個人が作成したデジタルコンテンツを販売できる新たなプラットフォームとして、noteと呼ばれるウェブサービスが話題を集めています。noteは記事をブログのように無料で公開するだけでなく、さまざまな種類の有料コンテンツを販売することも可能なサービスです。noteを使って実際に月10万円以上稼いでいる人もいるだけに、副業の手段としても大きな可能性を秘めています。
一方でnoteは有名な人の書いた記事や作品しか売れず、誰でも簡単に稼げるわけではないと言われているのも事実です。本当のところはどうなのか、有料noteが売れる仕組みと販売の実態についてまとめてみました。
有料コンテンツが販売できるnoteとは?
2014年にサービスを開始したnoteは利用者が年々増えており、2019年にはアクティブユーザー数が月間2,000万人を上回りました。note内には無料で公開されている記事も少なくありませんが、投稿する記事や作品を有料公開に設定できる点が最大の特徴です。一般的なブログは広告を掲載することで収入を得る仕組みですが、noteは広告でなくコンテンツそのものを販売することで収入を得るという大きな違いがあります。
noteに投稿できるのは、「トーク」「イメージ」「テキスト」「サウンド」「ムービー」という5種類のデジタルコンテンツです。このうち有料公開の対象となっているのはテキストとイメージ・サウンドの3種類で、記事や写真・イラスト・漫画・音楽などが含まれます。短文テキストや画像を投稿してフォロワーと会話をするトークや、YouTubeなどに投稿した動画と連携するムービーは有料公開の対象外です。
noteでコンテンツが販売できる仕組み
noteにコンテンツを投稿する際には無料公開と有料公開を選べるようになっていて、有料公開の場合は100円から10,000円の範囲で自由に価格設定できます。記事の途中まで無料で公開し、ここから先は有料という設定も可能です。無料公開しているコンテンツであっても読者に評価されれれば、「サポートする」ボタンを押してもらうことで投げ銭収入が得られる可能性があります。
noteで発生した売上は全額が自分の収入になるわけではなく、決済手数料とサービス利用手数料を引いた残りが実質的な収入額です。決済手数料はクレジットカード決済で売上額の5%、携帯キャリア決済は15%となります。システム利用手数料が一律で10%と決められているため、最終的には14.5%から23.5%の手数料が引かれる計算です。売上の合計が1,000円以上になると登録口座に振込できるようになりますが、その際にも260円の振込手数料がかかります。
プレミアム会員の特権
500円の月額料金を払ってnoteのプレミアム会員になると、有料コンテンツを販売する上でさまざまな特権が得られるようになります。コンテンツの販売価格は無料会員だと10,000円が上限ですが、プレミアム会員は50,000円まで価格設定することが可能です。絶大な販売促進効果を発揮する数量限定販売も、プレミアム会員だけに認められた特権の1つに数えられます。
noteにはテーマごとに記事をまとめたマガジンを作成する機能もあり、記事や作品を雑誌のようにまとめて公開することができます。一般の会員でも作成できる無料マガジンと有料マガジンと違って、月額課金制の定期購読マガジンはプレミアム会員だけが作成できるマガジンです。審査に通る必要はありますが、定期購読マガジンを購読してもらうことで安定した収入を稼げる可能性が出てきます。
noteのコンテンツ販売は本当に稼げる?
デジタルコンテンツを販売する手段としてはネットショップ作成サービスや電子書籍サービスなど、note以外にもさまざまなプラットフォームが存在します。そうした中でnoteは簡単な手順でコンテンツが販売できる点が人気の一因となっていますが、記事を有料公開してもなかなか売れないという声が少なくありません。
月間アクティブユーザー数が2,000万人を突破したとは言え、ブログやSNSに比べるとnoteの利用者はまだまだ少数派です。Kindleなどの電子書籍と比較した場合でも、noteで有料コンテンツを購入している人は決して多くないものと見られます。
広告収入で稼げるブログや巨大市場を持つ電子書籍に比べると市場規模がまだ小さいだけに、noteのコンテンツ販売を副業として成り立たせるのは簡単ではありません。とは言えnoteで実際に稼いでいる人が存在するのも事実ですので、やり方次第では副業の新しい稼ぎ方となり得る可能性は秘めています。
簡単には売れない有料コンテンツ
すでにブログやSNSなどで情報発信していて知名度を持つ人であれば、noteでもフォロワーを容易に集められるため有料コンテンツが購入されやすくなります。ブログやSNSで検索すればたいていの情報が無料で手に入るだけに、無名の人が作ったコンテンツにお金を払って購入してくれる人はほとんどいないのが実状です。
一方でnoteにはコンテンツに対して読者やファンがコメントを投稿したり、SNSに拡散したりして交流できる機能もあります。noteは特にTwitterなどのSNSと相性が良いと言われており、コンテンツを購入している人の多くは検索エンジンではなくSNSからの流入組です。
2019年11月にドメインを「mu」から「com」に変更したことで、SEOに弱いと言われたnoteも検索エンジン対策が強化されつつあります。検索上位に表示されるノート記事も増えてはきましたが、限定公開の有料記事は上位に表示されにくいのが現状です。無名のうちはSNSと連携しながらnoteの有料コンテンツを宣伝し、知名度を高めていく努力が必要になってきます。
noteでは情報商材の販売禁止?
noteで販売されている有料コンテンツの中でも、ネットビジネスやアフィリエイトなどに関するノウハウ記事は売れ筋商品の1つです。具体的な数字を根拠として収益を得るためのノウハウをまとめた有料コンテンツは、一般に情報商材と呼ばれています。noteでは情報商材の販売が規約違反とされているだけに、ノウハウ系の記事を有料コンテンツとして販売したい人にとっては気になるところです。
noteのクリエーター規約に記載された情報商材に関する禁止事項としては、以下のようなケースが挙げられます。
(7)マルチ商法等、当社がユーザーに不利益をもたらすと判断する情報商材。
(9)「必ずもうかる」等、ユーザーに著しい誤解を招く表現を用いたもの。
(14)マルチ商法等当社がユーザーに対して不利益をもたらすものであると判断する情報商材の宣伝に直接若しくは間接的に利用するもの。
(noteクリエイター規約 https://note.com/terms)
noteでは情報商材に分類されるようなノウハウ系コンテンツの販売全般を禁止しているわけではなく、個別に判断しながら柔軟に対応しています。高額な価格設定でも値段に見合った内容のコンテンツであれば問題ないはずですが、情報商材に対するクレームの多くは価格と内容が釣り合っていないという事例です。現状では情報商材に該当するようなコンテンツもnoteで有料販売されているだけに、今後はさらなる規約改定でノウハウ系コンテンツが販売しにくくなる可能性もあります。
まとめ
購入ユーザーにとって真に価値のある有料コンテンツが増えていけば、販売プラットフォームとしてのnoteもよりいっそう盛り上がると予想されます。まったく無名の人がゼロからコンテンツを作成してnoteで販売しても、そう簡単には売れないのも事実です。現状で有料コンテンツが売れている人はnote外でも知名度が高く、ブログや情報商材で稼いだ実績を持つ人たちが中心となっています。
漫画やイラスト・写真・音楽などのアート系・エンタメ系コンテンツは作品自体に価値があるだけに、独自性が高ければ高いほど売れる可能性を秘めた無形の商品です。何らかの情報を記事コンテンツの形で販売する場合には、その情報がブログ等で無料でも読めるのかどうかが価値判断の基準となってきます。コンサルタントと契約しなければ得られない種類の専門的な情報や、検索しても簡単には見つからない貴重な体験談なら購入されるだけの価値があるコンテンツです。
現状のnoteではどれだけ価値あるコンテンツを販売しても知名度がなければ売れない状況ですが、当初は無料コンテンツの形で公開してフォロワーを増やすという手もあります。noteはコンテンツそのものよりも、人に対する信頼で購入されるかどうかが決まるプラットフォームです。SNSとの連携なども含めた手段でユーザーとの信頼を築いていけば、noteでの有料コンテンツ販売も副業として立派に成立するようになります。
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