当ブログではハンドメイド作家やミニチュア作家・ドール作家・陶芸作家など、「~作家」と呼ばれるモノ作りの仕事を紹介してきました。今回取り上げるのは、ペーパークラフトやレザークラフトなどの作品を製作するクラフト作家です。
クラフト作家になるのに特別な資格などは不要ですが、副業にするには販売ルートなどの収入源を確保しておく必要があります。
そこで今回はクラフト作家が収入を得る方法について、7種類の販売手段にまとめてみました。クラフト作品の製作を趣味にしている人は、この記事を読むことで趣味を副業にする道がひらけてきます。
クラフト作家になるには?
世の中には「~作家」と呼ばれる職業が数多く存在します。小説家と同じ意味で「作家」という場合もあれば、「アート作家」「映像作家」「絵本作家」「人形作家」のような例もあります。
そうした中でレザークラフトや染織・木工品など、手作りによる工芸品を製作するのがクラフト作家と呼ばれる人たちです。
他のジャンルの作家と同様に、クラフト作家になるのに資格は必要ありません。趣味でクラフト作りを楽しんでいる人でも、その気になれば「クラフト作家」を名乗ることは可能です。
「クラフトの製作を仕事にする」という意味でのクラフト作家になるには、何らかの方法で作品を販売する必要が出てきます。クラフト教室の講師や公募クラフト展の審査員なども、クラフト作家の生活を支える収入源の1つです。
まずは作品が売れるようにならないと、一人前のクラフト作家としては認められません。クラフト作品を売る方法で後述するように、作品の販売ルートを開拓していく必要もあります。
ハンドメイド作家との違い
GoogleやYahoo!で「クラフト作家になるには」と検索してみたところ、ハンドメイド作家になる方法について書かれた記事が上位に表示されました。この検索結果を鵜呑みにすると、クラフト作家とはハンドメイド作家のことだと勘違いしがちです。
実際にはハンドメイドとクラフトで、意味に微妙な違いがあります。「ハンドメイド=handmade」はアクセサリーやトートバッグ・クッキーなどを手作りする場合に使われるように、「手製の、手作りの」という意味です。これに対してクラフトは「工芸・手芸」という意味で、手先の技術を要する職業や仕事を示す言葉としても使われます。
アクセサリーやトートバッグなどを手作りする行為は、「手芸」とも呼ばれています。そういう意味では、ハンドメイド作品もクラフト作品の一種です。
クラフト作家が手がける作品の対象には、木工や染織からアクセサリーに至るまで幅広いジャンルが含まれます。木工や金属工芸の作品もハンドメイドと言えなくはありませんが、「クラフト」は「工芸品」とほぼ同じ意味で使われてきました。さまざまなジャンルの作品を扱うクラフト作家の中に、ハンドメイド作家も含まれるというイメージです。
作品の製作に機械や専門の道具を使用するのがクラフト作家で、そうでないのがハンドメイド作家という区別の仕方もあります。トートバッグや子供服などを作るのにミシンを使う場合はありますが、ミシンはハンドメイド作家以外の家庭にも広く普及した経緯があります。
クラフト作家が作品作りに使用しているのは、一般の人が持っていないような専門の機械や道具類です。以上のように定義すれば、クラフト作家とハンドメイド作家の違いも見えてきます。
クラフト作品を売る方法
趣味でクラフトの作品を作っている人でも、名前だけなら今すぐクラフト作家を自称することは可能です。クラフト作家の仕事を副業にするには、手作りした作品を販売して収入を得ていく必要があります。クラフト作家を職業とする場合も同じです。作品の販売やクラフト教室の講師収入などで生活費をまかなうくらいの収入を確保できれば、プロのクラフト作家としてやっていけるようになります。
副業のレベルでもクラフト作家として認められるようになるには、作品の販売ルートを開拓していかなければなりません。実際にクラフト作家が収入源としているのは、以下のような7つの販売手段です。
- クラフトフェア
- 個展・グループ展
- 委託販売
- フリマアプリ
- ハンドメイドマーケット
- スキルマーケット
- ネットショップ開業
それぞれ詳しく解説していきます。
クラフトフェア
全国各地で開催されるクラフトフェアやクラフト展・クラフト市には、さまざまなジャンルのクラフト作品が展示されています。クラフトフェアは展示即売会を兼ねた交流の場だけに、展示した作品をその場で対面販売することも可能です。
地域のイベントに合わせて開催されるクラフトフェアの会場には、クラフトに詳しくない人も含めた大勢の来場客が訪れます。直接手に取って鑑賞してもらうことで、作品が売れるチャンスも出てくるでしょう。委託販売やネット販売をメインの販売手段とする場合でも、クラフトフェアは積極的に活用したいものです。
個人が中古品や骨董品などを対面販売するフリーマーケットにも、手作りのクラフト作品やハンドメイド作品が数多く出品されています。ネット販売全盛の時代ですが、手作りの品に関しては対面販売もまだまだ捨てたものではありません。
個展・グループ展
クラフト作家の中にも画家や彫刻家などと同様に、個展を開催している人たちがいます。ギャラリーのある都市部に限定した手段ではありますが、作品が高値で売れる可能性のある販売方法です。
ギャラリーを借りて個展を開くには、5万円から20万円程度の費用がかかります。個人で開催するには金銭的な負担が大きいですので、複数人の作家と共同でグループ展を開催する方法もおすすめです。
個展やグループ展を開く会場さえ確保できれば、クラフトフェアが開催される以外の時期でも作品を売るチャンスが得られます。集客力はクラフトフェアほど高くありませんので、SNSやブログなどを通じて日頃から情報発信しておくといいでしょう。
委託販売
クラフトフェアや個展・グループ展は開催期間が限られるだけに、作品の販売で毎月安定した収入を得るのは難しい面もあります。普段は展示会の日程から逆算して、出展する作品の生産に専念するしかありません。
作品の販売機会を増やすには、百貨店や雑貨店などの店舗を利用した委託販売という手もあります。店舗に頼んで自作のクラフト作品を置かせてもらい、売れた分だけ売上金を回収するという販売方法です。一定割合の手数料が売上から引かれることになりますが、自分で店舗を持たなくても作品を継続的に販売できるようになります。
これが実店舗を開業するとなれば、少なく見積もっても百万円単位の開業資金が必要です。まとまった額の資金を用意できない人でも、委託販売なら店舗に自作のクラフト作品を陳列できるようになります。陳列した作品が必ず売れるとは限りませんが、自宅に置いておくよりは売れるチャンスがあるはずです。
フリマアプリ
クラフトフェアへの出展や委託販売だと、会場や店舗を訪れた人にしか作品を販売できません。インターネット上のフリマサイトに出品すれば、全国の人に作品を販売できるチャンスが得られます。
メルカリやラクマ・Yahoo!フリマは、スマホ1つで出品から販売対応まで完結するフリマアプリです。古着や家電などの中古品だけでなく、クラフト作品やハンドメイド作品のような手作りの品も数多く出品されています。
中でもメルカリは利用ユーザーの数が桁違いに多いだけに、集客力の面ではクラフトフェアなどの比ではありません。魅力的な商品を値ごろ感のある価格で出品すれば、1日もしないうちに売れる可能性があります。
フリマアプリは商品の写真を撮影して説明文を作成する作業に加え、売れた商品の梱包や発送にも手間はかかります。インターネットが苦手な人は面倒だと感じるかもしれませんが、普段から使いこなしている人なら最も売りやすい販売方法です。
ハンドメイドマーケット
フリマアプリを使えば商品を手軽に出品できますが、クラフトフェアなどと比べて販売価格は全般に低めの水準です。特にメルカリには、「欲しい商品を少しでも安く手に入れたい」と思っている人が集まってきます。値引き交渉を持ちかけてくる人も少なくないだけに、「自信作を少しでも高く売りたい」というクラフト作家には不向きな販売方法です。
同じようなフリマ形式のネット販売サイトでも、ハンドメイド専門のサイトなら高めの価格設定でも売れる可能性があります。minneやCreema(クリーマ)・iichiあたりが、インターネット上で代表的なハンドメイドマーケットです。
2020年時点の数字ですが、登録作家数はminneが約66万人で、Creemaは約20万人でした。サイトの規模という点では、minneが国内最大のハンドメイドマーケットです。
minneに登録しているのはアマチュアからセミプロの作家が多く、Creemaやiichiはセミプロやプロのクラフト作家が多いという違いが見られます。まずはminneに作品を出品して販売実績を作り、売れる自信がついたところでCreemaやiichiでも販売を試みるのが無難なやり方です。
21万名の作家さんによる260万点の作品が集まる国内最大級のハンドメイドマーケット≪minne(ミンネ)≫
スキルマーケット
スキルマーケットのココナラには、クラフト作家が出品しているサービスが数多く見られます。オリジナルの革小物やペーパークラフトなどのクラフト作品を、オーダーメイドで受注販売するサービスです。レザークラフト用の抜き型や刻印を出品している人もいれば、ペーパークラフトの展開図や設計図を出品している人もいます。
ココナラやタイムチケット・ストアカなどのスキルマーケットには、「~について教える」などといった無形のサービスも出品可能です。完成品の販売だけで思うように売れない場合には、オーダーメイド販売やクラフト教室の開催も検討してみるといいでしょう。
ネットショップ開業
メルカリのようなフリマサイトでも、minneのようなハンドメイドマーケットでも、出品した商品が売れた場合には売上から10%前後の販売手数料が引かれます。雑貨店などの実店舗で委託販売するのと、基本的には同じ仕組みです。
集客力のある販売プラットフォームを利用させてもらう以上は、一定の手数料を支払うのも仕方がありません。自分で店舗を開業すれば手数料をゼロにすることも可能ですが、実店舗だと巨額の開業資金が必要です。
個人でインターネット上に仮想店舗を開業するやり方なら、初期費用を0円にすることもできます。BASEやSTORES・カラーミーショップといったネットショップ作成サービスには、初期費用・月額料金無料のフリープランが用意されているからです。
売上の金額に応じて決済手数料も発生しますが、フリマサイトやハンドメイドマーケットの手数料よりは少ない金額で済みます。
各ネットショップ作成サービスには、フリープランより手数料が低い有料プランも用意されています。売上が軌道に乗ってきたら、有料プランに移行した方がトータルで安く上がる仕組みです。SNSなどを活用して自分で集客する必要もありますが、クラフト作品を販売するには魅力的な選択肢と言えます。
副業で始めるのに向いたクラフトのジャンル
一口にクラフト作家と言っても、扱う素材の種類によっていろいろなジャンルがあります。道具や機械を揃えるのに高額な費用がかかるジャンルだと、副業感覚で気軽に始めるというわけにはいきません。クラフトにも副業に向いたジャンルと、本業の仕事にしている人が多いプロ向けのジャンルに分かれてきます。
プロとアマチュアが混在しているジャンルもありますが、副業で始めるのに向いたクラフトのジャンルは以下の通りです。
- ペーパークラフト
- レザークラフト
- エコクラフト(クラフトバンド)
- ワイヤークラフト
- シュガークラフト
- 布クラフト・刺繍
- 木工クラフト
皮革を素材に使うレザークラフトを始めるには、道具類を揃えるのに数万円かそこらの初期費用がかかります。木を素材にする木工クラフトでも、本格的な道具や機械を用意するとなれば同程度の費用が必要です。普段からクラフトの製作を趣味としていて道具類を持っている人であれば、販売ルートを開拓するだけで副業に移行できるようになります。
他の上記ジャンルでクラフトの製作を始める場合は、100円ショップでも道具類を揃えることが可能です。低コストで始められるという点でも、副業に向いたクラフトのジャンルと言えます。
プロ向けのジャンル
クラフトフェアに出展している作家が扱う素材には、他にもいろいろな種類があります。素材の種類ごとにクラフトのジャンルが確立されている状況です。以下のようなジャンルのクラフトを始めるには、道具類を揃えるのにかなりの費用がかかってきます。
- 染織
- ガラスクラフト
- 金属工芸
- 漆工芸
- 陶磁器
専用の工房で製作を行うクラフト作家も少なくないだけに、どちらかと言えばプロ向けのジャンルです。
工房の設備や道具類に多額の費用がかかるジャンルであっても、クラフト作家の仕事を副業にできないことはありません。ある程度の経済的なゆとりがあって時間も確保できる人であれば、採算度外視でも本格的なクラフトを副業にする価値はあります。本業の仕事では得られない充実感を、クラフトの副業で得られるはずです。
クラフト作家の収入はどれくらい?
金属工芸やガラスクラフトのようなプロ向けのジャンルでも、クラフト作家の平均年収は200万円から300万円ほどと推定されます。会社員の平均(約460万円)を上回るほどの年収を稼いでいるのは、クラフト作家の中でも一握りに過ぎません。
年収100万円を下回る場合は、クラフトの仕事だけで食べていくのは困難です。他に本業の仕事を持っていて、趣味の延長でクラフトの製作を副業にしている人も少なくないと見られます。
ペーパークラフトやエコクラフトなど副業向けのジャンルだと、月に数万円程度の収入があれば稼いでいる方です。人気作家になれば1,000万円以上の年収を稼ぐことも夢ではありませんが、クラフト作家の多くは副業程度の収入にとどまるものと推定されます。
単にお金を稼ぐのが目的なら、普通にアルバイトの仕事をした方がよほど効率的に稼げるはずです。収入以外の部分に大きな魅力を感じるからこそ、多くの作家はクラフトの製作を仕事(または副業)にしているとも言えます。
まとめ
クラフト作家になるのに特別な資格などは不要で、誰でもその気になれば今すぐ「クラフト作家」を名乗れます。クラフトの製作を仕事にして、食べていけるほどの収入を得るのはなかなか大変です。
記事の前半で紹介したように、クラフト作品を売るには以下のような7種類の販売手段が考えられます。
- クラフトフェア
- 個展・グループ展
- 委託販売
- フリマアプリ
- ハンドメイドマーケット
- スキルマーケット
- ネットショップ開業
どの販売ルートも簡単には売れませんが、複数の手段を併用することで売れる確率が上がってきます。道具類を揃えるのに費用がそれほどかからないジャンルを選べば、クラフトの製作と販売を副業にして月に数万円程度の収入を稼ぐことは十分に可能です。
クラフトフェアや委託販売などの対面販売と、ハンドメイドマーケットなどのネット販売を併用するのが現実的と言えます。まずは副業からスタートしてみて、軌道に乗ってきたところでプロのクラフト作家を目指してみるといいでしょう。