春先から初夏にかけての山には、ワラビやコゴミ・タラの芽・行者ニンニクなどの山菜がたくさん生えてきます。山ではただ同然で手に入る山菜も、スーパーでは結構な値段で売られている商品です。自分で採ってきた山菜を売ってお金に換えたいという人も多いのではないでしょうか?
野菜と違って栽培する手間がかからないだけに、「山菜採りは儲かる」とも言われています。当ブログではこれまでに、自然のものを売ってお金を稼ぐ方法について数多く紹介してきました。
売ってもたいした収入にならない自然物もありますが、山菜は市場規模が大きい商品です。それほどコストをかけずに山菜採りができるという恵まれた環境にある人なら、十分に儲かる副業になり得ます。
山菜を売るにはいくつかの販売方法がありますが、採取や売り方を間違えると違法になりかねません。許可が必要なケースを含め、初心者にもわかりやすいように正しいやり方を解説します。この記事を最後まで読めば、元手0円の山菜を売って安全に副収入を稼げるようになります。
山菜で稼ぐ副業
山林に生える植物のうち、食用になるものは山菜として利用されてきました。地方では自家消費用の山菜を自分で採取している人もいますが、自分では山菜を採りに行けないという人は少なくありません。山から離れた都市部に住んでいる人や、高齢などの理由で山菜採りが難しいような人たちです。
山菜採りが得意な人にとっては、余剰分を販売するという稼ぎ方も可能になってきます。山菜が採れる季節は限られていて、春先から初夏の時期が中心です。1年を通して安定して収入を得るのは難しいですが、季節限定の副業という形であれば稼ぐチャンスは十分にあります。
実際に山菜採りを副業の手段としている農家の人も少なくありません。農業以外の仕事をしている人でも、休日などを利用すれば山菜採りを副業にすることは可能です。
山菜採りは儲かる?
山菜採りにはある程度の危険を伴います。遭難の危険に加え、クマなどの野生動物と遭遇して襲われる可能性があるというのもリスク要素です。そんな危険を冒してまでして副業にしている人が多いのは、山菜採りが「儲かる」と言われていることが背景にあります。
山菜採りが儲かると言われる主な理由は以下の通りです。
- 山には大量の山菜が生えている
- 自然のものは元手が0円
- 山菜は高値で売れやすい
山には大量の山菜が生えている
日本の国土面積で3分の2ほどを占める森林の中には、「山菜の宝庫」と言われる場所が少なくありません。
筆者が住んでいる県にも、山菜の宝庫と言える山があちらこちらに存在します。全国でも有数の豪雪地帯で、山の土に水分がたっぷりと蓄えられているような場所です。
豪雪地帯の山では春になって雪が消えると、驚くほど立派な山菜が次々と生えてきます。1人や2人ではとても採りきれないほどの量です。
販売目的で山菜採りをしている業者と言えども、これだけ大量の山菜を採り尽くすのは難しいでしょう。庭に生える雑草と同じようなものですから、採取されずに伸び放題となっている山菜はどれだけあるか見当もつきません。
自然のものは元手が0円
自然に生えた山菜を採ってきて売れば、元手は0円です。畑で野菜を栽培するのと違って、種苗や肥料・資材などに費用をかける必要はありません。元手0円の山菜を売れば、売上の全額を収益にすることも可能です。
利益率100%のビジネスというのは、普通の農業では考えられません。実際には現地までの交通費やガソリン代などを考慮に入れる必要もありますが、それでもあらゆる物販ビジネスの中で山菜は利益率は高い部類の商品です。
山菜は高値で売れやすい
ただ同然で手に入る商品でも、二束三文でしか売れないようでは儲かりません。その点で希少価値が高いとされる山菜は、スーパーで出回っている野菜より高値で売れやすいと言えます。
山菜を購入しているのは、一般家庭だけはありません。山菜料理を提供している飲食店や宿泊施設でも、売られている山菜を購入している例がよく見られます。
山菜採りは危険を伴う上に作業も結構きついだけに、従事する人は減少傾向です。山間部での作業が中心となるだけに、高齢化が進んでいるという現状もあります。
それでいて季節の山菜には根強い需要があって、需要に対する供給量は不足気味の状況です。山には山菜が無尽蔵にあっても、採る人がいなければ市場に流通できません。そんな中で山菜を採ってきて売る人がいれば、「少しぐらい高くても買う」という個人客や業者が多く出てくるのも当然の流れです。
山菜の買取価格
山菜の買取をしている業者は全国に多く存在しますが、買取価格を明記しているところはほとんどない状況です。業者と連絡を取ってみて、初めて買取価格を提示される例が多くなっています。
少し古めの情報ですが、過去には無料掲示板のジモティーでふきのとうの買取募集について投稿した野菜の直売所がありました。買取価格は1キロあたり1,000円となっています。
山菜の通販サイトでは、ふきのとうが1キロ数千円で売られている状況です。300gで2,900円という販売サイトもあるほどです。メルカリでは1,000円で売れているふきのとうも複数ありますが、分量は300gから500gという例が多くなっています。
山菜を業者に買い取ってもらった場合、買取価格は卸値に準じた数字となるのが一般的です。市場価格の半分以下にしかならないと考えておいた方がいいでしょう。少しでも高く売るには業者を通さず、購入客に自分で直接販売するしかありません。
高く売れる山菜
山菜を売る手段としてすっかり定着した感のあるメルカリでは、出品価格にかなりの開きが見られます。最低価格の300円で出品されている山菜もあれば、1万円以上の高値で売れている山菜もあるという具合です。
中でも「アイヌネギ」の異名を持つ行者ニンニクは、本州では深山でないとなかなか見つかりません。急斜面にまとまって生えている例も多いことから希少価値が高く、メルカリで高く売れている山菜の1つです。
メルカリで完売した山菜を価格の高い順に並べ替えてみると、1万円以上で売れた行者ニンニクの出品が複数見つかりました。3,000円から10,000円の価格帯を見ても、行者ニンニクの完売例が目立ちます。
それ以外の山菜ではシーズンの出始めに高値で売れやすいと見え、低地で採れるコゴミでも100株で1万円台という完売例がありました。ワラビやフキノトウもありふれた山菜の部類ですが、数千円で売れている例も少なくありません。必ずしも高く売れるとは限らず、出品者が増えると出品価格も下がる傾向が見られます。
天ぷらにすると美味しいタラの芽は数千円での完売例が多く、行者ニンニクに次いで高く売れやすい山菜の1つです。ゼンマイは普通のやり方だとアク抜きができないため、手間をかけて乾燥させたものが高値で売れています。この他にも葉ワサビや山ウド・天然セリといったところが、数千円でも完売例がある主な山菜です。
「姫竹」や「根曲がり竹」の異名を持つチシマザサのタケノコも、高地性のため希少価値があります。美味しいタケノコが採れる山は、入山料を徴収しているほどの人気ぶりです。5月から6月にかけてのシーズンが旬で、メルカリでも高値での出品が相次ぎます。
山菜農家は儲かる?
最近ではコメや野菜を作っている農家で、山菜の栽培にチャレンジする例も増えてきています。山菜は野菜より栽培の難易度が高めですが、ワラビやタラの芽・山ウド・行者にんにくなどは栽培物も市場に出回っている状況です。市場価格が高い種類の山菜を選んで栽培すれば、高収益も可能になってくるでしょう。
山から採ってくるのと違って、山菜を栽培するには野菜を作るのと同じように費用がかかります。農家なら資材を流用させたりして、生産コストを抑えることも可能です。
農業以外の仕事をしている人が副業で取り組もうとしても、収益を出すまでかなりの時間がかかると予想されます。山菜は「野菜より栽培が難しい」とも言われていますので、副業で栽培するには不向きな商品です。副業の手段とするなら、「天然物の山菜を売って稼ぐ」のが無難な始め方と言えます。
山菜を売る方法
スーパーで売られている山菜の多くは、青果卸売市場を通じて仕入れた品です。食料品を販売するスーパーマーケットは、山菜を売る手段の1つに過ぎません。
一般の人が山から採ってきた山菜を売るには、他にも以下のような方法があります。
- 山菜の買取業者に持ち込む
- 道の駅や農産物直売所で委託販売
- 無人販売所で売る
- ネット販売
- フリマサイトに出品する
それぞれ詳しく解説します。
山菜の買取業者に持ち込む
山菜の主要な産地では、山菜採りの名人を対象に買取をしている業者が存在します。自社で販売まで手がける業者もあれば、山菜を専門とする仲買業者(卸問屋)、山菜の加工食品を製造している業者もあるという具合です。
そうした買取業者が近くにあれば、一般の人が山で採ってきた山菜でも買い取ってくれる可能性があります。GoogleやYahoo!で「山菜 買取 地域名」で検索してみるといいでしょう。
道の駅や農産物直売所で委託販売
自分で採ってきた山菜を売る最もポピュラーな方法は、全国各地に1,000以上の店舗が存在する道の駅です。道の駅は交通量の多い幹線道路沿いにあって集客力が高く、新鮮な農産物が安く買える場所として人気を集めてきました。
道の駅では山菜を含めた農産物の生産者を随時募集しており、生産者として登録することで委託販売が可能になります。生産者登録の手続き方法や費用は各道の駅によって異なりますが、入会金や年会費はそれぞれ数千円程度です。売上から委託販売手数料が引かれ、バーコード・ラベル発行費用も引いた残りの金額が自分の収入になります。
山菜を売るもう1つの手段として以前からよく利用されてきたのは、スーパーや八百屋を通さず消費者に直接販売する農産物直売所です。JAなどが運営する農産物直売所は個人の直売所より集客力が高い反面、他の人も同じような山菜を出荷するためにどうしても競合が発生します。JAの直売所で売りたい場合は商品が山菜であってもJA組合員への加盟が必要で、道の駅で委託販売するよりハードルが高めです。
無人販売所で売る
最も小規模かつ低コストな例としては、道路沿いにある農地や自宅などの敷地内に自分で直売所を設置する販売方法が考えられます。畑から収穫した野菜などと同じように山菜も無人販売所に置いて売ることは可能ですが、防犯カメラを設置するなどの盗難対策も欠かせません。
山菜のネット販売
道の駅・農産物直売所ともに店舗を訪れる地元の人たちが主な販売対象で、販路は狭いエリアに限られてしまいます。都市型マルシェの直売所で販売しない限りは、店舗販売の形だと自分で採った山菜を都市部の人たちにまで届けることができません。
今はあらゆる商品がネットショップで買える時代だけに、山菜もインターネットを利用すれば販路を全国に拡大することが可能です。最近は個人でもネットショップが開設できるサービスが多く存在します。この場合はどうやって集客するかが問題になるとともに、特定商取引法に基づいた販売者の氏名や住所・電話番号などの情報表示も必要です。
フリマサイトに出品
山菜のネット販売で最近増えているのは、メルカリやラクマなどのフリマサイトに出品する販売方法です。家庭菜園などで収穫した野菜も気軽に出品できる場所だけに、山菜もその延長のような感覚で出品している人が多いと見られます。
自分の所有する土地に生える山菜であれば、採るのも売るのも自由です。公有林などで山菜採りをした場合でも土地所有者の許可を得ていれば、フリマサイトに出品するのに法的な問題はありません。
実際にメルカリではワラビやゼンマイ・タラの芽・行者ニンニク・ミズなど、さまざまな種類の山菜が出品されています。自分でネットショップを開設するのと違って、フリマサイトなら特定商取引法に基づく表示も必要ありません。購入者とは匿名のやり取りが可能で、気軽に出品できるところが人気の一因です。
山菜採りは違法?
山林に自生している山菜は、森林法という法律の対象です。森林法では以下のように規定されています。
第百九十七条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第百九十八条 森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(出典:森林法 _ e-Gov法令検索)
つまり法律をどこまでも厳格に適用すれば、山林の所有者に許可を得ないで山菜を持ち帰るのは違法ということになります。
現状では許可を得ずに山菜採りをしている人も少なくなありません。国有林や市有林などの公有林は面積が広大で、全域にわたって森林窃盗を取り締まるだけの人的余裕がないからです。山菜採りをしていて摘発されたのは、採取方法などでよほど悪質なケースに限られます。
「自分は絶対に法律違反を犯したくない!」という人は、土地所有者(公有林の場合は国または自治体)の許可を得てから山菜採りをするのが安全です。許可を得ていれば山菜採りをしていても違法にならない場所としては、以下のような例があります。
- 私有地
- 国有林
- 河川敷
それぞれ詳しく解説します。
私有地
個人や法人の所有する私有地に生えた山菜を採るには、土地所有者の許可が必要です。一見普通の山林のように見えても、農家が所有する私有地では山菜を栽培している場合もあります。
自分が土地を所有する山林であれば問題ありませんが、大多数の人は自分の山など持っていないはずです。山菜採りがしたい場所が私有地の場合は、所有者を調べた上で持ち主の許可を得る必要があります。所有者がわからない場合は地元の人に訊くか、管轄の自治体に問い合わせをしてみるといいでしょう。
国有林
国が管理する国有林でも法律を杓子定規的に適用すれば、山菜採りをするのに許可が必要です。実際には多くの人が許可を得ずに、国有林で山菜採りをしていという既成事実があります。
個人の利用の範囲内で少量の山菜を採取する限りは、いちいち許可を得なくても大目に見られているのが現状です。都道府県や市町村などの自治体が管理している公有林でも、同様の対応をしているところが多いと見られます。
ただし販売目的で山菜を大量に採取するのは、個人の利用範囲を超える行為です。見つかった場合には、森林窃盗罪に問われる可能性があります。販売用の山菜を採取したい場合は、国有林を管理している森林管理署や管理事務所に相談してみるといいでしょう。必要に応じて入林届を提出すれば、販売目的でも合法的に山菜採りができるようになります。
無許可の山菜採りで摘発されたのは、ほとんどが第三者による通報で発覚した事例です。山菜を根こそぎ採取したり、地形が変わるほど土を掘り返したりと、悪質なケースは通報される可能性があります。大目に見てもらえるからと思って、たまたま居合わせた人に見咎められるような採り方は避けた方がいいでしょう。
河川敷
山菜は山林だけでなく、国や自治体が管理している河川敷にも生えています。河川敷は森林法の対象外で、許可を得なくても野草の採取は可能と思いがちです。
河川敷を管理している自治体によっても対応が異なりますが、基本的には国有林と同じ扱いになってきます。「個人の利用範囲」であれば、河川敷に生えている山菜や野草を持ち帰っても大目に見られているからです。
販売目的で大量の野草を採取する場合には、河川敷の管理者に届け出をして許可を得ておくのが安全と言えます。河川敷でも立入禁止のエリアや、野草の採取が禁止されたエリアは許可が下りないと考えた方がいいでしょう。
山菜採りが禁止されている場所
国立公園や国定公園などの自然公園には、特別地域や特別保護地区といったエリアが存在します。特別地域は許可を得ることで山菜採りも可能ですが、特別保護地区では許可されることがほとんどありません。
つまり自然公園の特別保護地区は、実質的に山菜採りが禁止されたエリアです。山菜や野草などの植物だけでなく、石ころ1つでも持ち帰ることは許されません。
個人や法人が所有する山林でも、「立入禁止」の看板を立てている場所があります。ロープを張り巡らせたりバリケードを築いたりして入れなくしているのは、立入禁止の意思表示です。立ち入りそのものを拒絶している場所では、山菜採りの許可は得られないと考えた方がいいでしょう。
山菜を採っていい場所
ハイキングコースが整備された自然公園の中には、許可を得ないでも山菜採りができるエリアが存在します。
筆者の自宅に近い市民憩いの森では、山菜採りをするのにいちいち市の許可を得る必要がありません。節度を守ってさえいれば自由に山菜採りができるため、毎年のように利用させてもらっています。自分の住んでいる地域で許可された区域はないかどうか、都道府県や市区町村の役所または観光窓口に問い合わせてみるといいでしょう。
他に宿泊施設の利用客を対象に、施設の所有地で山菜採りが可能なケースもあります。「わらび園」「タケノコ園」などの名称で自治体や企業・団体が山林を開放している例も、地方では珍しくありません。
入山料を支払うことで山菜採りができる山や、山菜採り体験が組み込まれた旅行ツアーもあります。観光農園やキャンプ場なども含めると、山菜を採っていい場所は他にも見つかるはずです。たいていは有料ということになりますが、法律を気にせずに安心して山菜採りができます。
いずれの場所でも無制限に山菜を採っていいというわけではありません。「販売目的で大量の山菜を採取するのはお断り」というところもありますので、事前に確認しておく必要があります。
無許可で採った山菜はメルカリで出品禁止
国有林や河川敷で許可を得ずに山菜採りをするのは違法ですが、「個人の利用範囲」に限っては見逃されている状況です。販売目的で山菜を採取するには、国有林や河川敷でも許可が必要になってきます。多くの人が山菜の販売に利用しているメルカリでも、無許可で採取した山菜は出品禁止です。
メルカリで禁止されている出品物の中に、「盗品など不正な経路で入手した商品」というのがあります。他人の私有地はもちろん国有林や河川敷でも、許可なしに採取した山菜は「不正な経路で入手した商品」です。許可が必要な場所で販売用の山菜を採取する際には、必要な手続きを事前に済ませておくといいでしょう。
山菜を売るのに販売許可が必要なケース
山菜は採取の際に以上のような注意点があるだけでなく、販売時にも法律や規約を守る必要があります。山菜を採ってきたままの状態で販売するだけなら問題ありませんが、乾燥やアク抜き処理を施した上で販売する場合は注意が必要です。
ゼンマイなどは一度乾燥させてから水で戻して食べるのが一般的で、道の駅やメルカリで販売する際にも乾燥ゼンマイの形で出品した方が当然売れやすくなります。タラの芽やコゴミなどアク抜きが必要ない山菜もありますが、ワラビなどはアク抜きした上で出品した方が商品としての付加価値が高まるのは間違いありません。
いずれのケースでも加工食品の扱いとなるため、保健所の許可を取った上で消費期限または賞味期限の表示が求められます。メルカリでは保健所などの許可がない加工食品の出品が禁止されており、期限の表示がなかったり到着後1週間以内に期限が切れる食品の出品も規約違反です。
山菜は鮮度が落ちやすいため、加工せずに採ってきたままの状態で配送する場合でも配慮が必要になってきます。水洗いはせず新聞紙などに包んで冷蔵しておけばたいていの山菜なら1週間程度は持ちますが、気温が上昇しやすい夏場は保冷対策を施して発送しないと傷んでしまうのです。
送料を上乗せしてクール便で送るならダンボールでも可能ですが、メルカリ便などを使って常温で配送する場合は保冷剤を入れた発泡スチロールを使うなどの対策が求められます。山菜は衣類などと違って発送や梱包費用が余計にかかってきますので、経費も計算に入れて価格設定する必要があります。
山菜採りのその他の注意点
土地所有者の許可を得て山に入ったとしても、実際に山菜採りをする際には他にも注意点があります。山にはさまざまな危険が潜んでいますので、注意すべきポイントをまとめてみました。
山菜とよく似た毒草には要注意
山菜の多くは生えてきたばかりの若芽を採取しますが、毒草の若芽と似ている種類も少なくない点には注意が必要です。過去には道の駅などで毒草や毒キノコを誤って販売し、食中毒事故が発生したケースもありました。
独特の香りが人気のシドケ(モミジガサ)は若芽が毒草のヤマトリカブトと似ているため、昔から中毒事故が多い山菜の代表格です。希少価値が高い行者ニンニクも毒草のイヌサフランやスズラン・バイケイソウと似ていますが、独特のニンニク臭で区別がつきます。
バイケイソウはウルイの名で食用にされているオオバギボウシとも若芽が似ていて、毎年のように食中毒が発生している毒草です。食用のセリとドクゼリを間違えたり、フキノトウと毒草ハシリドコロの芽を間違えたりする中毒事故もありました。販売目的で山菜を採取する際には、絶対に毒草と間違えないだけの正しい知識が必要です。
山で遭遇する可能性のある有害な生物
山菜採りの最中にクマやイノシシなどの野生動物と遭遇し、襲われてケガをしたり命を落としたりする人も少なくありません。夏から秋にかけてのシーズンはスズメバチの活動も活発になりますので、夏でも採れる山菜やキノコを探す際には襲われないよう注意しながら行動する必要があります。日本全国の山に住んでいるオオスズメバチは最も強力な毒を持つ危険な蜂で、土の中や木の空洞に巣を作るため気づくにくいのが特徴です。
地域によっては山林に吸血性のヤマビルが生息している場合がありますので、生息域の山に入る場合は服装や忌避剤による対策が欠かせません。谷筋で湿気が多い場所は良質な山菜が見つかりやすい場所ですが、藪にはマムシやヤマカガシなどの毒ヘビが潜んでいる可能性もあります。山で行動する際にはドクガの幼虫(毛虫)やムカデなど、スズメバチ以外にも毒を持つ昆虫に注意が必要です。
遭難や事故にも注意
ゼンマイやヤマウドなどの山菜は急斜面の危険な場所に良い株が生えやすく、転落事故が跡を絶ちません。美味なタケノコとして根強い人気があるネマガリダケは人里離れた深山でないと採れない上に、見通しのきかない笹藪の中に生えるため毎年遭難事故が発生しています。
筆者も以前タケノコ採りをしていて帰り道がわからなくなり、遭難しかけたことがありました。太陽の方角と地形を頼りに引き返して難を逃れましたが、人里離れた山中で道に迷った場合は命に関わります。万が一遭難したときのことを考えて、非常食や暖をとるものを用意しておくといいでしょう。
まとめ
春から夏にかけてのシーズンを中心に、副業の手段としても利用されている山菜採りについて解説してきました。
山菜は野菜と違って栽培する必要がなく、ただ同然で手に入れたものを売って収入が得られる商品です。高値で売れる種類を選んで販売すれば、山菜採りは「儲かる副業」になり得ます。山菜は根強い需要がある商品だけに、採る人が年々減ってきている今が販売のチャンスです。
自分で採ってきた山菜を売るには、以下のような5つの方法があります。
- 山菜の買取業者に持ち込む
- 道の駅や農産物直売所で委託販売
- 無人販売所で売る
- ネット販売
- フリマサイトに出品する
特にフリマサイトのメルカリでは、副業で山菜を採ってきて出品していると見られる人が多くいる状況です。気軽に出品できる点はメリットですが、メルカリでは「盗品など不正な経路で入手した商品」は出品が禁止されています。
公有林や河川敷で山菜採りが大目に見られているのは、個人の利用範囲にとどまっている場合の話です。問答無用で法律を適用すれば、許可を得ないでする山菜採りは違法ということになります。
公有林や河川敷から許可を得ずに販売目的で大量の山菜を採取した場合は、大目に見てもらえない可能性が大です。自分の所有地でない限り、副業の手段として山菜採りをする際には、必要な許可をあらかじめ取得しておくことをおすすめします。ルールと節度を守っていれば、山菜採りを副業にしても違法にはなりません。
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