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テレグラムを使う人が増えている理由とは?闇バイトへの悪用例も懸念

仕事術
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日本では日常的なメッセージのやり取りを行うアプリとしてLINEがよく使われますが、最近はテレグラム(Telegram)と呼ばれるアプリを使う人が増えています。ロシア人の技術者が開発したテレグラムはセキュリティの高さが特徴で、通信速度も速いことから仮想通貨の情報収集などに利用されてきました。

メッセージのやり取りが自動的に消せる機能もテレグラムの人気が高まっている理由の1つですが、匿名性の高さゆえに闇バイトなどの犯罪にも悪用されている実態があります。光と影の両面があるテレグラムとはどのようなアプリなのか、闇バイトに引っかからないための心得と合わせた基本情報をまとめてみました。

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テレグラムとは?

日本での知名度はLINEほど高くありませんが、テレグラムは世界で約4億人の人が利用している無料通信アプリです。LINEのユーザー数は世界で約2億人ですので、海外ではLINE以上にテレグラムが普及している様子も見て取れます。

テレグラムとは「電報」を意味する英語の「telegram」に由来する言葉で、電話が普及する以前の時代には肉親の危篤などを知らせる手段として広く利用されていました。そんな「電報」の名を持つ無料通信アプリがロシア人兄弟によって開発され、2013年に運用が開始されて以降は世界に利用が拡大していったのです。

テレグラムはiPhoneやAndroidのスマホはもちろん、WindowsやMac、Linuxといったパソコンでも利用できます。基本的な機能はLINEとよく似ていますが、メッセージのやり取りが暗号化されることでセキュリティが高く保たれる点が特徴です。

チャット機能には通常のチャットとプライベートチャットの2種類があり、プライベートモードでのやり取りは管理者も含めて第三者が見ることはできません。メッセージの履歴を消去するとチャット相手の端末からも履歴が消去される仕組みで、設定時間後に自動的に削除されるよう設定することも可能です。チャット以外に音声通話や画像・動画などデータのやり取りも可能で、最大20万人までのグループを作ることができます。

テレグラムは海外製のアプリで初期状態ではメニューが英語ですが、日本語化チャンネルにアクセスすることで日本語のメニューにすることも可能です。自分でチャンネルを作成して情報発信することも可能で、テレグラム内で検索したユーザーにチャンネルを見てもらえるようになります。

これだけ便利な機能を広告なしでもすべて無料で利用できるのは、テレグラムを運営しているのが非営利企業ならではのメリットです。LINEやX(旧Twitter)など他のSNSも無料とは言え、営利企業が運営している関係でどうしても広告が入ります。

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仮想通貨の情報発信で利用が拡大

日本ではこのような無料通信アプリの分野でLINEが広く使われているせいか、テレグラムの知名度はそれほど高くありません。仮想通貨を利用したICOと呼ばれる手段で約1,800億円という巨額の資金調達に成功した経緯もあって、テレグラムはこれまで仮想通貨の投資家に重宝されてきました。テレグラム上では仮想通貨に関連したニュースがチャンネルを通じて随時発信されており、仮想通貨取引所の公式チャンネルや銘柄ごとのコミュニティでも有益な情報が得られます。

仮想通貨は株式市場やFX以上に値動きが激しいだけに、投資を行う際には最新情報に絶えず目を光らせていないと思わぬ損失につながりかねません。値動きに直結する情報をいち早くキャッチするためのツールとしての機能に優れるせいか、テレグラムを導入しているかいないかで情報力に差が出るほどです。こうして仮想通貨界隈では以前から利用されてきたテレグラムは秘匿性の高さゆえに、最近は闇の勢力の間でも悪用されるようになってきています。

闇バイトの連絡目的に悪用も

X(旧Twitter)などのSNSで「高収入」「闇バイト」などのキーワードを打ち込んで検索すると、怪しげな仕事を募集する投稿が大量に見つかります。「バイト」と称してはいますが、そうした闇バイトの実態は特殊詐欺など犯罪行為の実行役です。

特殊詐欺グループは反社会的勢力の構成員を頂点とするピラミッド構造をしていて、首謀者の下に位置する指示役が受け子や出し子などの実行役に指示を出すことで組織的な犯行が実施されてきました。指示役はリクルーターを兼ねている例も多く、SNSに「手っ取り早く高収入が稼げるバイト」などと投稿して実行役を募集します。

被害者宅までキャッシュカードを取りに行ったり、そのキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出したりするのが、SNSで募集される実行役の「仕事」です。中には「叩き」と称して、アポ電強盗を行うような荒っぽい手口も見られます。

2022年に発生した一連のルフィ広域強盗事件でも、犯行グループの連絡手段にテレグラムが使われていました。「ルフィ」や「キム」などを名乗る指示役がテレグラムを使用して、実行役に指示を伝えていたものと見られます。

いずれのケースでも逮捕のリスクが最も高いのは、闇バイトの募集で集められた実行役です。犯行グループの中では、実行役は「使い捨て」の扱いでしかありません。

以前は指示役と実行役の連絡手段としてLINEが使われていましたが、メッセージをやり取りした痕跡が端末に残されるため足がつきやすいという欠点がありました。たとえメッセージを消去しても、専門家の手にかかればLINEだと復元されてしまうのです。

LINEは誰でも気軽に利用できる便利さの一方で、以前にもアカウントが乗っ取られてなりすましの被害が多発したように、セキュリティの面では決して万全とは言えません。その点でテレグラムのプライベートチャットなら当事者でない人がメッセージのやり取りを見ることができない上に、一定時間が経てばメッセージが自動的に消去されるように設定することもできます。いったん消去されたメッセージはLINEと違って復元が困難なため、証拠を残したくない特殊詐欺グループにとっては好都合です。

それまでは主に仮想通貨界隈で利用されていたテレグラムが、こうして良からぬ目的に悪用されるようになってしまいました。特殊詐欺の被害が跡を絶たないのも、最先端技術を導入した詐欺グループが捜査の網をくぐり抜ける術を身につけているからなのです。

テレグラムCEOがフランスで逮捕

テレグラムはロシア人のパーヴェル・ドゥーロフとニコライ・ドゥーロフという兄弟によって創設されました。テレグラムのCEO(最高経営責任者)はパーヴェル・ドゥーロフ氏です。

テレグラムの創業者にして現CEOのパーヴェル・ドゥーロフ氏が、2024年8月になってフランス警察に逮捕されました。氏はフランス国籍を取得していて、仕事の関係でフランスの空港に到着した際に拘束されたようです。

逮捕の理由は「犯罪に対する予防策を取らず、捜査にも協力的でなかった」と報じられています。テレグラムは日本でも詐欺や広域強盗事件で、犯行グループが連絡手段として悪用していました。海外では麻薬や児童ポルノなど違法な取引にも利用されていています。

テレグラムを利用して実行された犯罪に対して、運営会社のトップにも責任があるとフランス当局に判断された模様です。不正利用の責任を負わせられた点に関しては、テレグラム側が「不合理だ」という声明を出しています。「EUの法律を遵守している」とも主張していて、今後裁判になった場合の行方が注目されます。

SNSの怪しいバイト募集には要注意


闇バイトに手を出しているのは、根っからの悪人ばかりかとも言い切れません。「高収入」「手っ取り早く稼げる」などという甘い誘い文句に釣られ、普通の学生や若者が実態をよく知らないまま応募してしまう例が相次いでいます。

2020年以降はコロナの影響で、飲食店などバイト先の売上が激減しました。シフトを減らされたり解雇されたりして、生活苦に陥る人が続出したものです。手っ取り早く高収入が稼げると称する闇バイトの募集を見て、目がくらんでしまったのも無理はないと言えます。

このような闇バイトの募集は一般のアルバイト求人サイトに掲載されないのはもちろん、GoogleやYahoo!などで普通に検索したのでは見つかりません。だからこそ「闇バイト」と呼ばれているわけですが、Twitterで検索すれば募集が簡単に見つかる状況です。Googleなどの検索エンジンと比べて品質ガイドラインが甘いせいか、こうしたSNSは闇バイト勧誘の温床となっている面があります。

SNSで募集される闇バイトの実態

SNSで誘導した人とのアプローチに成功したら、以後の具体的な犯行指示を行う連絡には秘匿性の高いテレグラムに切り替えるのが詐欺グループの常套手段です。SNSで募集されているバイトに応募し、テレグラムをインストールするように指示されたら、何か良からぬ目的があるものと疑う必要があります。

被害届を受けて警察が捜査に乗り出しても、その時点ではテレグラム上からメッセージがすでに削除されていて復元もできません。そのためピラミッド構造で指示役から上の層にまで捜査の手が及ぶのは困難になりつつありますが、防犯カメラなどに証拠が残される実行役は逮捕のリスクが高くなります。詐欺グループも末端の実行役は使い捨ての駒ぐらいにしか思っていない節が見られ、「ノーリスク」「安全」などと虚偽の誘い文句で闇バイトを募集しては犯行を繰り返させているのです。

こうした実態は新聞やニュースサイトでもたびたび報じられ、NHKの番組でも紹介されました。そうした報道に接していれば闇バイト募集のリスクにも気がつくはずですが、SNS上では必ずしも正しい情報ばかりが流布されているとは限りません。

お金に困ってSNSの闇バイト募集に応募してしまうような学生や若者の多くは、そうした報道番組やニュースサイトを見る習慣を持たないような人たちです。ガイドラインのしっかりした検索エンジンを使って情報を検索せず、インスタグラムやXで検索した情報だけを鵜呑みにするのもおすすめできません。闇バイトの募集に引っかかってしまった人たちは普段からSNSの不確かな情報にしか接していないために正しい判断ができず、表面的な甘い誘いについつい乗ってしまったものと見られます。

結果的に特殊詐欺やアポ電強盗・持続化給付金不正受給などの犯罪に手を染めてしまったからと言って、彼らや彼女たちがモラル意識を欠いた悪人とは限りません。生活苦に陥る人が続出しているのに救済制度が十分でなく、正しい情報が伝わっていない現状にも問題があります。テレグラムという強固なセキュリティを誇る無料通信アプリが登場したことで、そうした風潮にますます拍車がかかっているのが闇バイトの実態なのです。

テレグラムを使う人が増えている理由まとめ

以上のような闇バイトの実態があるとは言え、テレグラムを使っている人のすべてが犯罪目的というわけではありません。テレグラムの使用そのものは決して違法ではなく、ビジネスを目的としてセキュリティを重視しながら情報発信するような使い方も想定されます。際に仮想通貨の関連ではチャンネルを利用した情報交換も活発な状況ですが、メッセージのやり取りが復元不能な状態に完全消去できるという点は特殊詐欺などに悪用されかねません。

SNSを通じてバイトに応募した場合の連絡手段としては、普通ならLINEでも十分なはずです。日本での普及率がLINEほど高くないテレグラムを使用するように求められた時点で、誘いに乗ろうとする心にブレーキをかければまだ間に合います。テレグラムを使う人が増えている裏の事情を知っていれば、闇バイトにも引っかからずに済むのです。

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