「使用済みの切手をお金に換える方法があるらしい」
そんな噂を聞いたことはありませんか?
噂が本当なら、自宅に郵便物から切手をはががしてお小遣い稼ぎができる可能性があります。
もちろん切手は消印のスタンプが押された状態だと、郵送の目的には使用できません。本来の価値はなくなっているはずですが、そんな切手でも買取している店舗が存在します。その気になればフリマサイトやネットオークションに出品し、自分で換金することも可能です。
使用済み切手はなぜ売れるのか、換金の仕組みを初心者にもわかりやすいように解説します。
使用済み切手が売れる理由
一度使用された切手には消印が押されていて、未使用の切手と容易に区別がつきます。切手は何回でも繰り返し使用できるものではないため、消印が押されてしまうと再利用はできない仕組みです。
そうなると郵便切手としての価値はゼロになりますが、新たな別の価値が生じる場合があります。切手を収集している熱心なコレクターの中には、使用・未使用にこだわらない人も少なくないからです。
日本では昭和40年代頃をピークに切手ブームに沸き、当時は大人から子供まで多くの人が切手の収集に熱中したものでした。ブーム当時ほどの熱気は薄れたものの、現在でも切手はコレクターズ・アイテムとして十分に通用します。
希少価値が認められた切手は個人の収集家が高値で買い取ってくれるため、たとえ使用済みであってもお金に換えることは可能です。切手を専門に扱う買取ショップも存在するほどで、郵便切手としての役割を終えた品でも条件しだいでは売れる可能性があります。
使用済み切手に価値がある2つのパターン
使用済み切手が意外に売れているとは言え、どのような切手でも売れるとは限りません。コレクターの間で価値が認められているのは、以下のような種類の切手です。
- 切手そのものに希少価値があるケース
- 消印に価値があるケース
それぞれのケースについて、詳しく解説します。
切手そのものに希少価値があるケース
過去に発行された切手にはいろいろな種類があって、大量に発行された切手があれば、少量しか発行されなかった記念切手もあります。数が少ない切手は希少価値が高く、熱心なコレクターは高い代金を払ってでも手に入れようとします。未使用にこだわっていては入手が難しいことから、たとえ使用済みであっても高値で売り買いされているというわけです。
国内で発行された切手だけでなく、中国切手など外国切手の中にも価格が高騰している例があります。「赤猿切手」や「オオパンダ切手」「毛沢東切手」などが、高値で売れている代表的な中国切手です。
昭和のブーム当時と比べて国内の切手コレクターは減少傾向ですが、海外にはまだまだ熱心なコレクターが存在します。日本で発行された切手の中では「見返り美人」「月に雁」「ビードロを吹く娘」など、浮世絵をモチーフにした作品がプレミア切手の代表的な例です。
消印に価値があるケース
使用済みの切手が売れるもう1つのパターンは、消印そのものに価値があるというケースです。切符を収集する鉄道マニアや御朱印マニアなどと同じように、消印切手を熱心に収集している人たちが存在します。短期間だけ使用された特殊な消印や、地域の記念行事で使用されたような消印が主な対象です。
使用済み切手の大半は、消印の一部が切手からはみ出す形で押されています。消印そのものに価値がある切手を売る場合は、切手だけをはがしても意味がありません。消印が完全に残るように切手の周囲を切り取り、切手を貼ったままの状態で売ることになります。
切手の中央にきっちり収まるような形で消印が丸く押された「満月印」も、希少価値が高いとされるパターンの1つです。自宅に眠っている郵便物で該当する品がないかどうか、一度チェックしてみるといいでしょう。
寄付された使用済み切手が換金される仕組み
使用済み切手は以上のような買取の対象となっている一方で、書き損じハガキなどと同様に寄付の対象でもあります。日本キリスト教海外医療協力会や世界の子どもにワクチンを 日本委員会・日本動物福祉協会といった団体で、使用済み切手の寄付を受付中です。
寄付された切手は以下のような流れで換金され、海外への支援や国内での福祉活動に役立てられています。
- 寄付された切手をボランティアの人たちが分別・整理する
- 即売会や交換会などの切手イベントに出品
- 会場を訪れたコレクターが切手を購入
- 切手商や買取業者に売却する場合もある
- 売った代金を支援活動に活用する
最近はフリマサイトやネットオークションに切手を出品し、個人のコレクターに直接販売する例も増えてきているという話です。切手の価値に応じた対価と引き換えに、最終的にはコレクターの手に渡ることになります。
使用済み切手を自分で換金する2つの方法
以上のような寄付団体を経ずに、使用済み切手を自分で換金することも可能です。職場の人たちや友人・知人などから使用済み切手を回収し、自分で換金すれば副業の手段にもなり得ます。
二束三文でしか売れない切手ばかり集まる可能性もありますが、高く売れる切手や消印が含まれていれば儲けものです。個人で使用済み切手を換金するには、以下のような2つの手段が考えられます。
- 切手を買取している店舗で換金する
- メルカリやヤフオクに出品する
それぞれ詳しく解説します。
切手買取店舗で換金する
使用済み切手をお金に換えるのに一番手っ取り早い手段は、切手を扱う買取店舗を利用した方法です。ブランド品や貴金属・古銭・金券などの買取を行っている店舗の中に、切手も買取対象としているところがあります。使用済み切手なら何でも売れるというわけにはいきませんが、希少価値の高い切手なら高価買取も可能です。
一般の金券ショップで買取の対象としているのは、未使用の切手に限られます。バイセルや福ちゃんなどの切手買取店舗では、使用済みでも価値の高い切手に限って買取が可能です。
メルカリやヤフオクに出品する
希少価値の高い切手であれば店舗での買取も可能ですが、使用済み切手は基本的に買取していないという業者も少なくありません。消印が押されている切手の大半は、買取を断られる可能性が大です。
店舗では買取してもらえなかった切手でも、コレクターの中には「欲しい」という人がいるかもしれません。買取店舗の側では売れ残りのリスクを考慮して、確実に売れると見込んだ切手以外は買取していないわけです。
店舗に買取を断られたとしても、まだ諦めることはありません。自分でメルカリやラクマなどのフリマサイトに使用済みの切手を出品すれば、買い手が現れる可能性もあります。ラクマではむしろ未使用の切手の出品が禁止されていて、メルカリでも「未使用の切手(円)」は禁止されている出品物の1つです(外国切手なら可)。
どちらのサイトにも使用済みの切手は数多く出品されていて、完売例も少なくありません。必ずしも希少価値の高い切手というわけではなく、多種多様な切手を何十枚もまとめて出品しているような例が目立ちます。
数百円程度に価格設定している例も多いため、大きく儲けるのは難しいですが、使用済み切手を少しでもお金に換えたいという場合の有力な換金手段です。出品者側で負担するのた通例となっている送料も、重量が軽くかさばらない切手なら安価な普通郵便で済みます。
ネットオークションサイトのヤフオクには、未使用と使用済み両方の切手が出品可能です。希少価値の高い切手を売ろうとする場合は、値段が釣り上がるオークション形式で出品することをおすすめします。雑多な使用済み切手を大量に出品するようなケースでは、メルカリなどと同じフリマ形式での出品も可能です。
ちなみに過去180日間で落札された使用済み切手は約15,000点で、平均落札価格は1,568円でした(2022年8月16日時点)。落札価格の最安値は1円ですが、最高落札額は約100万円にも達します。100万円超で落札されたのは、大量の切手コレクションをまとめて出品した例の話です。
【番外編】使用済み切手を使ったハンドメイド作品も
メルカリのようなフリマサイトでは、雑多な使用済み切手にもそれなりの需要があるように見受けられます。切手マニアのコレクターには見向きもされないような切手を使って、ハンドメイド作家はレジンフレームや貼り絵などの作品を制作しているからです。
ハンドメイド材料にする切手は希少価値よりも絵柄の美しさが重視され、同じ絵柄の切手を数多く使用する場合もあります。使用済みの方が未使用よりも材料を集めやすいせいか、メルカリなどを利用して切手を調達している作家も少なくありません。
ハンドメイド材料にする切手に消印はほとんど意味を持ちませんので、切手を封筒からきれいにはがした上で出品・発送することになります。切手の周囲を切り取って35℃くらいのぬるま湯に浸しておけば、たいていは5分から10分できれいにはがれます。タオルを使って水気を吸い取り、乾いた紙の上に並べて乾かせば商品としての「使用済み切手」の出来上がりです。
手先が器用な人はこれらの切手を材料にして、自分でハンドメイド作品を作って出品するという手もあります。メルカリやラクマの他にも、minneやCreema(クリーマ)といったハンドメイドマーケットで切手を使った作品が数多く出品されています。そのままだと安くしか売れない雑多な切手も、ハンドメイド作品に仕立て上げれば高値で売れる可能性が出てきます。
まとめ
消印が押された使用済みの切手にも、コレクションの目的やハンドメイド材料にする目的で一定の需要があります。切手そのものに希少価値があるパターンと、消印に価値があるパターンの2通りです。
切手関連のイベントで収集家に販売すれば換金も可能なため、さまざまな支援団体にとっては使用済み切手も寄付の対象となります。営利目的で切手を買取している店舗も、基本的な換金の仕組みは変わりありません。
フリマサイトやネットオークションを利用すれば、個人対個人の取引で使用済み切手を売ることも可能です。自分の利用しやすい方法で換金を検討してみるといいでしょう。