ドラマや映画・CMなどの撮影でエキストラ役を演じるアルバイトの仕事は、出演時間が短いため一見すると副業に向いているように思いがちです。実際には撮影に要する時間よりも待たされる時間の方が圧倒的に長く、そのわりには謝礼金が安いため副業にはあまり向いていません。そんな仕事でも芸能界に興味がある人や役者を目指している人にとってはいい勉強になりますので、お金以上の価値がある役目です。
割りに合わない面とやりがいのある面の両面があるエキストラバイトについて、仕事の見つけ方方や謝礼金の相場などの基本情報をまとめてみました。一方ではエキストラ募集を騙って高額のレッスン料を要求してくる詐欺の被害も報告されていますので、不審な勧誘に関する注意点についても記事の後半で解説します。
エキストラバイトとは?
英語で「extra」と言えば「余分のもの」や「割増料金」「号外」などさまざまな意味がある中で、映画やドラマなどで使われるエキストラは以下のように定義されています。
テレビドラマや映画などの映像作品分野では、通行人、群集など物語で重要性の少ない役を演じる出演者のこと。必ずしも職業俳優が演じるわけではない。(出典:エキストラ – Wikipedia)
高視聴率で話題となったドラマ「半沢直樹」では、以下のような場面でエキストラが使われています。
- オフィスで働く人々
- 会議に出席する人々
- 焼肉店や居酒屋などの客
- 街を歩く通行人
撮影場面となるオフィスや店舗・街角などは大勢の人がいるのが当たり前だけに、台詞のある俳優以外にも人がいないと不自然な映像になってしまいます。映画やドラマの映像にリアリティを与えるためにも、台詞のないエキストラ役を一種の背景として出演させる必要があるのです。
制作費が億単位のスペクタクル映画になると何千人何万人というエキストラを出演させ、大群衆が醸し出す迫力シーンを演出する例も珍しくありません。同じようなエキストラは映画やドラマだけでなく、テレビのバラエティ番組やCM・企業動画・ミュージックビデオ・舞台などさまざまな場面で活躍中です。
音声だけの出演としては、アニメやバラエティ番組・ラジオドラマなどでいわゆる「ガヤ」の役割を演じるエキストラもあります。いずれのエキストラも俳優や声優・アーティストなどとは別枠で募集され、臨時雇いのアルバイトとして作品ごとに出演するのが一般的です。
エキストラバイトが副業に向かない理由
撮影現場では一番下っ端の立場にあるだけに、エキストラは駆け出しの役者や俳優志望者が演じているケースも珍しくありません。撮影現場によってはそういう人たちだけでは人数が不足するため、エキストラ派遣会社やプロダクションから人員が供給される場合もよくあります。テレビ局や映画制作チームがエキストラを直接募集する例を含め、エキストラバイトに応募する方法は複数のパターンが考えられるのです。
エキストラが直接募集されるのを待っていては定期的な仕事を得るのは難しく、謝礼金が出ないボランティアとして募集される例も少なくありません。エキストラの派遣会社や芸能事務所に登録した方が仕事をもらえる確率も高くなりますが、謝礼金の額は時給ではなく出演1回あたりいくらという日当の形で支払われるのが一般的です。
テレビや映画の撮影現場は天候や出演俳優の都合などで時間が不規則になる例が多く、長時間待たされるのを覚悟しておく必要があります。エキストラの出演シーンそのものは短時間に過ぎず、撮影したからと言って作品に必ず使われるとは限りません。
実際の出番は少ないわりに待機時間は長いのがエキストラバイトのつらいところで、わずか数分の撮影を終えるのに8時間から10時間も待たされる場合があります。話題の映画や人気ドラマなどは謝礼金0円のボランティアとして募集してもエキストラが集まるほどで、謝礼が出る場合でも1,000円から5,000円程度が相場です。待ち時間が長くなればなるほど拘束時間が長引き、時給換算で稼げる金額が少なくなってしまいます。
所要時間がどれくらいになるのか実際にやってみないとわからない面があるため、スケジュールは1日空けておく必要があります。この間はびっしりと働いているわけではないので単純比較できないとは言え、1日を費やすなら日給1万円前後の求人が多い工事現場や交通量調査バイトの方がよほど稼げる仕事です。
テレビや映画では平日の日中に撮影を行う場合も多く、会社員の副業に向いた土日限定のエキストラバイトは求人が限られます。時給換算で稼げる金額が低くなりがちで土日の仕事が必ずしも多くないことから、エキストラバイトは副業にあまり向いていないと言われているのです。
エキストラバイトの魅力
休日やスキマ時間を利用して収入を増やそうとする副業には向いていませんが、エキストラバイトはお金だけでは測れない魅力があります。特に映画やドラマのエキストラを演じる場合は、有名な俳優と一緒に仕事ができるというだけでも十分に価値のある仕事です。
テレビ局などで直接募集するエキストラは謝礼金なしのボランティアという例が増えているにも関わらず、それでも出演したいと言って応募する人が絶えないほど人気を集めています。たとえ端役でも撮影現場の仕事を体験できるエキストラはそれだけ魅力のある役目で、俳優を目指して勉強中の人にとっては貴重な実習の場です。
基本的には台詞のない役だからと言って、エキストラはまったく何も演じなくていいというわけではありません。居酒屋の場面なら居酒屋の客らしく振る舞う必要があり、声を出さないようにして会話のふりをしたり自然に飲み食いしたりする演技が求められます。オフィスで働く人々を演じる場合はいかにも「仕事をしている」という風に忙しさを演じながら、俳優の演技の邪魔にならないように配慮する必要があります。
ドラマや映画に出演する俳優と比べて作品への貢献度は微々たるものですが、エキストラも俳優やスタッフと力を合わせて作品を作り上げる存在です。エキストラ1人が欠けても作品が成り立たなくなる場合があるほど重要な役割を担うバイトだけに、仕事のやりがいという面では他の種類のバイトにない魅力があります。単にお金を稼ぐだけが副業の目的ではないとすれば、本業の仕事では得られない貴重な体験ができるエキストラバイトも選択肢の1つです。
エキストラ詐欺には要注意
本業で芸能界とまったく縁のない仕事をしているという人であれば、エキストラバイトを副業にすることで格好の気分転換になり得ます。芸能界に興味がある人や俳優を目指している人にとっては、たとえ謝礼金が安くても修行につながる有意義な仕事です。
ボランティアの形ですらエキストラをやりたがる人が少なくないほどですが、そういう人たちを狙って高額のレッスン料を要求してくるような詐欺の例も少なくありません。エキストラの派遣会社やプロダクションの中には登録する際に初期費用が必要なところもありますが、この場合の登録料は数千円程度が相場です。
登録が無料の派遣会社やプロダクションも少なくない中で、登録後にオーディションを受けなければならないようなケースも見受けられます。オーディションの結果エキストラとして仕事をするにはレッスンが必要だと指摘され、数十万円という高額なレッスン料を要求してくる悪徳業者もありました。同じような被害は内職商法・在宅ワーク詐欺でも珍しくはなく、お金を稼ぐのに一定のスキルが必要だと思われている仕事ならどのような分野でもあり得る話です。
内職や在宅ワーク詐欺では主婦が主なターゲットですが、エキストラ詐欺やオーディション詐欺は俳優やアイドル・歌手を夢見る志望者が標的にされています。真っ当なエキストラ派遣会社や事務所なら高額なレッスン料を要求してくることはあり得ませんので、そういう話を持ちかけたられたら詐欺と見て断る勇気も必要です。
エキストラバイトの現状まとめ
有名俳優も出演するドラマや映画の一員としてエキストラ出演する仕事は、お金には換算できないほどの価値があります。映画やドラマの制作チームで募集するボランティアのエキストラでも、非売品の限定グッズをもらえる場合は珍しくありません。副業としては決して効率的に稼げる仕事と言えませんが、他の副業と掛け持ちする形であれば一度経験してみるのもいいでしょう。
あとは長い待ち時間をどのように過ごすのか、野外ロケの場合は暑さや寒さへの対策をどうするか、エキストラバイトならではの大変さを考慮する必要があります。俳優やスタッフと同じロケ弁が味わえる点もエキストラバイトの魅力ですが、俳優の卵を狙った詐欺には注意が必要です。エキストラの派遣会社やプロダクションに応募する際には、高額のレッスン料を要求されたような例がないかどうか社名で検索する事前調査が欠かせません。
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