普通の主婦が家事や育児を楽にするアイデア商品を発明し、特許を取得して収入を得るという例が出てきています。掃除や洗濯など家事への不満から思いついたアイデアの商品化に成功すれば、億単位の収入に結びつけることも可能です。
個人で特許を出願して審査を受けるまでが大変なだけに、多くの貴重なアイデアが家庭で埋もれてしまっています。発明で稼ぐコツさえ知っていれば、可能性は大きく広がってくるはずです。
そこで今回は「発明を副業にする方法」をテーマとして、特許取得に関する基本情報を整理してみました。「このアイデアを商品化したら絶対売れるのに」と思っている人も、この記事を読めば個人発明家への道が開けてきます。
発明を副業にすることは可能?
100円ショップや雑貨店・通販サイトには、いろいろな種類のアイデア商品が売られています。それらはメーカー企業の社員が開発した品々だと思いがちですが、普通の主婦が発明して商品化された例も少なくありません。
家事や育児をしていて「こんな商品があったら便利なのに」という不満があれば、発明のアイデアになり得ます。個人でも特許の取得は可能ですので、出願すれば稼ぐ道が開けてくるというわけです。
実際に家事や子育てをしながら、発明を副業にして稼ぐ主婦が出てきました。特許を出願しても簡単に承認されるわけではないため、主婦の副業としては稼ぐハードルが高めです。
審査に通らなければ出願費用の分だけ赤字になりかねませんが、一発当たれば億単位の収入も夢ではありません。主婦にできる副業の中では、成功した場合に稼げる金額が最も高額な部類の仕事です。一攫千金が狙える副業の1つに数えられますので、アイデアに自信がある人は挑戦してみるのも面白いかと思います。
普通の主婦が特許の取得に有利な理由
特許出願の費用で後述するように、特許を取得するには費用が必要になってきます。副業でお金を稼ぎたいのに、高額の費用がかかるようではなかなか手を出せません。特許費用には減免制度がありますので、制度をフル活用すれば費用を少なく抑えることも可能です。
個人で特許を取得しようとする場合、市町村税非課税者は審査請求料と特許料が免除されます。すでに他の仕事で課税義務が生じるほど稼いでいる人は対象外ですが、主婦の大半は市町村税の非課税者となっているはずです。特許取得にかかる費用のうち、最も高額な出願審査請求料が免除になるのは大きいと言えます。
家事や子育てを専門にする主婦は費用の面で特許を取得しやすいだけでなく、アイデア発想の面でも恵まれた立場です。アイデア商品の多くは、家事や育児を楽にする便利グッズが占めています。会社の仕事で消耗しているサラリーマンよりも、家事の得意な主婦の方がアイデア商品の発想で有利なのは間違いありません。
主婦が発明して商品化された例
主婦が発明したアイデア商品はたくさんありますが、その中でも以下の商品は代表的なヒット作です。
- 洗濯機の糸くずネット
- 初恋ダイエットスリッパ
- フリーサイズ落し蓋
- ウィンナーカット
- アク取りお玉
- 汗取りパット
- アイデア商品を考案する
- 発明したアイデアで特許を取得する
- 取得した特許に基づいて商品化する
- 発明・アイデア公募で賞金を稼ぐ
- 特許を取得して自分で商品化し販売する
- 企業の協力を得て商品化する
- 自分で商品化して製造・販売を行う
- 企業の協力を得て商品化する
- 特許の出願料
- 審査請求料
- 特許料
- 電子化手数料
普段の家事や日常生活で、使っているという人も少なくないのではないでしょうか?一般の主婦がこれらのアイデア商品を発明し、企業に売り込んで商品化された成功例です。
企業との契約内容で金額は違ってきますが、自分が考案した商品が売れれば売れるほど、発明した人が手にする収入も増えてきます。普通の主婦でありながら、ヒット作の発明で何億円という金額を稼いだ人も存在するほどです。
個人発明家が稼ぐ方法
アイデア商品の考案は企業の開発部門でも行われていますが、個人が発明で稼ぐには以下のプロセスを経る必要があります。
主婦のような個人の発明家にとって、2番目と3番目のプロセスが大きな関門です。企業であれば知財部門が2番目のプロセスを担当しますが、個人の場合は特許の出願から審査への対応まで自分でする必要があります。
苦労して特許を取得したとしても、商品化が実現しなければ1円も稼げません。商品化してくれる企業をどうやって見つけるかが、1つの問題となってきます。
そのへんも踏まえると、個人の発明家が稼ぐ方法は以下の3通りです。
それぞれのケースについて詳しく解説します。
発明・アイデア公募で賞金を稼ぐ
アイデア商品の発明で収入を得る1つ目の方法は、発明やアイデアを募集するコンテストに応募して賞金獲得を狙うパターンです。
代表的な例としては、一般社団法人の発明学会が毎年7月10日の締め切りで開催している身近なヒント発明展が挙げられます。「生活用品関係」や「文具・事務用品・教材関係」「健康・美容・衛生・介護関係」など、12の部門にわたって商品のアイデアが募集されるコンテストです。奨励金10万円の発明学会大賞をはじめ、賞金総額50万円が受賞者に授与されます。
応募したアイデアが協賛企業に採用されたり商品化が実現したりした場合は、この賞金とは別に契約料や権利実施料が支払われます。先に紹介した「洗濯機の糸くずネット」や「フリーサイズ落し蓋」も、身近なヒント発明展から生まれたヒット商品です。
この他にも企業独自に商品のアイデアを公募することがありますので、最新の募集状況を検索してみるといいでしょう。
特許を取得して自分で商品化し販売
発明コンテストに応募しなくても、考案した発明品を商品化すれば稼ぐ道が開けてきます。この場合にはせっかくの発明アイデアを盗まれないように、特許の所得が欠かせません。「身近なヒント発明展」に応募した場合でも、一次審査を通過すれば出願を勧められます。
どちらにしても発明のアイデアを権利化するには、特許の出願が不可欠です。審査に通って特許が取れたら、発明のアイデアを収益化する道は以下の2通りに絞られてきます。
特許を取得したアイデア商品を自分で製造して売れば、収益を独占することも可能になってきます。ただ実際問題として、個人がアイデア商品を量産して売るのは大変です。
業者を利用して商品を製造してもらったとしても、売れ残った場合は赤字に転落するリスクがあります。多くの個人発明家が企業に特許を売り込んでいるのは、自分で商品化するだけの金銭的余裕がないのが最大の理由です。
企業の協力を得て商品化する
発明で稼ぐのに最も現実的な方法は、特許を取得した上で企業に売り込むパターンです。交渉が成立して商品化が実現されれば、売上の3%から5%ほどが特許使用料として受け取れるようになります。
相手に特許権を譲渡した場合、さらに高額の対価が得られる可能性もあります。特許権を買い取るだけの価値があるアイデアだと判断されたケースに限られますが、海外では特許のオークションも開催されている状況です。
個人発明家の多くは、特許のアイデアを企業に売り込むのに苦労しています。商品化してくれそうな企業に片っ端から手紙を送ってみて、数十社に1社でも交渉がまとまれば成功の部類です。稼げる発明家になるにはアイデア発想力だけでなく、営業のノウハウやプレゼン力も必要となってきます。
実際に商品化されているのは、登録された特許の1,000件に3件程度です。普通の主婦が発明で稼ぐには、企業への売り込みが重要な鍵を握ってきます。
特許出願の費用
特許を取得するには、原則として以下のような4つの費用が発生します。
このうち1番目の「特許出願料」は、審査の合格不合格と関係なしに必ず発生します。出願料の金額は、1件あたり14.000円です。
所定の出願料を納めて必要書類を提出しても、審査を受けなければ特許は取得できません。特許の審査を受けるには、出願料と別に審査請求料を支払う必要があります。
一連の特許取得費用で、この審査請求料が最も高額です。1件あたり138,000円が基本料金の部分で、複数の発明を1件にまとめた場合、請求項ごとに4,000円の審査請求料が追加で発生します。
3番目の特許料というのは、特許取得後に年単位で発生する維持費の部分です。特許料の金額は取得後の年数で変わってきます。令和4年4月1日に改定された特許料は以下の通りです。
第1年から第3年まで 毎年 4,300円+(請求項の数×300円)
第4年から第6年まで 毎年 10,300円+(請求項の数×800円)
第7年から第9年まで 毎年 24,800円+(請求項の数×1,900円)
第10年から第25年まで 毎年 59,400円+(請求項の数×4,600円)
出典:令和3年特許法等改正に伴う料金改定のお知らせ(令和4年4月1日施行)(経済産業省 特許庁)
取得から年数が経過するごとに、特許料の負担が大きくなっていく仕組みです。
以上の手続きにはパソコンなどを使った電子出願と、紙の種類を提出する書面出願の2通りがあります。書面で出願を行う場合は、「手続き1件あたり1,200円+書面1枚あたり700円」の電子化手数料も必要です。
専業主婦に多い市町村税非課税者は、これらの費用のうち審査請求料と特許料が免除されます。減免制度を利用した上で電子出願すれば、特許費用が1件あたり14,000円の出願料だけで済みます。一般的なサラリーマンのように市町村税を支払っている人と比べ、普通の主婦は特許を取得しやすい立場にあるわけです。
弁理士を利用した場合の費用相場
費用の面で恵まれた立場にあるとは言え、家事に追われている主婦が自分で特許を取得するのはなかなか大変です。書類に不備があった場合には出願が却下され、費用が無駄になりかねません。
特許を出願するには、「特許願」「特許請求の範囲」「明細書」「図面」「要約書」という5種類の書類を特許庁に提出する必要があります。これらの書類を自分で作成するのは難しいという人は、弁理士に依頼するのも1つの方法です。
弁理士は特許や実用新案など知的財産の専門家だけに、特許出願の代行も受け付けています。出願から特許取得後に至るまで、一連の手続きをサポートしている弁理士も少なくありません。
面倒な手続きをすべて弁理士に依頼すれば楽ですが、その代わり前述の費用とは別に報酬の支払いが発生します。弁理士によって金額は違ってきますが、特許出願代行の報酬は30万円前後が平均的な相場です。
特許取得までの全面サポートを希望する場合、さらに45万円前後の報酬が追加でかかってきます。自分で手続きすればこれらの費用を浮かせることも可能ですが、自己流で出願して失敗した人の例も少なくありません。費用がかかっても特許の専門家に相談し、指導を受けてから出願するのが安全と言えます。
出願料と弁理士報酬で合計数十万円かかったとしても、特許を取得した商品が売れれば費用を回収することも可能です。個人の発明も会社の事業と同じで、「お金を稼ぐにはある程度の元手が必要」という考え方もできます。
まとめ
普通の主婦がアイデア商品の発明を副業とするために、特許を取得する方法について解説してきました。特許を取得するには、普通は高額の費用が発生します。一般的な主婦は市町村税非課税者となっている例が多いため、1件あたり14,000円の出願料だけで特許を取得することも可能です。
たいていは自分で何から何まで手続きをするのが困難ですので、追加費用をかけて弁理士の支援を受けることになります。出願しても特許が取得できなければ費用が無駄になってしまいますが、交渉しだいでは企業がアイデアを採用してくれるかもしれません。商品化する価値があると判断されれば、特許取得費用を企業が肩代わりしてくれる場合もあり得ます。
いずれにしても普通の主婦が発明家になって稼ぐには、企業への売り込みが一番のポイントです。消費者の立場を強みにして企業の課題を解決するという視点に立てば、商品化への道も自然と開けてきます。
他の副業と比べて稼ぐハードルは高めですが、一攫千金も狙える点が発明の魅力です。アイデアを考えるのが得意な人は、発明の副業にチャレンジしてみるといいでしょう。