スニーカーは限定品やコラボ商品の価格が高騰しやすく、投資の対象としても人気が高まってきています。「値崩れしにくいのでリスクは低い」とも言われていますが、本当に危険がないのかどうか不安なところです。
実際には投資の世界で、100%安全な商品というものは存在しません。スニーカー投資にも失敗のリスクはありますが、やり方さえ間違えなければ失敗の確率を低く抑えられます。投資の分野では初心者であっても、「スニーカーが大好き!」という人なら十分に対応できるはずです。
そこで今回は時代のトレンドとなっているスニーカー投資について、初心者向けに基本情報をまとめてみました。この記事を読めば、趣味のスニーカー収集でお金を稼げるようになります。
スニーカー投資が人気の理由
ここ数年はスニーカーに投資する人が急増し、スニーカー専門の売買サイトまで登場している状況です。一部の商品は定価の10倍以上という高値で取引されるほど、ブームが加熱してきています。
転売目的で大手メーカーの抽選販売に参加する点に関しては、有識者の間で批判の声も少なくはありません。スニーカーに関しては転売というよりも、投資の対象として保有する風潮も見受けられます。
そんなスニーカー投資の動きはナイキの本社がある米国でブームに火がつき、日本を始めとする世界各国に飛び火している状況です。それまでアパレルの分野には関心がなかった投資家までが市場に参入する事態となっていますが、スニーカーにはもともと熱心なコレクターが存在していました。
限定販売されるスニーカーは市場に出回る商品の数が極めて少ないため、マニアにとっては垂涎の的です。彼らは定価の何倍以上という割高な代金を支払ってでも、欲しい一品を手に入れようとします。
そうやって価格が高騰したスニーカーも、発売当初は定価で販売されていたはずです。スニーカーの投資家は将来的に大きく値上がりする商品を発売段階で見極め、価格が高騰した段階で売却して利ざやを稼いでいます。こうなると株の売買で稼ぐのと変わりありませんので、スニーカーも投資の対象として認知されるようになったというわけです。
同じような手法で稼ぐ投資の対象には、他にも美術品や高級腕時計・ウイスキーなどさまざまな商品があります。その中でもスニーカーは若い世代に人気のアイテムだけに、投資者の平均年齢も低めなところが特徴です。10代や20代でも限定モデルを購入するだけの予算があれば、スニーカー投資が始められます。
スニーカー投資は本当にノーリスク?
スニーカー投資について解説した情報の中には、「値崩れしにくい商品なのでリスクが低い」という解説も見受けられます。これを見て「自分もやってみよう」と思った人がいるかもしれませんが、投資の世界でノーリスクの商品というのは存在しません。もし存在したら、誰もがみなその商品に投資しているはずです。
スニーカー投資の対象となる商品が「値崩れしにくい」というのは、定価割れが起きる可能性が低い商品を選んで購入した結果にほかなりません。つまり目利きが必要になってくるため、スニーカーに全然詳しくない人にとっては難易度が高い手法です。
どの商品が将来的に価格高騰するかを見極めるには、販売状況や値動きに関する最新の情報も必要になってきます。確かな情報と目利きで商品を厳選するという条件付きではありますが、投資でありながら損をするリスクは比較的低いというわけです。初心者が不十分な知識に基づいてスニーカー投資に手を出した場合には、赤字になるリスクも当然出てきます。
スニーカー投資のやり方
実際にスニーカー投資を始めるには、将来的に価格が高騰しそうな商品を安いうちに入手しておく必要があります。自分が所有するコレクションの中に高く売れそうな商品がある人ならともかく、普通はメーカーが発売した新商品を購入するような先行投資が必要です。
ネットオークションやフリマサイトなど、2次マーケットを利用して中古品を購入するという手もあります。購入した商品が値上がりしたところで売却し、購入代金との差額で利益を得るのがスニーカー投資の基本的な仕組みです。
そういう意味でスニーカーは一種の金融商品のように扱われているわけですが、銀行や証券会社などで扱っているわけではありません。商品の購入や販売は一般のマーケットを利用することになりますが、他の商品にはないスニーカー専門の市場が成り立っています。
フリマサイトなども含めた市場を利用してスニーカー投資を行う基本の手順は、以下の通りです。
- 価格相場や発売・再販情報をリサーチする
- 価格が上がりそうなスニーカーを購入する
- 場合によっては正規ショップの抽選に参加する
- プレ値になるまでスニーカーを寝かせる
- 価格が上がったところで売却する
それぞれ詳しく解説します。
価格相場や発売・再販情報をリサーチ
スニーカー投資で収益を出すには、値動きに関する事前のリサーチが欠かせません。すでに流通している商品の中で価格が上がってきている品が見つかったら、さらなる値上がりを期待して購入しておくのが投資の常套手段です。
その中には今が価格のピークで、今後は下落に転じる商品があるかもしれません。そういう値動きを見極める目は一朝一夕には身につきませんので、日頃からスニーカーの価格相場をよく観察しておく必要があります。
大手メーカーが抽選で販売する限定品のように、将来的な価格高騰が確実視される商品を定価で手に入れるのが理想です。抽選に当たるかどうかは運にも左右されますが、参加しないことには購入のチャンスも与えられません。
現在は流通数が少なく価格が高騰しているモデルでも、メーカーが再販すると市場価格は下落に転じるのが普通です。限定商品の発売情報や再販に関する情報をいち早く入手し、投資行動に反映させる対応力が求められてきます。価格相場の把握も含めたリサーチ力の差が、投資の成績を大きく左右してくるわけです。
価格が上がりそうなスニーカーを購入
以上のようなリサーチ結果を受けて将来的に価格が高騰しそうな商品が特定されたら、迷わずに購入することをおすすめします。スニーカーに投資している人は世界中に存在するため、「購入すべきか、それとも見送るべきか」などと迷っているうちに先を越されてしまうからです。
そういう思い切りの良さが求められるという点では、スニーカー投資も株やFXなどと変わりはありません。時には拙速な決断が裏目に出る場合もありますが、往々にして決断のタイミングを逸した方が損失を招きやすいものです。
投資の対象とするスニーカーの主な購入先は、以下のような店舗やサイトが挙げられます。
- スニーカーショップなどの実店舗
- メーカーの正規サイト
- スニーカー専門の売買サイト
- その他の通販サイト
- ネットオークションやフリマサイト
このうち実店舗で購入する場合、人気商品の発売日には行列に並ぶ覚悟も必要です。スニーカー業界で「一強」とも言われるナイキの正規サイトでは、限定商品の発売時に抽選が行われます。
いずれのケースでも、将来的な価格高騰が確実な限定モデルを定価で手に入れるのは大変です。中古も含めた発売済みの商品を入手するには、スニーカー専門の売買サイトを利用するという手もあります。
米国に本社を置くGOAT(ゴート)とStockXが、スニーカー専門の2大サイトです。日本にもスニーカーダンク(スニダン) という専門サイトが存在します。
ヤフオクやメルカリにもスニーカーは数多く出品されていますが、後述するように偽物を掴ませられる可能性もゼロではありません。GOATやStockX・スニーカーダンクのように真贋鑑定を行っている専門サイトの方が、中古品でも安心して購入できます。
プレ値になるまで寝かせる
株やFX投資の場合は購入後に価格が下落したタイミングで、早期に売却して損失を最小限に食い止める「損切り」の決断を迫られることもあり得ます。決断が遅れると価格がさらに下がり、巨額の損失を招きかねないからです。
スニーカー投資で商品を購入した場合でも、同じように価格が下落することはあり得ます。新商品の発売直後は価格が大きく上昇した後、いったん下落に転じるのが普通です。
このときに焦って商品を手放してしまう人もいますが、スニーカーに関してはしばらく寝かせた方が有利になるケースもよくあります。いったん下落した価格が時間の経過とともに上昇に転じ、じわじわと値上がりするケースも珍しくないからです。
特に限定モデルは市場に出回る数が少ないため、需要と供給の法則から見ても将来的に価格が高騰する可能性が高いと言えます。購入後した商品の価格が下がっても我慢して保有していれば、プレ値(プレミアム価格)がついたときに高く売れるようになるというわけです。
このようにスニーカーは株や貴金属・美術品などと同じように、保有しているだけで資産価値が高まることがあり得ます。購入した商品をすぐ売却せずにあえて「寝かせる」ことで、資産価値を何倍にも増やせる投資対象です。
価格が上がったところで売却
スニーカー投資で収益を得るには、寝かせておいた商品をいつかは売却しなければなりません。コレクションを兼ねてスニーカーに投資している人にとっては、愛着のある品を手放すのは惜しいと思うかもしれません。そこを「投資はビジネス」と割り切って、高値をつけてくれた人に譲り渡すのが投資家というものです。
売却先にはスニーカー専門の売買サイトの他、ヤフオクやメルカリを利用するという手もあります。ネットオークションやフリマサイトだと真贋鑑定の仕組みがないため、購入者の信頼をどうやって獲得するかが課題です。正規品のスニーカーを数多く出品してきた実績があれば、顔の見えない相手にも信頼されやすくなります。
実績が少ないうちは出品価格を安く抑えて落札されやすいようにしておいて、実績を積み重ねてから価格を上げるようにするのが無難なやり方です。スニーカー売買サイトに出品する場合は真贋鑑定を受けることになりますので、正規品であれば当初からプレ値での売却も可能になってきます。
プレ値がつきやすいスニーカー
株投資においては、配当金収入を見込んで長期運用を行うケースもよくあります。スニーカー投資でも商品を年単位で「寝かせておく」場合はありますが、長期間保有していても配当金のような収益還元の仕組みはありません。あくまでも売買を通じた購入代金との差額で、キャピタル・ゲインを得ようという投資の手法です。
したがって投資の対象とすべきスニーカーは、何らかの理由でプレ値がつくことが予想される商品ということになります。市場で流通するスニーカーに定価の2倍以上という高値がつくのは、以下のようなケースです。
- 大手メーカー(主にナイキ)の限定モデル
- 他の企業やアーティストとのコラボ商品
- 有名人が着用した商品
それぞれ詳しく解説します。
大手メーカーの限定モデル
ナイキなどの大手メーカーでは、スニーカーの数量限定モデルを発売しています。限られた点数の発売に購入希望者が殺到するため、抽選で当たった人にのみ購入の権利を与えるのが一般的です。
実店舗で限定モデルを購入するには、発売日に開店前から行列に並ぶ必要があります。SNKRS(スニーカーズ)という専用アプリを使えば、店頭に並ばなくてもナイキの限定スニーカーを購入することが可能です。
ただし抽選に当たる確率は10%以下で、当然のことながら落選した人は購入できません。だからこそナイキのスニーカー限定品は希少価値が高く、発売から時間が経つにつれて価格が高騰しやすいわけです。
発売当初の価格高騰が一段落した後はいったん下落に転じるのが普通ですが、辛抱強く寝かせているうちにプレ値がついて再上昇する例もよくあります。ナイキ以外のメーカーでも、限定発売の商品はプレ値がつきやすいので狙い目です。
コラボ商品
限定品に次いでスニーカーにプレ値がつきやすいのは、ラッパーなどの有名アーティストや他のブランドとのコラボ商品です。発売当初から高価格帯で売り出される例が多いせいか、コラボ商品も市場に流通する数が決して多くはありません。限定品と同じ理由で需要が供給を大きく上回ることになるため、自然とプレ値がつきやすくなるわけです。
コラボ商品は話題性が高いだけに、仕入れ値が割高でも投資向きの商品となります。メーカーのプレスリリースやSNSでコラボ商品の発売予定がないかどうか、随時チェックしてみるといいでしょう。
有名人が着用した商品
話題性という点でコラボ商品に劣らないのが、有名人が実際に着用したスニーカーのモデルです。日本でもアーティストや芸能人が履いたスニーカーが話題になり、売れ行きが急増した例はありました。
インスタグラムなどのSNSで愛用のスニーカーを公開している有名人もいます。有名人が着用したからと言って必ずプレ値がつくとは限りませんが、価格が高騰するきっかけになり得るのは確かです。
スニーカー投資で失敗しないための注意点
冒頭でも紹介しましたが、スニーカーは投資の対象として値崩れがしにくい商品だと言われています。ノーリスクで稼げるように思いがちですが、リスクが皆無の投資商品というものは存在しません。スニーカー投資にも失敗のリスクはありますので、記事の最後に注意点をいくつか挙げておきます。
スニーカー投資で注意すべきポイントは以下の通りです。
- 偽物に注意
- 保管方法に注意
- 原価割れのリスク
1つ1つ詳しく解説します。
偽物に注意
バッグや財布・洋服などの分野では偽ブランド品が市場に出回り、売買に関わった人の中から逮捕者も出ています。スニーカーも例外ではなく、素人目には本物と見分けがつかないほど精巧に作られた偽物が大量に流通している状況です。
偽物と知りながら転売目的でスニーカーを所有するのは、ブランドバッグなどと同様に商標法に反する違法行為です。偽物と気づかずに購入してしまった場合は罪に問われませんが、正規品でなければ高値で売れなくなってしまいます。
ネットオークションやフリマサイトでは、相場を下回る格安価格で人気スニーカーが出品されている例も珍しくありません。将来的にプレ値がつきそうな商品を比較的安く入手できる点では、スニーカー投資で利用するのに便利な仕入先です。
その代わり運営サイトの側で真贋鑑定を行っているわけではないため、偽物に当たるリスクも出てきます。出品者がどれだけ信頼できるのか、過去の出品実績や評価などを基準に自己責任で判断するしかありません。
SNKRSを含むメーカーの正規サイトでは定価で購入することになりますが、偽物に当たるリスクがないという点では最も安全な購入手段です。前述のGOATやStockX・スニーカーダンクといったスニーカー専門の売買サイトも、独自の真贋鑑定をクリアした商品だけが販売されている点で信頼性は高いと言えます。
原価割れのリスク
偽物でないことが証明された正規品のスニーカーであっても、購入時の価格より高値で売れるとは限りません。市場価格が定価の何倍にも高騰しているのは、ごく一部の限定モデルやコラボ商品などに限られます。
需要と供給のバランスが釣り合っている商品は価格相場が安定し、リーズナブルな価格で売買される例も少なくありません。さらなる価格高騰の予想からあえてプレ値で購入した商品のブームが去り、定価を大きく割り込んでしまうという事態も考えられます。
こうなると売却時の価格が仕入れ値を下回る原価割れの状態に陥って、せっかくのスニーカー投資も赤字になりかねません。投資の世界で原本割れのリスクはスニーカーに限った話ではありませんが、「値崩れしにくい」は「値崩れしない」とイコールでない点に注意が必要です。
保管方法に注意
スニーカー投資で収益を増やそうと思えば、売却益を再投入して新たな商品を次々と購入することになってきます。購入したスニーカーはすぐに転売せず、プレ値がつくようになるまで寝かせておくのが高く売るコツです。
寝かせておくスニーカーの数が増えてくると、今度は保管場所が問題となってきます。何百足、何千足も保管しているコレクターの場合、専用の保管場所をレンタルするのに費用を投じているほどです。
スニーカーは光の影響を受けて経年劣化しやすいため、直射日光だけでなく室内灯の明かりも黄ばみの原因となります。暗い部屋に保管しておくとしても、カビを防ぐため定期的に半日程度の天日干しを行う手入れも必要です。
スニーカーのソール部分には、ポリウレタンと呼ばれる素材が使われている例が多く見られます。ポリウレタンは水分と化学反応することで加水分解を起こし、時間が経つと未使用の品でもボロボロになってしまうという点に注意が必要です。
日常的に履いていれば加水分解をある程度防げますが、商品価値を維持するために長期間寝かせておいた場合には加水分解を起こしやすくなります。
シューキーパーを入れたスニーカーを乾燥剤と一緒に圧縮袋で真空パック保存すれば、加水分解を防止することも可能です。保管場所のレンタルや真空パックには費用もかかりますが、そうやって寝かせておいたスニーカーが高値で売れれば費用の分を取り戻せます。
まとめ
スニーカーの限定モデルやコラボ商品は値崩れしにくいため、投資商品としては失敗のリスクが低いと言われています。実際には100%ノーリスクの投資対象は存在せず、スニーカー投資にも赤字になるリスクはあります。こうした失敗を防ぐには、将来的に値上がりする可能性が高い商品を見分ける目利きが必要です。
大手メーカーのスニーカーは偽物も多く出回っていますので、正規品を確実に購入できる仕入れルートも確保しておく必要があります。その上で保管方法に注意しながらスニーカーをしばらく寝かせておき、プレ値がついたタイミングで売却するのが稼ぐコツです。それまで我慢して保有できるかどうかが、スニーカー投資の成否を左右する最大のポイントと言えます。