花を使ったお洒落なインテリアとして、数年ほど前からハーバリウムが人気を集めています。お花屋さんや雑貨店などで売られていますが、コツさえ覚えれば手作りも可能です。
最近はハンドメイドマーケットを通じた個人対個人の取引も活発なだけに、ハーバリウム作りが副業の手段になり得ます。ハーバリウムを売る副業が儲かると言われている理由について、実際に販売されている値段の相場から検証してみました。
ハーバリウムを売る副業が主婦に人気の理由
日本でハーバリウムと言えば、ガラス瓶に入れた花のインテリアがイメージされるようになりました。英語のハーバリウム=herbarium」はもともと「植物標本」を意味する言葉です。採取した植物を乾燥させ、押し花や押し葉などの形で保存した学術用の植物標本がハーバリウムと呼ばれていました。
インテリア雑貨としてのハーバリウムが人気を集めるようになったのは、比較的最近の話です。ガラス瓶やボトルなどの容器に花材を入れて専用のオイルで満たし、蓋で密閉したものを部屋に飾り付けます。ボールペンの形にした小さなハーバリウムも、女性の間で人気の品です。
日本で独自に発展したハーバリウムは2017年頃にブームを巻き起こした後、ハンドメイドの1ジャンルとしてすっかり定着しました。見た目はボトルフラワーと似ていますが、花材を入れた容器をオイルで満たすのがハーバリウムの特徴です。
生花は寿命が短いため長期間は飾っていられませんが、ハーバリウムに加工すれば部屋のインテリアとして長く楽しめます。ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどと同様に、ハーバリウムもプレゼントやギフト用に購入される例が増えています。個人がハンドメイド作品を販売する手段も確立されていますので、ハーバリウム作りが副業として成り立つというわけです。
実際にハンドメイドマーケットやフリマサイトの販売状況を見ると、個人が出品したハーバリウムが結構な値段で売れています。クォリティーの高い作品を作れる腕があれば、主婦業の傍らで高収入を稼ぐことも可能です。
ハーバリウム作りから出品までの作業はすべて在宅で完結するだけに、子育て中の女性がお小遣い稼ぎをする手段にもなり得ます。アルバイトやパートの仕事をするのと違って自由度が高く、楽しめながら稼げるという点も見逃せません。お洒落なイメージも手伝って、「ハーバリウムを売る」副業が主婦の間でちょっとしたブームになっています。
ハーバリウムに使う材料
ハーバリウムを作るのに特別な道具などは不要で、花材以外の材料はすべて100円ショップでも購入が可能です。以下に挙げる材料と道具は、最低限用意する必要があります。
- 花材
- 蓋が閉まるガラス瓶やボトル
- ハーバリウム専用のオイル
- ピンセット
- はさみ
ガラス瓶やボトルはカビ繁殖を防ぐため、事前に中を洗ってよく乾かしてから使用することをおすすめします。ガラス瓶に入れるオイルは、何でもいいというわけではありません、シリコンオイルやミネラルオイル(流動パラフィン)など、ハーバリウム専用のオイルを使う必要があります。ピンセットは先端の長いものを用意しておけば、細長いボトルに花材を飾り付ける場合でも作業がやりやすいです。
生花でもハーバリウムを作れないことはありませんが、水分を含んだままの花を使用するとカビが生えたり雑菌が繁殖したりする恐れがあります。販売用のハーバリウムを作る際には、以下のような3種類の花材を使うのが一般的です。
- ドライフラワー
- プリザーブドフラワー
- 造花
それぞれ詳しく解説します。
ドライフラワーを使ったハーバリウム
植物の花や葉を乾燥させたドライフラワーは、ハーバリウム用として最もオーソドックスな花材です。最近は100円ショップでもドライフラワーが売られていますので、小型サイズのハーバリウムならすべての材料が1個100円で買えます。
自宅の庭やベランダで花を栽培している人なら、自分でドライフラワーを作ることも可能です。ドライフラワーを手作りすれば、ハーバリウムの花材をわざわざ購入する必要はありません。ドライフラワーに向いた花とそうでない花がありますので、ドライフラワーを売る副業は儲かる?3種類の販売方法を解説の記事も参考にしながら挑戦してみるといいでしょう。
プリザーブドフラワーを使ったハーバリウム
ハーバリウムに使う花材としてドライフラワーともによく利用されているのは、フラワーアレンジメントに使われるプリザーブドフラワーです。生花から水分を抜いて作るという点ではドライフラワーと共通しますが、プリザーブドフラワーの製作には特殊な加工液が使われます。
消毒用エタノールなどを使って脱水・脱色し、インクを使って着色した上で乾燥させるのがプリザーブドフラワーの一般的な製法です。脱水後にグリセリンを吸収させることで、生花のようなみずみずしさが再現されます。1年から2年ほど日持ちがするため、生花の代わるプレゼントやギフト用の花として人気です。
プリザーブドフラワーも手作りは可能ですが、ドライフラワーを作るより手間がかかります。ハーバリウム作家の多くは、花屋さんや通販サイトから花材を購入して済ませているものと見られます。
造花を使ったハーバリウム
ハーバリウムの花材にはドライフラワーかプリザーブドフラワーを使うのが一般的ですが、造花を使った作品も売られています。ポリエステルやポリエチレンなどの素材を加工して花の形を作り、顔料や染料を使って着色したものが造花です。
最近は造花の製作技術が向上し、本物の花と見間違えるほど精巧な作りの品も珍しくありません。「植物標本」という本来の意味から言えば邪道のようにも思えますが、インテリアとして飾っておく目的なら造花を使ったハーバリウムも需要が期待できます。
ただし着色に顔料を使用した造花は、素材の表面をインクが覆っているだけの状態です。オイル漬けにすると色が溶け出して濁ってしまいますので、使用は避けた方がいいでしょう。造花をハーバリウムに使う際には、染料を使って素材に色が浸透している製品を選ぶのが無難です。
造花の中には針金を使った製品も少なくありませんが、中の金属が錆びた場合もオイル濁りの原因になります。ハーバリウムの材料にする目的で造花を自作する際にも、顔料や針金の使用は避けた方が安全です。
手作りのハーバリウムを売る方法
以上のような方法でハーバリウムは手作りできますが、副業の手段にするには完成品を売る必要があります。個人がハンドメイド作品を販売する方法は以下の通りです。
- フリーマーケットで対面販売する
- ハンドメイドイベントで販売する
- 知り合いの雑貨店などに商品を置かせてもらう
- ネット上のハンドメイドマーケットに出品する
- フリマアプリを使って出品する
- 個人でネットショップを開業する
(1)から(3)まではお客さんに直接販売する方式で、(4)から(6)まではインターネットを利用した販売方法です。ハーバリウムが流行り出したのは比較的最近のせいか、インターネットによる販売が主流となっています。中でも個人出品のハーバリウムが多く売られているのは、以下の4サイトです。
商品が商品だけに、女性ユーザーの多いサイトが名を連ねています。
中でもハンドメイドマーケットとして国内最大級の規模を誇るminneには、1万点以上のハーバリウムが出品されている状況です。Creemaのハーバリウム出品数は5,000点あまりで、クォリティーの高いハンドメイド作家の作品が目立ちます。iichiになると出品数が700点に減りますが、ライバルは他のサイトより少なめです。
フリマサイトの中では、メルカリにも数多くのハーバリウムが出品されています。minneやCreema・iichiといったハンドメイドマーケットと比べ、素人っぽいクォリティーの作品でも完売例のある点が特徴です。作品の品質に自信のある人はハンドメイドマーケットを、初心者はメルカリを利用するのが無難と言えます。
ラクマにもハーバリウムの出品は見られますが、メルカリほど活発に売り買いされているわけではありません。ヤフオクは男性のユーザーが多いせいか、ハーバリウム完成品の出品や落札例は多いと言えない状況です。
ハーバリウムの副業はどれだけ儲かる?
売れっ子のハンドメイド作家になると、月に100万円以上の売上を稼ぐ人もいます。そういう人はほんの一部で、ハンドメイド作家全体の平均月収は数万円程度と推定されます。
minneやメルカリに作品を出品してもなかなか売れず、月の収入が1万円に満たない人も少なくないはずです。人気商品となっているハーバリウムでも、売れる人と売れない人の間で売上にかなりの差が見られます。
ハーバリウムを手作りして出品さえすれば、誰でも簡単に儲かるというわけではありません。売れっ子のハーバリウム作家になるには、美的センスに加えてオリジナリティも問われます。写真をきれいに撮影したり、タイトルや説明文でアピールしたりする出品の工夫も欠かせません。
ハーバリウムに限らず、ハンドメイド販売の副業では「売上がイコール収益ではない」という点にも注意が必要です。自宅にある不用品やただで拾ってきた自然物を材料に流用するのでない限り、ハンドメイド作品を作るには材料費がかかります。
ハーバリウムの場合も同様で、花材や瓶・オイルなどの材料を購入して作るのが普通です。不用品や自然物を使って瓶と花材の購入費用を節約したとしても、オイル代は最低限必要になってきます。売上からそれらの原価を引いた金額が、小売業で言うところの「粗利益高」です。
minneやメルカリなどのサービスを利用してハーバリウムを販売した場合は、そこからさらに10%前後の販売手数料が引かれます。ハンドメイドマーケットでは送料を購入者が負担するケースも多いですが、メルカリの場合は出品者で負担するのが一般的です。梱包費用も含めたそれらの経費の分を計算に入れて、最終的に収益が残るように価格設定する必要があります。
ハーバリウムの値段の相場
ハーバリウムはAmazonや楽天市場のような大手通販サイトでも売られていますが、販売価格は1点あたり2,000円台から3,000円台が平均的な相場です。1,000円台だと「安い」というイメージで、4,000円以上は高価格帯という位置づけになってきます。
minneやCreemaのようなハンドメイドマーケットでも、ハーバリウム価格の平均的な相場は似たような状況です。ありふれた市販のハーバリウムと比べ、個人が製作したハーバリウムには個性的な作品も少なくありません。一点ものに近い価値が認められれば、1万円を超える価格設定でもクォリティーしだいでは売れる可能性があります。
メルカリに出品されているハーバリウムは値段の相場も全体に低めで、売れ筋の中心は1,000円台の商品です。2,000円以上の価格設定で購入してもらうには、ハンドメイドマーケット並みのクォリティーが求められます。どのサイトでも花材の購入費用に差があることから、ドライフラワーを使ったハーバリウムよりプリザーブドフラワーを使った品の方が値段も高めです。
ハーバリウムに使う専用のオイルには、シリコンオイルとミネラルオイルの2種類があります。シリコンオイルの方が色落ちしにくく、光沢性も高いのが特徴です。値段はシリコンオイルの方が高くなりますので、ハーバリウム完成品の売価にも反映されてきます。
ミネラルオイルは2リットル入りが2,000円台で買えるのと比べ、シリコンオイルは1リットル入りでも2,000円ほどします。ハーバリウム用のオイルは100円ショップでも売られていますが、コスパを考えると大容量タイプ方がお得です。1Lや2Lだと重くて注ぎにくいせいか、500mlタイプも人気を集めています。
ドライフラワーとミネラルオイルを組み合わせれば、材料費を最大限に節約ができるようになります。完成品のクォリティーにこだわりたい人は、逆にプリザーブドフラワーとシリコンオイルの組み合わせがおすすめです。
ハーバリウムの副業まとめ
一時期ほどのブームは落ち着いた感もありますが、ハンドメイドマーケットやメルカリではまだまだハーバリウムが売れている状況です。母の日や敬老の日・クリスマスなどのシーズンになると、ハーバリウムの需要も増えると期待されます。
大手通販サイトでも売られているだけにライバルは少なくありませんが、自分なりに工夫を凝らして個性を発揮すれば対抗も可能です。この記事で紹介した情報を参考にしながら、手作りハーバリウムを売る副業にチャレンジしてみるといいでしょう。