ゲームアプリやユーティリティ系のアプリなど、スマホアプリを開発するには手間がかかります。時間をかけて開発したアプリを収益化するには、無料で公開して広告収入を稼ぐのが最もハードルの低いやり方です。
そんなメリットのあるアプリ開発で広告収入を得るためのやり方について、広告の種類や仕組み・報酬の相場などと合わせて基本情報をまとめてみました。「副業でアプリ開発に挑戦してみたいけれど、どうやって収入を得たらいいかわからない」という人でも、この記事を読めば月に10万円以上の副業収入を目指せるようになります。
アプリ収益化3つのパターン
スマホアプリを自分で開発して収入を得るには、収益化までに3つのパターンがあります。アプリ開発の仕事はクラウドソーシングやフリーランス向けエージェントでも数多く募集されていますが、今回は自分で開発したアプリをマネタイズ(収益化)する手段についての記事です。仕事を依頼されたクライアントにアプリを納品するのではなく、App StoreやGoogle Playに自分で公開した場合が想定されます。
公開したアプリで収入を得るための方法は以下の通りです。
- 有料アプリのダウンロード販売
- アプリ内課金
- 無料アプリに広告を配信
それぞれ詳しく解説します。
有料アプリ
アプリ開発で収入を得る最もオーソドックスな方法は、アプリを有料公開にしてダウンロード時に課金するやり方です。パソコン用のソフトに有料ソフトと無料で使えるフリーソフトがあるように、スマホ用でもお金を払う価値があるアプリは有料で公開されています。
iPhone用のアプリはApp Storeを通じて販売され、Android用のアプリはGoogle Playで販売される仕組みです。どちらも販売価格の30%が手数料として引かれるため、残りの70%が自分の収益となります。100円のアプリが100回ダウンロードされれば、手数料を引いて7,000円の収入になるという計算です。
実際には有料だとなかなかダウンロードしてもらえないのが現状で、ほとんどのユーザーは無料アプリを選んでいます。有料アプリはダウンロードそのものに課金するのが一般的ですが、無料で公開して機能拡張版を有料にしている例も少なくありません。試しに無料で使ってみて気に入ったら有料版を購入できるようにしておけば、最初から有料にするよりは売れやすくなります。
ただしそういう複雑な仕組みの有料アプリを開発するにはコストが多くかかるため、赤字になるリスクがあるという点には注意が必要です。資金力のある企業ならともかく、個人が副業レベルで有料アプリを開発するには限界もあります。
アプリ内課金
ゲームアプリに多い収益化のパターンとして、アプリ内課金の仕組みが挙げられます。アプリそのものは無料でダウンロードできるようにしながら、ゲームを有利に進めるためのアイテムやコインなどを有料で販売するのがアプリ内課金の常套手段です。
とは言え無料でアプリをダウンロードした人のうち、実際に有料アイテムを購入してくれる人は全体の数%程度に過ぎません。アプリ内で課金されるようにプログラムを開発するのにもコストがかかることから、アプリ開発で収入を得る手段としてはハードルが高めのやり方です。有料アプリと同様の理由で、アプリ内課金モデルも個人の副業レベルでは開発が難しいと言えます。
アプリ内広告
個人でアプリ開発を手がけている人の多くは、無料アプリの画面に表示される広告の配信で収益を得ている状況です。民放のテレビ番組も番組制作にはコストがかかりますが、スポンサー企業からの広告収入で制作コストをまかなっています。視聴者はNHKの番組と違って受信料を払わなくても無料で視聴できる代わりに、番組の合間にはスポンサー企業のCMが入る仕組みです。
無料アプリの画面に表示される広告もそれと似たような仕組みで、ゲームアプリだけでなくソーシャルアプリやECアプリの収益化にも広告が利用されています。有料アプリやアプリ内課金と比べ、課金システムを組み込む必要がない無料アプリは低コストで開発が可能です。
広告を配信するためのプログラムは組み込む必要もありますが、課金システムほど複雑ではありません。そういう理由から副業でアプリ開発に取り組む人の多くは、「無料アプリ+広告収入」のパターンで収益化を実現させているのです。
アプリ広告の種類
有料アプリやアプリ内課金についての詳細は別の機会に譲るとして、ここからは無料アプリに掲載するアプリ広告について詳しく解説していきます。アプリ広告にはいろいろな種類がありますが、その中でも特に利用頻度が高い広告の形態は以下の通りです。
- バナー広告
- アイコン広告
- インタースティシャル広告
- 全画面広告
- 動画リワード広告
- ネイティブ広告
バナー広告はアプリ画面の上部または下部に表示される横長の広告で、画像と文章を組み合わせたスタイルが一般的です。中にはアニメーションや動画で動きをつけたバナー広告もあって、画像による視覚効果が高いだけにWebサイトの広告としても広く普及しています。
とは言えバナー広告は「いかにも広告」という印象を受けやすいせいか、クリック率は決して高くありません。主にゲームアプリで利用されているアイコン広告は、シンプルな絵柄で広告の内容をアピールできる点が特徴です。
アイコン広告を複数並べても画面を大きく占有せずにゲームアプリと一体化し、広告だと感じさせないためクリックされやすいというメリットがあります。広告だとわかりにくい点が逆にとしてポリシー違反と判定され、アプリ削除の対象とされる場合があり得る点には注意が必要です。
インタースティシャル広告は画面が切り替わるタイミングなどに表示されるのが特徴で、ゲームのステージをクリアした直後に表示される例もあります。アプリの画面を覆うように全画面で表示されるため視認性は高いものの、過度な表示はユーザーにマイナスの印象を与えかねません。アイコン広告やインタースティシャル広告を導入する際には、アドネットワークのポリシーやユーザビリティを考慮する必要があります。
ユーザーに受け入れられやすいアプリ広告
アプリ内で使えるポイントやアイテム付与と引き換えに、動画広告を表示するのが動画リワード広告です。ゲームアプリで使われる場合はプレイ時間の延長や、機能制限の解除なども動画リワード広告の報酬の対象に含まれてきます。つまり動画リワード広告を導入すれば、無料で公開してもアプリ内課金と同様の効果が得られるというわけです。
リワード広告に使われる動画は15秒から30秒程度ですが、動画を見るか見ないかの選択はユーザーに委ねられます。アプリ内通貨やおすすめアプリなどの一覧を表示するオファーウォール型広告も、動画リワード広告と似たアプリ広告の形態です。
ネイティブ広告は他のアプリ広告と違って、デザインや内容がコンテンツと一体化しているような広告を意味します。一般のWebサイツにも使われているネイティブ広告は他の広告フーマットより自然に表示されるため、ユーザーがストレスを受けにくい点が長所です。
無料アプリで稼げる広告収入の相場
有料アプリの場合はユーザーにダウンロードされるだけで収入が得られるのに対して、無料アプリはダウンロードされただけでは収入が発生しません。ダウンロード後にユーザーがアプリを起動し、広告が表示されたり利用されたりすることで報酬が発生します。
報酬の単価は広告の種類や配信事業者のアドネットワークによって異なりますが、平均すれば1ダウンロードあたり月に1円程度が広告収入の目安です。つまり月に100回ダウンロードされるアプリを開発すれば、月間で平均100円を稼げる計算となります。月に1万円を稼ぐには、1,000回ダウンロードされるアプリが10本必要です。
無料アプリのおよそ60%は広告収入が月5,000円以下にとどまるのが現状だけに、公開するアプリの本数を増やしていかないと収入も増えていきません。アプリ広告の単価は報酬が発生する仕組みによっても異なり、以下のように3つのパターンがあります。
- インプレッション型広告
- クリック報酬型広告
- 成果報酬型広告
それぞれの特徴と報酬の相場について、詳しく解説します。
インプレッション型広告
「impression」というのは「印象」や「感じ」「影響」などの意味を持つ英語で、広告用語として使われる場合には広告が表示された状態を意味します。インプレッション型広告はクリックや成果に関わらず、アプリ内で広告が表示されるだけで報酬が発生する仕組みです。
それだけに報酬の単価は3種類のアプリ広告で最も低く、表示1回あたりでなく1,000回あたりいくらという形で単価が決められます。アドネットワークによっても単価が違ってくるため、表示1,000回あたりの報酬相場は10円から500円程度までかなりの幅が見られる状況です。
インプレッション型広告を頻繁に表示させる設定にすれば報酬も増える計算ですが、過度な表示はかえってマイナスに評価されてしまいます。たとえ無料アプリでも「広告がうるさい」と思われてしまっては、ユーザー離れにつながりかねないのです。アプリ内にインプレッション型広告を導入する際には、うるさくない程度に適度な頻度で表示されるように設定する必要があります。
クリック報酬型広告
インプレッション型広告と違ってクリック報酬型広告は表示されただけで収入になりませんが、報酬の単価は上がってきます。表示回数1,000回あたりで単価が決まるインプレッション広告と違って、クリック報酬型広告の単価は1クリックあたり10円から30円程度が平均的な相場です。広告収入を効率的に稼ぎやすいせいか、アプリ広告で稼ぐ副業の中では現在の主流となっています。
クリック報酬型広告の掲載位置は開発者が自由に設定できますが、アプリの動作でユーザーがクリックする位置と重なるように広告を掲載するのはNGです。故意に誤クリックを誘導して報酬を増やそうとするのは不正行為に当たるため、アドネットワークでアカウント停止になるリスクがあります。
成果報酬型広告
アプリ内広告の中で報酬の単価が最も高いのは、成果報酬型広告と呼ばれるタイプの広告です。成果報酬型のアプリ広告にはCPI型とCPE型の2種類があって、CPI型はインストールされたアプリが初回起動しただけで報酬が発生します。
CPE型になるとアプリがインストールされただけでは報酬が発生せず、商品の購入や会員登録・資料請求などの成果が必要です。3種類あるアプリ広告の中でも成果報酬型は広告収入のハードルが最も高くなりますが、CPE型の報酬単価は数万円にも達する例もあります。
CPI型の成果報酬も1インストールあたり70円から80円ほどが平均相場で、ちょっとした有料アプリ並みの収入が得られる仕組みです。それでいながらアプリが無料で使えるためダウンロードの心理的ハードルが低く、開発者にとっては収入につながりやすいというメリットがあります。
アプリで広告収入を得る方法
以上のようにアプリ広告にもいろいろな種類があるわけですが、どの広告でもアドネットワークと呼ばれるサービスを介してアプリ内に広告を配信してもらう必要があります。実際にアプリを開発して広告収入を得るまでの流れは以下の通りです。
- 広告配信プログラムを組み込んだアプリを開発
- 完成したアプリをApp StoreやGoogle Playにアップロードして無料で公開
- アプリ広告配信を行うアドネットワークと契約
- アプリに合った広告を選んで配信
- 広告の利用状況に応じて報酬が確定し、指定口座に振り込まれる
無料アプリでは常に同じ広告が表示されるわけではなく、アドネットワークを通じて毎回異なる広告が配信される仕組みです。アプリ広告を利用しようとする開発者は、アドネットワークが配信する広告を呼び出すようにプログラムを設定する必要があります。アプリ広告を配信しているアドネットワークは、以下のサービスが代表的なところです。
中でも検索エンジン大手のGoogleが運営するAdmobは利用する人が最も多く、アプリ広告のスタンダード的な存在と言われています。Googleはアドセンスと呼ばれる広告配信サービスも運営していますが、こちらは主にブログやYouTube動画が対象です。
アプリ広告を配信するAdmobもアドセンスと似た仕組みで、広告の表示回数だけでなくクリック率なども加味しながら総合的に判断して収益が決められます。Admobが一番人気となっている理由の1つとして、他のアドネットワークよりクリック単価が高めと言われている点も見逃せません
iPhoneとAndroidでどっちが有利?
アプリ広告で収入を得ようとなった場合に、iPhone用アプリとAndroid用アプリのどちらを選んだらいいのかという問題も出てきます。iPhone用アプリはApp Storeの審査に時間がかかるのと比べ、Android用アプリはGoogle Playの審査が緩いので有利と言われていました。最近はGoogle Playでもアプリ審査が厳しくなってきている状況で、ポリシー違反と判断されればアプリの削除やアカウント停止のリスクもあります。
とは言えApp Storeの審査が厳しいという点は変わらないため、Android用アプリの方が比較的早く結果を出しやすいのも確かです。日本ではiPhoneのシェアが高いとは言え、アプリのダウンロード比率はAndroidもおよそ半分を占めています。収益性はiPhone用アプリの方がやや高めとも言われていますので、自分に合ったプラットフォームを選ぶことが大切です。
アプリ広告のメリットとデメリット
有料アプリやアプリ内課金ではなく、広告収入で稼ぐ無料アプリ開発には多くのメリットがあります。アプリを有料化するより稼ぎやすいのも事実ですが、その一方では広告に頼る方式ならではのデメリットも無視はできません。何事にもメリットとデメリットの両面がありますので、記事の最後にアプリ広告のプラス面とマイナス面の両方を確認しておきます。
メリット
無料アプリに広告を掲載しておけば、一度ダウンロードされただけで継続利用による安定した固定収入につながりやすくなります。最近のスマホは容量が増えているため、ダウンロードしたアプリはよほどのことがない限り消去しないものです。
アプリがスマホに残されている限りは、何かの機会に使ってもらえる可能性が出てきます。ユーザーがアプリを起動するたびに広告が利用されることで、報酬が発生するチャンスが生まれるというわけです。
無料アプリは有料アプリと違って、ダウンロード後もサポートや定期的なメンテナンスなども基本的には必要ありません。つまりApp StoreやGoogle Playに無料アプリを公開することで、以後も継続的に不労所得が発生し得るということになります。ユーザーにとっても広告表示と引き換えにアプリが無料で使えるようになるだけに、有料アプリと比べてダウンロードの心理的ハードルが圧倒的に低いという点もメリットの1つです。
デメリット
無料だから広告が表示されるのは仕方ないと割り切る人も少なくありませんが、あまりにも表示が多いとイメージ悪化につながります。実際に広告が多すぎるアプリは「うざい」という印象を持たれがちで、アプリのレビューで低評価される原因になりかねません。ただでさえ狭いスマホ画面の面積が広告で余計に狭くなり、アプリのデザインやレイアウトが崩れやすくなるという点もデメリットの1つに数えられます。
アプリ広告で得られる収入はアドネットワークの決める単価で大きく左右され、収入の計算がしにくいというデメリットも無視はできません。広告の単価が低いため安定した収入を稼ぐのが難しく、よほどのヒット作でない限り1つのアプリで得られる広告収入はお小遣い稼ぎ程度の金額です。
広告配信の審査に通るまで時間がかかる場合もある点も含め、副業でアプリ開発を始めてもすぐに稼げるわけではないという点を承知しておく必要があります。アプリ開発のスキルを生かして副業収入を稼ぐには、クラウドワークスでやランサーズ募集されている仕事を受注する方が確実です。
アプリで広告収入を稼ぐ方法まとめ
有料アプリで稼ぐ方法と比べ、無料アプリを公開して広告収入を稼ぐ方法には以上のようなメリットとデメリットがあります。アプリ広告の報酬単価は広告の種類によっても違ってきますが、最も稼ぎやすいクリック報酬型なら1クリックあたり10円から30円ほどが平均的な相場です。
アプリ広告の表示方式にも多くの種類がありますので、報酬方式との組み合わせ次第では月に10万円以上稼ぐことも不可能ではありません。ほとんどのアプリは月に稼げる広告収入が5,000円以下にとどまりますので、無料アプリの公開数をできるだけ増やすことが収入アップに向けた最大のポイントとなってきます。