何かアルバイトの仕事をして収入を増やそうという場合の選択肢の1つとして、注文の品をお客さんの自宅まで届ける宅配バイトが考えられます。飲食店や宅配便・ネットスーパーなど、宅配サービスを展開している店舗や会社は少なくありません。
配達スタッフの多くは時間を限定したアルバイトとして雇用されているため、自分が働ける時間帯を選んで宅配の仕事をすれば立派な副業になります。家にいながら飲食や買い物を済ませたいという人にとって、宅配業者のスタッフは欠かせない存在です。人々の生活を支えている宅配バイトの仕事にも、大変な面と気が楽だと思える面の両面があります。
副業の手段としても選んでいる人が多い宅配バイトについて、仕事の種類や時給の平均相場も含めた基礎知識をまとめてみました。バイトの仕事を始める前にこの記事を読んでおけば、想定される事態に対しても心の準備ができるようになります。
宅配バイトの仕事は大きく分けて3種類
この記事では「宅配バイト」という一般的な呼び名で総称していますが、注文客の自宅まで商品を届けるアルバイトの仕事には大きく分けて次のような3種類があります。
- 料理や弁当などすぐに食べられる商品を配達する宅配バイト
- ネットスーパーや生協など食材・日用品を中心に配達を行う宅配バイト
- さまざまな注文の品を段ボール箱などに詰めて配達する宅配便のバイト
このうち料理を配達する宅配バイトは出前やフードデリバリーとも呼ばれ、古くは岡持ちと呼ばれる箱型の容器に注文の品を入れて近所の家まで配達するのが一般的でした。最近は岡持ちを使って配達を行う飲食店も少なくなりましたが、バイクや自転車で配達する例が多いという点では今も変わりありません。
飲食店に直接雇用されるフードデリバリーの宅配バイトとは別に、個人事業主の立場で配達を行うウーバーイーツ配達員も副業として人気の仕事です。
高齢者の自宅などに食材や弁当などを届けるネットスーパーや生協の配達員は、地域に密着しながら働ける仕事として根強い人気を誇ります。最近は大手スーパーでも宅配サービスを始めるところが増えており、副業やWワークに向いた週2日から働ける求人も増加傾向です。
コロナ禍の以前から人手不足が問題となっていた宅配便業界では、ドライバーを確保するために給料の条件を上げて求人を募集している例が目立ちます。大型トラックではなく軽自動車や普通車で配達を行う宅配便スタッフの求人も多く、他の宅配バイトより時給も全般に高めです。
宅配バイトの時給相場
以上のように宅配バイトとして総称されていても業種によって3つのパターンがあるため、給料の平均的な相場もそれぞれ違ってきます。飲食店に雇用されるフードデリバリーの宅配バイトは時給の全国的な平均相場が900円から1,000円程度です。最も高い東京都では時給も1,000円を上回りますが、低い県では800円程度に下がります。
ちなみに個人事業主として働くウーバーイーツ配達員の場合は配達1件単位での仕事受注が可能で、時給換算で稼げる金額はどれだけ効率的に配達をこなせるかによります。報酬率が上がるブーストや追加報酬のクエストを加算することで、時給換算2,000円以上の収入を稼いでいる配達員も少なくありません。
ネットスーパーや生協で募集している宅配バイトの場合は、1,100円程度が時給の平均的な相場です。宅配便のスタッフはバイクや自転車ではなく専用のトラックを使って配達する例が多いだけに、時給も他の宅配バイトより高めとなっています。雇用先によって時給には1,000円から1,800円前後までかなりの幅も見られ、都市部では時給2,000円という求人も珍しくなくなりました。
宅配便スタッフとして募集されている求人にはドライバーと配達補助スタッフの他に、館内配達や仕分けスタッフの仕事も含まれます。ドライバー以外の求人は仕事の負担が軽くなりますが、時給の平均相場もドライバーより低く1,000円前後です。
宅配バイトのメリットとデメリット
一口に宅配バイトと言っても、配達する商品の種類や雇用先の業種によって仕事内容には違いが出てきます。体力的な負担の度合いや神経の使い方なども宅配バイトの種類によって差が見られますが、注文の品をお客さんの自宅に届ける仕事に共通する部分も少なくありません。そんな宅配バイト全般に当てはまるメリットとデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 自転車で配達可の求人以外は運転免許が必要
- ある程度の体力が必要
- 悪天候や夏の暑さ・冬の寒さにさらされる
- 交通事故のリスク
- 雇用先の営業状況によって仕事量が左右される
- 外で働く時間が長いので内勤より気が楽
- 人と接する時間が少なく済む
- 配達地域の道に詳しくなる
- まかないやチップがもらえる場合もある
- 運動不足の解消になり健康にもプラス
それぞれ詳しく解説していきます。
配達の仕事はここが大変
館内配達や配達補助などのスタッフを除いて、宅配バイトは基本的にバイクや自動車の運転を伴う仕事です。中には自転車で配達可能な配達の求人もありますが、フードデリバリーのアルバイトはバイクを使って配達する例が最も多くなっています。
宅配便スタッフとして働く場合も、配達に使う車種に応じた運転免許が必要です。二輪車免許がなくても普通自動車免許を持っていれば、フードデリバリーで使われる原付バイクを運転できます。
どの車種を用いるにしても、配達の仕事にはある程度の体力も必要です。フードデリバリーならそれほど重い荷物を持つこともありませんが、宅配便スタッフになると何キロもある重い箱を持ち運ぶ場合も想定されます。
配達の仕事は基本的に屋外での作業が中心となるため、大雨や雪・強風などの悪天候下では大変な仕事です。夏の暑さや冬の寒さにも対策が必要で、気候の良い季節よりどうしても体力消耗が激しくなってしまいます。
1分でも1秒でも早く商品を届けたいあまりについつい急ぎがちになってしまいますが、配達中の交通事故には十分な注意が必要です。特に交通量の多い道路でのバイクや自転車を使った配達は事故のリスクが大きくなりますので、しっかりとした安全対策が欠かせません。
宅配バイトの仕事は雇用先の注文状況によっても忙しさの度合いが大きく左右され、繁忙期になると残業を強いられる可能性もあります。飲食店バイトは逆に店が暇な日や時間帯に配達の仕事がなく、時間を持て余すことも珍しくありません。
同じように副業の手段として利用されることの多い引越バイトや新聞配達バイトも、体力を使うという面では宅配バイトと共通点のある仕事です。それぞれの仕事内容や時給の相場については、以下の記事で詳しく解説しておきました。
仕事が「楽だな」と思える瞬間も
宅配バイトの仕事には以上のような大変さもありますが、基本的に1人で配達することが多い仕事ならではのメリットも少なくありません。狭いオフィスや店舗で毎日同じ顔ぶれの同僚と顔を突き合わせながら仕事をしていると、時には息苦しさを感じることもあるものです。その点で宅配バイトの仕事は外で働く時間の方が圧倒的に長く、パートナーと組んで配達するケース以外は1人で行動することになります。
1人だとアクシデントがあった場合に自分で解決しなければならないというデメリットもありますが、その方が気が楽という人も少なくありません。配達先ではお客さんと顔を合わせるにしても、通常は最低限の会話を交わすだけで済みます。店で接客を行うアルバイトの仕事と比べ、人と接する時間の短い宅配バイトは対人的なストレスが少ない仕事です。
配達の仕事を通じて地域の地理にも詳しくなり、こういう仕事をしていなければ知る機会がなかったような発見もあります。店からまかないが出て食費が節約できる場合や、従業員割引が利用できる場合があるのも飲食店のアルバイトならでは特権です。配達したお客さんの中には「お釣りはいいよ」などと気前よく言ってくれる人もいるだけに、チップが得られることがあるという点もメリットの1つに数えられます。
外を駆け回る宅配バイトの仕事は内勤よりも活動的で、健康にプラスとなる働き方です。本業の仕事ではデスクワークが中心で運動不足を痛感しているという人は、気分転換を兼ねて宅配バイトを副業にしてみることも検討してみるといいでしょう。
まとめ
どのような仕事にも何らかの部分で大変な面があれば、他の仕事にはないメリットもあるものです。宅配バイトの仕事は体力的にきつい面ばかりがクローズアップされがちですが、精神的な面ではむしろ楽な部分も少なくありません。配達の仕事を経験したことのない人からすれば一見きつそうな仕事のように思えるのに、宅配バイトを仕事に選んでいる人が多いのはそうした点も理由の1つです。
業種によって時給の平均相場に差が見られるとは言え、他のアルバイトに比べれば宅配バイトの給料は全般に高めの水準となっています。コロナをきっかけに宅配サービスを利用する人が増えただけに、宅配バイトは今後も需要拡大が見込まれる仕事です。
コロナ禍で注目されたエッセンシャルワーカーの1つとして、宅配バイトも仕事の価値が見直されつつあります。そうした面で仕事のやりがいを感じやすくなった宅配バイトは、副業の手段としても有力な選択肢の1つです。
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