養殖したメダカを販売して収入を増やすという副業ビジネスが、近年のメダカブームを受けて注目を集めています。メダカには500種類以上もの品種が存在し、珍しい種類は成魚だけでなく稚魚・卵ですら高値で売れている状況です。メダカの飼育そのものはそれほど手間がかからないため、会社員の副業にも向いています。
一方ではメダカ養殖を始めても高く売れず、「たいして儲からなかった」という人も少なくありません。成功した人と失敗に終わった人との差も大きいと言われるメダカ養殖の副業について、飼育と繁殖の基礎知識をまとめてみました。販売ルートやメダカブームの今後についても、記事の後半で詳しく解説します。
メダカの養殖は副業でも可能?
ペットとして飼育する魚は金魚や熱帯魚が定番でしたが、近年はメダカがブームとなっています。小川で見かける地味でありふれた魚というイメージも昔の話で、現在では野生種の絶滅が危惧されるほど数が激減してしまいました。その一方では飼育用に品種改良されたメダカがペットショップで人気を集めており、珍しい品種には1匹1万円以上の高値がついた例も珍しくありません。
メダカはもともと強い魚で養殖するのにそれほど手間がかからず、初心者でも比較的簡単に増やすことが可能です。養殖業と言えば養魚池や巨大な水槽を想像しがちですが、サイズの小さいメダカなら小型の水槽や発泡スチロールの箱でも飼育できます。増やしたメダカを高値で販売する養殖ビジネスは本業の片手間でも可能なことから、一風変わった副業として人気を集めるようになったのです。
メダカ養殖で利益が出る仕組み
メダカの飼育は熱帯魚や金魚ほど難しくはなく、室内だけでなく屋外でも飼育が可能です。熱帯魚を飼育する場合は水槽の他にヒーターやエアーポンプ・ろ過フィルター・照明器具などを使うのが一般的で、道具を買い揃えるだけでもかなりの費用がかかってしまいます。
メダカは飼われている環境でも10℃以下の低温になると冬眠の状態になり、春が来て温度が上がってくると活発に動き出すのが特徴です。珍しい品種のオスとメスをセットで購入してきて同じ水槽で飼っていれば次々と産卵してくれるため、いくらでも数を増やすことができます。基本的にスタート時点だけ親のメダカを対で購入すれば、販売用のメダカはほとんど自動的に生まれて育ってくれるのです。
物品を転売するせどりを副業にして稼ぐには、商品が売れるたびに絶えず新たな商品を仕入れ続けなければなりません。仕入れた商品が必ず売れるとは限らず、目論見が外れてしまった場合には大量の在庫を抱えるリスクもあります。
その点でメダカ養殖なら新たな品種を導入する場合でもない限り、エサ代を別にすれば新たな仕入れに費用をかける必要はありません。次々と新しい個体が生まれ育って多く売れば売るほど、販売すべき「商品」に占める元手の割合が低くなるという仕組みです。最初に購入した1対の個体の購入費用を回収して以降は、仕入れに相当する費用は安価なエサ代と水道料金ぐらいになります。
メダカの値段が高い理由
メダカは金魚や熱帯魚より生命力が強く飼いやすいとは言っても、供給量が多いヒメダカでは1匹あたり数十円程度でしか売れません。ヒメダカを改良した楊貴妃メダカは1匹200円前後、幹之メダカや黄金メダカになると1匹500円から1,000円ほどで取引されています。
名前の通りダルマに似た可愛らしい姿で人気を集めるダルマメダカは、1匹数千円で売れる場合もあるほど希少性の高い品種です。ダルマメダカのオスとメス同士をかけ合わせても、同じようなダルマメダカが生まれる確率は30%程度と言われています。卵を水温30℃以上で孵化させるとダルマメダカの出現率が高くなるとも言われていますが、この方法で固定率を100%にできるわけではありません。
メダカ養殖ビジネスの収益性を左右する固定率は、親の特徴を受け継いだ子がどれだけの確率で生まれてくるかを示す数字です。珍しい品種のメダカほどこの固定率が低く市場に出回る数が限られてくるため、需要と供給の法則から高値で取引されやすいくなります。過去には1匹に100万円もの高値がついた例もあるだけに、メダカ養殖はまさに一攫千金を狙えるビジネスとして熱い注目を浴びているのです。
メダカ養殖に必要な設備
野生の状態では全国各地の川に棲んでいたほどありふれた存在だけに、メダカは庭などの屋外での飼育が可能な魚です。集合住宅に住んでいて屋外での飼育が難しい人でも、水槽などを使えば室内で飼うことができます。
小さい体に似ず生命力が強い魚ですので、使用する器は安く入手できる発泡スチロールの箱やプランターでも問題はありません。器の中に水草を入れておけば格好の隠れ場所になる上に、酸素を出してくれるのでエアーポンプの代わりにもなります。
メダカは水温が20℃から28℃ほどになるとエサを活発を食べるようになり、気温の低い冬以外ならどの季節でも繁殖が可能です。メスの稚魚は生まれて3ヶ月目くらいから産卵が可能になりますので、条件さえ整えばねずみ算式にどんどん増えていきます。
水草や産卵床に産み付けられた卵はそのままにしておくと成魚に食べられてしまう恐れがありますので、産み付けられたら別の器に隔離しておくのが繁殖の基本です。生まれた稚魚が成魚の半分くらいの大きさまで育てば食べられる恐れはなくなり、元の器に戻せるようになります。
メダカを繁殖させるコツ
メダカ養殖は水槽などの容器とオスメス対の個体を用意すれば始められますが、ランニングコストとしてエサ代はどうしても必要になってきます。コストを少しでも安く上げようとして、100円ショップで売られている安価なエサを使うのはおすすめできません。
コストは少々割高になりますが、ペットショップなどで売られている栄養価の高いメダカ専用のエサを使うのが無難です。成魚用のエサをすりつぶして稚魚に与えれば、エサ代を少しでも節約できます。水田や沼などに生息しているミジンコも、メダカの稚魚が好むエサの1つです。
器に入れる水はメダカ1匹あたり1リットルが目安で、水道水を使う場合は事前のカルキ抜きが欠かせません。市販の中和剤を使うか、または水道水を汲んでおいて日の当たる場所に1日以上放置して塩素を飛ばす必要があります。
室内で飼う場合でもメダカにはある程度の日光が必要ですので、水槽などの器を日当たりの良い窓辺に置いておくのが基本です。ただし夏場は水温が熱くなりすぎるため、直射日光には当てないようカーテンなどで対策を行う必要もあります。
基本的には屋外の方がメダカの飼育に適した環境が自然に整いやすく室内飼育より少ないコストで済みますが、ヤゴや猫・カラスなど天敵への備えも欠かせません。トンボが飛んできて卵を産み付けられるとヤゴが発生してしまいますので、場合によっては網を張るなどして対策を講じる必要が出てきます。
メダカの繁殖期
メダカは成長が早い魚で、メスは孵化して3カ月ほど経つと産卵が可能になります。同じ水槽や容器でオスのメダカと一緒に飼育していれば、自然と繁殖行動を取るようになります。野生のメダカは自然環境に左右されるため、4月から9月くらいまでが繁殖期です。メダカが産卵に適した体になるには、水温18℃以上で12時間以上の日照時間が必要です。
飼育された環境であれば、メダカの繁殖期は季節に限定されません。水槽のヒーターやLEDライトなどを使って条件を整えてやれば、冬場でも繁殖が可能です。水草などに産み付けられた卵が孵化するには1日13時間以上の日照が必要ですので、ライトを使う場合はそのように調節するといいでしょう。
メダカの交配
メダカも他の動物や植物と同様に、メンデルの法則に従って遺伝形質が親から子へと受け継がれる生き物です。同じ形質の特徴を持つメダカ同士で繁殖させた場合でも、突然変異で親とは異なる形質を持つ子が生まれることがあります。突然変異で生じた形質もメンデルの法則に従って子世代へと遺伝することになるため、異なる形質の個体同士を交配させて新種を生み出すことも可能です。
メダカブームの主役となった楊貴妃メダカやダルマメダカも、もともとは突然変異を起こした野生メダカを品種改良させることで生み出されました。同じ形質の親同士を交配させても、必ず同じ形質を持つ子が生まれるとは限りません。
親の特徴が子に受け継がれる割合のことを固定率と呼びますが、メダカの固定率を100%にするのはなかなか難しいものです。固定率が50%あればいい方で、珍しい品種のメダカは固定率20%や30%でも一定の需要があります。交配にそうした難しさがあるからこそ、珍種や新種のメダカが高値で取引されているのです。
メダカの販売方法
メダカの養殖を収入に結びつけるには、育てたメダカを何らかの手段で販売する必要があります。メダカはペットショップやホームセンターでも売られているため、そうした店に売るというのは誰でも思いつきそうな販売方法です。他にも道の駅に出品して委託販売する方法や、私有地を使って路上販売する方法も考えられます。最近ではネットオークションに出品したり自分でネットショップを開業したりして、メダカのネット販売も盛んです。
いずれも副業の範囲内では小遣い稼ぎ程度の収入しか手元に残らない可能性があるため、いきなり会社を辞めて養殖ビジネスを大々的に始めるのはおすすめできません。安定した給与収入を確保しておいた上で、まずは副業として養殖ビジネスを始めるのが無難なやり方です。売上が軌道に乗ってきて本業の収入を上回るようになってから、本格的な独立開業を検討した方が失敗のリスクが低くなります。
ペットショップにメダカを売るには?
熱帯魚や金魚を扱うペットショップでもメダカは売られていますが、それらは信頼できる業者から仕入れた「商品」です。メダカブリーダーを自称する一般の個人は信用がないため、ショップに持ち込んでも簡単には買い取ってもらえません。
日頃から店の常連客として店主と懇意にしていれば、規模の小さいペットショップならメダカを買い取ってもらえる可能性もあります。ペットショップにメダカを売るには、長い時間をかけて店側と信頼関係を築き上げる努力が必要です。
絶対数が多い黒メダカやヒメダカは小売価格が1匹数十円程度で、卸価格になるとその半値以下にまで下がります。よほど珍しい種類のメダカでもない限り、二束三文にしか売れないのが実情です。ペットショップを相手にした商売ではたとえ売れたとしても利益率が低いため、メダカ養殖を副業として成り立たせるのは難しいと言えます。
道の駅でメダカを売る
個人が自分で育てたメダカを売る方法の1つとして、道の駅や農産物直売所で委託販売するやり方が挙げられます。メダカをボトルや袋などに入れてパッケージ化し、値札やPOPを添えて売り場に陳列しておく販売方法です。
メダカのような魚類は哺乳類や鳥類などと違って、都道府県に販売許可を得る必要はありません。野菜などの農産物と同様に、数千円程度の年会費を払えば道の駅でメダカを委託販売できるようになります。
販売時のお金のやり取りは道の駅側が引き受ける代わりに、売上の15%前後が販売手数料として引かれる仕組みです。売れ残った場合のリスクは出品者側が負うことになりますが、ペットショップに買い取ってもらうよりは現実味のある販売方法だと言えます。
路上販売や無人販売でメダカを売る
道路に面した場所に土地を持っている人であれば、路上販売でメダカを売るという手もあります。公道や公園で路上販売するには、警察や公園管理者の許可が必要です。私有地を活用した路上販売の形態なら許可は不要で、通行人を相手にメダカを販売できるようになります。
最近増えているのが、野菜のように無人販売所でメダカを売るやり方です。陳列台や販売什器・料金箱などを用意する必要もありますが、自分がついていなくても販売できる点では副業に向いたやり方だと言えます。買う人の良心に期待するような売り方だけに、万全を期すなら防犯カメラ設置などの盗難対策も欠かせません。
無人販売は自動販売機の設置と似た売り方ですが、飲料などと違ってメダカは生き物です。長時間放置することは避け、メダカの健康状態を定期的にチェックする必要もあります。
メダカのネット販売
道の駅での委託販売や私有地での路上販売は商品を直接売る方法だけに、売り場を訪れた人にしかメダカを販売できません。道路に面した土地を持っていない人や、道の駅が近くにない人には不向きな販売方法です。
インターネットを活用してメダカを販売する方法なら、そうしたロケーションの制約がありません。法人が運営する通販サイトでなくても、個人がメダカをネット販売する方法はいくらでも考えられます。
インスタグラムやツイッターなどのSNSには、メダカの愛好家同士で情報交換を行うコミュニティが形成されています。そうした人たちと交流しながら販売の機会を見つけるのも1つのやり方です。その他にネットオークションサイトのYahoo!オークションで売る方法や、個人でネットショップを開設して売る方法もあります。
メルカリはメダカの出品が禁止?
個人対個人の取引で商品を販売する方法として、誰でも思いつくのはフリマサイトのメルカリです。メルカリには野菜や山菜・キノコなど農作物の類は出品できますが、メダカのような生き物は卵を含めて出品が禁止されています。ラクマもメルカリと同様に、生き物の出品はできません。
Yahoo!フリマ(旧PayPayフリマ)も出品禁止物の中に「動物の生体」は含まれますが、メダカの卵は数多く出品されている状況です。珍しい種類の改良メダカであれば、卵の状態でも愛好家に需要があります。メダカはたくさんの卵を産みますので、卵の販売だけでも副業にすることは十分に可能です。
メダカをYahoo!オークションに出品する
メルカリのようなフリマアプリには生き物が出品できませんが、魚類と昆虫・両生類ならネットオークションのYahoo!オークションに出品が可能です。メダカも出品できるため、Yahoo!オークションが主要な販売方法の1つとして活発に利用されています。
2023年11月の時点では、過去180日間に落札されたメダカの商品が約24万件となっていました。その中にはメダカの餌など関連商品も含まれますが、落札例の大半はメダカの生体です。成魚だけでなく稚魚や卵も数多く出品されていて、珍しい種類のメダカは高値での落札が目立ちます。
過去180日間で落札された最高額は、2023年10月に出品されたハイビスカス2ペアの約190万円です。1円という最安値で落札された例も少なくない状況で、メダカの希少性によって落札価格にかなりの差がついています。
落札の平均価格は2,158円となっていますが、これは1万円以上の高値で落札された例を含めた平均値です。約24万件のうち1万円以下で落札された例が24万件ほどに達し、平均の落札額平均 1,644円に下がります。その半数近い約11万件は1,000円以下での落札で、1,000円から5,000円までの落札例で約13万件を占めている状況です。
3年前に調査した時点では、過去180日間の平均落札価格は2,478円でした。現在の平均落札価格は当時より下がっていますが、100万円前後の高値で落札された例は逆に増えている状況です。
このようにYahoo!オークションでのメダカの落札状況は、さまざまな要因によって大きく変動する可能性があります。少しでも高く売るには、過去の落札状況をリサーチする作業が欠かせません。オークファンのプレミアム会員になれば、過去10年間までさかのぼって落札価格が検索できるようになります。
メダカ販売サイトを作る
Yahoo!オークションに出品すれば集客の手間は省けますが、同業者も多いだけに激しい競争が予想されます。販売実績の少ないうちはライバルに押され気味で、期待したほどにはなかなか売れないのが普通です。
Yahoo!オークションのようなプラットフォームに頼らず、自分で販売サイトを作ってメダカをネット販売するという手もあります。SNSやYouTubeなどを活用した集客の努力も必要ですが、自分だけのネットショップを作れば独自の販売ルートの確立が可能です。
BASEやSTORES・カラーミーショップといったネットショップ作成サービスを利用すれば、個人でも決済機能を備えたネットショップをか行できるようになります。初期費用・月額料金無料のフリープランも用意されていますので、ネットショップ初心者にもおすすめの方法です。個人でネットショップを開業する方法については、以下の記事で基礎知識と注意点を詳しく解説しておきました。
メダカを宅急便で送る方法
Yahoo!オークションを利用する場合も、自分でネットショップを作る場合でも、出品したメダカが売れたら購入者のもとに発送する作業が必要です。野菜や果物を発送するのと違ってメダカは生き物だけに、元気な状態で届くようにするには梱包の工夫が欠かせません。
生きたメダカを宅配便で送るには、メダカを水ごとビニール袋に詰めた上で梱包するのが一般的です。底が丸くなっているタイプのビニール袋を使い、容器に袋を固定した上でメダカを水ごと移し替えます。水はできるだけ新鮮なものを使用し、Amazonや楽天市場でも売られている携帯酸素で袋を膨らませておけば安心です。メダカの病気予防に使われるメチレンブルーを水に数滴垂らし、念には念を入れて発送している人も少なくありません。
ビニール袋の口はよじった上で折り曲げ、輪ゴムを使ってしっかりと封をします。温度変化の影響を受けにくくするため、袋を発泡スチロールに入れて送るのがメダカ発送のポイントです。配送中に袋が動かないように、梱包材で隙間を埋めて固定する作業も欠かせません。さらに万全を期すには、発泡スチロールごとダンボール箱に入れて発送するといいでしょう。
発泡スチロールに入れても夏場は温度が上昇しますので、凍らせた保冷剤を中に入れておくと安心です。冬に発送する場合は発熱させた携帯用カイロを入れ、少しでも保温するように配慮する必要があります。配送中に糞で水が汚れるのを防ぐため、発送するメダカを隔離して2日ぐらい前から餌を与えないようにするのがコツです。
メダカの販売はどれだけ儲かる?
自分でメダカの交配を繰り返して珍しい改良品種を生み出せば、一攫千金も夢ではありません。過去には1匹100万円もの高値がついた例もありますが、それだけ高く売れる品種を生み出すには相応の労力とコストも必要です。
珍しい形態のメダカが生まれても固定率が低ければ、子世代のメダカに同じ特徴が受け継がれません。地道な交配を続けて固定率を高め、商品価値の高いメダカを安定して生み出せるように飼育環境を整える必要があります。そうやって希少品種の固定率を100%に近づけていけば、成体や卵の販売で高収益を上げうことが可能になってくるというわけです。
メスのメダカは繁殖の条件が整ってる限り、1週間から10日ほどのサイクルでほぼ毎日卵を生み続けます。1日に生む卵の数は10個から30個ほどで、1匹のメスが月に400個から500個の卵を生む計算です。生まれた稚魚のうち、メスは孵化から3カ月ほどで繁殖が可能になります。
自然に近い環境で飼育する場合、この間にかかる費用は安価なエサ代程度です。わずかなランニングコストで育ったメダカが高値で売れれば、非常に収益性が高いビジネスモデルとなります。
メダカの販売で稼げる金額は養殖の規模や品種によって左右されますが、その気になればほとんど青天井の収益を稼ぎ出すことも可能です。Yahoo!オークションで落札されたメダカの平均額は2,000円ちょっとですので、月に20件の販売をこなせば4万円ほど稼げる計算となります。
まったく売れなければ収入ゼロもあり得るだけに、メダカ養殖で確実にどれだけ稼げるという保証はできません。そのへんがアルバイトの仕事などと違って、生き物を扱う養殖ビジネスの難しさです。
メダカブリーダーの年収
メダカの養殖を手がけるブリーダーには、専業の人もいれば副業で取り組んでいる会社員や主婦もいます。メダカの販売で稼いでいる金額もさまざまで、経営規模によって収益額が大きく変わってきます。そういう人たちをひとまとめにしたメダカブリーダー全体の平均年収を調査したデータは、今のところ確認できませんでした。
メダカの養殖で高収入を稼いでいる人になると、年収は1,000万円以上にも達します。これほどの金額を稼いでいるのは、メダカブリーダーの中でもほんの一握りの人たちです。会社勤務や主婦業の傍らでメダカの養殖を行い、年間1,000万円以上を稼ぎ出すのはなかなか難しいと見られます。メダカ1匹が100万円で売れたのは極めて稀な事例だけに、ネット販売でこれほどの金額を稼ぐには大量の梱包・発送作業も必要です。
ネット上ではメダカ養殖で「年商1,000万円」などというブリーダーの例も紹介されていますが、年商と年収は違います。年商はあくまでも売上ベースの数字で、売上からエサ代などの経費を引いた残りの純利益が年収の対象です。高く売れる品種のメダカを手に入れるために卵や稚魚を購入した場合には、仕入れに相当する金額を原価計算する必要もあります。
副業を含めたメダカブリーダーの多くは年収100万円以下と推定されるだけに、年に100万円以上稼げば高収入の部類です。ヤYahoo!オークションの平均落札額から逆算すると、メダカの販売で年に100万円稼ぐには月平均34件ほど売る必要があります。
メダカ養殖の副業が失敗する理由
メダカの養殖業は副業の手段にもなり得る仕事ですが、まったく稼げないままやめてしまう人も少なくありません。メダカ養殖の副業で失敗する典型的な例は、知識がないまま飼育を始めてメダカを全滅させてしまうという残念なケースです。
メダカは熱帯魚などと違って温度変化などにも強い魚ですが、どのような環境にも適応できるというわけではありません。水質が悪化しないようこまめに水替えを行い、餌も少しずつ何回かに分けて与えるのがコツです。
メダカ養殖の副業が儲かるかどうかは、販売状況にも大きく左右されます。あまり高く売れない品種ばかり育てた場合、数を多く売らない限りはまとまった収入になりません。本業の仕事で忙しい中では、副業の発送作業に多くの時間を割いている余裕がなくなってきます。
高く売れる高級品種を選んで育てれば、1回の発送で効率的に稼げるはずです。1匹100円でしか売れない品種で月に10万円を稼ぐには、単純計算で1,000匹分の発送をこなす必要があります。1匹10,000円で売れる高級品種なら、月に10匹を売るだけで10万円稼げるというわけです。
メダカを交配させて高く売れるような珍しい品種を作り出すには、ある程度の養殖設備を整えた上で試行錯誤を繰り返す必要もあります。交配に失敗する例も少なくありませんが、数少ない成功例は何度も失敗を繰り返す中から生まれるのが普通です。失敗を恐れずにチャレンジできる人の方が、そうでない人よりもメダカ養殖に向いています。
Yahoo!オークションを逆利用して高く売れそうな品種の成魚ペアや卵・稚魚を購入し、養殖で増やした上で販売するという手もあります。そうなるとある程度の元手は必要になりますが、経費をかけた方が失敗の確率を低くできるのも確かです。
メダカの価格相場も需要と供給のバランスで上下しますので、高く売れると見込んだ品種の価格が下落するリスクもあります。珍しい品種でも簡単に再現できれば出品数が急増し、いずれ供給過多に陥るのは当然の成り行きです。そのへんがメダカ養殖の難しさであると同時に、メダカブリーダーにとってはビジネスの醍醐味でもあります。
メダカブームはもう終わり?いつまで続く?
Googleの検索オプションで期間を絞り込んで「メダカブーム」を検索してみると、2010年の時点ですでにメダカがブームとなっていた事実が窺えます。2000年代にもメダカブームについて言及した記事は見られますが、2010年を境にブームが加速したのは明らかです。
それからすでに10年以上が経っている点を考えると、単なる一過性のブームとは思えません。2021年以降はコロナ禍の巣ごもり需要を背景に、第2のメダカブームとも言えるほどの活況を呈しています。
以前のブームはシニア世代が主な担い手でしたが、現在のブームは若い世代にも広がりを見せています。ブームの牽引役となる女性の間でメダカが人気となっているだけに、今のブームは当分続くと見るのが妥当です。
メダカ養殖で稼ぐ副業ビジネスのまとめ
熱帯魚や金魚よりも強い魚で育てるのにそれほど手間がかからないとは言え、メダカも水温などの環境が激変したり病気にかかったりして弱ることはあり得ます。水質の悪化など飼育方法に問題があったために、飼っていたメダカが全滅してしまったという残念な失敗例もありました。以上に紹介したような基本をしっかりと押さえた上でメダカの健康に気を配っていれば、1日に1時間から数時間程度の作業でも勝手に育って卵も産んでくれます。
固定率が高い品種のメダカは飽和状態で高値で売れにくい面もありますが、珍しい品種が1万円以上で落札された例も少なくはありません。それほど珍しくない品種であっても1匹100円前後ではコンスタントに売れていますので、地道に続けていればエサ代などのランニングコストを引いても利益が残るはずです。こうしている間にも新しい品種が次々と生み出されているだけに、メダカの養殖を副業にするなら少しでも早く始めることをおすすめします。
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