最近はインターネットを通じて自作のアクセサリーや雑貨など、ハンドメイド作品を販売できるサイトが多く存在します。自分もハンドメイド作家になって、手作りの作品を売ってみたいと考えている人も多いのではないでしょうか?
そんなハンドメイド作家になるには、手芸やデザイン関連の資格が必要というイメージもあります。資格を取得するには結構な費用がかかるだけに、「自分には難しい」と思って手を出せないでいる人も少なくないはずです。
そんな人でも大丈夫、商品価値がある作品を作れる腕があれば資格は必要ありません。ハンドメイドマーケットやフリマサイトには資格を持たないハンドメイド作家の出品も多く、それなりに売れている様子です。
そこで今回はハンドメイド作家になる方法について、初心者を対象に基本情報をまとめてみました。この記事を読めばハンドメイド作家として起業するためのポイントが理解され、成功の確率が高まります。
ハンドメイド作家になるには?
一般に「作家」と呼ばれる人は、何らかの分野で「作品を作る人」を意味します。ミステリー作家やSF作家・時代小説作家など、小説家は「作家」と呼ばれる代表的な存在です。他にも以下のように、いろいろいろなジャンルで作家が存在します。
- 童話作家
- 絵本作家
- 美術作家
- 陶芸作家
- 着物作家
- イラスト作家
- クラフト作家
- 映像作家
- 構成作家
- ゲーム作家
- パズル作家
今回取り上げる「ハンドメイド作家」もその1つです。「作家」と言えばプロをイメージしがちですが、必ずしも作品の制作で収入を得ている人だけに限りません。「アマチュア作家」という言葉があるくらいで、ハンドメイド作家を自称する人の中にもアマチュアは少なくないと見られます。
したがって誰でもその気になればハンドメイド作家を名乗ることは可能ですが、趣味の範囲内で「作家」と称するにはよほどの腕前が必要です。独自の世界観を表現した作品がハンドメイド好きの人に認められてこそ、「作家」を名乗るだけの資格があるとも言えます。自他共に認めるハンドメイド作家になるには、作品を販売して収入を得たという実績も必要になるでしょう。
作家として認められるのに販売実績が必須というわけではありませんが、ハンドメイドに関してはやはり「売れるかどうか」が重要な鍵を握ってきます。身につけるアクセサリー類や洋服に生活雑貨など、主に実用的な品を制作するジャンルだからです。そのへんが美術作家や映像作家などと違って、「作家」と認められる条件に経済的な部分が関わってきます。
そういう意味でのハンドメイド作家になるには、技術以外にも販売や宣伝に関するスキルが必要です。まずは作品を制作するための技術を持つことが、作家と呼ばれるための最低条件となってきます。
そういう意味でのハンドメイド作家になる方法は以下の通りです。
- 専門学校や通信講座でハンドメイドを学ぶ
- ハンドメイド教室を受講する
- 独学でハンドメイドの技術を身につける
日頃からハンドメイド作りを趣味としていて腕に自信があるという人は以下の記述を飛ばし、ハンドメイドで起業するポイントに進んでみるといいでしょう。
専門学校や通信講座でハンドメイドを学ぶ
将来ハンドメイド作家になりたいという学生におすすめなのは、ファションやデザイン関連の専門学校で基礎から学ぶ方法です。デザインについて学べる専門学校の中には、専門のハンドメイドコースが設けられている学校もあります。
社会人や主婦でハンドメイドの基礎を勉強したいという場合には、ハンドメイドマイスターや手芸アドバイザーといった民間資格を取得できる通信講座の受講もおすすめです。通信講座なら通学の必要はありませんので、子育て中の主婦でも家事や育児の合間に勉強できます。
いずれの方法も万単位で費用がかかってきますので、経済的にある程度の余裕を持つ人に向いた方法です。
ハンドメイド教室を受講する
ハンドメイド作品の作り方についてきちんと勉強したいけれど、何万円も費用をかけている余裕がないという人は少なくないはずです。そんな人には、先輩作家が開催するハンドメイド教室を受講して教えてもらうという手があります。アクセサリーやドライフラワー・アロマキャンドルなど、講師の得意ジャンルに特化した教室を受講することも可能です。
専門学校に通ったり通信講座を受講したりする方法と比べ、作家が開催するハンドメイド教室なら費用もたいてい安く済みます。受講料は講師によって異なりますが、1時間から2時間ほどの教室で数千円程度が平均的な相場です。
教室集客サイトのストアカには、「ハンドメイド・クラフト」教室のオンラインレッスンが700件近くも登録されています。オンラインなら場所を問わずに参加できますので、興味がある人は最新の生徒募集状況をチェックしてみるといいでしょう。
独学でハンドメイドの技術を身につける
ハンドメイド制作のスキルを身につけるには、熟練者から直接教えてもらうのが最も上達しやすいのは確かです。その代わり教えてくれる人に受講料を支払う必要があるため、ある程度の費用がかかるというデメリットもあります。
あまり費用をかけずに技術を身につけたい人は、少々時間がかかっても独学で勉強するのがおすすめです。ハンドメイド入門などの書籍を購入して勉強するという手もありますが、ハンドメイド作家のブログやYouTube動画で勉強すれば費用を0円にできます。書籍やネットの情報を参考にしながら自分なりに試行錯誤を重ねていけば、個性あるハンドメイド作品が作れるようになるはずです。
ハンドメイド作家になるのに資格は不要!
GoogleやYahoo!で「ハンドメイド作家になるには」というキーワードを入力して検索すると、ハンドメイド関連の資格に関する情報が上位に多く表示されます。検索順位をそのまま信じれば、ハンドメイド作家になるのに資格が必要なイメージを持ってしまいがちです。
実際にはminneやCreema(クリーマ)のようなハンドメイドマーケットでも、メルカリやラクマなどのフリマサイトでも、資格なしで作品を出品しているハンドメイド作家は多く見かけます。対面販売のフリーマーケットやハンドメイドイベントも同様で、作品を販売するのに資格が必須というわけではありません。
ハンドメイドで起業して成功するには、作家としての腕やオリジナリティが資格以上に重要です。他の作家にない独自の世界観を表現できれば、作品を販売する上でも強力な武器となってきます。そういう才能に恵まれたハンドメイド作家であれば、資格など持っていなくても多くの固定ファンに恵まれているはずです。
資格取得のメリット
ハンドメイド作家になるのに資格は不要と書きましたが、資格取得のメリットがまったくないというわけではありません。ハンドメイド関連の民間資格を取得しておけば、技術力の証明にはなり得ます。
作家としてデビューして間もないうちは実績ゼロからのスタートとなりますので、集客の面で不利になるのは仕方がありません。そんな中で実績豊富な先輩作家に少しでも対抗していくには、技術や知識に優れているという点を資格で証明するのが効果的なのも確かです。
どの資格でも集客力が飛躍的にアップするというわけではありませんが、アピールの仕方によっては顧客の信頼につながります。決して安くない費用をかけて取得するだけの価値があると自分で判断すれば、資格を武器に初心者からの脱出を図るのも1つの戦略です。
ハンドメイドで起業するポイント
ここからはすでに一定の技術を身につけているハンドメイド作家を想定して、起業するために知っておきたいポイントを解説していきます。作品が売れなくても「作家」を自称することは可能ですが、名乗るからには作品を売って収入に結びつけたいところです。
企業や店舗の従業員として働く形での求人は決して多くないため、ハンドメイド作家として収入を得るには起業する必要があります。起業と言えば大げさに聞こえるかもしれませんが、それなりに稼いでいるハンドメイド作家は1人1人が個人事業主です。
中には自分だけの店を開業した作家や、節税対策を目的に法人へと移行した例もあります。そこまで行かなくても個人事業としてハンドメイド販売を展開していくには、起業するという意識を持って取り組む姿勢が欠かせません。
ハンドメイド作家として起業するためのポイントは以下の通りです。
- 副業からスタートして独立を目指す
- 事業計画をしっかり立てる
- 販売戦略
- 販売方法
- 管理業務
- 作品を販売する以外の収入源
それぞれ詳しく見ていきましょう。
副業からスタートして独立を目指す
ハンドメイドで起業すると言えば、会社を辞めて独立するようなイメージを思い浮かべがちです。起業の一般的なイメージはその通りですが、実績ゼロの状態でいきなり会社を辞めるのはおすすめできません。ハンドメイド作家を自称して作品を売りに出したところで、必ずしも売れるとは限らないからです。まずは副業からハンドメイド販売をスタートさせ、売上が軌道に乗ってきたところで独立を目指すのが無難なやり方です。
専業主婦が家事や子育ての傍らでハンドメイド販売を始めようという場合は、夫や子どもなど家族の理解も欠かせません。本業の仕事や家事・育児に支障のない範囲で、作品の制作から販売までをこなしていくための工夫が必要になってきます。自他共に認めるハンドメイド作家として一人前になったら、周囲の理解も得やすいはずです。
事業計画を立てる
これまで趣味で制作してきたハンドメイド作品を、minneやメルカリなどに出品してお小遣い稼ぎをしたいという人もいることでしょう。趣味の延長として考えた場合、事業計画を作成したり開業届を出したりするのは大げさと思うかもしれません。
誰でも気軽に出品できるのが、フリマアプリの良いところです。事業計画など考えずに出品している人も少なくないと見られますが、ハンドメイド作りには材料費がかかります。販売ビジネスを本格的に展開しようと思えば、ある程度の在庫も用意しておく必要が出てきます。
起業に当って出ていく費用は、材料や道具などの資材費だけではありません。起業の形態によってはホームページを運営する場合のサーバー代やドメイン費用、さらにはデザイン外注費・宣伝費などの費用も必要です。
実店舗を開業してハンドメイド作品を販売する場合は、家賃や内装費・什器代などさらに多くの費用がかかってきます。自己資金だけで不足するとなれば、銀行などから融資を受ける必要も出てきます。
そうなった場合には、やはり資金計画書の作成が欠かせません。融資を受けずに起業する場合でも目標を明らかにして、資金計画をきちんと立てておいた方が成功の確率が高くなるはずです。実店舗を開業する場合はもちろんのこと、ネットショップを開業して作品を販売する場合でも、ファンの獲得につながるような屋号や作家名を考えておく必要があります。
たとえビジネスの規模が小さくても、ハンドメイド作家は1人1人が税制上は個人事業主です。開業から原則1ヶ月以内には、忘れずに開業届を出しておくといいでしょう。
販売戦略
事業計画をきちんと立てておいたとしても、それでハンドメイド販売ビジネスの成功が約束されているわけではありません。思うように売れなかったり費用が多くかかったりして、収益が見込額を下回るケースも出てきます。販売戦略を十分に練らないまま起業してしまった場合に、ありがちな失敗のパターンです。
起業の際には自分が参入しようとするマーケットを入念にリサーチし、ライバルの動向を分析しておく必要があります。ライバルがあまりにも強すぎる市場は回避し、勝てそうな市場を見つけ出した上で参入すれば、成功の確率も高くなるはずです。
自身の作風に合わせた販売ターゲットを設定し、ライバルと差別化するブランディングの工夫も欠かせません。minneやメルカリなどのプラットフォームを利用して作品を販売する場合でも、自身のSNSやブログ・ホームページで情報発信してみるといいでしょう。宣伝の工夫しだいで売上が大きく変わってくるところが、ハンドメイド起業で成功と失敗の大きな分かれ目となってきます。
販売方法
実際に自作のハンドメイド作品を販売するには、以下のような手段が考えられます。
- 実店舗を開業して販売する
- 雑貨店やセレクトショップに委託販売する
- ハンドメイドイベントやフリーマーケットで対面販売する
- ネット上のハンドメイドマーケットに出品する
- フリマサイトやネットオークションに出品する
- 個人でネットショップを開業する
このうち実店舗を開業する販売方法は多額の資金を要するため、誰でも簡単に実現できるわけではありません。委託販売やイベント等での対面販売でも、売上の20%から多い場合は50%ほどが手数料として引かれてしまいます。
その点でminneやクリーマなどネット上のハンドメイドマーケットなら、売上から引かれる手数料は10%前後です。フリマサイトのメルカリも手数料は10%ですが、送料は出品者が負担するのが一般的となっています。
個人でネットショップを開業すれば、初期費用・月額料金0円のフリープランでも手数料は売上金額の10%未満です。売上が増えてきたら手数料がさらに安い有料プランに移行することで、トータルの費用を低く抑えることが可能になってきます。SNSやブログなどを活用して自分で集客する必要はありますが、ハンドメイド作家としてのブランディングには有利な起業のスタイルです。
管理業務
ハンドメイドの販売ビジネスを展開する中では、作品の制作や販売以外にもいろいろと仕事が発生します。販売の収益を大きく左右する仕入れ管理は、おろそかにできない管理業務の1つです。
同じ販売価格の作品を同じ数だけ売っても、材料費が多くかかった場合は収益が少なくなってしまいます。よく使う材料や消耗品などはまとめて仕入れ、費用の単価を低く抑える工夫が欠かせません。材料の仕入れに利用する店の選び方も重要になってきますので、安く手に入る店舗や通販サイトを開拓しておくといいでしょう。
花や落ち葉・松ぼっくり・貝殻・石など、ただで手に入る自然物もハンドメイド材料に使えます。拾う場所によっては許可が必要な場合もありますが、材料費の節約には役立つ素材です。
この他にも商品の写真撮影や出品作業・梱包・発送業務など、こまごまとした雑務も自分でこなしていかなければなりません。ビジネスが軌道に乗ってきて手が回らなくなってきたら、クラウドソーシングなどを利用して出品作業や発送作業を外注するのも手です。購入客や見込み客を対象とした顧客管理も含め、管理業務をどれだけ効率化できるかが1つのポイントです。
作品を販売する以外の収入源
ハンドメイド作家と言えば手作りの作品を売って収入を得ているイメージもありますが、作家の収入源は作品の販売代金だけではありません。およそ作家と名のつく職業の人は、どのような分野の作家でも複数の収入源を持っているものです。
小説を書く作家であれば講演会を開いたり、文学賞の選考委員を務めたり、テレビやラジオの番組に出演したりして収入を増やしています。作品を作るのが本業だとすれば、それ以外の収入源は作家としての副業という位置づけです。
ハンドメイド作家の場合も例外ではなく、作品の販売だけでは不足しがちな収入を補う手段がいろいろと用意されています。ハンドメイド作品の作り方について教わりたいという人は数多く存在しますので、ハンドメイド教室を開催して受講料で稼ぐのが典型的な収入源です。
この他にもハンドメイドに関するブログでお役立ち情報を無料で発信し、広告収入で稼ぐというパターンも考えられます。最近は動画投稿サイトのYouTubeでも、ハンドメイドをテーマにしたチャンネルが人気です。
YouTubeで広告収入を稼ぐにはチャンネル登録者数1,000人以上など、一定の条件をクリアする必要があります。ハンドメイド作家として名前が売れるようになれば、テレビ出演や雑誌・Webメディアの取材で稼ぐ道も開けてきます。
まとめ
一人前のハンドメイド作家になればサブの収入源も増えてきますが、ベースとなるのは作品の販売で得た収益です。ハンドメイド作家になるのに資格は必要ありません。実績ゼロからスタートする場合に少しは有利になることもあり得ますが、資格はあくまでもハンドメイド作家としての技術力を証明する手段です。
誰でもその気になればハンドメイド作家を名乗ることが可能とは言え、作家として認められるには作品が売れるようにする必要があります。専門学校に通ったり通信講座を受講したりしてハンドメイドの技術を身につけるには、ある程度の費用が必要です。ハンドメイド作家の開催する教室で勉強すれば費用は安く済みますが、書籍やネットの情報を頼りに独学で技術を身につけることも可能です。
ハンドメイド作家として起業するには技術力以上に、販売戦略や管理能力が成功の鍵を握ってきます。副業の形でスモールスタートする場合でも、しっかりとした事業計画を立案した上で起業するのがおすすめです。