当ブログではこれまでに運転代行やレンタカー回送など、車を運転して稼ぐ副業を取り上げてきました。今回紹介するのは同じように運転を仕事としながら、まだまだ一般的とは言いがたいアドトラックのドライバーです。
都心部など人通りの多い道路ではアドトラックも珍しくなくなりましたが、地方ではなかなか見かける機会がありません。主に大都市周辺に住んでいる人の副業となりますが、中型免許を持っている人なら知っておいても損はないはずです。
そんなアドトラックのドライバーについて、仕事内容や給料の平均相場を調べてみました。注目の仕事でありながら求人が決して多くない理由についても、この記事を読めば納得できるようになります。
アドトラックとは?
バスなどの車体に広告を提示した車両は以前から存在しましたが、この場合は乗客を乗せて走るついでにスポンサーの宣伝に協力するという広告形態でした。最近増えているアドトラックは荷台部分を活用して大型の広告を提示し、荷物は運ばず宣伝だけの目的で走らせるのが特徴です。
類似の広告形態としては自転車やバイクを使った宣伝手法もありますが、広告面が大きく取れるトラックを使うことで絶大な宣伝効果が発揮されます。トラックのボディそのものにラッピングを施して広告を描く従来の方式に加え、最近は200インチ以上の大型LEDビジョンを搭載したビジョントラックも人気です。
広告を依頼しているのは音楽や芸能などのエンターテインメント業界や風俗業界が中心で、イベントの告知や求人の募集を目的に運行されるケースが多くなっています。この記事を書いたのが8月だったせいか、情報を調べた中にはおばけ屋敷の宣伝カーを運転する求人もありました。
ほとんどのアドトラックにはスピーカーが搭載されていて、大音量の音楽を流しながら20キロ程度の低速で走行するのが一般的です。音量が規制される夜間でもライトアップ効果で広告を目立たせることが可能なため、ドライバーの仕事は夜間にまで及びます。
ドライバーに必要な運転免許
アドトラックには車両の大きさによっていろいろな種類がありますが、最も多いのは2tタイプや4tタイプの車両です。2017年3月12日以降に運転免許を取得した人は、普通免許を持っているだけではどちらのタイプも運転できません。2tタイプのアドトラックを運転するには、準中型免許の取得が必要です。
4tタイプになると中型免許が必要になりますが、免許区分改正前の旧型普通免許を持っている人なら、普通免許でも4tタイプまで運転することができます。さらに大きい10tタイプを担当するには大型免許が必要で、大型トレーラータイプを運転するにはけん引免許が欠かせません。このようにアドトラックの運転で稼ぐ副業はできる人が限られてきますが、求人によっては普通免許で運転できる軽トラタイプの募集も見られます。
普通のトラックドライバーとの違い
ドライバーを募集する求人数で言えば、アドトラックより普通のトラックの方が圧倒的に多いのも当然です。一般的なトラックドライバーの仕事は荷物を運ぶのが主な仕事で、トラックの運転以外にも荷物の積み下ろし作業を伴います。
中には軽い荷物も含まれるとは言え、仕事に慣れないと筋肉痛になったり腰を痛めたりするほど重い荷物を扱うことも珍しくありません。トラックドライバーに男性が多いのも体力的にハードな証拠で、数少ない女性ドライバーも体力に自信がある人に限られます。
その点でアドトラックは広告宣伝だけを目的として運行されるため、荷物の積み下ろし作業は一切ありません。レンタカー回送などと同じようにほとんど運転するだけの仕事で、運転代行の客車担当と違って接客の必要がないという点もメリットです。トラックを低速で走らせなければならないという運転上の制約もありますが、体力的な面では普通のトラックドライバーよりずっと楽な仕事だと言えます。
アドトラックで稼ぐ副業の始め方
以上のようなメリットのあるアドトラックのドライバーを副業の手段とするには、本業の仕事に支障がない時間帯で働ける求人を探す必要があります。本業の仕事にしようとしても正社員のドライバーを募集している求人は少なく、ほとんどは副業に向いたアルバイトや業務委託の雇用形態で募集されています。土日を含めて週1日から勤務可能な求人であれば、一般の会社員でもこの仕事を副業にすることが可能です。
とは言えアドトラックのドライバーは「レアな求人」として募集されるケースも多く、普通に検索していてば条件に合った求人がなかなか見つかりません。求人検索エンジンのIndeedで「アドトラック」「宣伝カードライバー」などと検索すると、何件かの求人は見つかります。それも勤務地域には限りがあるため、必ずしも自分が働ける地域で求人が見つかるとは限らないのです。
求人サイト以外では無料掲示板のジモティーでドライバーが募集される場合もありますが、アドトラックを運行している会社でもHPでドライバーを募集しているところがあります。この記事を書いた時点では、アドトラックジャパンでドライバーが募集されていました。
求人が少ない理由
2011年に東京都で屋外広告物条例が改正され、アドトラックを含む広告宣伝車も広告デザインの自主規制対象となりました。罰則はありませんが、それ以降は東京屋外広告協会の審査を通ったデザインでなければ都内を通行できなくなったのです。
アドトラックはど派手な車体広告と大音量の音楽で絶大な宣伝効果を発揮する一方で、通行人や沿線の住民からは迷惑がられている面もあります。最近は未成年に悪い影響を及ぼしかねない業界の広告を載せた宣伝カーも目立つようになっているだけに、東京都で規制に踏み切ったのも当然と言える流れです。
そうした事情もあって現在では以前と比べて求人も減少傾向が、都内では依然としてアドトラックの運行が見られます。屋外広告物条例で規制の対象とされるのは、あくまでも東京都のナンバーをつけたアドトラックです。他県ナンバーの車両に関しては規制が及ばないことから、アドトラックを運営する業者も東京都以外のナンバーに変えて対応している業者も少なくありません。
運良くそういう求人が見つかった場合は、この仕事が誰にでも歓迎されているわけではないという点を承知した上で引き受ける必要があります。現時点では都内で他県ナンバーのアドトラック運行は可能ですが、法律や条例が改正されれば仕事そのものがなくなってしまう可能性もゼロではありません。
アドトラックでどれだけ稼げる?
宣伝効果を最大限に発揮できるように考えながらの運転する技術も求められるだけに、アドトラックのドライバーは給料が高めに設定されています。1時間の休憩を含めて1日9時間ほど働くような求人が多く、日給の場合は10,000円から12,000円程度が平均的な相場です。週に2日ずつ土日に働くとすれば、副業でも月に8万円から10万円ほど稼げる計算となります。
時給1,000円程度の広告宣伝車ドライバーも全国の主要都市で求人が見られ、週1日3時間から勤務可という求人もありました。全国的な平均で見れば、普通のトラックドライバーと時給換算でそれほど変わりない給与水準です。それでいて重労働の荷物積み下ろし作業がない点を考えると、体力的な負担が重くないわりには効率良く稼げる仕事だと言えます。
アドトラックで稼ぐ副業まとめ
現状では求人が少ないため誰にでもおすすめできるわけではありませんが、アドトラックのドライバーは「一風変わった仕事がしてみたい」という人にうってつけの副業です。本業として選ぶには躊躇されるような仕事でも、副業であれば思いきってチャレンジしてみることもできます。
アドトラックは道行く人からの注目度も高く、スマホのカメラで撮影されるような場面も珍しくありません。時代の先端を行く仕事という意味でもこの仕事は話題性がありますので、一度経験してみれば話の種になります。