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山菜採りを無許可でするのは違法?野草を採っていい場所を解説

山菜採りを無許可でするのは違法?野草を採っていい場所を解説 雑学
©YAMATO2023
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タラの芽やコゴミ・ワラビ・ゼンマイ・タケノコなどの山菜には、スーパーで売られている野菜にはない独特の味わいがあります。食費を節約する目的で、道端や河川敷から野草を採ってくる人もいます。

山菜や野草はただで手に入る食材と思いがちですが、他人の土地で採取するのに法的な問題はないのでしょうか?

法律をどこまでも厳格に適用すれば、国有林でさえも山菜採りは禁止ということになってしまいます。「山菜採りはどこまでが合法でどこから違法?」という質問には、「自分の土地以外はすべて違法」と答えておけば楽です。

実際は国有林や河川敷で山菜や野草を採る場合でも、場所によって判断が分かれてきます。違法でも大目に見られているのが現状だけに、もっと正確な情報を知っておきたいところです。

筆者も20年以上前から山菜採りをしてきて、採っていい場所といけない場所の違いは把握しています。自分の山を所有しているわけではありませんが、山菜採りで違法性に問われたことは一度もありません。

山菜採りの違法性については、ネット上でもさまざまな情報が出回っている状況です。「どっちが本当?」と思っている人も少なくないのではないのでしょうか?

そこで今回は野草や山菜を採っていい場所について、許可が必要なケースと合わせて基本情報を整理してみました。販売目的で山菜採りをしようという人も、この記事を読んでおけば違法状態を回避できるようになります。

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山菜採りに許可が必要な場所

入林箱

筆者が住んでいる地方では、山菜採りをしている人がまわりに何人もいます。いちいち許可を得ないで山菜を採っている人が大半ですが、法律を厳格に適用すればほとんどが違法行為です。

森林法には以下のような規定がされています。

第百九十七条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第百九十八条 森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(出典:森林法 _ e-Gov法令検索

この場合の「産物」には、山菜や野草も含まれると解釈されます。(公有地を含む)他人の所有地で勝手に山菜を採取するのは、森林窃盗罪に該当する犯罪行為です。

とは言え、山菜採りが一切禁止ということはありません。所有者の許可を得ていれば、自分の所有地以外の場所でも山菜採りは可能です。私有地と国有林では事情が違ってきますので、それぞれ個別に解説します。

私有地

個人や法人が所有する私有地で山菜採りをしたい場合には、原則として所有者の許可が必要です。その土地に生えた山菜や野草は、土地所有者のものと解釈されています。たとえ自然に生えてきた植物であっても、許可なく勝手に採取するのは窃盗行為です。

一見自然に生えたように見える山菜でも、人工的に栽培されている場合があります。自分が所有する山林を利用して、タラの芽やワラビ・行者にんにくなどを栽培しているようなケースです。農家が栽培している山菜を勝手に持ち帰るのは、畑の野菜を盗むのと変わりありません。

山菜採りがしたい場所が私有地の場合は、所有者を調べた上で持ち主の許可を得る必要があります。どうしても所有者がわからない場合には地元の人に訊くか、管轄の自治体に問い合わせてみるといいでしょう。

国有林(販売目的の場合)

国有林の看板

国が管理する国有林でも法律を厳格に適用すれば、山菜採りをするのに許可が必要ということになります。実際には多くの人が許可を得ずに、国有林で山菜採りをしているのが現状です。

警察でも人員に限界があるため、広大な国有林の全域にわたって森林窃盗を取り締まるだけの余裕はありません。個人の利用の範囲内で少量の山菜を採取する限りは、いちいち許可を得なくても大目に見られている状況です。

販売目的で山菜を大量に採取するのは、個人の利用範囲を超えることになります。見つかった場合には、森林窃盗罪に問われる可能性が大です。国有林を管理している森林管理署や管理事務所に相談し、必要に応じて入林届を提出することになります。

個人の利用範囲なら許可なしでもOK?

法律が厳格に適用されてしまえば、日本国内には気軽に山菜採りができる場所は1つもないことになってしまいます。自分の山でも持っている人でない限り、山菜採りをするのにいちいち許可が必要とすれば大変な話です。許可を得ないでも野草や山菜を採っていい場所はないのでしょうか?

警察で隈なくパトロールするのが困難なため、森林法も厳格には適用されていないのが現状です。販売目的で大量に採取したりしたような場合を除き、国有林で山菜採りをして逮捕された例はほとんどありません。あくまでも「個人で消費する範囲内」ではありますが、大目に見てもらえるケースが大半です。

法律を杓子定規的に適用するとなれば、国有林に生えた山菜を1本でも無断で持ち帰ったら違法、ということになってしまいます。インターネット上では、「自分の土地以外で山菜採りをするのはすべて違法」などと解説しているサイトもあるほどです。

違法性を強調している情報は弁護士事務所など、法律の専門家が多いという特徴も見られます。不安になった人からの法律相談に誘導できれば、事務所の収益につながるというわけです。

実際にはそこまで厳重に法律が適用されていないのが現状だけに、山菜採りをしている人の多くは許可を得ていません。山菜を根こそぎ採取したり、地形が変わるほど土を掘り返したりと、悪質なケースは通報される可能性もあります。

無許可の山菜採りで摘発されたのは、ほとんどが第三者による通報で発覚した事例です。大目に見てもらえるからと思って、たまたま居合わせた人に見咎められるような採り方は避けた方がいいでしょう。

山菜採りが禁止されている場所

「私有地につき立入禁止」の看板

許可を得る以前に、以下のような場所では山菜を採る行為そのものが禁止されています。

  • 立入禁止の私有地
  • 自然公園の特別保護地区

立入禁止の私有地

個人や法人が所有する土地の中には、「立入禁止」の看板が立っている場所もあります。ロープを張り巡らせたりバリケードを築いたりして、第三者の侵入を拒否する意思を示した私有地も少なくありません。

立入禁止の意思表示がされた私有地では、山菜採りの許可が得られる可能性も低いと考えられます。警告を無視して立入禁止のエリアに侵入し、勝手に山菜採りをするのは言語道断です。立入禁止の私有地では山菜採りどころか、侵入そのものが違法行為に該当します。どれほど良い場所であっても、山菜を採ることは諦めた方がいいでしょう。

自然公園の特別保護地区

国立公園や国定公園などの自然公園には、特別地域や特別保護地区といったエリアが存在します。このうち特別地域は許可を得ることで山菜採りも可能ですが、特別保護地区では許可されることがほとんどありません。

つまり自然公園の特別保護地区は、実質的に山菜採りが禁止されたエリアです。山菜や野草などの植物だけでなく、石ころ1つでも持ち帰ることは許されません。

野草や山菜を採っていい場所

ワラビがたくさん採れるスキー場の斜面

©YAMATO2018

自治体が管理している公有地の中には、許可を得ないでも山菜や野草の採取ができるエリアが存在します。筆者の自宅に近い市民憩いの森では、山菜採りをするのにいちいち市の許可を得る必要がありません。節度を守ってさえいれば自由に山菜採りができるため、毎年のように利用させてもらっています。

このような許可エリアは全国各地に存在するはずですが、インターネットで検索しても十分な情報が得られないのが常です。自分の住んでいる地域で許可された区域はないかどうか、都道府県や市区町村の役所または観光窓口に問い合わせてみるといいでしょう。

河川敷は無許可で野草を採ってもいい?

山菜は山林だけでなく、国や自治体が管理している河川敷にも生えています。河川敷は森林法の対象外で、許可を得なくても野草の採取は可能と思いがちです。

河川敷を管理している自治体によっても対応が異なりますが、基本的には国有林で山菜採りをする場合と共通してきます。「個人の利用範囲」であれば、河川敷に生えている野草を採取するのに許可は必要ありません。販売目的で大量の野草を採取する場合には、河川敷の管理者に届け出をして許可を得ておくのが安全です。

河川敷でも立入禁止のエリアや、野草の採取が禁止されたエリアが存在する場合があります。禁止のエリアでは、許可が下りないと考えた方がいいでしょう。

まとめ

収穫した山菜とバイク

山菜や野草を採るのに許可が必要な場所と必要でない場所について、注意点を解説してきました。国有林や河川敷では「個人の利用範囲」に限り、許可を得ないで山菜採りをしても大目に見てもらえるケースが大半です。

自治体によっては植物の採取が禁止されているエリアや、許可が必要なエリアも存在します。通報されるのが心配という人は、念のため管理者に確認してから行動するのが無難です。

国有林や河川敷でも販売目的で山菜や野草を採取する場合は、管理者の許可を得る必要があります。他人の私有地で山菜や野草を採る場合も、土地所有者の許可を得ないのは違法行為です。法律を厳格に適用するとなれば、自分の土地以外で許可を得ずに山菜採りをするのは全て違法ということになります。

実際に取り締まるのは公有地でも困難なために、よほど悪質なケース以外は見逃されているのが現状です。荒っぽい採り方をして誰かに通報されてしまうと、摘発のリスクもあります。国有林や河川敷で山菜採りや野草を採る場合でも、ルールとマナーを守ることが大切です。

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