各地でクマの出没が相次ぎ、人身被害も数多く発生しています。登山や山菜採りなどで山に入った人が襲われるケースだけではありません。近年は市街地で普通に生活をしていて、突然クマに襲われる被害が増えてきています。
散歩中の通行人や自宅敷地内などで被害に遭った例が多いですが、屋外で仕事中クマに襲われた人も少なくありません。業務の最中に目撃した例も含めると、仕事柄クマと遭遇する可能性が高い職種がいくつか挙げられます。
実際に筆者が住む市の中心部でも、つい最近クマによる人身被害がありました。複数の人が次々と襲われた中で、1人は仕事中に襲われた事例です。自分も他人事ではなくなってきていますので、仕事中にクマの被害に遭う可能性がある職種について徹底的に調べてみました。
当ブログではこれまでに、拾ったものを売ってお金を稼ぐ方法についてもたびたび取り上げてきました。元手0円で手に入る自然物の中には、クマと遭遇する可能性のある場所に生えている(落ちている)ものも少なくありません。自然物の販売も副業の手段となり得ますので、記事の最後で詳しく解説しておきました。
仕事中にクマと遭遇する可能性のある職種20選

国内でも九州地方と千葉県にはクマがいないと推定されていますが、本州の大半と北海道には野生のクマが生息しています。絶滅寸前の状態あると言われる四国を除き、北海道のヒグマと本州のツキノワグマは生息数が増加傾向です。
特に近年は従来のクマと異なり、「アーバンベア」と呼ばれる個体が急増しています。アーバンベアは市街地の周辺に生息していて、人を恐れない個体も多いと言われるクマです。山でどんぐりなどの木の実が不作の年には、人口の多い都市部にさえクマが出没するのが当たり前になってきています。
クマに襲われる被害と言えば、以前は山菜採りやキノコ採りなどで山に入った人たちが中心でした。それが最近は市街地で普通に生活していて、クマに襲われる事例が増えてきています。
こうした中で仕事中にクマと遭遇して襲われ、負傷したり命を落としたりした人も少なくありません。特に屋外の作業が多い職業は、仕事でクマに襲われる可能性があります。
副業の手段として利用されている仕事も含めると、以下に挙げる20の職種は日常的なクマ対策が必要です。
- 警察官
- 救急隊員
- 自治体職員
- 猟師
- 害獣・害虫駆除業者
- 農家
- 養蜂家
- 新聞配達員
- 宅配便・灯油の配達員
- 宿泊施設の従業員・リゾートバイト
- アウトドアインストラクター・山岳ガイド
- 墓参り代行
- 犬の散歩代行
- 草刈り代行
- 便利屋
- 警備員
- 工事現場作業員
- 遺跡発掘作業員
- 検針員
- スーパー・飲食店従業員
どのような場面でクマと遭遇する可能性があるのか、注意点と合わせてそれぞれ解説します。
警察官
市街地にクマが出没した場合、真っ先に駆けつけて対応に当たるのが警察官です。通報を受けた現場にパトカーで急行し、クマのいる場所や状況について確認します。周辺の住民や通行人に注意を呼びかけたり、避難誘導したりするのも警察官の役割です。
人身被害や家屋・農作物への被害があった場合には、被害の程度や状況について調査します。場合によっては道路を封鎖したり、立入禁止区域を設けたりして、クマによる被害が拡大しないようにしなければなりません。
市街地で銃による狩猟を認める「緊急銃猟」を実施する場合には、警察官が周辺住民や通行人の安全を確保する役割を演じます。今後は警察官がライフル銃を使用してクマを駆除できるように、法律が改正される見通しです。
すべての警察官がクマ出没の最前線に向かうわけではありませんが、クマの目撃情報が多い地域の警察署に勤務する場合は可能性も出てきます。万が一自分自身が襲われた場合に備え、マニュアルに従った訓練が欠かせません。
救急隊員
クマによる人身被害が発生した場合には、救急車の出動が要請されることもあります。救急車で現場に駆けつける救急隊員もまた、クマによる二次被害に注意しなければなりません。
救急出動が要請されるほど負傷の程度が重いケースでは、被害者がクマに襲われた現場に駆けつけて救命措置や搬送を試みることになります。襲ったクマがすでに駆除されているのでない限り、近くにクマがまだ潜んでいるかもしれません。
山林など見通しの悪い場所での作業は、特に危険を伴います。市街地や集落のような場所でも、人身被害があった直後は油断できません。クマによる被害が全国で多発している中では、救急隊員も危険と隣合わせの仕事となってきます。
自治体職員
クマが出没している地域で対応に当たるのは、警察官だけではありません。普段は市町村の役場などに勤務する自治体の担当職員も、現場でクマ対策に当たる人員の1人です。
市町村などの役場に職員として採用されて防災関連の部署に配属された場合には、以下のような業務を担当する可能性が出てきます。
- クマの目撃情報があった場所の見回り
- 人身被害があった場合に警察官と同行して被害調査
- 緊急銃猟が実施される場合の住民の安全確保
クマへの対応は自治体の主導で行われることが多いだけに、地元の市町村役場に勤務する職員の負担も大きくなりがちです。クマの出没が頻発している地域では人員が不足してくるため、防災担当以外の部署に所属する職員が動員される可能性もあります。
住民に迅速かつ正確な情報を提供するには、クマが目撃された場所付近での現地調査が欠かせません。徒歩で状況を確認したり聞き取り調査をしたりする場面も考えられるだけに、業務中にクマと遭遇する危険も伴う役目です。警察官などと同様に、クマに襲われた場合に取るべき行動をしっかりと心得ておく必要があります。
猟師
クマが出没したり人が襲われたりした現場に駆けつけ、捕獲や駆除を行う人の多くは地元の猟友会に所属する人たちです。狩猟免許に基づいて銃器やワナによる狩猟を行う「猟師」は、必ずしも職業とは限りません。普段は会社員の仕事をしている人や定年退職をした人などが、趣味で狩猟をしている場合もよくあります。
実際に狩猟を行うには、狩猟者登録など煩雑な手続きが必要です。猟友会に加入すると手続きを代行してもらえる上に、保険加入や技術指導などさまざまなメリットが得られます。
アマチュアを含めた猟師の多くは猟友会に加入していますが、メンバーになるとクマの駆除を依頼される可能性もある立場です。山林でも人身被害が発生した場合には、猟友会のメンバーがクマの駆除を試みる事になります。
たとえ猟銃を持っていても、突然現れたクマに襲われた場合には発砲している余裕はありません。住宅密集地のように銃の使用が困難な場所にクマが出没した場合は、箱ワナを仕掛けて粘り強く待つ必要も出てきます。
ワナを設置したり見回りをしたりする際にも、どこからクマが現れるかわからない場所です。クマ対策に協力する猟師は、常に危険と隣合わせの仕事となってきます。
害獣・害虫駆除業者
趣味やボランティアとして狩猟に携わっている猟師以外にも、害獣駆除を仕事としている事業者は全国に存在します。イノシシやシカ・アライグマなど農作物に害を与える動物だけでなく、ネズミやイタチ・ハクビシンなど住宅に侵入して害を及ぼす動物も駆除の対象です。住人や店舗などから依頼を受けて出動するケースが多いですが、農地や家庭菜園など屋外で害獣対策に当たることもあります。
クマやイノシシのような大型の動物は通報を受けた警察からの依頼を受けて、猟友会に所属するハンターが駆除に当たるのが一般的です。害獣駆除業者が対応しているのは、住宅に侵入するような小型の動物が中心となってきます。
クマが出没している地域で屋外作業をすることはあり得ますので、駆除業者のスタッフでも襲われる危険がないとは言えません。特に夜間や早朝などに作業を行う場合には、周囲にクマが潜んでいないかどうか十分に注意する必要があります。
同じように害虫駆除業者のスタッフとして働く場合でも、屋外作業は危険を伴う仕事です。シロアリやゴキブリなど住宅の内部で駆除作業を行うこともあれば、スズメバチのように屋外で巣の駆除を行うこともあります。ハチミツはクマの大好物だけに、ミツバチの駆除を依頼された場合はクマにも注意が必要です。
農家
クマによる仕事中の人身被害で最も多いのは、農作業中に襲われた人のケースです。多くの農地は森林と市街地との中間地帯に位置していて、人里に出没するようになったクマの行動範囲と重なってきます。
野菜や果樹など畑の農作物だけでなく、付近に生えている柿や栗の木もクマを呼び寄せる要素です。倉庫に保管してあった米や米ぬかがクマに食害されたり、鶏小屋で飼っていたニワトリが食い荒らされたりしたこともありました。
農地や農家の敷地に侵入したクマと鉢合わせた場合には、相手もパニックになって襲われる危険が高くなります。農業を営んでいる人は専業と兼業に関わらず、一般の人よりクマと遭遇する確率がどうしても高くなってきます。
家庭菜園で作業をしていてクマに襲われた人もいますので、趣味で野菜作りを楽しんでいる人も油断できません。クマが出没している地域で農作業をする際には、周囲を常に警戒している必要があります。
林業
最近のクマは市街地にも多く出没していますが、もともとは森林に生息している動物です。そのため木の伐採や林地の管理など林業に携わる人は、クマと遭遇する可能性が最も高い仕事と言えます。
林業の仕事で山に入る際には熊撃退スプレーを携帯するなどして、人一倍警戒している作業員も少なくありません。作業開始前に爆竹を鳴らしたり、作業中もできるだけ大きな音を立てるようにしたりする対策も必要です。チェーンソーや倒木など林業は何かと危険の多い仕事ですが、クマなどの野生動物にも最大限の注意が必要になってきます。
養蜂家
クマを捕獲するための箱ワナには、おびき寄せるための食べ物にハチミツがよく使われます。ハチミツはそれだけクマの大好物とされているだけに、ミツバチを飼育する養蜂家も農家と同様の危険にさらされる仕事です。
実際に各地の養蜂場でクマに侵入され、ハチミツや幼虫が食い荒らされる被害も複数発生しています。養蜂箱が壊されるのも痛い被害ですが、養蜂の仕事に携わっている人が襲われた場合はさらに深刻な人身被害につながりかねません。蜂に刺されないために着用する防護服ではクマの襲撃は防げませんので、クマ撃退スプレーなどの対策も必要になってきます。
新聞配達員
2025年7月には北海道で新聞配達中の男性がヒグマに襲われ、死亡するという痛ましい出来事がありました。同年11月には秋田県でも、新聞配達中の男性がツキノワグマに襲われてケガをしています。
クマは基本的に昼行性の動物ですが、人里に出てくると人間を避けるため夜行性になる個体もいるそうです。早朝や夕方の薄暗い時間帯は、クマの行動が活発になります。市街地でクマに襲われる被害も早朝に多く発生しているだけに、未明から早朝にかけての時間帯に朝刊を配達するのは危険を伴う仕事です。
街中にもクマが出没するようになった中で、新聞配達員はまだ暗いうちから家々を回らなければなりません。屋外で作業をする仕事の中でも、最大限の注意が必要な職種だと言えます。
郵便・宅配便・灯油の配達員
市街地では早朝や夜間だけでなく、昼でもクマによる被害や目撃情報が少なくありません。主に日中勤務することが多い郵便・宅配便や灯油の配達員でも、配達の途中でクマに襲われることはあり得ます。
特にクマが目撃されているエリアへ配達に行く際には、車を降りた後も周囲への警戒が欠かせません。すでに一部の地域では配達を見合わせたり遅らせたりして、業務に支障が生じている状況です。
宿泊施設の従業員・リゾートバイト
最近は温泉や観光地にもクマの出没が相次いでいるだけに、宿泊施設で働く従業員が危険にさらされるケースも出てきます。2025年10月には岩手県北上市の温泉施設で、露天風呂の清掃をしていた従業員の男性がクマに襲われて亡くなりました。クマは男性を近くの雑木林まで引きずっていった形跡があって、捕食行動を示した極めて特殊な個体とも考えられます。
同年同月には秋田県の温泉郷でも宿泊施設に勤務する女性が、歩いて帰宅する途中クマに襲われてケガをしました。同じ10月には秋田県湯沢市の中心部にあるホテルの駐車場でも、清掃作業中の男性従業員がクマに襲われ重傷を負っています。宿泊施設の従業員ですら屋外作業を伴う際には、クマへの注意が必要になってきている状況です。
山岳ガイド・アウトドアインストラクター
近年は市街地にクマが異常出没して問題となっていますが、かつてはクマによる被害と言えば山に入った人が中心でした。山菜やキノコ採りの最中に襲われるケースが多いですが、中には登山やハイキングの途中で襲われた人もいます。
2025年8月には北海道知床半島にある羅臼岳で、登山客の男性がヒグマに襲われて命を落としました。北海道では過去にも登山客がヒグマに襲われ、複数の人が亡くなるという事故が起きています。
登山客を案内する山岳ガイドやアウトドアインストラクターも、仕事中にクマと遭遇する危険性のある職業です。万が一遭遇した場合には自分だけでなく、案内や指導を行う顧客の安全も確保しなければならない難しさがあります。
墓参り代行
2025年9月には福島県喜多方市で、夫婦で墓掃除をしていた女性がクマに襲われてケガをした事例がありました。墓地にはお供え物を狙ってクマが寄ってくる場合があるだけに、墓参りの際には注意が必要です。
近年は自分で墓参りするのが難しくなった高齢者や、遠方の都会に居住する親族などを顧客として、墓参り代行サービスのニーズが高まってきています。近くに墓地がある人にとっては副業の手段にもなる仕事ですが、業務の際にはクマと遭遇する可能性も頭に入れておく必要があります。特に市街地と山林との境界付近に位置する墓地で作業をする際には、山菜採りなどで山に入るのと同様のクマ対策が欠かせません。
犬の散歩代行
市街地へのクマ出没が多発するようになってから目につくのは、散歩中にクマに襲われたという被害の例です。クマ被害が相次いでいる地域の住民は、気軽に散歩もできなくなってきています。
散歩やウォーキングは人間の健康維持にも役立ちますが、犬を飼っている人は愛犬の定期的な散歩が欠かせません。墓参り代行と同様に、犬の散歩代行も近年需要が高まってきている代行サービスの1つです。
「クマが怖くて犬を散歩に連れて行けない」という人が増えてくれば、散歩代行のニーズも増えると予想されます。早朝などの時間帯を利用した副業の手段にもなり得る仕事ですが、朝はクマと遭遇するリスクの高い時間帯です。依頼客から預かった大切な愛犬を守るのはもちろん、いざというときには自分の身も守る心構えが重要になってきます。
草刈り代行
墓参り代行や犬の散歩代行と並んで需要の高まりを見せているのが、事業所や高齢者宅からの依頼が多い草刈り代行のサービスです。出勤前の早朝や週末だけ働くようにすれば、会社員の副業にもなり得ます。
代行業者のアルバイトとして働く場合でも、個人で草刈り代行サービスを起業する場合でも、雑草が生い茂った屋外で作業することになる仕事です。大きな音を立てる草刈り機の稼働中はともかく、作業開始前は付近の藪にクマが潜んでいないかどうか十分に注意する必要があります。
便利屋
以上のように屋外作業を伴う代行の仕事は、便利屋と呼ばれる業者のサービス内容にも含まれてきます。家事代行やハウスクリーニング・修理代行などは屋内作業が中心ですが、庭の手入れや草むしり・蜂の巣駆除などを依頼されることも珍しくありません。
前述の墓参り代行や犬の散歩代行なども、多忙な人や高齢者から依頼される可能性のある仕事です。多種多様な代行サービスに対応している便利屋のスタッフも、仕事中にクマと遭遇する可能性があるという点では変わりありません。クマが異常出没している地域でこうした屋外作業の依頼があった場合には、周囲を常に警戒しながら業務に取り組む必要があります。
警備員
市街地でクマが出没した場合、警備会社が警戒地域のパトロールを委託される例もよくあります。警察官や自治体職員だけでは人員が不足してくるため、民間からも人が動員されている状況です。
過去にはクマの人身被害が発生した場所で、パトロール中の警備員が襲われる事例もありました。海外では警戒に当たっていた警備員がヒグマに襲われて死亡する事故も起きているだけに、最前線に配備された場合は危険を伴う仕事です。
最近はクマが店舗や施設に侵入する例も増えていますので、屋内に配属される警備員も油断なりません。クマが出没している地域で警備の仕事をする際には、利用客や従業員・周辺住民の安全を確保する役割も求められてきます。
工事現場作業員
さまざまな工事現場で働く作業員も、クマが出没している地域で屋外作業に従事する際には警戒が必要です。土木工事や道路工事などの現場はもちろん、住宅などの建築工事の現場も油断はできません。
2025年の10月には秋田市の中心部で、建築中の住宅にクマが侵入するという事例がありました。侵入したクマは箱ワナで捕獲され、人身被害がなかったのは不幸中の幸いです。
橋などの建設工事現場付近でも、現場事務所の近くにクマが出没したような例があります。事前調査や設計の段階で工事予定地を訪れる際にも、特に山間部のような場所ではクマへの警戒が必要です。
検針員
電気やガス・水道の公共料金を算出する目的で、検針員が契約住宅を回ってメーターの検針を行います。一戸建て住宅の場合、メーターが庭の奥深くに設置されているケースも珍しくありません。
検針作業を行う際にはいちいち住人の許可を得なくても、住宅の敷地内に入ることが法律で認められています。不審者と間違われてトラブルになることもありますが、クマが出没している地域では検針員も危険を伴う仕事です。
検針員の安全を確保するため、クマが冬眠に入るまで検針作業を休止する決定をした地域まで出てきました。クマは住宅の庭に潜んでいる可能性もありますので、検針で立ち入る際にはクマよけの鈴を携帯するなどの対策が欠かせません。
スーパーや飲食店の従業員も要注意
ここまでは主に屋外作業が中心の職種を取り上げてきましたが、屋内の店舗で働く従業員にも注意が必要な業種があります。スーパーやコンビニ・飲食店など、食品を扱う店舗です。
最近は市街地に出没したクマが店舗に侵入する例も出てきています。住宅にすら侵入されている中ではどの店に油断はできませんが、スーパーなどで扱う食料品はクマをおびき寄せる要素です。クマは人間の数千倍とも言われるほど鋭い嗅覚を持っているだけに、大量の食品を持つ店には匂いに引き寄せられる可能性があります。
実際に2024年12月には秋田市の市街地で食品スーパーにクマが侵入し、従業員1人を負傷させた上で店内に2日間居座るという前代未聞の事案が発生しました。2025年の10月にも群馬県沼田市のスーパーで営業中の店内にクマが侵入し、男性客2人が人身被害に遭っています。
2025年11月には青森県三戸町のラーメン店裏側で、仕込み作業中の男性従業員がクマに襲われました。襲われた男性はクマを投げ飛ばして撃退したという話ですが、格闘の際に軽傷を負っています。店舗にまで侵入されるのは極めて稀なケースとは言え、クマが異常出没している地域で食品を扱う店に勤務する人は注意が必要です。
自然物の販売で収入を得る副業も注意を

当ブログでは山菜や木の実など、お金に換えることが可能な自然物についてたびたび取り上げてきました。山林や河川敷などで採ってきた自然物を売れば、ちょっとした副業の手段にもなり得ます。
土地所有者の許可を得るなりして持ち帰った自然物は、元手0円で手に入る「商品」です。実際にメルカリやヤフオク(Yahoo!オークション)にもさまざまな自然物が出品されていますが、野外採取の際にはクマをはじめとする野生動物への注意が必要になってきます。
当ブログでこれまでに紹介してきた中で採取の際にクマと遭遇する可能性があるのは、以下のような自然物です。
- 山菜
- キノコ
- 木の実
- 栗
- 銀杏
釣りや昆虫採集・流木拾い・薪拾いなどの際にも油断はできませんが、以上5つの自然物はクマが好んで食べる食料です。それぞれの注意点について解説します。
山菜
春が来て山の雪が解けると、さまざまな植物が次々と芽を出してきます。ワラビやゼンマイ・コゴミ・タラノキなどの植物の芽は、古くから山菜として食用にされてきました。
春から夏にかけてのシーズンになると、山は山菜採りの人たちで賑わいます。自分で採ってきた山菜をメルカリに出品している人も少なくありませんが、山菜は冬眠から目覚めたクマにとっても大好物です。
特に東北地方で「タケノコ」と呼ばれて人気のあるネマガリダケ(チシマザサ)は高地性の笹で、東北地方では深山を中心に分布しています。太くて立派なタケノコは、背丈を越えるほど高く成長した笹がびっしり生えた藪に入らないと見つかりません。タケノコはクマの大好物でもあるだけに、人身被害が毎年のように発生しています。
クマも基本的には人間が怖いので、人の気配を感じると自分から避けるように行動するのが普通です。見通しの悪い笹藪でタケノコ採りに夢中になっていると、お互いに気づかないままばったりと遭遇してしまう可能性があります。パニックになったクマが攻撃的な反応を示すのは、非常に危険な状況です。
クマは笹藪以外の山林や河川敷にも潜んでいる可能性がありますので、目的とする山菜がタケノコでない場合も油断はなりません。クマよけの鈴やラジオを鳴らしたりして、相手の方から避けてくれるように仕向ける行動が求められます。
キノコ
山菜採りと並んでクマによる人身被害が多いのは、秋のキノコ採りです。クマは秋になると冬眠に備えて栄養を蓄えようとするため、エサを探し回る行動が活発になります。キノコ自体を食べるクマもいますが、食用のキノコが生える樹種とクマが好んで実を食べる樹種が重なっている点には注意が必要です。
ブナやクヌギ・コナラなどの広葉樹林には、天然のマイタケやナメコ・シメジ・ムキタケ・ナラタケなどの食用キノコが生えます。冬眠前のクマにとっては、ブナやクヌギ・コナラなどの樹になる実の方が大好物です。
キノコ採りをしていてクマに襲われる事例が少なくないのも、人間とクマの行動範囲が重なってくるのが一因と言えます。針葉樹林や雑木林でもクマと遭遇する可能性がありますので、キノコ採りの最中は最初から最後まで気を緩められません。山菜採りと同様のクマ対策が必要になってきます。
木の実
縄文人は別として、今はどんぐりも食用にはされていません。。アクセサリーやリースなどハンドメイド作品の材料にする目的で、どんぐりを拾っている人はいます。松林に落ちている松ぼっくりとともに、メルカリでは結構売れている自然物の1つです。
どんぐりや松ぼっくりなどの木の実を拾ってきてハンドメイド作家に売れば、元手0円でお小遣い稼ぎができるようになります。ちょっとした副業の手段にもなり得る自然物ですが、どんぐりはクマが食料としている点を忘れてはいけません。
松ぼっくりはどんぐりほど好んで食べるわけではありませんが、松林にもクマがいる可能性はあります。山菜やキノコ採りで山に入る場合と同様に、公園などで木の実拾いをする際には周囲への注意が必要です。
栗
山菜採りやキノコ採りに次いでクマによる人身被害が多いのは、栗拾いをしていて襲われるケースです。栗の実はクマも大好物なだけに、実が熟する秋には人と鉢合わせをする危険が出てきます。
栗拾いの際には1人でするのを避け、できるだけ複数人で行動するのが望ましいです。作業を開始する前には周辺をよく観察し、クマが潜んでいないかどうか確認することをおすすめします。
栗拾いの最中にも、クマがいつどこから現れるかわかりません。地面ばかり見ていないで、周囲の状況にも絶えず注意している必要もあります。
銀杏
秋になるとイチョウの木の下に落ちている銀杏も、拾ったものを売ってお金に換えられる自然物の1つです。メルカリには農家でない一般の人が拾った銀杏も数多く出品されていて、1キロあたり1,000円前後で売れています。
公園などで拾ったものを売れば元手0円ですが(許可が必要な場合もあります)、銀杏もクマの食料になるという点には要注意です。銀杏拾いをする際には栗拾いと同様に、周囲にクマがいないかどうかの確認が欠かせません。
まとめ

以前とはクマの行動が変わってきている中、屋外で仕事をする際には市街地でも注意が必要になってきています。クマは11月下旬から12月頃にかけて冬眠に入るのが普通ですが、市街地に出没するクマの中には冬眠しない個体もいるという話です。
街には冬でも食料があるということを学習した結果、冬眠せずに動き回るクマが出てきました。親グマが駆除されて取り残された子グマは冬眠の仕方を知らないため、冬でも食べ物を求めてさまよい続けるしかありません。
冬眠に入る前の秋は、クマの行動が最も活発になる時期です。仕事中にクマと遭遇する確率も他の季節より高くなりますので、屋外で仕事をする人はクマ対策が必要になってきます。
万が一クマを見かけてもまだ距離があるうちは、背中を見せずにゆっくりと後ずさりしながら遠ざかっていくのが鉄則です。近距離で遭遇して急に襲われた場合には、うつ伏せになって両手で首の後ろを守る防御の姿勢が推奨されています。クマと出合わないようにするのが一番ですので、屋外作業の際には熊よけの鈴など音の鳴るものを携帯するのがおすすめです。



