カブトムシやクワガタを飼育しようという場合、お金を出して買うのが当たり前の時代です。山に行って自分で捕まえてくるという人は少なくなっただけに、昆虫好きの人には稼ぐチャンスがあります。
高く売れる種類の個体を養殖して増やせば、一攫千金も夢ではありません。「カブトムシやクワガタは儲かる」という話を、聞いたことがあるという人も少なくないはずです。
しかしながらカブトムシやクワガタは、ペットショップやホームセンターでも売られています。個人が同じように売ろうとしても、収益を出すのはなかなか難しい部分もあります。
売り方によっても収益性に差が出てきますので、どういう販売方法があるのか知っておくことも大切です。以前は販路も限られていましたが、今ならネット販売にも複数の選択肢があります。
そこで今回は「カブトムシ・クワガタを売る方法」をテーマに、7つの販売方法ごとにメリットとデメリットをまとめてみました。
記事の後半では具体的な数字に基づいて、高く売れるカブトムシ・クワガタの種類も紹介します。カブトムシやクワガタを養殖した場合の推定年収についても解説しておきましたので、ブリーダーを目指す人にとっては必見の内容です。
カブトムシやクワガタの販売を副業にする方法
犬や猫などの動物を販売するには、第一種動物取扱業の登録と動物取扱責任者の資格が必要です。鳥類や爬虫類のペットも犬や猫などと同じ扱いですが、昆虫を売るのに資格は必要ありません。誰でもその気になれば、カブトムシやクワガタを売ってお金を稼げるようになります。
実際にカブトムシ・クワガタの販売を副業にするには、買ってくれる人をどうやって見つけるかが問題です。
売る方法はいろいろと考えられますので、カブトムシ・クワガタの販売方法6選にまとめておきました。
販売する前に、まずは商品となるカブトムシ・クワガタを用意する必要があります。物販ビジネスで言えば「仕入れ」に相当する部分ですが、カブトムシやクワガタの場合は以下の2通りです。
- 野外で採集した個体を売る
- 養殖で増やした個体を売る
かかる費用や収益性が違ってきますので、それぞれ詳しく解説します。
野外で採集した個体を売る
カブトムシとクワガタは、珍しい種類でなくても子どもたちに人気があります。「養殖は手間がかかるのでちょっと…」という人でも、そのへんの山で採集したカブトムシやクワガタを売る方法ならそれほど手間がかかりません。
日本国内で採集が可能なカブトムシは、単に「カブトムシ」とも呼ばれるヤマトカブトムシ1種類だけです。高く売れる希少種は国内で採集できませんが、普通のカブトムシでも夏休み自由研究などの目的で一定の需要はあります。
クワガタの方は国内だけで46種類が生息していて、日本最大級のオオクワガタはクワガタブームの主役を演じたほど人気の昆虫です。ブームの影響もあって乱獲が進み、現在では絶滅危惧種に指定されるほどオオクワガタの数が激減してしましました。
警戒心の強いオオクワガタは捕獲の難易度も高めですが、Yahoo!オークション(旧ヤフオク)ではノコギリクワガタやミヤマクワガタでも1,000円前後で出品されています。クワガタはカブトムシよりも飼育が難しいため、ペットショップでも養殖ものの割合が低く販売価格が高めです。副業の養殖ビジネスで扱う昆虫を選ぶなら、カブトムシよりクワガタの方が収益を出しやすいと言えます。
養殖で増やした個体を売る
国産カブトムシは近くの山でも簡単に採集できるため、それほど高値では売れないのが普通です。高値で売れやすい外国産の大型カブトムシを販売するとしたら、手間とコストをかけて飼育するしかありません。クワガタにしても同様で、海外の珍しい種類を売るには自分で飼育する必要があります。
幼虫や卵のうちなら、希少種でも比較的安く入手することが可能です。成虫に育てることで、仕入れとの差額を収益にするというビジネスモデルが成り立ちます。そうやってカブトムシやクワガタを累代飼育していけば、新たな個体を仕入れる必要もありません。
大型の個体や希少種は飼育に手間とコストがかかるため、高値で売れる可能性が出てきます。累代飼育を続けていくと幼虫や卵もどんどん出荷できるようになり、ビジネスとしての収益性が高まっていきます。
カブトムシやクワガタを売る副業も、お小遣い稼ぎが目的なら採集でも十分です。まとまった収入を目指すなら、養殖ビジネスの方が断然有利となってきます。
カブトムシ・クワガタの販売方法7選
カブトムシやクワガタをお金に換えるには、いくつかの販売方法が考えられます。リヤカーを使って移動販売している人もいますが、人の集まる公園で売るには公園管理者の許可が必要です。温度管理なども難しいことから、誰でも実践できる販売方法ではありません。
友人や知り合いに直接売るような場合を別にすれば、個人でカブトムシやクワガタを売る方法は以下の7通りです。
- 昆虫ショップで買取してもらう
- 昆虫イベントに出店する
- 道の駅などで委託販売
- 無人販売
- Yahoo!オークションに出品
- SNSで買い手を募集する
- 個人でネットショップを運営
それぞれ詳しく解説します。
昆虫ショップで買取してもらう
カブトムシやクワガタを売る方法として誰でも思いつくのは、昆虫を扱うペットショップへの買取です。一般客からの買取に応じている昆虫ショップがあれば、一番手っ取り早く稼げるようになります。
ただし買取価格は卸値となるため、金額の方はあまり期待できません。店側の中間マージンが引かれると、売価の半値以下になってしまいます。オスとメスのペアを500円で買取してもらった場合、売価は1,500円になるようなイメージです。買取価格の何倍という値段で、店頭販売される例も珍しくありません。
カブトムシやクワガタを昆虫ショップに卸すには、ある程度のまとまった数量も必要になってきます。その代わりお客さんへの販売の方は、店側に任せられるので楽です。「カブトムシやクワガタを大量に育てていて世話が大変なので、販売に時間をかけている余裕がない」という人に向いています。
カブトムシ・クワガタをホームセンターに売るのは無理?
カブトムシやクワガタはホームセンターでも売られていますが、一般客からの買取に応じているところはほとんどありません。店単位での仕入れに融通がきかないところは、小規模の地域密着型店舗と違うところです。
多数の店舗をチェーン展開しているホームセンターは、仕入れを本部で一括して管理しています。大量仕入れ大量販売が原則のため、カブトムシやクワガタのような昆虫も卸業者から仕入れるのが一般的です。地元のホームセンターに強力なコネを持っている人でもない限り、個人が付け入る隙はありません。
どうしてもホームセンターに売りたいという場合には、法人化も検討をしてみるといいでしょう。ホームセンターのようなチェーンストアは、売掛金による後払いで商品を仕入れています。法人口座を開設しておいた方が、個人事業主の立場よりホームセンターと取引しやすいはずです。
昆虫イベントに出店する
カブトムシ・クワガタを売る方法の2つ目は、夏を中心に全国各地で開催される昆虫イベントです。同じ昆虫好きのお客さんと交流を楽しみながら、対面販売でお金を稼げるというメリットがあります。
会場への搬入費用や出店料はかかりますが、ネット販売などと違って梱包資材や発送費用は不要です。昆虫ショップに買取してもらうのと違って、個人で出店可能な昆虫イベントはそれほど多くありません。
遠方のイベント会場に出店する場合、交通費が余計にかかってしまう点はデメリットです。出店するにはかなりの数の個体を用意する必要もありますので、カブトムシやクワガタを大量に飼育しているブリーダー向けの販売方法と言えます。
道の駅などで委託販売
地方に行くと、カブトムシやクワガタが道の駅で販売されていることがあります。道の駅の客層はファミリー層やシニア層が中心で、孫のためにカブトムシやクワガタを購入する高齢者も少なくありません。
道の駅の直売所には個人でも出品が可能で、野菜などと同じように委託販売で売ってもらうことになります。道の駅で委託販売するには、数千円ほどの年会費を支払うのが一般的です。退会時に戻ってくる預り金が必要な場合もあります。
委託販売の手数料は、売上金の15%から20%というところが多いです。商品の販売は道の駅側で代行してくれますが、商品が売れ残った場合には自分で回収しなければなりません。
販売スペースには限りがあって、基本的に早い者勝ちです。道の駅でカブトムシやクワガタを委託販売したい場合は、早めに問い合わせしてみるといいでしょう。
無人販売
カブトムシやクワガタを売る第3の方法は、野菜の売り方でもおなじみの無人販売です。ゲリラ的な手法と言えなくもないですが、昆虫を置いている無人販売所は実在します。自宅の敷地に小さい販売所を設置したり、カーポートを利用して無人販売したりするような売り方です。
道の駅で委託販売するのと違って、自宅の敷地なら年会費や販売手数料もかかりません。近所に住む人や通りかかった人にしか売れないというデメリットもありますが、SNSやネット掲示板などを通じて宣伝するのも手です。
時間帯を限定した有人販売で、カブトムシやクワガタのガレージセールを自宅で開催している人もいます。
メダカの無人販売所もよくあるだけに、昆虫でもやってできないことはありません。野菜の無人販売所と同様に、盗難のリスクもありますので、監視カメラなどを設置した防犯対策も必要です。
Yahoo!オークション(旧ヤフオク)に出品
ここまではカブトムシやクワガタを直接販売する売り方でしたが、ネット販売にもいくつかの方法があります。昆虫のネット販売で最も多くの人が利用しているのは、旧ヤフオクのYahoo!オークションに出品する販売方法です。
Yahoo!オークションには、オークション形式とフリマ(定額)形式という2種類の出品方法があります。どちらも哺乳類や鳥類・爬虫類は出品禁止ですが、カブトムシやクワガタのような昆虫なら生きた個体でも出品可能です。
Yahoo!オークションは全国各地の人たちが利用しているため、直接販売と比べて販路が大きく拡大されます。カブトムシやクワガタで珍しい種類の個体を出品して、数十万円という高値で落札された例も過去には複数ありました。
ネット販売には死着やクレームなどのリスクがありますので、梱包と発送にも気を使います。写真を掲載したり説明文を作成したりする出品の手間もありますが、カブトムシやクワガタが最も高く売れる可能性のある販売方法です。
メルカリやラクマは生きた昆虫の出品が禁止
ネットオークションは手続きが面倒なイメージもあるため、メルカリのようなフリマアプリを使って売りたいという人もいると思います。残念ながらメルカリでは、生きた昆虫の出品は禁止です。ラクマやYahoo!フリマでも、同じように昆虫の生体は出品できません。
カブトムシやクワガタの標本なら出品も可能ですが、価格の方は生きた個体より低くなりがちです。珍しい種類の標本や大型の標本なら、メルカリでも1万円以上の高値で売れた例が複数あります。
SNSで買い手を募集する
旧ツイッターのXやインスタグラムなどのSNSでカブトムシやクワガタに関する情報を発信し、購入希望者を募集するという手もあります。インスタグラムよりXの方が、カブトムシやクワガタの好きな人が集まりやすいようです。
代金の支払い方法は、メッセージのやり取りで個別に決めることになります。Yahoo!オークションを利用するのと違って、代金の全額を自分の収益にすることも可能な販売方法です。
その代わり現金のやり取りで、SNSの運営会社が保証してくれるこはありません。何かトラブルがあった場合は、すべて自己責任ということになります。決済を代行してくれるという点では、Yahoo!オークションで販売する方が安心です。
無料掲示板のジモティーにも、カブトムシ・クワガタの販売情報を投稿している人を見かけます。「里親募集」カテゴリでは無料譲渡しか認められていませんが、「売ります・あげます」カテゴリなら有償譲渡も可能です。
Yahoo!オークションに出品した商品が売れた場合、売上の10%は落札システム利用料として引かれることになります。ジモティーで募集した相手と直接会って現品を手渡しし、代金もその場で受け取れば、販売手数料はかかりません。ジモティーのあんしん決済機能を利用した場合は、決済金額の5%が販売手数料として引かれる仕組みです。
個人でネットショップを運営
カブトムシやクワガタのネット販売で手数料を安くできるもう1つの方法は、個人でネットショップを開業する売り方です。通販サイトを運営している会社でなくても、ネットショップは意外と簡単に作れます。
誰でもその気にさえなれば、世界でたった1つの「カブトムシ・クワガタ専門店」をネット上にオープンできる時代です。BASEやSTORESなど、個人でも契約できるネットショップ作成サービスがいろいろとあります。
ネットショップ作成サービスを利用してカブトムシ・クワガタを販売すれば、サービス運営会社に決済を代行してもらえるので安心です。売上の数%は決済手数料として引かれますが、Yahoo!オークションよりは手数料が安く済みます。売上が増えれば増えるほど、手数料の差が収益に響いてくるものです。
個人でネットショップを運営する販売方法にも、開業当初は集客力が弱いという課題はあります。SNSやブログ・YouTubeチャンネルなどと上手に連携しながら、集客力を高めていく工夫が必要です。
初期費用や月額料金なしで、ネットショップを開業できる初心者向けサービスもいくつかあります。以下の記事を参考にしながら、カブトムシ・クワガタのネットショップ開業を検討してみるといいでしょう。
カブトムシ・クワガタブリーダーの年収はどれくらい?
犬や猫など動物のペットを繁殖させるブリーダーの場合、平均年収は300万円程度と推定されます。ブリーダー事業を行う会社で正社員として働いた場合の、年間平均給与を含めた数字です。
犬猫のブリーダー会社は中小企業が多く、個人で活動している人も少なくありません。カブトムシやクワガタを養殖するブリーダーは、個人の割合がさらに高いと見るのが妥当です。趣味の延長で育てた個体を販売して、お小遣い稼ぎをしている人も見かけます。
収益を公開しているブリーダーの情報を総合すると、「月に10万円も収益があれば稼いでいる方」というのが現状です。年収に換算すると、「100万円以下」という人も少なくないのではないでしょうか?
カブトムシやクワガタを通年で飼育するには餌代がかかる上に、温度を一定に保つための電気代もばかになりません。売上ベースでは年間100万円以上を稼いでいても、経費を引いた最終的な収益はだいぶ減ってしまいます。
費用を引いた収益ベースで1匹あたり仮に1,000円を稼いだとすると、年に100万円を稼ぐには1,000匹売らなければなりません。1匹あたりの収益が1万円なら、100匹売れば年収100万円に達する計算です。
いずれにしてもよほど大量の個体を飼育するのでない限り、カブトムシ・クワガタの養殖で年収100万円を稼ぐのは難しいと見られます。1匹(または1ペア)何十万円という高値で売れるほどの立派な個体を育て上げれば、そこまで大量販売しなくても年収100万円を達成できる可能性はあります。
カブトムシ・クワガタの販売ビジネスが儲かると言われる理由
「月に10万円も収益があれば稼いでいる方」が現状のわりに、カブトムシやクワガタの販売ビジネスは「儲かる」とも言われ続けています。かつてオオクワガタが1匹1,000万円で売れたこともあったように、ブームの最盛期には儲かるビジネスだったのも確かです。
過去にはオオクワガタの養殖と販売で、年商数千万円を実現した成功例もありました。会社を辞めて養殖ビジネスを本業にしながら、飼育と販売に専念した結果です。
クワガタブームは過去の話ですが、Yahoo!オークションでは今でも珍しい種類の個体が高値で落札されています。イメージ先行で「カブトムシ・クワガタは儲かる」と言われている部分もあるようです。
巷の言説とは裏腹に、カブトムシ・クワガタの販売で必ず儲かるという保証はありません。飼育に失敗したり値崩れしたりして、赤字に転落するリスクもあります。稼いでいる人と稼げない人との間でも、収入にかなりの格差があるものと推定されます。
野外採集の個体を売って稼ぐシンプルな商売と違って、養殖ビジネスにはある程度の設備投資とランニングコストが必要です。コストを回収できるだけの売上がなければ赤字になるリスクがありますので、たとえ副業でも販路をしっかりと確立できるかどうかがビジネスの成否を左右します。
カブトムシやクワガタが特別に好きというわけではなく、単に儲けることが目的なら、メダカの養殖も検討してみるといいでしょう。どちらも珍しい種類の個体は高値で売れていますが、メダカはカブトムシやクワガタより低コストで飼育できるからです。
カブトムシ・クワガタは1匹いくらで売れる?
カブトムシ・クワガタの販売ビジネスが儲かるかどうかは、1匹あたりの売れる値段で大きく左右されてきます。Yahoo!オークションでは1匹(1ペア)何十万円もの高値で落札された例がある一方、1円でしか売れなかった例も少なくありません。
国産カブトムシを昆虫ショップなどに持ち込んだ場合の買取価格はオスが80円程度で、メスは10円という例が多いです。ヘラクレスオオカブトのオスは数千円から5,000円超でも買取されていますが、1万円以上で買い取ってくれるところは多くないのが現状です。サイズによっても買取価格が上下し、小さいサイズは二束三文でしか売れないこともあります。
オオクワガタのオスは50ミリ程度の小さい個体が100円、1,000円で売れるのは70ミリを超えるような大型の個体に限られます。国産のノコギリクワガタになると、買取価格は国産カブトムシと同程度です。カブトムシ・クワガタともに希少価値が高い種類の個体は、Yahoo!オークションに出品した方が高く売れやすいと言えます。
高く売れるカブトムシの種類
カブトムシの販売で高収益を得るには、高く売れる種類を把握しておく必要があります。Yahoo!オークションの取引状況から、高値で取引されているカブトムシの種類をピックアップしてみました。
ヘラクレスオオカブト
「世界最大のカブトムシ」として知られるヘラクレスオオカブトは、Yahoo!オークションでも高額の落札例が多い人気者です。過去180日間に落札された中で最高額は約25万円ですが、過去には300万円という驚きの価格で落札された例もありました。
約3,700件の平均落札価格は6,547円ですので、個体による価格差が大きいのが特徴です。「ヘラクレスオオカブトを出品さえすれば高く売れるのは確実」というわけではありません。サイズが大きくて角も太く立派に成長した個体が、数万円を超えるような高値で落札されています。
コーカサスオオカブト
ヘラクレスオオカブトやネプチューンオオカブトと並んで、「世界3大カブトムシ」の1つに数えられるコーカサスオオカブトも高値で売れています。Yahoo!オークションでは、過去180日間に落札価格が20万円を超えた個体が3例ありました。
約1,300件の平均落札価格は7,546円で、ヘラクレスオオカブトを上回るほどです。立派な角を持つ個体を羽化させるのが難しいせいか、コーカサスオオカブトを飼育しているブリーダーは少なめと見られます。ヘラクレスオオカブトは100件以上が現在も出品中ですが、コーカサスオオカブトの出品数は半分以下です。
その他のカブトムシ
世界3大カブトムシの1つネプチューンオオカブトは、過去180日間の最高値が約4万円でした。ヘラクレスオオカブトやコーカサスオオカブトほど極端な高値で売れた例は見当たらないようですが、約700件の平均落札価格は3大カブトムシで最も高い9,511円に達します。
最高値が約13万円のゾウカブトも、平均落札価格(8,540円)が高めです。最も大きくなるエレファスゾウカブトのほか、アクティオンゾウカブトやヤヌスゾウカブトも大型の個体が5万円以上の高値で落札されています。
野外から採集した個体も数多く出品されている国産カブトムシ(ヤマトカブト)になると、平均落札価格が3,146円にまで下がります。1万円以上で売れているのは、幼虫や成虫を100匹以上まとめて出品した例が大半です。80ミリを超える超大型の個体になると、国産カブトムシでも数万円で落札された例が出てきます。
高く売れるクワガタ
クワガタもカブトムシと同じように、手に入れるのが難しい種類は高く売れやすい状況です。全般に大型の個体ほど高値で売れていますが、クワガタの種類によって価格差も見られます。
過去には大人も巻き込んだブームが何度かあって、特に1990年代のクワガタブームは凄まじいものがありました。オオクワガタが「生きた宝石」「黒いダイヤ」と言われて珍重され、1,000万円の高値が付けられた例もあったほどです。
2000年代以降も、輸入された外国産のカブトムシやクワガタが人気を集めてきました。空前のブームは過去の話ですが、熱心な昆虫マニアは今も少なくありません。希少価値の高い種類を育てて売れば、高値で売れる可能性があります。
Yahoo!オークションで過去180日間に落札された件数を見ると、カブトムシ全体では5,595件でした。これに対してクワガタは、合計の落札件数が35,408件にも達します。平均落札価格もカブトムシの4,268円に対して、クワガタは1,000円近く高い5,131円です。
子どもたちの間ではカブトムシも根強い人気がありますが、大人の昆虫マニアはクワガタの方に魅力を感じる人が少なくないと見られます。ブリーダーの間でも、「カブトムシは意外と売れない」「クワガタの方が儲かる」などと言われているくらいです。
Yahoo!オークションで平均落札価格が高いのは、以下のような種類のクワガタです。
- ウエストウッディオオシカクワガタ64,296円
- ドンキエールコクワガタ13,688円
- オオクワガタ7,989円
- レギウスオオツヤクワガタ7,036円
- ババオウゴンオニクワガタ6,843円
- ミヤマクワガタ6,332円
- タランドゥスオオツヤクワガタ6,042円
オオクワガタ
90年代から2000年代にかけての「クワガタブーム」を牽引したのが、日本にも生息しているオオクワガタです。かつてのブームは落ち着いた感もありますが、Yahoo!オークションでは現在でも大型の個体が高値で取引されています。過去180日間で7,000件以上落札された中に、20万円以上の高値で売れたのが2例ありました。
最高値はヘラクレスオオカブトの方が上ですが、10万円以上で落札された例の多さではオオクワガタに軍配が上がります。平均落札価格も約8千円に達するだけに、「高く売れるクワガタ」の代表格と言えそうです。
Yahoo!オークション(旧ヤフオク)はオオクワガタが出品禁止?
野生のオオクワガタは絶滅が危惧されていて、環境庁の「レッドリスト」に記載されています。生きた昆虫の出品が可能なYahoo!オークションでも、2022年9月29日にガイドラインが改定されました。環境省のレッドリストに記載された絶滅危惧種・準絶滅危惧種は、原則として出品禁止です。
オオクワガタも出品禁止の対象に含まれますが、例外も認めれています。オオクワガタが出品禁止なのは個人の場合で、Yahoo!オークションのストア出店者は禁止の例外です。それも人工的に繁殖された個体に限り、出品が可能となっています。
Yahoo!オークションのストアは、月額料金0円で利用できるネットショップ機能です。個人でもストア出店は可能ですが、Yahoo!ショッピングの審査に通る必要があります。Yahoo!オークションへの出店にこだわらなければ、BASEやSTORESなど他のネットショップ作成サービスを利用するのも手です。
ニジイロクワガタ
オーストラリアやニューギニアに生息するニジイロクワガタも、昆虫ファンの間では大の人気者です。「世界一美しいクワガタ」とまで言われていますが、Yahoo!オークションでは過去180日間の平均落札価格が3,731円にとどまります。
ニジイロクワガタは他の外国種クワガタと比べて、飼育の難易度はそこまで高くありません。85,000円で落札されたペアが、直近半年間の最高値です。色によっても人気度に差が見られ、青紋や紫紺ピカールのペアは3万円以上で落札された例も多く見かけます。
ミヤマクワガタ
国内でも採集が可能なミヤマクワガタは、標高300mから500mほどの冷涼な気候を好む高地性のクワガタです。Yahoo!オークションの平均落札価格は6,332円ですが、超大型の個体は10万円以上の高値で落札されています。過去180日間の落札された最高値は、オオクワガタの最高値を上回る約40万円です。
絶滅危惧種のオオクワガタは人工繁殖された個体でないと出品できませんが、ミヤマクワガタは国内で天然採集された個体も出品されています。高値で落札されているのは、いずれも80ミリに迫る超大型の個体です。
オオクワガタを除く他の国産クワガタで、これほど高値で売れる種類はありません。個人が山で採ってきたクワガタで一攫千金が狙えるのは、ミヤマクワガタだけと言ってもいい状況です。
カブトムシとクワガタを飼育するポイント
小学生の夏休み自由研究にもよく利用されるほどポピュラーな昆虫だけに、カブトムシもクワガタも飼育方法はそれほど難しくはありません。その気になれば会社の仕事を持っている大人でも飼うことはできますが、幼虫から育てるにはいくつかポイントがあります。
1つの飼育ケースに幼虫を多く入れすぎるとストレスや病気の原因になりますので、大量に飼う場合は複数のケースを用意したり、大きな衣装ケースを使ったりするような配慮が欠かせません。飼育ケースに入れる腐葉土や発酵マットは乾燥しないよう、霧吹きなどを使って湿らせておく必要もあります。
クワガタを幼虫から育てる際には、キノコの菌を繁殖させたマットが詰めてある菌糸ビンを使うのが一般的です。いずれも脱皮を繰り返して1年ほどで成虫になり、メス1匹で150個から200個ほどの卵を産むようになります。カブトムシはマットに産卵させるのが一般的ですが、クワガタを繁殖させるには産卵用の朽木も欠かせません。
シイタケやキクラゲなどの菌床栽培で出る廃菌床には栄養分が残されているため、カブトムシの幼虫にとっては格好の餌になります。きのこを栽培している農家の中にはこうした廃菌床を昆虫マットに加工し、カブトムシやクワガタの養殖を始める人が出てきました。きのこ栽培と昆虫の養殖を両立させる取り組みとして注目されています。
まとめ
カブトムシやクワガタを売る方法について、さまざまな角度から解説してきました。「採集」「養殖」のいずれかで用意した個体を販売する方法は、以下の7通りです。
- 昆虫ショップで買取してもらう
- 昆虫イベントに出店する
- 道の駅などで委託販売
- 無人販売
- Yahoo!オークションに出品
- SNSで買い手を募集する
- 個人でネットショップを運営
一番手間のかからないのは「買取」ですが、市価の半値以下でしか売れないのが当たり前です。カブトムシやクワガタを欲しい人に直接販売した方が、少しでも高く売れる可能性があります。
カブトムシやクワガタのブリーダーに多く利用されているのは、Yahoo!オークションに出品する販売方法です。珍しい種類の個体や大型の個体なら、万単位の高値で落札される可能性があります。買取以外の売り方は手間がかかるだけに、時間と労力を費やした分だけ自分の収益を増やせるというわけです。
高く売れる外国種のカブトムシ・クワガタを養殖で増やして売るのが、王道の稼ぎ方と言えます。国産カブトムシやミヤマクワガタなど野外で採集できる種類でも、超大型の個体なら高く売ることも可能です。自分に合った方法を選んで、まずは副業でカブトムシ・クワガタの販売を始めてみるといいでしょう。
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