紙に印刷された新聞や雑誌はお金を出して買う場合と、ただでもらえる場合の2通りがあります。無料で配布される刊行物はフリーペーパーと呼ばれていますが、有料の新聞や雑誌にも負けないほど内容が充実したタウン誌や地域情報誌も珍しくありません。個人でもその気になれば地域情報や趣味に関する情報を記事にまとめ、フリーペーパーの形で発行することは十分に可能です。
フリーペーパーの主な収益源は広告収入ですので、制作費用を上回る掲載料が集まれば副業にできる可能性も出てきます。そこでフリーペーパーの広告掲載料はどれくらいが相場なのか、配布の方法や収益化のコツと合わせて情報をまとめてみました。「今の時代にフリーペーパーなんて出して儲かるの?」と思っている人でも、この記事を読めば認識が変わってくるはずです。
フリーペーパーとは?
インターネットから情報を得るのが当たり前になった影響で、紙に印刷される新聞や雑誌は発行部数が減り続けています。現在の総発行部数は新聞・雑誌ともに1億部前後と見られ、合わせて3億部ほどが発行されていた10年前と比べても大幅に減少している状況です。
紙メディアからデジタルメディアへの移行は避けられない情勢ですが、発行部数が大きく減っているのは有料の新聞や雑誌に限られます。無料で配布されているフリーペーパーも発行部数は減少傾向にあるとは言え、有料の新聞や雑誌ほどの極端な落ち込みではありません。現在でも年間で2億部以上が発行されていると見られ、有料の新聞・雑誌を合わせた発行部数を上回るほどの健闘ぶりです。
ニュースサイトやWebメディアを利用すれば最新情報が無料で手に入る時代だけに、お金を出して新聞や雑誌を購読しようとする人が減っているのも無理はないと言えます。フリーペーパーはWeb記事と同じようにただで読めるせいか、紙メディアであっても発行部数が維持されているというわけです。
フリーペーパーが無料で配布できる理由
有料で売れなければ新聞や雑誌をすべて無料化すれば問題が解決しそうなものですが、紙のメディアはどうしても印刷コストがかかります。新聞のように簡易的な印刷物でも1部あたり数十円、雑誌の場合は平均で数百円ほどの印刷費用が必要です。
取材費や記事執筆の原稿料・レイアウトにかかる費用も無視できませんが、フリーペーパー発行にかかる制作費用のうち印刷コストが大半を占めます。それにも関わらずフリーペーパーが無料で配布できるのは、紙面(誌面)に広告を掲載することで制作費用をまかなえるというのが主な理由です。
有料の新聞や雑誌にも広告が掲載されているとは言え、制作コストの全額をカバーできるほどの収入にはなりません。フリーペーパーは有料の新聞や雑誌よりも全般に制作コストが安い上に、広告の割合も増やすことで費用の全額をまかなうことが可能になっているのです。
フリーペーパーの広告掲載料
一般に新聞や雑誌の広告掲載料はA4サイズだと数百万円程度が平均的な相場で、全国紙に全面広告を出す場合は1千万円以上に達する場合も珍しくありません。フリーペーパーの場合は1ページ分に相当するA4サイズの広告で、50万円から80万円程度が掲載料の相場です。
広告のサイズが小さくなるほど掲載料が安くなり、A4の1/2サイズで30万円から40万円程度、1/4サイズになると10万円から20万円程度まで下がります。最も小さい1/16サイズなら3万円から5万円程度で広告が掲載できるため、地域の商店街で営業している小規模の店舗や中小企業でも出稿しやすい価格です。
フリーペーパーの印刷費用はページ数や部数・カラー印刷の有無によっても違ってきますが、数千部程度の少部数なら10万円ほどで印刷できます。広告を多く掲載すればするほど収益が増えるように思いがちですが、発行部数が少ないと広告掲載料も低く抑えられがちです。
発行部数を増やせば広告を掲載してくれる企業も見つかりやすくなり、部数と比例して掲載料も上がってきます。このようにフリーペーパーの広告収入は発行部数に応じて増減するため、赤字を出さない程度に費用を抑えるのが収益化に向けたポイントです。
フリーペーパーを配布する方法
インターネット上に開設するホームページやブログなどと違って、紙に印刷されるフリーペーパーは読者に配布するプロセスが必要です。フリーペーパーを配布する方法としては、以下のような手段が考えられます。
- 駅や書店・コンビニ・公共施設などに設置されたラックに置かせてもらう
- ポスティングを使って戸別に配布する
- 新聞とともに折込で配達してもらう
- 街角で通行人に直接手渡す
- 配布を希望する企業にまとめて郵送する
店舗や施設などに設置されたラックに置く方式は、飲食関係や求人関係など認知度度が高めのフリーペーパーに向いた配布の手段です。このようなラックに置かれたフリーペーパーは読者が自分から取りに行く必要があるだけに、興味を引くような内容でないと手に取ってもらえません。スタートしたばかりで知名度がまだ高くないうちは、ポスティングや新聞折込で配布した方が読まれる確率が上がります。
新聞折込は新聞を購読している家庭に限定された配布方法ですが、ポスティングなら新聞を取っていない人にも読んでもらうことが可能です。富裕層の多いエリアやファミリー層が多く住んでいるエリア、若者や学生が多いエリアなど、対象とする読者層に合わせて配布エリアを絞り込めるというメリットもあります。
街角で通行人にフリーペーパーを直接手渡しする配布方法も、ターゲットとなる読者層を絞り込むことが可能です。対象を限定することで読まれる確率が高くなり、フリーペーパーの知名度アップにもつながっていきます。特定の業界に役立つような情報を掲載したフリーペーパーを配布する場合には、対象となる企業に社員の人数分をまとめて郵送するのが効果的です。
フリーペーパーで広告収入を稼ぐコツ
単なる情報発信の手段としてフリーペーパーを発行するだけならともかく、副業の手段として広告収入を得るのが目的なら内容や配布方法にも一工夫が必要になってきます。フリーペーパーの発行を始めた当初は地元の企業や店舗に営業をかけたところで、制作費用を全額まかなえるほどの広告収入を得るのは容易でありません。
当初は赤字からのスタートでも、発行実績を積み重ねていけば広告主を獲得しやすくなってくるはずです。まずは発行開始から1年以内の黒字化を目指し、定期的な発行を続けていくことになります。
分業化で内容を充実させる
フリーペーパー発行を副業にしようとしても、自分ひとりですべての作業をこなそうとしていては定期的な刊行が困難です。取材に伴う写真撮影や記事執筆・DTPデザインなど、自分の苦手な分野があれば他の人に任せるという手もあります。
志を同じくする仲間と手分けをして制作するのが一般的でしたが、最近はインターネットを通じて作業を外注しているフリーペーパーの例も少なくありません。クラウドワークスやランサーズのようなクラウドソーシングを利用すれば、外部のライターやデザイナーにオンラインで仕事を依頼できるようになります。
作業を外注すれば報酬を支払う分の経費は増えますが、費用対効果を考えれば1人ですべての作業をこなすよりも合理的です。制作を分業化した方がフリーペーパーの内容も充実しやすくなり、読者の満足度にもつながっていきます。
ニッチなジャンルや中高年向け情報で勝負
今はインターネット全盛の時代だけに、スマホやパソコンを使えば情報が無料で手に入れられます。そんな時代に紙のメディアが生き残っていくには、ネット上では情報がなかなか見つからないニッチなジャンルで勝負するのが成功の秘訣です。それも新聞や雑誌・本をあまり読まない若年層をターゲットとするより、インターネットの利用率が高くない中高年層を対象にしたフリーペーパーの方が読まれやすいと言えます。
インターネット利用率が高い層にアピールするには、フリーペーパーと連動させたホームページやブログやSNSを開設して企画を組むのも効果的です。広告収入を増やすにはフリーペーパーの認知度や注目度をアップさせるのが近道ですので、地元の新聞社やテレビ局・ラジオ局にもメールで積極的に情報発信してみるといいでしょう。
フリーペーパーの発行部数とともにホームページの訪問者数もデータを集計した上で、広告掲載のメリットを企業にアピールすれば掲載獲得につながります。1社でも多く広告主を獲得すれば制作費用を上回る広告収入が得られるようになり、フリーペーパー発行が副業として成り立つようになるのです。
フリーペーパーで広告収入を稼ぐ方法まとめ
発行部数が激減している有料の新聞や雑誌と比べ、フリーペーパーは部数の減少幅が少なく抑えられています。インターネット全盛の中にあって紙メディアは時代遅れと思いがちですが、ネット利用率が低い層にもリーチできるというメリットは見逃せません。
普段はインターネットで情報を収集している人でも、紙に印刷された情報を新鮮に感じる場面は少なくないものです。わざわざお金を出して買おうとまでは思わなくても、無料なら読んでもらえる確率が高いと言えます。
制作過程で写真撮影や記事執筆・DTPレイアウトなどの作業を外注すれば、多忙な会社員でもフリーペーパーを発行することは十分に可能です。軌道に乗るまでは制作費用を自分で負担する必要もありますが、フリーペーパーの認知度がアップして広告収入が増えれば黒字化も視野に入ってきます。フリーペーパー発行が副業になるほどの収益が得られるようになれば、当初の赤字も回収されるという仕組みです。