世の中には風変わりな副業がいろいろとあります。依頼人に代わって四国八十八ヶ所の霊場巡りを行う「お遍路代行」もその1つです。1件の依頼で報酬は数十万円という高単価の仕事だけに、自分も挑戦してみたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか?
実際にお遍路代行の仕事をしようと思っても、求人の募集がなかなか見つからないという問題があります。当ブログではこれまでに、変わり種の副業を数多く紹介してきました。アルバイトの求人が見つからない場合に、自分で集客して仕事を獲得するという手があります。
そこで今回は個人でお遍路代行の仕事をする方法について、集客方法や費用など関連する情報をまとめてみました。お寺や神社を訪れるのが好きな人にとっては、最もやりがいのある副業になるはずです。
お遍路代行なら副業でも高収入を稼げる!
四国の各県には、弘法大師・空海にゆかりのある寺院が八十八ヶ所も存在します。四国の八十八ヶ所霊場を巡るお遍路の旅は、大切な人の供養や自分探しの目的で行われてきました。
人生で一度は挑戦してみたいと思える巡礼の旅ですが、お遍路を実行に移すには高いハードルがあります。車を使ったとしても10日前後の日数がかかり、高額の費用も必要となってくるからです。
遠方に住んでいたり高齢だったりして、お遍路を断念した人も少なくありません。仕事を持っている身では、お遍路の旅に出るだけのまとまった休暇を取得するのも困難です。
さまざまな理由で巡礼の旅を実行に移すのが困難な人を対象に、お遍路代行のサービスが成り立っています。何でもかんでも代行することに対しては批判の声もありますが、神社仏閣への参拝代行は今に始まった風習ではありません。
少なくとも江戸時代には、伊勢講や熊野講などの組織を通じて代理参拝(代参)が行われていました。お遍路代行も同じような代理参拝の精神に基づいて実施される限り、日本の伝統的な風習の範囲内と解釈されます。
お伊勢参りや熊野詣でなどと比べても、四国八十八ヶ所霊場のお遍路は日数を多く費やす巡礼の旅です。交通費や宿泊費・巡礼用品を含めた費用も多く必要になるだけに、お遍路代行の料金は数十万円にも達します。
依頼を受ける側から見れば、お遍路代行は高収入が稼げる仕事です。安定して稼ぐのが難しいため副業向けの仕事ですが、一度にこれだけの高収入が稼げる副業はなかなかありません。
お遍路代行のアルバイト募集状況
高収入が稼げる仕事であっても、求人の募集が見つからないのでは稼げません。主要な求人サイトで検索してみましたが、いずれも「お遍路代行」の条件と一致する求人は見つかりませんでした。
四国地方でお遍路と関連した求人があったとしても、「お客さんと同行してお遍路巡りをするタクシー運転手」のような例に限られます。アルバイトやパートですら見つからないくらいで、正社員や契約社員など他の雇用形態でも求人が掲載されていない状況です。
地方の求人に強いと言われる求人検索エンジンですら、お遍路代行の検索結果は変わりありません。お遍路代行は「意外に稼げる副業」として紹介されているわりに、仕事を始めるのが難しいという落とし穴があります。
お遍路代行の求人が見つからない理由
求人の募集が見つからない一方で、お遍路代行サービスを展開している業者は存在します。少なくともGoogleで検索した結果を見る限り、いくつかの事業者がお遍路の代行サービスを提供しているのは確かです。
代行業者のHPも調べてみましたが、現時点でスタッフ募集中のサイトはありませんでした。「お遍路代行」の検索結果で上位に表示される業者で、知名度の高い大手企業は見当たりません。便利屋を運営している会社や健康関連の会社が運営している場合でも、代行スタッフの人員は足りている様子です。
お遍路代行は副業としても変わり種の部類だけに、運営しているのは小規模の企業か個人に限られます。求人サイトで検索してみても、アルバイトの募集が見つからないのは無理もない話です。
個人でお遍路代行を副業にする方法
企業に雇われる形でお遍路代行の仕事を始めるのが難しいとなれば、個人で依頼客を獲得するしかありません。現にGoogleの検索結果では、個人の立場で集客している人の例も見受けられます。
これからお遍路代行の副業を始めようという場合には、先行者の真似をしてみるのも1つの手です。依頼客と接点を持って信頼関係を築き上げれば、個人でもやってできないことはありません。
何事も個人の立場でサービスを運営していくには、どうやって集客するかが一番の問題です。お遍路代行の依頼客は高齢者が多いと見られるだけに、新聞折込チラシやポスティング・新聞広告・雑誌広告などアナログの集客方法も検討に値します。いずれも決して安くない費用がかかる方法だけに、個人が副業で運営する場合の宣伝手法としては現実的ではありません。
インターネットを活用すれば、無料または安価な費用で集客することも可能です。お遍路代行のようなサービスの場合、以下のようなネット集客の手段が考えられます。
- ホームページやブログで集客する
- 無料掲示板を利用して集客する
- ココナラを利用して集客する
それぞれ詳しく解説します。
ホームページやブログで集客
お遍路代行サービスを運営している企業の多くは、自社ホームページを通じて集客しています。アナログの手段と比べ、低コストでの集客が可能な方法です。
個人でお遍路代行サービスを運営している人の中にも、企業並みにホームページを開設している例が見られます。ブログやSNSでも集客は可能ですが、お遍路代行のように料金が高額なサービスは信頼が第一です。簡単に投稿できるブログやSNSよりも、しっかりと作り込まれたホームページの方が信頼されやすいと言えます。
ただしホームページ制作会社に依頼すると、料金が高額になりがちな点がデメリットです。WixやJimdo(ジンドゥー)など、無料プランが用意されたホームページ作成ツールもあります。
ブログ作成ツールのWordPressでも、ホームページを作れないことはありません。基本的に無料で使えるWordPressには、有料・無料のテーマ(テンプレート)やプラグイン(拡張機能)が豊富に用意されてます。無料テーマとプラグインを組み合わせて固定ページ主体のWebサイトを構築すれば、費用0円でホームページを作り上げることも可能になってくるわけです。
実際にお遍路代行業者の中には、WordPressやWixを使用してホームページを構築している例が見受けられます。WordPressでホームページを運用するにはレンタルサーバーを借りる必要もありますが、WixやJimdoなら有料サーバーとの契約は不要です。
検索エンジン経由でホームページに集客しようとする場合は、「お遍路代行 料金」といったキーワードで上位に表示される必要もあります。SEO(検索エンジン最適化)に関する知識も求められてくるだけに、どちらかと言えば中上級者向けの集客方法です。
無料掲示板を利用して集客する
インターネット上には、ホームページを作成するよりも簡単に集客できる方法があります。誰でも無料で投稿できるネット掲示板を利用した集客手段です。
お遍路代行のような地域限定型のサービスを運営する場合は、「地元の掲示板」として知られるジモティーがよく利用されています。ジモティーの無料掲示板を使った交流は、「売りますあげます」カテゴリーのような品物のやり取りを伴う取引だけではありません。「助け合い」や「メンバー募集」のカテゴリーも用意されていて、「お遍路代行やります」「お遍路の同行者募集」といった投稿が掲載されています。
ジモティーの掲示板そのものにある程度の集客力が備わっていますので、検索上位に表示されないホームページよりは仕事獲得のチャンスが高いはずです。ジモティーはSEOに強いせいか、掲示板の投稿がGoogleやYahoo!の検索結果で上位に表示される場合もあります。掲示板を直接利用しているユーザーだけでなく、検索ユーザーからの集客も期待できるというわけです。
ジモティーの利用ユーザーは、年齢層が比較的高めと推定されます。お遍路代行を依頼したい人とネット経由で接点を持つのに、有力な選択肢の1つとなるはずです。
ココナラを利用して集客
個人でお遍路代行の副業を始める場合、ココナラのようなスキルマーケットを利用して集客するという手もあります。利用ユーザーの年齢層はジモティーより低めと推定されますが、お遍路代行の依頼者は高齢者ばかりに限りません。仕事で忙しかったり遠方に住んでいたりして、四国に行くのが難しいという人は若い世代にもいるはずです。
20代や30代の若い世代に関しては、ココナラを利用している人の方がジモティーより多いと見られます。個人でさまざまなサービスを出品できるスキルマーケットの中でも、ココナラは国内No.1のシェアを誇るサイトです。
ココナラで「お遍路代行」を検索したところ、2024年1月の時点で10人ほどの出品者がありました。競争が激しいと言われるココナラの中でも、ライバルが少ない穴場のジャンルです。一度も購入されたことがないと見られる出品者も少なくはありませんが、神社の代理参拝や御朱印代行では販売実績のある人もいます。
お遍路代行サービスがなかなか売れないのは、料金の高額な点が最大の理由です。サービス説明文やプロフィールなどを通じて、利用ユーザーからどれだけ信頼してもらえるかが鍵となってきます。
お遍路以外の参拝代行から始め、低めの価格設定で出品してみるという手もあります。ある程度の販売実績を作った上でお遍路代行サービスも出品するようにした方が、少しでも購入されやすくなるはずです。
お遍路の参拝方法
四国八十八ヶ所の札所で、一般的な参拝手順は以下の通りです。
- 山門で合掌して一礼する
- 手水場で手と口を洗い清める
- 鐘楼で鐘をつく(許可されている札所のみ)
- 納札箱に氏名や願い事などを書いた札を納める
- 本堂で線香やろうそくをあげる
- 般若心経などのお経を読み上げる
- お賽銭を入れる
- 大師堂でも同じように参拝する
- 納経所に立ち寄り、御朱印や墨書きをもらう
境内にある建物の構成は札所によってさまざまですが、本堂と大師堂はどの札所にも存在します。八十八ヶ所のすべてで、本堂と大師堂にそれぞれ参拝するのがお遍路の基本です。
お遍路の距離はどれくらい?
お遍路の旅は四国を一周することになるだけに、行程距離の長いことでも知られています。第一番札所の徳島県・霊山寺から第八十八番札所の香川県・大窪寺まで、距離は全長およそ1,400kmです。東京からの距離に換算すると、鹿児島まで到達するぐらいの距離に相当します。
車を使ったお遍路だと車両が通行可能なコースを通ることになるため、歩き遍路より遠回りになる場合も出てきます。車の通れない山道を徒歩で通る場合は、総距離を1,200km程度に短縮することも可能です。
お遍路に要する日数
東京-鹿児島間に相当する距離を巡るお遍路の旅は、四国八十八ヶ所すべてを回るのに多くの日数を要します。第一番札所から第八十八番札所まで、全行程を巡るのに費やす日数の目安は以下の通りです。
- 歩き遍路で50日
- マイカーやレンタカー利用で10日
- バイクで巡る場合も10日
- 自転車で巡る場合は2週間~3週間
- 巡拝バスツアーで14日
- タクシーの巡拝で12日
自転車を使用する場合や歩き遍路の場合は、当然のことながら1日の距離に個人差が生じます。体力に自信のない人の場合は、目安よりも日数が多くかかるのが普通です。バスやタクシーで巡拝する場合でも、ツアーによって所要日数が前後してきます。
まとまった休暇が取れないような場合には、八十八ヶ所を何回かに分けて巡る「区切り打ち」も可能です。一度に全工程を巡れるかどうか自信がないという人は、一部の行程だけを試しに回ってみるという手もあります。
お遍路の費用
交通手段を利用するかどうかで所要日数が大きく変わってくるだけに、お遍路にかかる費用もさまざまです。お遍路にかかる費用の中で、宿泊費は最も大きい部分を占めます。日数を多く費やす方法ほど、費用がどうしても高額になりがちです。
所要日数が少なめの方法でも、巡拝ツアーではバス会社やタクシー会社に支払う費用が上乗せされてきます。大まかな費用の目安は以下の通りです。
- 歩き遍路で45万円程度
- マイカー利用で12万円程度
- レンタカー利用で20万円程度
- バイク利用で15万円程度
- 巡拝バスツアーで20万円~40万円以上
- タクシー巡拝で20万円~40万円程度
巡拝バスツアーの場合、ツアーの起点によって費用に大きな差が生じてきます。徳島県スタートなら20万円程度で済むツアーもありますが、東京からスタートするとなれば40万円前後の費用がかかる場合もあるからです。
タクシーを利用した巡拝プランの場合、何名で乗車するかによって費用が違ってきます。2名で11泊12日の場合は40万円ほどの費用がかかりますが、8名以上でジャンボタクシーを利用すれば20万円程度です。
マイカーやバイクを利用した場合でもガソリン代などが思ったより多くかかり、目安の金額を大きくオーバーする可能性はあります。いずれにしてもお遍路を実行に移すには、10万円以上のまとまった費用が必要です。
お遍路代行の料金相場
お遍路を代行している業者の料金には、宿泊費や食事代などの費用があらかじめ組み込まれています。お遍路そのものに高額な費用がかかるために、代行サービスの料金も高額にならざるを得ません。
個人が副業でお遍路代行の仕事を請け負う場合は、依頼客が支払った料金から費用を引いた残りが収益ということになります。料金が高すぎるとなかなか利用してもらえないだけに、価格設定が難しいところです。宿泊費などの実費を引いた収益が少なすぎては、副業として割に合わなくなってしまいます。
お遍路代行サービスを提供している業者の料金は、諸経費込みで30万円から40万円ほどが平均的な相場です。業者によっては、御朱印代や掛け軸代をオプションの扱いとしているところもあります。多くの業者で基本料金に含まれているのは、以下の代金です。
- 交通費(ガソリン代・駐車場代を含む)
- 宿泊費
- 線香・ローソク代
- お賽銭
- 納め札の代金
- 代行手数料
納経帳や白衣・お軸など御朱印をいただく用品に関しては、依頼人自身が用意して代行業者に預けるのが一般的です。自分で用意できない人に向けて、業者の側が有料で用意してくれる場合もあります。
個人でココナラにお遍路代行サービスを出品している人の場合、料金設定は出品者によってさまざまです。代行業者と同等レベルのサービス内容でありながら、トータル10万円で価格設定している人もいます。必要経費を別途請求にして、代行料金を10万円としている出品者もありました。
ジモティーでお遍路代行サービスを投稿している人の例では、代行業者並みに30万円から40万円ほどの価格設定が目立ちます。どの手段で集客するにしても、料金体系やサービス内容・注意点はできるだけ詳しく記載すべきです。
お遍路巡りはどれだけきつい?
実際にお遍路代行の仕事を副業でするとなれば、一般のお遍路さんと同じコースを巡る必要が出てきます。巡礼の手段が徒歩に限られていた昔は、途中で行き倒れになるお遍路さんも少なくありませんでした。
特に歩き遍路の場合は1,000km以上の長距離を歩き通すことになるだけに、副業としても相当に過酷な仕事になるのは避けられません。昔と比べて道路が整備された箇所も増えてはいますが、途中で険しい山道を何キロも歩くコースがあるからです。
第11番札所の藤井寺から第12番札所の焼山寺へと至る約13キロの遍路道は、「遍路ころがし」と言われるほど高低差の大きい急勾配の山道が続きます。焼山寺は標高938mの焼山寺山8合目付近にありますが、現在は車でも行けるようになりました。車を使うのか、歩きで通すのかによっても、お遍路のきつさ加減は大きく変わってきます。
自分を見つめ直す目的でお遍路の旅に出る人は、体力的に厳しい点も承知の上であえてチャレンジしているはずです。歩き通すのが大変だからこそ、結願に至ったときにはそれだけ大きな達成感が得られます。
副業の仕事としてお遍路代行の依頼を受ける際には、必ずしも徒歩にこだわることはありません。八十八ヶ所の札所を参拝さえすれば、途中の移動手段はどれを選んでも構わないという考え方もできます。お遍路代行業者の間では、車を使ったり交通機関を利用したりして省力化している例が目立つほどです。
お遍路の危険なところ
テレビではお遍路の良い面ばかりが紹介されがちですが、道中には危険がないわけではありません。特に歩き遍路の場合、車を使って巡るよりも危険に遭遇する確率が高くなります。夏の暑さや冬の寒さは言うに及ばず、険しい山道を通るコースでは事故の危険もあるからです。
焼山寺や横峰寺など山岳地帯に札所がある巡礼コースは、車を使ったお遍路でも難所と言われています。実際に山道を通る歩き遍路のコースで道を間違い、斜面を滑落して救助されたような事故も過去にはありました。遍路道では道端に古い墓石をよく見かけますが、これは道中で行き倒れになった人を地元の人たちが埋葬した遍路墓です。
歩き遍路に伴う危険は、そういう自然の脅威だけではありません。時として人間の方が怖いということもあり得ます。
四国にはお遍路さんに接待を行う文化が根付いていますが、巡礼コースで見かけるのは地元の人たちだけではありません。全国どころか世界中から多種多様な人たちが集まる場所でもあるだけに、窃盗などの被害に遭うリスクに備えておく必要があります。
歩き遍路の多くは男性ですので、女性の一人旅は心細いと感じるかもしれません。性的被害に遭う危険はもちろんのこと、窃盗の被害に遭う可能性も男性より高いからです。
女性がひとりで歩き遍路の旅に出かける際には、防犯ブザーを肌身離さずに携帯することをおすすめします。野宿はさらに危険ですのでホテルや民宿を利用し、できるだけ早い時刻にチェックインするように心がけるといいでしょう。
まとめ
四国八十八ヶ所霊場を巡るお遍路を実行に移すには、体力面でも精神面でも相当な覚悟が必要です。宿泊費や交通費などでかなりの費用がかかるだけに、挑戦したいと思ってもなかなか実現できないでいる人は少なくありません。
日本には古くから代理参拝の文化が根付いていて、現在でもお遍路代行のサービスを提供している業者がいくつか存在します。ホームページを作って集客すれば、個人が副業でお遍路代行の依頼を引き受けることも可能です。
インターネット上にはココナラやジモティーのように、無料で登録(投稿)できる集客サイトもあります。集客に成功して依頼を獲得できれば、1回の仕事で高収入を稼ぐことも可能な副業です。地の利を生かせる環境に住んでいる人は、お遍路代行の副業を検討してみるといいでしょう。