ハーブは料理やアロマグッズ・入浴剤など、いろいろな用途に使える万能の植物です。繁殖力も旺盛で栽培しやすいとあって、ガーデニングを趣味とする人の間でもハーブは根強い人気があります。
挿し木や株分けなどの方法でどんどん増やせるという点も、ハーブが人気を集めている理由の1つです。自分で作った苗や採取した種をメルカリなどで販売すれば、ハーブ栽培が副業の手段にもなり得ます。
ハーブの増やし方にはコツがありますので、初心者にもわかりやすいように基礎知識をまとめてみました。ハーブを商品化する方法についても、記事の後半で4種類の売り方ごとに詳しく解説します。
ハーブの増やし方
ハーブを自分で栽培して収穫し、お洒落なライフスタイルの小道具として利用している人が増えています。ハーブはベランダや室内でも栽培できますので、自宅に庭がないという人でもチャレンジは可能です。
ハーブを種から育てるのは難易度が高めだけに、ほとんどの人は購入した苗を使って栽培を始めています。栽培のコツがわかってきたら、順調に育ったハーブを増やしてみるのが次のステップです。
うまい具合に増やして新たな苗ができれば、欲しいという人のその苗を売ることでお金に換えられるようになります。種類によって向き不向きはありますが、ハーブの増やし方には以下のような3種類の方法があります。
- 挿し木で増やす
- 株分けで増やす
- 種を採取して増やす
それぞれ詳しく解説します。
挿し木で増やす
ハーブを増やす最もポピュラーな方法は、生長した若枝の先端を切り取って植える挿し木(挿し芽)の手法です。葉のついた茎や枝の先端部分を切り取って土に植えれば、やがて根が出てきます。種から育てるのが難しい種類のハーブでも、挿し木なら新たな苗を作り出すこともそれほど難しくはありません。
先端が切り取られた元のハーブも、新たな葉を出して生長を続けます。1つのハーブが2つに増え、さらに4つ、8つへと倍々ゲームで無限に増殖可能になるというわけです。
挿し木に向いているものとそうでないものがあるため、どの種類のハーブでもこの方法で増やせるというわけではありません。主要な人気ハーブの中では、ラベンダーやローズマリー・バジルといったあたりが挿し木で増やせる種類です。セージやタイム・オレガノ・レモンバームなども、同様のやり方で増やしていけます。
挿し木を行う時期はその土地の気候やハーブの種類によっても異なりますが、真夏や真冬の時期は避けるのが一般的です。寒さに強い種類のハーブは春に挿し木を行い、暖地性のハーブは秋に行うようにするといいでしょう。
挿し木を行う際にはしっかりとしていて充実した茎(枝)を選び、下の葉を何枚か残した状態でその上の部分をハサミで切り取ります。切り取った先端部分は30分ほどコップの水に浸して水揚げし、十分に湿らせた土に挿して根が張るのを待ちます。1ヶ月ほど経って十分に根を張ったところで定植用のポットに移し替えれば、販売可能なハーブ苗の出来上がりです。
ハーブは水耕栽培が可能な種類が多く、ミントやバジル・レモンバームなどは水挿しと呼ばれる手法でも増やせます。ハーブの枝や茎を先端から10~20センチほどのところでカットし、水を入れたコップにつけておく方法です。1週間ほどで発根してきますので、育苗ポットなどに植え替えれば新たな苗を作れます。
株分けで増やす
ハーブを増やす2つ目の方法は、1つの株を根の部分から分けて植え替える株分けの手法です。作業の難易度は上がりますが、挿し木に不向きな種類のハーブでも増やせるというメリットがあります。
パセリやレモングラスは挿し木ではなく、株分けで増やすのが一般的です。ミントやカモミール・オレガノ・レモンバームは挿し木でも増やせますが、株分けにすれば元の株も生育が促されるというメリットがあります。
作業の際には土に植えたハーブを根ごと掘り起こし、株が分かれそうな個所を見つけて根を傷つけないように2つに分割します。株がある程度大きい場合は、3つ以上に分割しても大丈夫です。分割した株を新たな土に植え直せば、1つのハーブが2つ以上に増えたことになります。
種を採取して増やす
挿し木や株分けはハーブを人工的に増やす方法ですが、野生のハーブは種子が発芽することで繁殖しています。そういう意味ではどの種類のハーブも、種をまいて増やせないことはないはずです。
実際には種をまいてもなかなか発芽しないケースが多く、ハーブを種から育てるのは簡単でありません。だからこそハーブは苗の形で売られている例が多いわけですが、中級者以上になれば種を採取して増やす方法にもチャレンジしてみる価値はあります。1つの株からたくさんの種が採れますので、うまく発芽できればハーブを何倍にも増やせるようになります。
ローズマリーやカモミール・バジル・レモンバーム・パセリといったハーブは他の方法でも増やせますが、比較的発芽しやすいため種から育てることも可能です。ラベンダーを種から育てるのは上級者向けで、慣れないうちは挿し木で増やすことをおすすめします。
ハーブを商品化する方法
以上3種類の方法でハーブをどんどん増やしていけば、メルカリに出品したりして販売できるようになります。最初のうちは苗の購入にお金がかかっていたところを、増やしたハーブを他の人に売れば逆にお金を稼げるというわけです。
増やしたハーブを売れば売るほど、苗や土の購入にかかった費用を取り戻して収益が積み重なっていきます。挿し木や株分けを行うのにある程度の作業時間は必要ですが、その時間をお金に換えれば立派な副業です。
自分で栽培したハーブを売る方法については、ハーブの栽培を副業にするには?ハーブを売るビジネスの始め方を解説で詳しく解説しておきました。今回の記事はハーブの増やし方がテーマですので、増やしたハーブをどのように商品化するのかという点についても補足しておきます。
増やしたハーブを商品化する方法は、ホームセンターでも売られているような苗として販売するだけではありません。メルカリに出品されているハーブの例を見ても、収穫したハーブをそのまま食用として売っている人もいれば、採取した種を販売している人もいます。ドライフラワーやハーブティーに加工して販売することも可能ですので、苗を含めた4種類の商品化案について詳しく解説していきます。
食用のハーブとして販売する
自分で栽培したハーブを売るのに最も手っ取り早い方法は、料理に使う食材として収穫物をそのまま販売するやり方です。パセリやバジル・タイム・ミントなど食用に適したハーブに限られますが、メルカリでは結構な需要があります。スパイスや臭み消しなどの用途に使う他、サラダの材料にしたりハーブティーを作ったりと、ハーブの利用目的はさまざまです。
普段買い物をするスーパーで買えないという人も少なくないせいか、食用ハーブはメルカリでも完売例が少なくありません。メルカリを含めたフリマサイトでは農産物も出品が可能で、素人が家庭菜園で作った野菜が数多くっ出品されています。料理に使うハーブもそうした農産物の一種として、個人対個人の取引で活発に売り買いされているわけです。
フリマアプリを使って食用のハーブを販売する際には、鮮度が良い状態で届くように梱包や発送への配慮も欠かせません。収穫後できるだけ早く発送するのはもちろんですが、濡らした紙などで切り口を包んで水分が保持されるようにする必要もあります。その上でハーブ全体を新聞紙などで覆ってビニール袋で包み、段ボールに入れて緩衝材で隙間を埋めるようにすれば万全です。
入念に梱包することで資材代や送料が増えてしまいますが、クレームや低評価を避けるための必要経費とも考えられます。そのへんの事情については野菜のネット販売とも共通点がありますので、以下の記事も参考にしてみるといいでしょう。
ハーブの苗を売る
挿し木や株分けで増やしたハーブは、新たな苗として商品化が可能です。ハーブを種から育てた場合でも、うまく発芽できれば苗として売れるようになります。
ホームセンターや園芸店ではハーブの種も売られていますが、苗を購入する人の方が圧倒的に多い状況です。店で購入すると割高なせいか、メルカリやラクマなどのフリマアプリを利用した個人対個人の取引も活発に行われています。
Amazonや楽天市場にハーブの苗を注文した場合、送料を入れると1,000円以上になってしまうのが普通です。メルカリでは送料を出品者側で負担するのが通例となっているため、ハーブの苗は1,000円以下でもかなりの割安感があります。
育苗ポットに入れた状態で発送する際に箱の中でバラバラになるのを防ぐには、ポット同士を輪ゴムで固定しておくのが効果的です。苗のサイズに合った段ボール箱を選び、箱の隙間を緩衝材で埋める対策も欠かせません。
育苗ポットから出して土を落とした抜き苗の状態での梱包が可能なら、第四種郵便物として発送することで送料が安く上がります。この場合は根をウェットティッシュなどで湿らせた状態で梱包し、苗の鮮度を保つようにするといいでしょう。
ハーブの種を売る
栽培の難易度は苗より高めですが、ハーブを種から育てようという人も少なくありません。メルカリでハーブに関する出品を検索してみると、苗だけでなく種の完売例も数多く見つかります。市販の種を中古品として出品している人もいますが、大半の出品は自家採種したオリジナルの商品です。
ハーブの種はホームセンターや大手通販サイトでも売られているため、メルカリに出品した場合は他の出品者を含めたライバルとの価格競争も避けられません。種は第四種郵便物として安価に発送することが可能ですので、送料込みで大手通販サイトと同等の価格を打ち出せばお得感をアピールできます。ハーブを栽培していて種を収穫したら、フリマアプリでの販売も検討してみるといいでしょう。
農林水産省に品種登録された種類のハーブは有効期限の範囲内にある限り、育成者の許可を得ないで種や苗の販売はできません。農産物や園芸植物の品種登録は小説や漫画・音楽などの著作権と同様に、育成者の権利を保護する制度です。許可を得ないで勝手に販売した場合は違法性に問われることになりますので、種や苗を販売しようとするハーブが品種登録されているかどうかを事前に確認する必要があります。
登録品種でない野生種のハーブであれば、採取した種や育てた苗を販売するのに許可は不要です。野菜や果物ほど登録品種が多いわけではありませんが、店でハーブを購入する際には品種登録された種類ではないかどうかラベルを確認してみるといいでしょう。メルカリで種を販売する際の注意点に関しては、以下の記事で詳しく解説しておきました。
ドライフラワーにして売る
ラベンダーやローズマリーなどの人気ハーブは、ドライフラワーとして商品化することで付加価値が高まります。ハーブを使ったドライフラワーは香りや外観がお洒落なだけに、ハーバリウムやリース・スワッグなどのハンドメイド材料に最適です。
ハーブはサシェと呼ばれる香り袋やハーブキャンドルなど、アロマグッズの材料としても利用されています。ハーブを乾燥させることで日持ちがするようになるため、フラワーアレンジメントの花材としてもドライフラワーが人気です。農薬不使用の自家製ハーブという点を安心材料としてアピールすれば、ハーブティーや入浴剤に使いたいという人からの購入も期待できます。
乾燥させたハーブを「ハーブティー」として販売する場合は、加工食品の扱いになるため食品衛生法に基づく営業許可や食品表示も必要です。2021年に食品衛生法が改正されたことで、ハーブティーの製造・販売にも保健所への届け出が義務付けられました。
メルカリでは「保健所等の許可不要の一般食品」として、ハーブティーを出品している人もいます。この場合でも原材料名や産地名・内容量に加え、保管方法と賞味期限の記載が必要です。
薬機法(旧薬事法)の規定により、美容や健康への効能を表記できるのは医薬品に限定されます。ハーブティーは医薬品ではなく食品に該当しますので、メルカリに出品したりする場合でも効能を表記するのはNGです。ハーブティーの効能を表記して販売する行為も禁止されています。このように自家製ハーブティーの販売はハードルが高めですので、法律面の知識を持つ上級者向けの商品と言えます。
増やしたハーブを売る方法まとめ
挿し木や株分けなどの方法でハーブを増やしていけば、食用としての販売だけでなく苗としても売れるようになります。種を採取したりドライフラワーに加工したりと、増やしたハーブの商品化アイデアは他にもいろいろと考えられます。
品種登録されたハーブの種や苗を販売する場合や、ハーブティーのように加工食品として販売する場合は注意が必要です。登録品種でないハーブの苗や種を販売する分には許可も不要で、自分の好きな方法で自由に販売できます。食品ではなくドライフラワーの形にハーブを加工して販売する場合も、営業許可などは必要ありません。
コツさえ覚えればハーブはどんどん増やせますので、この記事で紹介したように商品化して売れば副業の手段にもなり得ます。自分の得意な方法で増やしたハーブを商品化し、販売にもチャレンジしてみるといいでしょう。