筆者も農家の手伝いを何度か経験したことがありますが、想像以上に大変な仕事でした。農家の人たちが難儀をしてくれているおかげで、おいしいお米や野菜が食べられるのだと思い知った次第です。
若い世代を中心として、農業の仕事に関心を持つ人が増えています。いざ自分が農業のアルバイトで働くとなった場合、仕事がどれだけきついのかは気になるところでしょう。「こんなに大変な仕事だとは思わなかった」と後悔しないように、農業バイトのどこがきついのかを知っておく必要があります。
そこで今回は経験者の立場から、農業バイトのきついところ(デメリット)を9つに分けて実態をまとめてみました。農業バイトを経験してみて良かったと思える点や、仕事を少しでも楽にするコツについても記事の後半で詳しく解説します。この記事を読んでから農業バイトの仕事をすれば、自然と親しみながらお金を稼げるようになります。
農業の仕事がきつい理由
一口に農業と言っても、きつい仕事もあれば比較的楽な作業もあります。農業で楽にできるような仕事は、それほど多くの人手を必要としません。わざわざアルバイトを募集するまでもなく、農家の人たちが自分たちで対応しています。
多くの人手を要するような収穫作業や定植作業に限って力仕事だったり、服が汚れやすい仕事だったりするのが常です。知り合いに手伝いを依頼しただけでは手が足りない場合は、アルバイトを雇って人手不足を解消するしかありません。
これでも農薬・化学肥料の普及や機械化で、昔に比べれば農作業はだいぶ楽になりました。ほとんど手作業でやっていた時代からすればマシになりましたが、人力を必要とする部分もまだまだ多く残されています。完全には機械化できない工程で多くの人手を必要とするため、作業を担当するアルバイトにさまざまな面で負担がかかるわけです。
筆者もこれまでに農家の手伝いを何度か経験してみて、仕事の大変さを思い知らされてきました。実際に体験して実感した農作業のきついところは以下の通りです。
- 体力的にきつい
- 夏の暑さや冬の寒さできつい
- 朝が早い
- 休みが少ない
- 手や服が汚れる
- 虫が多い
- 単純作業で飽きる
- トイレの問題
- 収入が不安定になりやすい
1つ1つ詳しく解説します。
体力的にきつい
農業バイトの仕事が「きつい」と言われる最大の理由は、力仕事が多くて体力が必要な点です。特に収穫作業や運搬作業では、重量のある農作物を持ち運ぶことになります。
筆者はスーパー店員の仕事も経験しているのでよくわかりますが、とにかく野菜は重いです。大根や玉ねぎ・長芋などの根菜類はもちろん、キャベツや白菜・カボチャ・スイカなども重量があります。
収穫や運搬作業以外でも、農業バイトの仕事は基本的に立ち仕事です。中には座ってできる作業もありますが、長時間立ったまま作業を続けるのが当たり前と覚悟しておいた方がいいでしょう。
中腰の姿勢や屈んで行う作業も腰に負担がかかりますので、腰痛持ちの人には厳しい仕事です。芽かきのように腕をずっと上げっぱなしの作業もあって、農業では筋トレで鍛えるのとは違う筋肉を酷使します。
筆者も機械を使った枝豆の脱莢作業で普段あまり使わない筋肉を酷使し、2日目には握力が衰えてしまいました。農家の人は農作業に特化した筋肉が発達しているせいか、握力も強い人が多いようです。
農作業に慣れていないと、体力面で余計にきついと感じてしまいます。何回も経験するうちには、それほどきつくなくなってくるのが普通です。
夏の暑さや冬の寒さできつい
農業は屋外での作業が多いだけに、天候の影響をもろに受けやすくなります。夏の暑さや冬の寒さも、農業バイトの仕事が「きつい」と言われる理由の1つです。
筆者が友人の農家で稲の苗箱運びを手伝ったのはまだ4月でしたが、気温が30℃近くまで上昇した日には暑い思いをしました。夏の日中に屋外で作業をする場合は、熱中症予防に加えて日焼け対策も必要です。日焼け止めを塗っても汗で流れてしまうため、できるだけ肌の露出を少なくして対策するしかありません。
夏はビニールハウスの中も40℃近くまで上昇して、外より暑いくらいです。冬は冬で、寒さへの対策が必要になってきます。
風が強い日は作業の効率が悪くなり、体感温度も下がって体力を余計に消耗してしまいます。室内での仕事に慣れている人にとって、暑さ寒さや強風にさらされる仕事は「きつい」の一言です。
朝が早い
農業の仕事が「きつい」と言われる理由の3つ目は、朝が早いという点です。農業バイトの求人すべてに当てはまるわけではありませんが、早朝から勤務開始という求人が多くなっています。
特に収穫作業を行う場合は、農作物が店頭に並ぶ時間から逆算して仕事を開始しないと間に合いません。気温の高い夏場は日中に収穫すると作物が傷みやすくなるため、気温の低いうちに収穫する必要があります。農家によっては、夜明け前の3時から作業を始める人もいるほどです。
そこまで早くなくても、早朝5時に作業開始という求人は珍しくありません。野菜の収穫期には、早朝だけ働く短時間のアルバイトも多く募集されます。農家の人は夜が明けてから日が暮れるまで働くという人が多く、日が長い夏場は労働時間がどうしても長くなりがちです。
他のアルバイトの仕事で残業が発生した場合は、労働基準法に基づいて割増賃金が発生します。農業に関しては割増賃金の適用外とされているため、残業をしても時給は変わりません(22時~5時の深夜労働を除く)。このへんも農業の仕事が「きつい」と言われる理由の1つです。
休みが少ない
農業の仕事がきつい理由の1つに、「休みが少ない」という点を挙げる人もいます。筆者が何度か仕事を手伝った友人の農家も、作付けや収穫期などの農繁期は毎日仕事だと言っていました。友人同士の集まりも欠席しがちで不興を買っていますが、家族経営の農家では仕方がない部分もあります。
忙しい時期に休めないのは農家の話で、農家や農業法人に雇われるアルバイトには必ずしも当てはまりません。雇用契約を結んで働く場合は、労働基準法で休日を設けるように決められています。
収穫時期などの農繁期に募集される短期バイトは、休みが少ない傾向にあるのも確かです。一時的に人手が足りないために雇われている仕事だけに、農繁期には可能な限り働いてもらいたいというのが正直なところでしょう。
農家住み込みのアルバイトになると、近くに娯楽施設などの遊ぶ場所はほとんどないのが当たり前です。毎日の仕事でくたくたに疲れていると、たまの休日も体力の回復を優先させるしかありません。こうして精神的にゆとりが持てないところも、農業バイトが「きつい」と言われる理由の1つです。
手や服が汚れる
農業の仕事は屋外での作業が多い上に土を扱うため、手や服などがどうしても汚れやすくなってしまいます。夏に暑いからと言って、半袖や短パンで作業をするのはおすすめできません。長袖長ズボンの服装に手袋で露出を少なくして、肌に土や泥が直接付着するのを防ぐ必要があります。
大雨が降ると作業が中止になりますが、少雨決行のケースが多いです。屋外での作業で少しでも雨が降ると、服が泥で汚れてしまいます。
筆者も枝豆の脱莢作業を手伝った際には、急な雨で服が泥だらけになってしまいました。作業をする場所は屋根の下でしたが、外に積まれていた枝豆は雨に濡れていたからです。根の部分に土がついたままの枝豆を機械にかけると、水分を含んだ土が泥になって飛び散ります。
農業機械を扱う作業は事故の危険もあるだけに、農業は典型的な3K(=きつい・汚い・危険)の仕事です。雨が降るかどうかの天候によっても、服の汚れ具合が左右されてきます。「農業バイトをやってみたいけれど、汚れるのは嫌」という人は、天候の影響を受けにくいビニールハウス内の仕事を選ぶのがおすすめです。
虫が多い
多くの農地では害虫を防ぐために農薬を使用していますが、それでも屋外は虫が多いです。筆者が稲の苗箱運びを手伝った4月の時点で、すでにかなりの数の虫が飛び回っていました。
カブトムシやクワガタならともかく、蝿や蚊・アブ・蜂のような羽虫が多いのは厄介なところです。日焼けや汚れを防ぐだけでなく、虫刺されを防ぐためにも長袖長ズボンが欠かせません。
虫が大の苦手という人にとって、農作業は精神衛生上に見ても「きつい」仕事です。自然と親しみながら仕事ができるのはメリットですが、「自然が好き」というだけでは務まらない面もあります。
単純作業で飽きる
人手不足の農家でアルバイトを募集するのは、大量の作物を作付したり収穫したりするような場面です。筆者も友人の農家を手伝ってみて、農家が作る作物は「とにかく数が多い」という事実を実感させられました。
仕事内容は農作物の種類や栽培の工程で変わってきますが、たいていは同じ作業の連続で単調な仕事を強いられることになります。工場のライン作業と同じように、単純作業の連続は意外ときついものです。
途中で飽きてきても、一度引き受けた仕事を投げ出すわけにはいきません。単調な仕事だからと言って注意力が散漫になっては、農作物や苗を傷める結果となってしまいます。最後までやり遂げるだけの忍耐力が必要です。
1人で黙々と作業をする場面が多いだけに、人によっては孤独を感じることがあるかもしれません。このへんは農業バイトが精神的な意味で、「きつい」と言われる理由の1つです。
トイレの問題
農業の仕事で以前から問題となっていたのは、近くにトイレがない場所が多いという点です。屋外の田んぼや畑はもちろん、ビニールハウスですら簡易トイレが設置されているところは滅多にありません。公共施設や店舗のあるところまで車で移動して、トイレを使わせてもらうことが多いです。
店舗や施設が遠い場合は、近くの農家でトイレを借りるしかありません。筆者が農家の手伝いをした際には、休憩時間に家のトイレを借りて済ませました。3時間に1回くらいでも十分でしたが、トイレが近い人は間に合わない可能性もあります。
農業の現場では昼休みの他に、午前10時頃と午後3時頃に休憩時間を設けるのが一般的です。昼休みや休憩時間のうちに、トイレを済ませておく必要があります。トイレに関して不安がある人は、応募前に確認しておくといいでしょう。
収入が不安定になりやすい
仕事がきついのとはまた別の問題ではありますが、農業バイトの仕事は収入が不安定になりやすい点もデメリットの1つです。
人手不足に伴う短期アルバイトの募集は、どうしても収穫期などの農繁期に集中します。農繁期以外の時期は求人の募集が減ってしまうため、農業バイトで生計を立てようという人にとっては不利な状況です。農家の人は月ごとではなく、年間トータルで収入を計算しています。
短期の募集が多い農業バイトは、天候によっても収入が不安定になりがちです。少しぐらいの雨なら作業を決行しても、大雨が降ったりして悪天候の日は屋外での作業が中止になります。
雨が続いたりすると休みの日が増え、月の収入が減ることになりかねません。ビニールハウスの作業なら天候に関係なく仕事がありますので、収入の計算も立てやすいと言えます。
農業バイトのメリット
農業バイトの仕事は「きつい」と言われる一方で、他のアルバイトにないメリットもいろいろとあります。アルバイトが受け持つのは単純作業が多く、仕事そのものはそれほど難しいこともありません。
農業バイトの求人はほとんどが「未経験可」で、特別な資格なども不要です。農繁期に限定した短期バイトや単発バイトの募集が多いため、自分のペースで働けるという点もメリットの1つに数えられます。
この他にも農業バイトには、以下のようなメリットがあります。
- 健康的な生活につながる
- 自然と触れ合える仕事
- 雇い主はいい人が多い
- 余った野菜をもらえることもある
- 仕事のやりがいがある
それぞれ詳しく解説します。
健康的な生活につながる
朝が早いのは農業バイトの仕事が「きつい」理由の1つでしたが、早寝早起きの習慣が身につけば健康にとってプラスです。農業バイトの仕事を続けることで体力がつくと同時に、規則正しい生活にもつながっていきます。
力仕事が多くて体力的にきついのは事実ですが、筋力がつくのは健康面で大きなメリットです。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、カロリー消費量も増えて太りにくい体質になります。食事制限で消費カロリーを減らすのと違って、健康的に痩せることも可能なダイエット方法です。
自然と触れ合える仕事
農業バイトの仕事を経験した人の多くがメリットに挙げているのは、「自然と触れ合いながら働ける」という点です。デスクワークや店員の仕事などと違って、自然の中でする仕事はストレス解消にもつながります。
工事現場や倉庫・引越しのアルバイトも体力面で「きつい」仕事ですが、農業バイトは自然の中で働ける点が異なります。筆者も大自然に囲まれながら農作業を手伝い、心地よい汗を流しました。
植物や土に触れることで、癒しの効果も得られます。都会に住んでいて自然と接する機会が少ない人にこそ、おすすめしたい仕事です。
雇い主はいい人が多い
農業バイトの仕事がきつい理由に入れませんでしたが、「農家の人たちとのコミュニケーションが面倒と」感じる人もいます。チームで連携しながら作業を進める場合もあるだけに、農業バイトの仕事にも最低限のコミュニケーション能力は必要です。
1人で黙々と働く場面が多い仕事でも、休憩時間は農家の人たちとコミュニケーションを深める場となります。「人とあまり関わらないで済む仕事がしたい」という人にとって、農業バイトは意外と向いていないかもしれません。
とは言え普通の会社や工事現場などと比べれば、農家の人たちは基本的に優しい人が多いです。職場の人間関係で悩まされる場面は少ないため、対人関係のストレスは低いと言えます。
稀にパワハラやセクハラまがいの言動に及ぶ人もいて、雇い主に当たり外れがあるのも確かです。当たり外れはどの職場にもありますので、必ずしも農業バイトだけの問題ではありません。雇い主にいい人が多いという点は、農業バイトの仕事をするメリットの1つに数えられます。
余った野菜をもらえることもある
農家や農業法人の多くは、JA(農協)を通じて収穫物を出荷しています。決められた規格を満たしていれば、原則として全量買取がJAの方針です。その代わり規格外の野菜や果物は出荷できないため、農家で自家消費できない分は廃棄するしかありません。
収穫時期にアルバイトとして働いた場合には、出荷できない規格外の野菜を分けてもらえる場合もあります。規格外でも味に変わりはなく、採れたてだけにスーパーで買う野菜より美味しいくらいです。
筆者も枝豆の収穫作業を手伝った際には、出荷できない「くず豆」を大量に分けてもらいました。「くず豆」と言っても、サイズや粒数などの外観が規格に合わないだけです。味そのものは出荷した豆と変わらないため、家に帰ってからおいしくいただきました。
家族経営の農家を手伝う仕事では、食事や菓子・飲み物を提供されることもよくあります。筆者が農家を手伝った際にも、休憩時間には食べきれないほどの食べ物を出されました。このように時給にプラスして、いろいろとお得な部分が多いのも農業バイトの魅力です。
農業のやりがい
農業の仕事には、他の仕事にないやりがいがあります。自分が作業に関わった農作物が店頭に並ぶところを想像してみれば、きつい仕事にも張り合いが出てくるというものです。それまで野菜が苦手だったのに、収穫の仕事を経験してから食べられるようになったという人もいます。
農業の現場では何年も前から、慢性的な人口流出の問題に悩まされてきました。人手不足の農家の手伝いを通じて、農業バイトは社会貢献にもつながる仕事です。
農家の人と個人的に親しくなれば、農業に関していろいろと教えてもらえます。将来的に就農を検討している人なら、農業の基本的な知識が身につくという点でも有益な仕事です。農家の取引先を含め、人脈の形成にもつながっていきます。
筆者は在宅の仕事で収入を得ているせいか、世の中の役に立っているという実感が持てない点が悩みの種でした。農家の手伝いをしたことで、「こんな自分でも役に立てた」という充実感が得られたのは大きな収穫です。
農業バイトに向いている人
農業の仕事が「きつい」と感じられるかどうかは、その人次第という部分もあります。筆者のように農作業に慣れていないと、余計にきつく感じてしまうものです。
農業に限らず、どんな仕事にも向き不向きというものがあります。農業バイトの仕事に向いているのは、以下のような適性の持ち主です。
- 体力に自信がある人
- 体を動かすのが好きな人
- 運動やスポーツをやっている人
- 単純作業を続けるのが苦にならない人
- デスクワークが苦手な人
- 自然が好きで虫が苦手でないアウトドア派
- 早起きが苦にならない人
- 農業に興味がある人
ある程度の規模の農地を経営するとなれば、農業は1人ではできない仕事です。アルバイトとして雇われた場合でも、農家の人や他のスタッフと協力しながら作業を進めることになります。人付き合いが苦手でない人なら、農家の人たちともうまくやっていけるはずです。
筆者が農家を手伝った際には、休憩時間などに農家の人たちと交流する機会がありました。普段は接することのない人と上手にコミュニケーションができれば、指示を仰いだりするのにもスムーズです。農業バイトの仕事をするのに必須のスキルというわけではありませんが、コミュニケーションスキルを身につけておいて損はありません。
農業バイトを楽にするコツ
農業バイトの仕事をきついと感じるかどうかは、ある程度の個人差もあります。農作業に慣れた人ならそれほどきついと思わない作業でも、体力が弱い人にとっては結構な重労働です。きつい仕事を少しでも楽にするために、日頃から筋トレやウォーキングなどで体力をつけておくことをおすすめします。
重いものを運ぶ際には、体全体を使って荷物の重量を分散させるように持つのがコツです。腕の力だけで持ち上げようとすると、筋肉に大きな負担がかかってしまいます。重いものをお持ち運ぶコツを知っていれば、筋力の弱い女性でも力仕事に適応できるというものです。
定植作業や収穫作業などは、地面付近で長時間作業をする場面が続きます。中腰の姿勢が腰に一番負担がかかりますので、しっかりと腰を落とした姿勢で作業をするのが疲れにくくするコツです。長時間の立ち仕事にも適応できるようにするため、ジョギングやウォーキングなどで下半身を鍛えておくのもいいでしょう。
農作業に慣れていないと、2日目3日目と日を重ねるごとに体がきつくなってきます。筋肉痛が回復しないまま次の日の仕事をするのは、予想以上に大変なものです。
農業バイトが初めての人は、1日だけの単発バイトで仕事を経験してみることをおすすめします。短期バイトで慣れてきたところで、長期のバイトや住み込みのバイトにチャレンジするのが無難なやり方です。
服装を工夫する
農作業の多くは、自然環境の下で働く仕事です。屋外での作業に適した服装でないと、仕事が余計にきつく感じることになってしまいます。
葉っぱや枝で肌を傷つける場合もありますので、かすり傷だらけにならないためにも長袖長ズボンに手袋・帽子は必須です。肌の露出を少なくすることで、虫刺されや日焼けも防げるようになります。農作業ではどうしても汗をかくことになりますので、服装は通気性も考慮した速乾性の素材がおすすめです。
朝と日中では気温差も大きいため、朝ちょどいい格好のまま昼も作業をしていると暑い思いをすることになります。気温の低い早朝は作業用の上着を着用し、気温が上昇してきたら脱いで体温を調節するのがコツです。
露地栽培の畑で作業する場合は、急な雨に備えて雨合羽も用意しておく必要があります。作業用のズボンもあまりフィットしすぎず、ダボダボでもなく動きやすいものを選ぶのがコツです。
日差しが強い中で屋外作業をする場合はつばの広い帽子に加え、サングラスも用意しておくといいでしょう。タオルを首に巻いておくと、汗を拭いたりするのに役立ちます。
靴もスニーカーのようにカジュアルな履物ではなく、ゴムの長靴を使用するのが一般的です。ゴム製の長靴は防水性がある上に、汚れや虫の侵入も防いでくれます。
滑り止めのついた長靴なら、ぬかるんでいるような場所での作業も安心です。長靴を履いて農作業をする際には、靴下は厚手で長めのものが適しています。
汚れや傷から手を保護するのに、手袋も欠かせません。安価な軍手でもいいですが、濡れると乾きにくいという難点があります。農作業用のゴム手袋や、ウレタンパッドのついた園芸用の背抜き手袋がおすすめです。
仕事を選ぶコツ
農業バイトの求人募集が増えるのは、野菜や果物など農作物の収穫時期です。収穫作業や運搬作業の体力的な負担は、扱う農作物の種類によっても違ってきます。
キャベツや大根のように1つ1つ重量のある野菜の収穫や運搬は、体力的にどうしてもきつい作業になりがちです。レタスやイチゴなど重量が軽い野菜・果物なら、重い野菜の収穫作業ほど大変ではありません。求人の募集要項をチェックし、軽量の農作物を扱う仕事を選んでみるといいでしょう。
種まきや苗の植え付け(定植)などの作付け作業も、収穫や運搬作業よりは体力的な負担が軽い方です。収穫に伴う作業でも、選別作業は体力的に楽な作業と言えます。
筆者が農家で枝豆の収穫作業を手伝った際には、高齢のご両親が豆の選別作業を担当していました。ベルトコンベアーの機械で運ばれてくる豆を選別するのは、座ってでもできる作業です。農業バイトを募集する求人の中にもそうした選別作業が含まれますので、体力の自信のない人は探してみるといいでしょう。
冬場はビニールハウスの中でする作業の方が、露地栽培の畑でする作業より楽です。ビニールハウスの中にいれば寒気や風が防げますが、夏場は逆に熱がこもってしまいます。
筆者が稲の苗箱運びを手伝った際には、4月でもビニールハウス内の温度が30℃まで上昇していました。かえって外の方が適度な風があって涼しく感じられたほどです。ビニールハウスの農作業に応募する際には、時期を考えて仕事を選ぶ必要があります。
まとめ
筆者自身の経験に基づいて、農業バイトの仕事が「やめとけ」と言われるほどきつい理由を考察してきました。農作業に慣れない人ほど、「きつい」と感じやすいのも確かです。筆者も慣れるまでは大変でしたが、何度も経験するうちにはそれほど「きつい」と思わなくなりました。
自然の中で働ける農業の仕事には、他の仕事にないやりがいがあります。どういう理由で仕事がきついのかを知っていれば、楽にする対策も立てやすくなるはずです。この記事で紹介した情報を参考にしながら、農業バイトの仕事を経験してみるといいでしょう。