囲内で依頼に応える場合でも、ゲーム会社に大きな損害を与えないような配慮が必要です。
世の中にはゲームのレベル上げやアイテム収集が「面倒だ」と感じている人も少なくないだけに、そういう人たちが快適にプレイできるようにするためのお膳立てをする代行業が成り立つ余地もあります。よほど難易度が高いゲームでない限りは報酬の相場が1回数千円程度ですので、ゲーム代行で効率的に稼ぐにはパソコンやスマホを何台も同時に稼働させるような工夫が欠かせません。
現状ではTwitterなどを介した個人対個人のやり取りで依頼を獲得するのが主流とあって、報酬未払いなどのトラブルも増えています。ゲーム会社の規約には違反する行為だけに被害届が出しにくく、騙されても泣き寝入りする人が少なくありません。何かとトラブルが多くゲーム会社の規約に反する点を考えると、ゲーム代行は合法の範囲内でもあまりおすすめできない副業だと言えます。