自宅にある不用品を活用してお金を稼ぐ手段としては、メルカリに代表されるフリマアプリが大人気です。リサイクルショップなどで買取してもらうことでも不用品をお金に換えることは可能ですが、どちらにしても一度売ってしまった品はもう二度と使えません。
普段は使っていなくても売ってしまうのは惜しいというブランド品や家電製品などは、レンタルに出して収入を得るという手もあります。個人が私物を貸し出してお金を稼ぐというのは一般的でありませんでしたが、最近は貸し借りアプリを通じた個人間のレンタルも可能になりました。
新たな副業としても注目を集めている貸し借りアプリの仕組みについて、注意点と合わせて解説します。アプリを上手に活用すれば、不用品を売るより稼げる可能性のある副業です。
利用者急増の貸し借りアプリとは?
アパレルの分野ではBtoCビジネスの形態として、洋服を購入するのではなく借りて済ませるファッションレンタルの利用者が増えています。家具や家電などのジャンルでもレンタルサービスが浸透しつつありますが、従来のサービスは運営会社が保有する品を個人向けに貸し出すのが一般的でした。
最近は中古品売買やスキル売買など個人間での取引を仲介するサービスが各分野で急成長を見せており、レンタルの分野でも貸し借りアプリが続々と誕生しています。ブランド品や家電など購入すれば高額な代金を払わなければならない品でも、レンタルなら安い料金で済むという点が人気の一因です。レンタルサービスの運営会社にとっても、個人間の取引を仲介するだけならレンタル品の購入資金が不要になるというメリットがあります。
普段使わないモノを売却することなしにお金に換えられる貸し借りアプリは、まさにフリマアプリのレンタル版とも言えるサービスです。転売の手段にも利用されているフリマアプリは副業としてすっかり定着した感もありますが、貸し借りアプリはこれに続く新たな副業として大きな可能性を秘めています。
物品レンタルで稼げる仕組み
レンタルの仕組みを利用して収入を得る副業は、すでにカーシェアリングやレンタルスペースなどの分野で実績がある稼ぎ方です。これまでは不動産を含む空間や移動手段をレンタルしてお金に換える手法が主流でしたが、物品シェアの分野では海外に比べて遅れていると言われた日本でも仕組みが整いつつあります。
そうした流れの中から登場してきた貸し借りアプリは、スマホアプリを使って物品レンタルの手続きを簡単にできるようにしたサービスです。アプリによって手順に違いはありますが、出品した品が借りられるごとに売上の何%かが自分の利益になる基本的な仕組みは共通しています。
貸し借りアプリを使って効率的に稼ぐには、人気のブランドバッグや使用頻度の多い家電製品など需要の多い品を選んで出品する戦略も欠かせません。逆に需要が少ない品を出品した場合は借りてくれる人がなかなか出ないため、まったく稼げない可能性もあります。
フリマアプリや買取とどっちが得?
貸し借りアプリと比べてどっちが得かを考える上では、フリマアプリや買取でどれだけの売値がつけられるかがポイントです。フリマアプリの利用者は中古品をできるだけ安く購入しようと考えている人が多いだけに、価格設定が高すぎるとなかなか売れません。
プレミアの付いた品や入手困難な希少品などは、むしろヤフオクなどのネットオークションに出品した方が高く売れる可能性があります。ブランド品や貴金属類・アクセサリーなども、専門の買取業者を利用した方がフリマアプリより高く売れるものです。そのような品は購入して自分の所有物にしたいという人が多いと見られますので、レンタルに出すよりも売ってしまった方が得られる金額が多くなります。
そうでない品は貸し借りアプリを使って何度もレンタルに出すことで、売った場合より時間はかかっても利益の総額で上回ることは可能です。一度にまとまった収入を得たい場合はフリマアプリや買取を利用し、少額ずつでも継続的に不労所得を稼ぎたい場合は貸し借りアプリを使うという考え方もできます。
副業に使える貸し借りアプリ2選
洋服や家電製品から本・雑誌・ゲームに至るまでさまざまな物品が個人間でレンタルできるサービスとしては、Facebook会員同士でシェアできるSocueusがあります。物品レンタルとしては老舗の部類ですが、現在ではそれほど盛り上がっているように見えません。むしろAlice StyleやQuottaといった後発組に勢いがあり、アプリの使い勝手から見ても副業としての可能性を感じます。
ブランドバッグをレンタルできるラクサスにも、登録会員がバッグを貸し出せるサービス(ラクサスX)がありました。1つのバッグにつき最大で月2,000円の収益が得られる仕組みでしたが、現在は「法令改正に伴う準備期間」という理由で新規受付を停止中となっています。
現時点で副業の手段に利用できるのは、Alice StyleとQuottaの2つです。それぞれの特徴について、概要を紹介します。
Alice Style
Alice Styleは女性をメインターゲットとする貸し借りアプリで、ヘアドライヤーや美顔器などの美容家電が人気のカテゴリーです。ビューティーやフィットネスといったジャンルの他にもキッチン用品や生活家電・AV/IT・ベビー用品・ホビーなど、さまざまなカテゴリの品が出品されています。
Alice Styleへの登録や出品そのものに費用はかからず、レンタル料金から15%の手数料と送料を引いた残りの金額が出品者の収入になる仕組みです。お預け出品の代行委託サービスを利用した場合は手数料が50%引かれますが、面倒な梱包・発送作業をAlice Styleに任せられます(現在は受付を一時停止中)。
お預け出品を利用しない場合でも、Alice Styleは匿名配達が可能です。個人間の物品レンタルでありながら、プライバシーが守られる点は安心材料と言えます。
Alice Styleを運営する株式会社ピーステックラボは2022年度に赤字を計上しましたが、2024年3月には日本プライベートエクイティ株式会社がピーステックラボへの出資を発表しました。資金提供を受けて、今後の成長が期待されるところです。
Quotta
2018年にサービスを開始したQuottaも、個人間のレンタルを仲介する貸し借りアプリです。ドレスがメインですが、カメラやPC・AV機器・生活家電・アウトドア用品なども扱っています。
Quottaでは2024年6月の時点で、手数料無料キャンペーン実施中です。アプリはiPhoneやiPadなど、iOSでのみ利用可能です。
パソコンが1泊50円~など、借りる側から見ればQuottaのレンタル料金はかなりお得な印象を受けます。貸す側にしてみれば不利な状況のように思いがちですが、他の貸し借りアプリと違って利用手数料が無料となっている点は見逃せません。
Quottaを運営する株式会社嶋ノ屋は、Quottaの他に食品通販サイトの嶋ノ屋オンラインストアを運営しています。Amazonや楽天市場にも出店している会社です。
貸し借りアプリを副業に利用する際の注意点
貸し借りアプリは新しいライフスタイルとして注目を集めていますが、一般的な知名度は高いとは言えません。市場の把握が甘かったために利用者が十分に集まらず、短期間でサービス終了に追い込まれた例もありました。Totteという撮影機材に特化した貸し借りアプリもありましたが、現在はサービスが運営されていないように見えます。
2024年の1月に高級腕時計のレンタルサービスが突然終了し、預けていた時計が行方不明になった件は記憶に新しいところです。以前にもドレスのレンタルサービスが終了した際に、同じようなトラブルがありました。
私物を預けて第三者に貸し出すアプリを利用する際には、預けていたものが汚れたり壊れたりして返ってくる可能性もあります。万が一の破損や紛失に備え、修理や交換などの保証がついているアプリなら安心です。
Alice Styleでは売上から引かれるレンタルテス手数料に、保険料が含まれています。預けていた品が破損したり紛失したりした場合には保険が適用され、修理や交換などで対応してもらえる仕組みです。
Quottaに預けた品には保険が適用されませんが、借り主に対して弁償を請求できる制度は設けられています。貸した品に破損や紛失が生じた場合、あらかじめ設定した金額以内で補償金を請求できる仕組みです。
貸し借りアプリを副業の手段に利用する際には、以上のようなリスクがあることを頭に入れておく必要があります。レンタルで高収入を稼ぐ目的で高額な商品を新規に購入したり、大量に貸し出したりするのはおすすめできません。
家で使う機会がないまま眠っていた品であれば、万が一返ってこなかったとしてもそこまで大きな痛手ではないはずです。「タンスの肥やしを有効活用してお小遣い稼ぎができれば儲けもの」くらいのつもりでいた方がいいでしょう。
貸し借りアプリを使った副業まとめ
現状では副業に利用できる貸し借りアプリの数は限られており、まだまだ発展途上の稼ぎ方という印象も否めません。それだけに物品レンタルは今後に向けた成長の余地も残されており、これから参入しようという人でも先行者利益を得られる可能性は十分にあります。
貸し借りアプリは一見フリマアプリと似たような稼ぎ方ですが、不用品販売や転売を副業にして安定した収入を得るには売る商品を次から次へと用意しなければなりません。売るべき商品がなくなれば収入が途絶えてしまうフリマアプリと比べ、物品レンタルは同じ品で何度でも繰り返し収益を生み出せる点が特徴です。
工夫しだいではメルカリ等で中古美品を安く購入し、貸し借りアプリに出品して投資のような稼ぎ方も考えられます。安く買い叩かれやすい買取と比べて、不用品をお金に換える手段としても理にかなった稼ぎ方です。
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