当ブログではこれまでにメダカや錦鯉・熱帯魚など、観賞魚の養殖で稼ぐ方法について紹介してきました。特にメダカの養殖は副業の手段として人気が高まっていますが、ペットで飼う魚と言えば金魚も昔からの人気者です。メダカや熱帯魚の養殖が副業になるなら、流通量の多い金魚でも十分に可能と考えられます。
金魚を繁殖させて増やす方法は確立されていますので、あとは増やした金魚をどうやって売るかが問題です。金魚を売る方法を3つのパターンに分け、価格相場とともに情報をまとめてみました。意外に難しいと言われる金魚繁殖のコツについても、記事の後半で詳しく解説します。
金魚の養殖は副業でも可能!
金魚の養殖業が盛んな地域では業者の運営する養魚場があって、育てられた金魚が全国の卸業者に向けて出荷されています。ペットショップや観賞魚店はもちろん、金魚すくいの屋台で使う金魚もこうした業者から仕入れるのが一般的です。
個人のレベルでは金魚の養殖など難しいように思いがちですが、飼育や繁殖なら一般の愛好家も普段から取り組んでいます。収益性という面で課題はありますが、個人でも金魚の養殖をやってできないことはありません。
金魚の養殖だけで生計を立てていけるほどの収入を得るには、少なくとも数百坪クラスの土地が必要です。いきなり本業にするのは難しくても、副業なら月に数万円程度の収益でも経営が十分に成り立ちます。
繁殖期に金魚のオスとメスを一緒にして産卵させ、孵化した稚魚を育てた上で、ある程度大きくなってから売るのが金魚養殖の基本です。金魚すくい用の金魚だと二束三文でしか売れませんが、珍しい種類の個体なら高値で売れる可能性があります。
希少価値の高い種類を選別して大切に育て、高収益を狙うのが金魚養殖の醍醐味です。普段から観賞魚の飼育を趣味としている人なら、楽しみながら同時に収入も得られる点で、一石二鳥の副業になり得ます。
金魚を売る方法3選
金魚の養殖で収入を得るには、繁殖させて増やした個体を何らかの手段で売る必要があります。江戸時代には天秤棒でたらいを担いで歩く「金魚売り」が存在しましたが、夏の間だけ働く短期バイトのような仕事でした。
流通手段が進歩した現在では、ペットショップや観賞魚店で金魚を購入するのが一般的です。ホームセンターでも金魚は売られていますが、それらの店は卸業者から商品を仕入れています。
一見するとこうした流通の過程で、一般の個人が付け入る隙は見つからない状況です。実際には流通の初期段階で、個人の金魚ブリーダーが関わっている例も珍しくありません。
個人対個人の取引を可能にするネットオークションも含めると、個人が育てた金魚を売る方法は複数考えられます。自宅の敷地内に無人販売所を設置するような売り方や、道の駅を利用して委託販売する売り方もその1つです。そうしたマイナーな販売方法を除いて、多くの金魚ブリーダーが実際に利用している販売方法を3つ紹介します。
金魚の買取サービスを利用
金魚を売る方法の1つ目は、観賞魚の買取サービスを利用する売り方です。普通のペットショップやアクアショップでは店の人とよほど懇意にならない限り、個人客が金魚を買取してもらおうとしても普通は断られます。
ホームセンターでも事情は同じですが、観賞魚を扱う販売業者の中には例外もないではありません。さまざまな事情から飼育できなくなった観賞魚の買取をしている業者や、ブリーダーを対象として買取に応じている業者も存在します。
三卯養魚場の買取サービスは会員登録したブリーダーが対象で、店舗での買取だけでなく地方からの発送も可能です。現在は現金での買取が停止中となっていて、査定額相当の器具と交換する形での買取となります。
全国に20以上の店舗を展開するアクアショップのかねだいも、金魚や熱帯魚などの買取を行っている店の1つです。出張買取も可能ですが、生体のみの場合は手数料が8,800円かかります。出張買取の対象地域は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県で、他にも5,000円から10,000円の追加料金で16府県への出張が可能です。
以上の2店以外にも地域限定で金魚の買取を行っている業者がありますので、「金魚 買取 地域名」のキーワードで検索してみるといいでしょう。
金魚のオークション(競り市)に出品
金魚を売る2つ目の方法は、競り市に出品してオークションにかける売り方です。愛知県の弥富と奈良県の大和郡山・東京都の江戸川は昔から金魚の3大産地と言われていて、金魚の競り市も定期的に開催されてきました。都市化が著しい東京江戸川に代わって、熊本県の長洲や埼玉県の加須を3大産地に入れる数え方もあります。
そうした金魚の産地以外でも、錦鯉の競り市に金魚が出品されている例は少なくありません。決まった金額の参加料を払うケースもあれば、落札金額の1割程度を手数料として引かれたりするケースもあります。出品すれば必ず売れるとは限りませんが、買取に出すより高く売れる可能性があるという点が競り市の魅力です。
ヤフオクに出品
金魚の競り市は場所や日時の制約もありますが、ネットオークションを利用すれば365日全国どこからでも金魚を販売できます。生き物の出品が禁止されているメルカリなどと違って、ヤフオクなら魚類や両生類・昆虫の出品が可能です。
ヤフオクでは金魚の出品も活発な状況で、この記事を書いた時点では2,000件近い出品が確認されました。過去180日間に落札された例も5,000件近くに及び、中には1万円以上という高値での落札例もあります。約18万件も落札されているメダカと比べると少なめですが、金魚の販売方法としては最もハードルが低い売り方と言えます。
金魚の価格相場
金魚の養殖を副業とするに当たって、気になるのは「いくらで売れるのか?」という点です。同じ金魚でも1匹100円程度で売られている安い種類があれば、1万円以上する高価な種類もあります。珍しい種類の金魚ほど高値で売れるのは当然の法則ですが、販売価格は売り方しだいで違ってくるのが普通です。
通常の流通ルートで販売される場合、生産者が手にする金額は最終的な小売価格の10%から20%程度と言われています。間に卸業者と小売業者が入ることで中間マージンが引かれるため、ブリーダーの取り分は小売り価格の何分の1に減ってしまうからです。
祭りの屋台でよく見かける金魚すくい用の金魚は、小赤と呼ばれる小さな和金で卸価格が1匹10円から20円程度とされています。価格相場は季節によっても変わり、金魚の数が少ない4月から6月は高めです。
3月から6月にかけての繁殖期を経て金魚の流通量が増え、6月から12月にかけての時期は価格相場が半分ほどに下がります。これは金魚すくいの店で仕入れる際の原価ですので、養魚場などの生産者に支払われる金額はその半分かそこらと推定されます。
愛好家向けの金魚は個体によって価格差が大きく、色やサイズ・尾の形で値段が大きく変わってきます。ペットショップやホームセンターでは1匹100円程度で買える種類もある一方で、1匹1万円以上の高値で売られている種類もあるという具合です。
小売価格が1万円以上する高価な金魚でも、買取サービスを利用した場合はその何分の1という値段でしか売れません。ヤフオクに出品すれば金魚の愛好家と直接取引することが可能になるため、落札価格は小売価格に近づきます。
珍しい種類の金魚を出品して「欲しい」という人が複数出た場合、落札価格が釣り上がる可能性もあります。過去180日間に落札された金魚の最高額は9万円台で、平均落札額は2,373円でした(2022年6月23日現在)。
一度に複数匹をまとめて出品している例も少なくありませんが、1匹が1万円以上で落札された例も複数出ている状況です。金魚の競り市でも最高落札額が何万円にも及ぶのが普通だけに、オークションは最も収益性の高い販売方法だと言えます。
金魚の代表的な種類ごとの平均落札額は以下の通りです。
- オランダ獅子頭5,285円
- らんちゅう4,245円
- 江戸錦3,882円
- 和金3,284円
- 琉金3,050円
- ピンポンパール2,909円
- 水泡眼2,766円
- 出目金2,179円
金魚の価格相場は絶えず変動していますが、季節的な要因でも上下します。minneオークファンのプレミアム会員になれば、落札価格を過去10年間までさかのぼってチェックすることも可能です。
金魚ブリーダーの年収はどれくらい?
この記事で「金魚ブリーダーの平均年収は○○万円」などと紹介したかったのですが、信頼できる数字を挙げている情報は見つかりませんでした。そもそも犬や猫などの動物を扱うブリーダーの仕事でも、平均年収とされている数字は240万円程度から400万円まで、かなりの幅が見られる状況です。
年収が比較的高いと推定される犬や猫のブリーダーも中小企業の従業員が大半で、会社員全体の平均年収よりは低めと見られます。金魚のような観賞魚を扱うブリーダーになると、個人経営や家族経営の形で事業を営んでいる人も少なくありません。動物のブリーダーと比べても、平均年収はさらに低いと見るのが妥当です。
販売方法の選び方によっても年収が大きく左右されてくるため、金魚ブリーダー全体の平均年収を割り出すのは困難な状況にあります。業者並みの養魚場を設けて大々的に展開しているブリーダーであれば、会社員の平均を上回る年収を稼ぐことも可能なはずです。副業で細々と金魚の養殖を手がけている人の場合、ブリーダーとしての年収は100万円以下ということもあり得ます。
買取サービスの利用がメインだと、副業のブリーダーとして収益を出すのは難しいかもしれません。競り市やネットオークションを上手に利用することが、年収を上げるためのポイントです。諸々の経費を引いた収益が月に数万円でも残せるなら、趣味と実益を兼ねた副業としては十分に合格ラインと言えます。
金魚繁殖のコツ
金魚は気温や発情期の関係で、3月から6月にかけての時期が繁殖に適したシーズンです。この時期に生まれた金魚が6月から9月頃にかけて大量に出回るため、1匹あたりの価格も繁殖期より下がります。金魚の養殖を始めるには親になる金魚を入手する必要もありますが、この時期を狙って購入すれば初期コストが安く上がるというわけです。
購入した金魚は水量を十分に確保した水槽やコンテナなどの容器でしっかりと育て、翌年の繁殖シーズンに備えます。寒冷地以外の地域では冬場に金魚を屋外で飼育し、低温環境下で冬眠させるようにした方が春に発情しやすくなるものです。
冬眠から目覚めさせた後はオスとメスを見分けて別々の容器で飼育し、水草などを入れた産卵用の容器も別に用意します。採卵する日を決めて産卵用の容器にまずメスを移し、慣れてきたところでメスより多めの数のオスを投入して産卵を促すのが繁殖のコツです。
生まれた稚魚は大人用のエサを食べませんので、ブラインシュリンプと呼ばれるエビの卵やミジンコなどを与えます。ミジンコは自分でも割合簡単に増やせますので、1センチぐらいにまで育った稚魚のエサとしては最適です。金魚や熱帯魚を飼育している人の中には、自分で繁殖させたミジンコをヤフオクに出品している人もいます。
金魚の養殖でどうしても避けられないのが、稚魚の段階で行う選別の作業です。金魚はメス1匹で数百から数千個も卵を生みますので、卵が全部孵化するとたくさんの稚魚が生まれます。よほど広大な養魚池でも用意できる人でない限り、何千匹もの金魚を大きくなるまで育てるのは不可能です。
稚魚の段階で将来の姿を予測し、少しでも形の良い個体を選び抜いて集中的に飼育するという割り切りも必要になってきます。業者の運営する養魚場でも、稚魚の選別作業は大切な仕事の1つです。
成長に合わせて数を減らしていかないと容器の中が稚魚でいっぱいになり、環境が悪化して全滅する結果を招きかねません。金魚に限らず生き物の養殖に取り組む際には、たとえ副業でも命と向き合う覚悟が求められます。
まとめ
金魚すくいやペットショップなどで扱っている金魚の多くは養魚場で生産された個体ですが、個人のブリーダーが育てた個体も流通しています。その流通経路に乗せるような販売方法を選べば、金魚の養殖を副業にすることも可能です。
個人のブリーダーが金魚を売る方法としては、以下の3パターンが考えられます。
- 観賞魚の買取サービス
- 金魚の競り市
- ヤフオクに出品
この中ではヤフオクが最も売りやすく、やり方しだいで高収益を稼ぐことも可能な販売方法です。近くで競り市が開催される場合には、出品者として参加してみるのもいいでしょう。同業者同士で情報交換したりして、貴重な話が聞ける可能性があります。