当ブログではこれまでに、ただで拾った自然物を売って稼ぐ方法について数多く紹介してきました。今回のテーマは、夏をピークに意外な需要がある「セミの抜け殻」です。
セミの抜け殻も石や木の実などと同じように、ただで拾ったものがメルカリに多く出品されています。道端でも見つかるようなものに、お金を出して買う人がいるのはどうしてなのでしょうか?
きれいな石や松ぼっくり・貝殻などは、ハンドメイド作品の材料に使われます。セミの抜け殻もアート作品の材料にしたり、夏休みの工作や自由研究に使ったりなど、使い道はさまざまです。
そこで今回はメルカリに出品する前提で、セミの抜け殻の拾い方と売り方をまとめてみました。この記事を読めばただで拾った自然物を有効活用して、ちょっとしたお小遣い稼ぎができるようになります。
セミの抜け殻の使い道
セミの幼虫が羽化した後に残された抜け殻は、セミがいる場所ならどこでも見つかる可能性があります。昆虫好きの子どもならともかく、いい歳をした大人は拾って持ち帰ろうなどという気にはならないのが普通です。
価値がないもののように見えるセミの抜け殻にも、実は以下のような使い道があります。
- 夏休みの自由研究・工作用
- アート作品の材料
- スピリチュアルな用途
- 漢方薬の材料
- まさかの食用!
それぞれ詳しく解説します。
夏休みの自由研究・工作用
セミの抜け殻の使い道で需要が最も多いのは、子どもの夏休み自由研究や工作に使う用途です。
セミの種類や生態などを自由研究にまとめる際に、集めた抜け殻が役に立ちます。セミの抜け殻を使って標本を作ったり、抜け殻の写真やスケッチを使って観察記録にまとめたりするのもよくある自由研究の手法です。セミの抜け殻を絵の具などでカラフルに仕立て上げれば、インパクトのある工作になります。
子どもが自分で集めたセミの抜け殻を使うのが本当でしょうが、都会に住んでいたりしてなかなか手に入らないという人も少なくありません。毎年夏休みシーズンになると、メルカリにセミの抜け殻が数多く出品されるわけです。セミの抜け殻をたくさん集められる人にとっては、お小遣い稼ぎのチャンス到来ということになります。
セミの抜け殻を使ったアート作品の材料
セミの抜け殻は子どもの工作だけでなく、大人が制作するアート作品の材料にも使われています。セミの抜け殻を使ってフィギュアのような形状にしたり、色を塗ってカラフルにしたりするようなアート作品です。
夏休みの自由研究や工作用は7月から8月に需要が集中しますが、アート作品の材料なら1年中需要が期待できます。8月が終わって売れ残ったら大人向けにターゲットを切り替え、できるだけ数量をまとめて出品してみるといいでしょう。
スピリチュアルな用途(縁起物・幸運グッズ)
土の中で生まれたセミの幼虫は、すべての個体が羽化して成虫になれるわけではありません。抜け殻を残して成虫になるのは、幼虫全体のわずか3割程度と言われています。
そのためセミの抜け殻は生命力や幸運の象徴と見なされ、古くから縁起物として珍重されてきました。今の時代でもそういうスピリチュアルな目的で、セミの抜け殻を手に入れたいという人がいます。
木に残されたセミの抜け殻は「落ちない」ということで、受験生の間でも人気の幸運アイテムです。自由研究や工作・アートの材料だけでなく、お守りとしての需要も期待できます。
漢方薬の材料
漢方薬の中にはアリやムカデ・サソリなど、昆虫を生薬にしたものが存在します。セミの抜け殻もセンタイ(蝉退)と呼ばれる生薬の材料です。主にスジアカクマゼミというセミの抜け殻を乾燥させたものがセンタイとなりますが、クマゼミやアブラゼミで代用する場合もあります。
センタイは皮膚のかゆみを抑える効能があると言われ、湿疹などの症状に処方される漢方薬の消風散に配合される生薬の1つです。一般の人が採取したセミの抜け殻を製薬会社などに販売するのは困難ですが、セミの抜け殻の意外な使い道ではあります。
セミの抜け殻を食べる地域も!
漢方の生薬として用いられるぐらいですので、セミの抜け殻は食用にしても害はありません。セミの抜け殻の主成分は、エビやカニの殻にも含まれているキチン質です。
海外ではセミの幼虫を食用にしている国もあります。中国あたりでは幼虫だけでなく、セミの抜け殻も食用にしている地域があるようです。
最近も日本の公園で夜間に土を掘り返し、食用目的でセミの幼虫を大量に捕獲する外国人がいるというニュース記事を目にしました。どうせ食用で採取するなら成虫になる可能性を秘めた幼虫ではなく、用済みとなった抜け殻の方にしてほしいものです。
その他の使い道
ネットで検索してみると、セミの抜け殻は肥料としても活用できるようです。実際に同じキチン質を含むカニやの殻は、「カニガラ肥料」の名で市販されています。
キチン質には土壌改良効果が期待できるため、先進的な農家の間でも注目されてきました。セミの抜け殻も大量に集めれば、同じように肥料の材料になる可能性を秘めています。
他にセミの抜け殻を着火剤として用いる使い道も紹介されていますが、ワセリンや注射器などを併用した特殊な着火方法のようです。キャンプやバーベキューなどで着火剤を忘れてきた場合の代用とするには、現地で見つけたセミの抜け殻だけでは難しいかもしれません。
セミの抜け殻を見つけるコツ
セミの成虫には羽が生えていますが、移動距離は数メートルからせいぜい数十メートル程度です。成虫になったセミが鳴いている場所の近くなら、幼虫から羽化した際に残された抜け殻が見つかる可能性があります。
とは言えセミの抜け殻は、拾おうと思って探してもなかなか見つからないものです。セミの抜け殻を見つけるには、ちょっとしたコツがあります。
セミの抜け殻が見つかる時期と場所を知っておけば、知らないよりは見つけやすいはずです。それぞれの基礎知識をまとめてみました。
セミの抜け殻が見つかる時期
セミの種類やその年の気候によっても差が出てきますが、多くのセミは7月から8月にかけての時期に幼虫から成虫に羽化します。7月の中旬から羽化のピークが始まり、8月上旬くらいまでが抜け殻を見つけやすい時期です。
誰にも採られなければ秋以降でも見つかる可能性はありますが、同じ目的でセミの抜け殻を収集している人がいるかもしれません。こういう自然物は基本的に早い者勝ちですので、セミが羽化したらできるだけ早く発見して確保する必要があります。
セミが羽化するのは、日没後から夜にかけての時間帯です。人通りの多い場所では散歩がてらに、夜から早朝にかけての時間帯に探してみるといいでしょう。
セミの抜け殻が見つかる場所
幼虫時代を何年も地中で過ごしたセミは、成虫になるため地上に出てきます。すでに成虫となったセミが鳴いている場所の付近でも抜け殻が見つかる可能性はありますが、羽を手に入れたセミの成虫は木から木へと移動するものです。今セミが鳴いている木の下で、必ずしも抜け殻が見つかるとは限りません。
セミの幼虫が羽化する場所は、大人の背丈より低いぐらいの木の幹や草が多いものです。木の幹なら比較的見つけやすいですが、木の葉の裏や草の茎に抜け殻が残っている場合もあります。セミが鳴いている公園や林に来たら、木の幹や葉っぱの裏、地面の近くにある草のあたりを探してみるといいでしょう。
セミの抜け殻の主な種類
メルカリではセミの種類を特定せず、単に「セミの抜け殻」として出品している例が大半です。夏休みの自由研究に使う目的なら、セミの種類を明記した方が少量でも売れやすくなります。
日本に生息しているセミの主な種類は以下の通りです。
- アブラゼミ
- クマゼミ
- ミンミンゼミ
- ニイニイゼミ
- ツクツクボウシ
- ヒグラシ
工作やアート作品の材料にする目的なら、セミの種類を明記しなくても売れる可能性があります。むしろ数量をまとめて出品した方が、少量より売れやすいはずです。
セミの抜け殻を売る方法
昆虫採集を仕事にする副業6選!昆虫ハンターが収入を得る方法を解説でも紹介しましたが、昆虫を売るには以下のような方法があります。
- 昆虫を扱うペットショップ
- 昆虫の買取を行っている専門業者
- 昆虫の出品が可能なネットオークション
セミの抜け殻を販売している昆虫ショップもあるようですが、仕入先は卸売業者に限られるのが一般的です。「昆虫の買取を行っている専門業者」というのも、買取の対象はカブトムシやクワガタなど人気の昆虫(それも生きた個体)に限られます。
セミの抜け殻は昆虫由来の自然物ではあっても、生きた昆虫そのものではありません。海外ではセミの抜け殻を買取している業者も存在するという話ですが、国内の業者や店舗に買取してもらうのは難しいでしょう。
その代わりにセミの抜け殻であれば、生きた昆虫の出品が禁止されているフリマサイトにも出品が可能です。生きた昆虫はYahoo!オークションぐらいしか出品できませんが、セミの抜け殻はメルカリやラクマにも数多く出品されています。セミの抜け殻以外の関連商品も幅広く扱うのであれば、個人でネットショップを運営してみるのもいいでしょう。
セミの抜け殻の値段はどれくらい?
セミの抜け殻が数多く出品されているメルカリの販売状況を見ると、出品価格は決して高額とは言えません。夏休みの自由研究や工作に使う目的で購入する人が多いせいか、実際に売れているのは500円前後の安価な出品が中心です。1,000円以上で売れているのは、100個以上など数量をまとめて出品しているような例に限られます。
一般に出品価格が高いほど、1個あたりの単価は低くなるものです。セミの抜け殻で数百円の出品になると、1個あたりの単価が10円以上という例も多くなります。
数をまとめて出品して1,000円以上に価格設定している場合は、1個あたりの単価が数円という例も珍しくありません。メルカリに出品する際の参考にしてみるといいでしょう。
まとめ
セミの抜け殻は高く売れるものではありませんが、以下のようにさまざまな使い道があります。
- 夏休みの自由研究・工作用
- アート作品の材料
- スピリチュアルな用途
- 漢方薬の材料
- 食用
地中で何年も過ごしたセミの幼虫は7月中旬から8月上旬頃をピークに、羽化して成虫となります。セミの成虫が鳴いている付近の木の幹や葉の裏、草を探せば、抜け殻が見つかるかもしれません。
大量に採取するのはかなりの根気が必要ですが、ただで拾ったものがお金に変わる可能性があります。元手をかけずにお小遣い稼ぎがしたい人にとって、セミの抜け殻は見逃せない自然物の1つです。節度をわきまえつつ熱中症にも気をつけながら、自然の恵みの「お宝」を探してみるといいでしょう。