多肉植物の中でもサボテンはいろいろな種類があって愛好家も多く、人気の種類は高値で取引されています。サボテンは挿し木や胴切りなどの手法で増やせるため、新たな株を作って売れば収入を得ることも可能です。
副業の手段としても注目度が高まっているサボテンの増やし方について、4種類の方法に分けて作業の手順とコツをまとめてみました。増やしたサボテンを売る方法についても、記事の後半で詳しく解説します。
サボテン繁殖ビジネスを副業で始める方法
サボテンは乾燥地帯の過酷な環境にも適応できる植物だけに、非常に強い生命力を持っています。サボテンの旺盛な繁殖力を利用すれば、1つの株をどんどん増やしていくことも可能です。
植え替え用の容器や土は必要になりますが、増やしたサボテンも立派な商品になり得ます。通常の物販ビジネスと違って、自分で増やしたサボテンなら商品の仕入れは不要です。
土は植え替えのたびに新しいものと交換することになりますが、植木鉢やポットなどの容器は使い回しがききます。余ったマグカップや大きめのコップなど、自宅にある器を有効活用すれば費用はかかりません。
土は多肉植物用の土を使いますが、2リットルほどの分量の商品が数百円程度で売られています。必ず土を使わなければならないというわけではなく、水と液体肥料を使った水耕栽培も可能です。
個人で利用できる販売手段も、メルカリを始めとして数多く用意されています。まずは趣味の延長でサボテンの販売を始め、副業ビジネスが軌道に乗ってきたところで独立するのが成功の秘訣です。室内やベランダでも栽培できる種類がありますので、副業のサボテン農家になるのに必ずしも農地やビニールハウスを用意することはありません。
副業の範囲内だと大きく稼ぐのは難しいですが、趣味と実益を兼ねたお小遣い稼ぎの手段にはなり得ます。高く売れそうな種類を選んで低コストによる繁殖を徹底させれば、万単位の月収を稼ぐことも十分に可能です。
サボテンを増やす方法
仕入れ不要の物販ビジネスとしてサボテンの販売を始めるには、何らかの方法で元のサボテンを増やしていく必要があります。1つのサボテンから新たな株を作り出す方法は以下の通りです。
- 挿し木で増やす
- 胴切りで増やす
- 接ぎ木で増やす
- 種まきで増やす
それぞれ詳しく解説します。
挿し木(株分け)で増やす
サボテンを栽培していると、先端の部分や脇の部分から芽のようなものが出てきます。これが子株と呼ばれる小さな株です。子株が2センチほどの大きさに育ったところで切り取り、独立した新しい株になるように根が出るのを待ちます。発根が確認された子株を挿し木の要領で土に植えれば、新たなサボテンの株の出来上がりです。
サボテン以外の植物でも伸びた葉や茎を切り取り、同じように発根を促して植える挿し木や挿し芽の手法があります。普通は切り取った茎をそのまま植えるのではなく、水にしばらく浸けておく水揚げの作業が必要です。サボテンの場合は子株にも水分が多く含まれていますので、水揚げは必要ありません。
切り取った子株は発根しやすくするため、風通しのいい場所に2~3日ほど置いて切り口をよく乾かします。1週間以上経って根が出てきたら、切り口を下向きにしてサボテンや多肉植物用の土に植え付けるという手順です。植え付け後もすぐには水を与えず、しっかりと根づいてから水やりをする点はサボテン以外の多肉植物と同様です。
親株から子株を切り取る際には軍手か厚手のビニール手袋を使用し、親株のトゲを傷つけないよう慎重に作業を行います。切り取るのに使うカッターの刃に雑菌がついていると失敗の原因になりますので、アルコールを使った消毒も欠かせません。
挿し木に適した季節は、サボテンの成長期に当たる4月から9月頃にかけての季節です。真夏の暑い時期は避け、春か秋のよく晴れた日に作業を行うのがおすすめです。
胴切りで増やす
挿し木はサボテン以外の園芸植物や野菜・果樹などを増やす手段としても使われていますが、胴切りはサボテン独自とも言える大胆な増やし方です。伸びすぎたサボテンを真ん中で2つに切断し、切り取った部分を子株の挿し木と同じように植え付けます。
切り取った株から根が出て新たなサボテンとして独立する上に、元のサボテンも切り口から新たな芽が出てきます。胴切りがうまくいけば、1つのサボテンを2つに増やせるというわけです。
切断にはアルコールなどで消毒した清潔なハサミを使用し、中途半端にならないよう思い切ってカットします。切り口を乾燥させるために風通しのいい場所にしばらく置いておくという点は、子株の挿し木と同様です。
植え付け後もすぐには水を与えず、1ヶ月ほど経ってから水やりを再開させます。真夏の暑い盛りや梅雨時は成功の確率が低くなりますので、胴切りに適した時期は挿し木と同じく春か秋です。
種まきで増やす
サボテンも他の園芸植物や野菜と同じように、種をまいて増やせないことはありません。栽培しているサボテンで実がなったら種を採取し、サボテン用の土にまいて発芽を待つやり方です。
サボテンの実を水に浸すなりしてゴマ粒ほどの小さな種を取り出したら、しっかりと乾燥させて保管しておきます。種まきの前には種を洗浄した上でしっかりと消毒し、カビが生えたりしないようにする対策も必要です。
種まきをする際には湿らせた土を使用し、土をかぶせずに等間隔で種をまいていきます。挿し木や胴切りとは逆に種まき直後は水を切らさないよう、霧吹きなどを使った毎日の水やりが欠かせません。水を張った受け皿の上に鉢を浸けておいて、鉢の底から水を吸収させる「腰水」の手法も効果的です。
サボテンの種まきに適した温度は20℃から30℃程度で、春か秋に種まきをして日当たりの良い場所に置いておけば発芽の確率も上がります。温度と湿度を保つため、ラップに小さな穴を開けたものを容器にかぶせておくといいでしょう。無事に発芽してある程度の大きさに育ってきたら、頃合いを見て植え替えを行います。
接ぎ木で増やす
サボテンを種から育てるには、どの種類でもかなりの時間を要するのが普通です。野菜や果樹でもよく使われる接ぎ木の技法を利用すれば、種から育てる時間の短縮も可能になってきます。成長速度が極端に遅い品種など、通常の挿し木や胴切りでは繁殖が難しい希少種を増やすのに使われる手法です。
接ぎ木に欠かせない台木には、竜神木や袖ヶ浦・三角柱といった種類のサボテンが使われます。台木の先端を鉛筆の形に削り、増やしたいサボテンを穂木にしてその上に定着させます。こうすることで台木の根から吸収された栄養分が穂木に行きわたり、成長の遅い品種のサボテンを早く育てることが可能になるというわけです。
繁殖に時間のかかる希少品種のサボテンは、フリマサイトやネットオークションサイトでも高値で取引されています。そういう品種の苗を普通に購入するには高額の費用が必要になってきますが、希少品種でも種なら比較的安価に入手することも可能です。
安く手に入れたサボテン希少種の種子を発芽させ、台木を使った実生接ぎ木で育てれば、苗を高く売った差額で稼げるようになります。サボテン栽培ビジネスの収益性を上げるためにも、接ぎ木はマスターしておきたい上級者向けの技法です。
増やしたサボテンを売る方法
プロのサボテン農家はJA(農協)や卸売市場などに出荷していますが、個人が副業レベルで栽培したサボテンを売るには不向きな販売先です。むしろフリマサイトやネットオークションサイトなどを利用して、個人対個人の取引で直接販売した方が少量ずつでも売れやすいと言えます。中でも利用ユーザー数が多いメルカリは、最も有力な販売手段です。
実際にメルカリではサボテンが数多く出品されていて完売例も多く、希少種が1万円以上の高値で売れた例も少なくありません。国内最大のネットオークションサイトヤフオクでも、サボテンは活発に取引されている状況です。
出品したサボテンが売れた場合には、以下のような方法で指定住所に商品を発送します。
- サボテンを根ごと引き抜き、土を落とした抜き苗として送る
- 挿し木にするカット苗の状態で送る
- 植えられたままの状態で植木鉢ごと送る
抜き苗やカット苗なら簡易な梱包で送れる上に重量が軽いため、送料を安くできる点がメリットです。メルカリに出品した場合はゆうゆうメルカリ便やらくらくメルカリ便も選択可能ですが、第四種郵便で送れば送料が安価に済みます。第四種郵便で発送する際には、透明な容器を使って中身が見えるように梱包する必要があります。
サボテンは買取も可能?
増やしたサボテンをお金に換えるには、以上のようにインターネットを利用して販売する方法が主流です。個人対個人でサボテンを手軽に売り買いできるようになったのも、メルカリやヤフオクのようなオンライン上のマーケットが普及したおかげと言えます。
そうした販売方法があまり得意でないという人にとっては、商品の写真を撮影して出品したり発送したりするのが面倒なものです。購入者とやり取りするのが億劫だという人も少なくありません。
そんな場合には、植物の買取サービスを利用してサボテンを売るという手もあります。サボテンや多肉植物を扱う専門店の中には、店頭買取や出張買取を行っている店舗もないことはありません。全国どこでもそういう店が存在するというわけではありませんので、近くに買取可能な店舗がないかどうか調べてみるといいでしょう。
サボテンの買取に対応している店舗を参考までに紹介しておきます。
- メデル(愛知県)
- Yubisakino Jyunin(福岡県)
- サボテン・カクタス キング(福島県)
- 多肉植物ワールド(サボテン・多肉植物の種子買取サービス)
まとめ
サボテンを増やして自分で商品を作り出し、メルカリやヤフオクなどで販売する副業の繁殖ビジネスについて解説してきました。サボテンは非常に強い生命力を持つ植物だけに、切り取った子株を挿し木にしたり胴切りにしたりすれば比較的簡単に増やせます。
種まきで増やす方法や台木を使った接ぎ木の技法は難易度が高めですが、希少種の種子を安く入手して増やすのに効果的な繁殖方法です。育てるのに時間がかかる品種のサボテンは高値で売れる可能性があるだけに、成功すれば収益性の高いビジネスになり得ます。まずは難易度低めの挿し木や胴切りから始め、慣れてきたところで種まきや接ぎ木にもチャレンジしてみるといいでしょう。